「ご厚情を深謝いたします」意味と使い方・例文

「ご厚情を深謝いたします」「ご厚情に深謝いたします」の意味、ビジネスシーン(メール・手紙・文書・社内上司・社外・目上・就活・転職)にふさわしい使い方、注意点について。

ビジネスメールの例文つきで誰よりも正しく解説する記事。

この記事の目次

「ご厚情を深謝いたします」の意味

まずは意味のまとめから。

「ご厚情」の意味は「厚いなさけ」

「ご厚情」の意味は「厚いなさけ。心からの深い思いやりの気持ち」

「ご厚情」のもととなる単語は「厚情」であり尊敬語「ご」をつかって敬語にしています。

「厚い」をつけることによって単なる「情け、思いやり」ではなくもっと深い、「心からの情け、思いやり」という意味になります。

「深謝いたします」の意味は「深く感謝する」

「深謝いたします」の意味は「深く感謝する」。つまり「心からのお礼」をあらわすフレーズです。

ここで「いたします」は「する」の謙譲語に丁寧語「ます」をくっつけた敬語であり、感謝の気持ちをあらわすシーンでは「ありがとう」の代わりによく使われるフレーズです。

たとえば、

  1. 「このたびは私たち二人の結婚に際し、お心遣いをいただき深謝いたします」
    意味「お心遣いをもらい本当にありがとう」
  2. 「たいそうなお品をいただき深謝いたします」
    意味「素晴らしい品をもらい本当にありがとう」
  3. 「このたびのお心遣いに深謝いたしております」
    意味「お心遣い、本当にありがとう」

のようにして使いますね。

「ご厚情を深謝いたします」の意味は「心からの思いやりを本当にありがとう」

  1. ご厚情 = 厚いお情け、心からの思いやり
  2. 深謝いたします = 本当にありがとう

これらの単語を合体させて意味を考えます。

すると「ご厚情を深謝いたします」の意味は…

「心からの思いやりを本当にありがとう」
「心からのお情けを本当にありがとう」

のように解釈できます。

「ご厚情」「深謝」「いたします」とかイロイロと大げさなフレーズを組み合わせているため、なんだかバカ丁寧な印象になる言葉です。が、喪中ハガキなど特定のビジネスシーンでは使えます。

「ご厚情を深謝いたします」までを一つのフレーズとして覚えておくと、何かの時に役立つでしょう。

「いつもお世話になり、ありがとう!」の意味だと覚えておけばよい

「心からの思いやりを本当にありがとう」ってよくよく考えるとかなり変な意味です。

これは直訳。

ビジネスシーンに使われるときはもっとシンプルに意訳して「いつもお世話になり、ありがとう!」の意味だと考えればOKです。

「ご厚情を深謝いたします」使い方

つづいて「ご厚情を深謝いたします」の使い方について。

使い方①喪中ハガキ(年賀欠礼状)の挨拶文

喪中ハガキ(年賀欠礼状)の挨拶文として使います。

といってもほとんど決まりきった使い方しかしません。

  • 例文「本年中に賜りましたご厚情を深謝いたしますとともに 明年も変わらぬご交誼のほどお願い申し上げます」
  • 例文「今年○月 ○○○○が○○歳で永眠いたしました 本年中に賜りましたご厚情を深謝いたしますと共に 明年も変わらぬご交誼のほどお願い申し上げます」
  • 例文「本年中に賜りましたご厚情に深謝いたしますとともに明年も変わらぬご交誼を謹んでお願い申し上げます」
    ※ 喪中ハガキや年賀状では句読点を使わないのが一般的

のようにして一連の挨拶文として使われます。

また「ご厚情」とおなじように使える言い換えには「ご高配」「ご温情」「お引き立て」もありますが、喪中ハガキではあまり一般的ではないですね…

使い方②その他いろいろな挨拶文

あとは色々なビジネス文書の挨拶として活躍します。

たとえば以下のように使うとよいでしょう。

  • 年賀状の挨拶文
    「旧年中に賜りましたご厚情に深謝いたしますとともに本年も変わらぬご交誼のほどお願い申し上げます」
  • ビジネス挨拶文
    「平素はひとかたならぬご厚情にあずかり、深く感謝申し上げます。」
    「平素は格別なご厚情を賜り厚くお礼申し上げます。」

ご厚情を深謝いたします/ご厚情に深謝いたしますの違い

ここで少し横道にそれます。

「ご厚情深謝いたします」の一文字ちがいで「ご厚情深謝いたします」があります。

これって何が違うのでしょうか?

