IHIの年収は高い?低い?年収ランキングからは見れない事実

IHI(旧:石川島播磨重工業)の大卒総合職(文系&理系)って年収高い?低い?一般的な年収ランキングからは分からない総合職の給料をまとめてみました。

新卒(学部卒/院卒)〜20歳代・30歳・35歳・40歳・50歳での目安年収と、各役職ごとの目安年収、残業代こみ年収、福利厚生のまとめとなります。

※追記)地域総合職と一般職の年収も追加しました。

転職・就活のご参考にどうぞ。

IHIの平均年収・平均年齢・平均勤続年数

まずは会社全体の年収を見ていきます(数字は2016年の有価証券報告書より)。

  • 平均年収:749万円
  • 平均年齢:40.0歳
  • 平均勤続年数:14.4年
  • 参考|
    2015年の平均年収|731万円(40.6歳)
    2014年の平均年収|720万円(40.8歳)
    2013年の平均年収|740万円(40.5歳)

※平均年収は一つ前の年度の有価証券報告書を参照。たとえば「2016年=2015年度実績」となります。

「IHI」という会社をご存じない就活生のために、ひとこと解説。

IHIは重工業メーカー国内No.2~No.3企業であり、川崎重工と売上は似たようなもの(No.1は三菱重工)。旧社名は石川島播磨重工業。ちなみに重工業大手のことを、重工3社(三菱重工・川崎重工・IHI)と言ったりする。

ビジネス領域は、おもに以下の4つ。

  1. 資源・エネルギー・環境(LNGタンクなど)
  2. 社会基盤・海洋(船用原動機など)
  3. 産業システム・汎用機器
  4. 航空・宇宙・防衛(エンジン用シャフト、航空エンジン)
  • 本社:東京都江東区豊洲三丁目1番1号(豊洲IHIビル)
  • 設立:1853年
  • 2015年度決算:
    売上 1.5 兆円
    純利益 15 億円

それでは概要を解説したところで、大卒・総合職の目安年収を見ていきましょう。

IHIの大卒・総合職の目安年収

①年齢ごとの年収目安(残業代・各種手当て別)

年 齢 役 職 年 収 基本給
万円/月
ボーナス
月数/年
~29歳 なし 504万円 30 4.8
30歳 なし 520万円 31 4.8
35歳 課長代理 705万円 42 4.8
40歳 課長代理 789万円 47 4.8
課長1 924万円 55 4.8
45歳 課長代理 840万円 50 4.8
課長1 924万円 55 4.8
50歳 課長代理 840万円 50 4.8
課長2 1008万円 60 4.8
55歳 課長代理 840万円 50 4.8
課長2 1008万円 60 4.8
60歳 課長代理 705万円 42 4.8

※課長代理は裁量労働制と想定。基本給に一定の残業代(みなし労働手当て)を含む。
※総合職であれば主任まではほぼ自動的に昇格(もちろん毎昇格試験はある)。
※課長1への昇進で同期でも差が出る。総合職でも3割くらいは課長になれないまま定年を迎える。
※年収はボーナス額で大きく変動する。2016年時点の業績だとこれくらいだが、業績がもっと悪ければ4ヶ月分/年となる。

②役職ごとの目安年収(残業代・各種手当て別)

役 職 年 齢 年 収 基本給
万円/月
ボーナス
月数/年
なし ~30歳 ~520万円 ~31 4.8
課長代理 33~35歳 672~840万円 40~50 4.8
課長1 35~40歳 924万円~ 55~ 4.8
課長2 40歳~ 1008万円~ 60~ 4.8
課長3(次長) 40歳~ 1092万円~ 65~ 4.8
部長 45歳~ 1176万円~ 70~ 4.8

