拝受いたしましたか?は間違い
まず「(相手が)拝受いたしましたか?」は間違いです。理由は「拝受」という謙譲表現だから。「拝受する」のはメールの相手です。ということは相手を立てなければいけない場面。ここで相手の行動に対して「拝受」を使うと、相手が下になり、結果として自分を立ててしまっています。
基本的に、謙譲表現を相手の行動に使うと失礼にあたりますので気をつけましょう(例外もあるかも)。
他にも謙譲表現を相手に使っているNG例としては、「お名前はなんと申されますか?」「明日、○○様はおりますでしょうか?」などあります。
ここでの正しい敬語は、相手を立てる「尊敬語」を使うべき。そうすると「お名前はなんとおっしゃいますか」「明日、○○様はいらっしゃいますか?」が正しい敬語の使い方となります。
話はもどって「拝受」は謙譲表現であるため、相手の行動に対して使うと失礼にあたります。
お受け取りになりましたか?は正しい
「(相手が)受け取りましたか?」と聞くのはOKです。
ただ、このままでは丁寧語「です・ます」を使っているだけなので、丁寧レベルとしてはイマイチ。そこで尊敬語の「お〜られる」を使い「お受け取りになる」とし、さらに丁寧語「です・ます」を加えて疑問文にします。
すると「(相手が)お受け取りになりましたか?」となり、目上の人やビジネスメールで使える素晴らしい敬語表現となります。
このほかには「お手元に届きましたか?」「お手元にございますか?」などが同じように使われます。
念のため、「お受け取りになりましたか?」を使ったビジネスメールの例文を以下にまとめます。
- 例文「たびたび失礼致します。先般、送付いたしました見積書はお受け取りになりましたか。お忙しいところ大変恐れ入りますが、ご確認いただければ幸いです」催促メール
- 例文「5月10日に履歴書を添付ファイルにて送付いたしましたが、お受け取りになりましたか。お忙しいところ大変恐れ入りますが、ご確認くださいますようお願い申し上げます」催促メール
【例文】返事を催促するメール
ーー 使い方「お受け取りになりましたか?」 ーー
メール件名: FW: 履歴書送付の件(就活大学・就活)
転職株式会社
営業部
転職 様
たびたび申し訳ありません。
就活大学の就活です。
さて先日、履歴書を添付ファイルにて送付しておりましたが、
お受け取りになりましたでしょうか。
当方の手違いにより送付できていない可能性があり、
確認のため連絡いたしました。
お忙しいところ大変恐れ入りますが、
ご確認いただければ幸いです。
何卒よろしくお願い申し上げます。
*************
メール署名
*************
※「こちらの手違いでお送りできていない可能性がございますので、再度送付いたします」と言い換えしたほうがよいかも。
お受け取りになられましたか?は間違い敬語
段々と「拝受いたしました」の話題から逸れていますが、重要なポイントをひとつ。
尊敬語は「お〜になる」「ご〜になる」が正しいものの、よくある間違いとして「お〜られる」を使ってしまうこと。以下の通りに間違いやすい尊敬語と正しい尊敬語をまとめておきます。
- 例文「×おっしゃられる → ◎おっしゃる」
- 例文「×ご覧になられる → ◎ご覧になる」
- 例文「×お越しになられる → ◎お越しになる」
- 例文「×お召しになられる → ◎お召しになる」
- 例文「×お受け取りになられましたか? → ◎お受け取りになりましたか?」
「拝受いたしました」は二重敬語ではない!
「拝受いたしました」という敬語について、「拝受」は謙譲表現であるから、さらに謙譲語「いたす」を使っては二重敬語になるのでは?という質問があります。
結論からのべると「拝受いたしました」は二重敬語ではありません。なぜなら「拝受」は「拝む(おがむ)」という謙譲表現を使ってはいるものの「謙譲語」ではないからです。
「二重敬語とは同じ種類の謙譲語を、同じ単語に2回つかうこと」
ですから、これは問題ありません。二重敬語となる表現にはたとえば「お伺いいたします」があります。
これは「伺う(行く・聞くの謙譲語)」に「お~いたす(する・の謙譲語)」となっています。伺うはすでに謙譲語なのに、さらに謙譲語「いたす」を使っていますよね?
これが二重敬語の例です。
敬語であれば何でもいいという訳じゃない!
敬語の難しいところは、敬語を使い丁寧な表現にすればなんでもありではなく、言葉として適切かどうか?についても考えなければならないところ。
たとえば先ほどの例で考えると、
「拝受する」という言葉は単純に尊敬語にして「ご拝受なさいましたか?」としはダメ。使ってはいけないNG敬語です。理由は繰り返しになりますが、「拝受」という言葉に謙譲表現が含まれているからです。
何でもかんでも敬語にすればよい訳でなく、「拝受」という言葉の持つ意味も考えなければならない、ということ。
「拝受」がふさわしい表現であることを確認してはじめて、「拝受いたしました」としてビジネスメールで使えるのです。
「拝見いたしました」は「拝受」とは違う
ところで「メール、拝見いたしました」って正しい使い方でしょうか?ーつづくー