※課長代理は裁量労働制と想定。基本給に残業代(みなし労働手当て)を含む。
※課長以上は残業代ゼロ

  • 新卒-30歳|役なしではあるが3年おきくらいにポジションが昇格し、そのたびにそれなりの昇給がある。もちろん毎年の昇給もあるが、ポジションの上がるタイミングで大きく上がる。
  • 33~35歳|課長代理へ昇格(総合職であればほぼ全員)。裁量労働制となり、残業代は基本給に含まれるものと想定。残業がいちじるしく多い部署をのぞき一括の「みなし労働手当て」が残業代の代わりに支給される。
  • 35-40歳|課長1になれるかどうかで年収が大きく変わる。昇格は同期2/3くらいのイメージ。3回管理職試験に落ちると受験資格を失う。したがって、総合職でも1/3は課長代理のまま会社人生を終える。
  • 40-45歳|課長2になれるかどうかで年収が大きく変わる。
  • 45-50歳|課長3になれるかどうかで年収が大きく変わる。
  • 50-60歳|部長、理事、役員へ昇格できる人は少ないため無視している。

③残業代込みの目安年収(月30h残業と仮定)

IHIのような巨大企業は激務度がマチマチであるため、平均の残業時間と言うのは意味ないのですが…。いちおうはメーカーの平均的な残業時間30h/月で、残業込み年収をまとめます。

年 齢 役 職 年 収 基本給
万円/月
ボーナス
月数/年
~29歳 なし 581万円 30 4.8
30歳 なし 599万円 31 4.8
35歳 課長代理 705万円 42 4.8
40歳 課長代理 789万円 47 4.8
課長1 924万円 55 4.8
45歳 課長代理 840万円 50 4.8
課長1 924万円 55 4.8
50歳 課長代理 840万円 50 4.8
課長2 1008万円 60 4.8
55歳 課長代理 840万円 50 4.8
課長2 1008万円 60 4.8
60歳 課長代理 705万円 42 4.8

※課長代理になると残業代ゼロになり、基本給に「みなし労働手当て」が含まれると想定しています(確認中)。

④注意点

【注意①】年収はボーナスの額により変わる(ここではボーナス4.8ヶ月/年の想定)。業績が悪くなれば平均して年収50万円は普通に下がる。B to B主体であるためそんなに大きく振れることもないのだが、最近は不運が重なり業績不振。したがって5.0ヶ月/年未満。

【注意②】賞与は「個人の査定・(部課)目標の達成度・会社業績」によって決まる。このうち影響大きいのが会社業績、次に個人の査定。会社の業績が伸びなければボーナスも伸びない。組合員であれば年によって、最低4ヶ月/年~最高8ヶ月/年くらいの差がある。

【注意③】同期入社であれば30代後半までは年収に差がつかない。差がつくのはそれ以降。

【注意④】サービス残業は無い。

【注意⑤】課長代理は裁量労働制。残業代ゼロの代わりに「みなし労働手当て」が支給される。ただし、著しく残業の多い部署は追加で残業代が支給される。

【注意⑥】管理職になると残業代はゼロ。

【注意⑦】年功序列だが、今後は実力主義にシフトするかも。

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まとめると、IHIの年収は特筆すべき点がない。他のトップメーカー並み。強いて言うならば、管理職に簡単には上がれないところだろうか。

地域総合職と一般職の年収

地域総合職と一般職の年収は上記の年収を

地域総合職は総合職の8割くらい、

一般職は総合職の6割くらい、

にしたイメージです。若いうちは年収の絶対額が低いため、そこまで大きな差は感じられないでしょう。当たり前ですが、年齢を重ねるほどに年収の差は開いていきます。

また、地域総合職と一般職は課長には出世できないとお考えください。

地域総合職であれば課長代理が限界、

一般職であれば役職なしのまま会社人生を終える人が多いでしょう。

とはいえ、役職なしには残業代がちゃんとつけられるため基本給が上がると、お得になっていきます。残業代は基本給をベースに算出されるため、基本給が高ければ高いほど、残業の時給は高くなります。

IHIの福利厚生

  1. 独身寮|あり
  2. 社宅|あり
  3. 世帯手当|なし
  4. 住宅補助|なし、社宅か寮に入ること
  5. 残業代|
    ・課長代理は裁量労働制であり残業代はゼロ。その代わりに「みなし労働手当て」が基本給に含まれる(大学の同期に確認中)。
    ・管理職以降は残業代ゼロ。
  6. その他の福利厚生|通勤手当、出張手当、外勤手当など
  7. その他の注意事項|

まとめるとIHIの福利厚生は普通の大企業なみ。寮や社宅あることが救い。

福利厚生込みの年収を知りたい方は残業代込み年収に、福利厚生の金額(おおむね50万円/年くらい)を加算しましょう。

重工業メーカー/機械メーカーの中でどのくらい?

IHIの年収は重工業/機械メーカー業界の中では「トップクラス」です。

また、メーカー業界全体でみても「上の下~トップクラス」です。ただ近年は業績低迷しており、ボーナスが低い(5ヶ月未満)ため、ちょっとイマイチな年収となっています。今後、業績が回復すればもう少しよくなるかと思われます。

したがってIHIの年収って高いの?低いの?と聞かれても「その年の業績による」としか答えようがありません。申し訳ありません。一つだけ確実なことは、基本給で三菱重工業に劣っていること。

ある程度まとまったら年収ランキングを作りますね(準備中)。

IHIに転職・就職するあなたへ

重工業メーカー業界の今後の動向

まず重工業メーカー業界の流れと、今後の動向をざっくりと解説します。

と思いましたが重工業メーカーはインフラ的な要素がつよくビジネスも多岐にわたるため、一般的な解説が難しいですね…。個別企業ごとに分析する必要があります。

ということですので、世界経済の流れをなんとなく掴んでおけばよいでしょう(完全に逃げ)。

IHIの将来性。今後どうなる?

IHIは幅広い事業を抱えるも、2015年・2016年はいろいろな不運(工期遅延、工事の凡ミス)が重なり、まるで儲かっていない。救いがあるのは国内No.1の航空エンジン、世界No.1の民間機エンジン用ロングシャフト、世界No.1のLNGタンクなど、高シェアの商品を持っているところ。これに加えて、政治色の強いメーカーであることも強みのひとつ(深くは語らない)。

今後の成長戦略は中期経営計画によると、

  • 収益基盤の強化
    → 目標:売上1兆7千億円、営業利益率7%

となっています。不採算事業はどこかのタイミングで切っていかないと、どうしょうもないでしょう。

結論として、IHIは新興国メーカーにコストで太刀打ちできない状況であり、官需でも三菱重工に負けているものの、好調な航空機事業があるため何とかなっている。今後は不採算事業を整理していけば問題ない。また、最悪の場合には三菱重工や他企業との合併も残されているため、生き残ることはできるでしょう。

(筆者の勝手な感想です)

IHIの激務度・ブラック度

IHIは部署や上司によって、激務度がぜんぜん違います。

既存ビジネスの現場(製造、設備技術、営業など)に近ければ近いほど激務になりますが、それも上司によります。ひとついえることは、どれだけ激務であっても残業代はほぼ100%支給され、サービス残業は無いということ。

いっぽうで、既存ビジネスと関係のない基礎研究所などは仕事まったり。プライベートが調整しやすいでしょう。

ただし重工業メーカーは古くからの業界であり、とてもお役所的な体質であることはあらかじめ認識しておきましょう。

重工業メーカー/機械メーカー業界の記事

IHIの社員クチコミ・評判

IHIの「①激務度・ブラック度」「②年収事例」「③キャリアパス(出世の難易度)」「④その他」「⑤福利厚生」に関して情報をお持ちの方へ。「コメント欄」にてご教示いただければ幸いです。

転職者・就活生の役に立つようなコメントでしたら何でも構いません。事実に基づく批判もウェルカムです。

またデータには万全を期しておりますが、2017年公開時点での情報ですのでご了承ください。

それでは読者様からのご協力お待ちしておりますm(_ _)m