「ご厚情を深謝いたします」「ご厚情に深謝いたします」の意味はどちらも、

「ご厚情=厚いお情け、心からの思いやり」に(を)深く感謝すること。

となり、どちらもまったくおなじ意味です。

「ご厚情」には「を」なのか、はたまた「に」を使うべきなのか?というと…

心底どちらでもいいのですが…

「を」は「〜をする」ということなので「ご厚情を深謝する」

「に」は「〜に対して」ということなので「ご厚情に対して深謝する」

文章のバランスを考えて使い分ける

個人的な意見としてシックリくるのは「ご厚情に深謝する」ですね。

これはあなたのお好みと文章のバランスを考えて使い分けするべきかと。

ひとつの文章で「〜に」ばかり使うと幼稚な印象となりますし、「〜を」ばかり使ってもイマイチな文章となります。日本語って難しいですね…

「ご厚情を深謝いたします」類語と言い換え

「ご厚情を深謝いたします」の類語と言い換えについて。

ビジネスシーンでも使える言い換え表現をざっくりまとめておきます。

ご厚情を賜り/ご厚情を頂き/ご厚情にあずかり深謝いたします

ビジネスシーンで使える「ご厚情を深謝いたします」の言い換え・類語

「ご厚情を深謝する」ではなく、「ご厚情をもらったことに深謝する」というようにして、「賜る」「あずかる」「頂く」をくっつけて使ってもよいでしょう。

すると以下のようなフレーズも同じように使えますね。

  • 例文「本年中は一方ならぬご厚情を賜り厚くお礼申し上げます 明年も変わらぬご交誼のほどお願い申し上げます」
  • 例文「今年○月 ○○○○が○○歳で永眠いたしました 本年中は一方ならぬご厚情にあずかり深謝いたしますと共に 明年も変わらぬご交誼のほどお願い申し上げます」
  • 例文「本年中は一方ならぬご厚情を頂き深謝いたしますとともに 明年も変わらぬご交誼を謹んでお願い申し上げます」

【補足】

・喪中ハガキや年賀状では句読点を使わないのが一般的
・「一方ならぬ(ひとかたならぬ)」は「この上ない」の意味
・「格別の」もおなじく「この上ない」の意味だが、「別」が忌み言葉となるので喪中ハガキでは避けるべき。

ご高配を(に)深謝いたします

ビジネスシーンで使える「ご厚情を深謝いたします」の言い換え・類語

続いてオーソドックスなのが「ご高配を深謝いたします」「ご高配を賜り/ご高配を頂き/お引き立てにあずかり/厚くお礼申し上げます」です。

喪中ハガキなどのテンプレート集にはあまりないフレーズではありますが、言い換えたとしてもなんら問題はありません。

「ご高配」の意味は「お心配り、お心遣い」であり、「ご厚情」と似たようなシーンで使われます。

すると以下のようなフレーズも同じように使えますね。

  • 例文「本年中に賜りましたご高配を深謝いたしますとともに明年も変わらぬご交誼を謹んでお願い申し上げます」
  • 例文「本年中は一方ならぬご高配を賜り厚くお礼申し上げます 明年も変わらぬご交誼のほどお願い申し上げます」
  • 例文「今年○月 ○○○○が○○歳で永眠いたしました 本年中は一方ならぬご高配にあずかり深謝いたしますと共に 明年も変わらぬご交誼のほどお願い申し上げます」
  • 例文「本年中は一方ならぬご高配を頂き深謝いたしますとともに 明年も変わらぬご交誼を謹んでお願い申し上げます」

お引き立て

ビジネスシーンで使える「ご厚情を深謝いたします」の言い換え・類語

つづいて「お引き立てに(を)深謝いたします」「お引き立てを賜り/お引き立てにあずかり厚くお礼申し上げます」

喪中ハガキなどのテンプレート集にはあまりないフレーズではありますが、言い換えたとしてもなんら問題はありません。

「お引き立て」の意味は「お世話になること」であり、とくにビジネス文書の挨拶文で「ご高配」「ご厚情」と同じくよく使います。

すると以下のようなフレーズも同じように使えますね。

  • 例文「本年中は一方ならぬお引き立てを賜り厚くお礼申し上げます 明年も変わらぬご交誼のほどお願い申し上げます」
  • 例文「今年○月 ○○○○が○○歳で永眠いたしました 本年中は一方ならぬお引き立てを賜り深謝いたしますと共に 明年も変わらぬご交誼のほどお願い申し上げます」
  • 例文「本年中は一方ならぬお引き立てを頂き深謝いたしますとともに 明年も変わらぬご交誼を謹んでお願い申し上げます」

その他いろいろ(ご支援・ご指導・ご愛顧・お付き合いetc)

ビジネスシーンで使える「ご厚情を深謝いたします」の言い換え・類語

あとは場合によっては使えるであろう言い換え・類語を紹介します。

  1. 今後とも変わらぬご愛顧のほどお願い申し上げます
    意味「今後も変わらず愛用してもらうようお願い」
  2. 今後とも変わらぬご支援のほどお願い申し上げます
    意味「今後も変わらず支援してもらうようお願い」
  3. 今後とも変わらぬお付き合いのほどお願い申し上げます
    意味「今後も変わらず付き合いしてもらうようお願い」
  4. 今後とも倍旧のご指導を賜りますようお願い申し上げます
    意味「今後も指導してもらうようお願い」

【注意点】ご厚情はこう使う!

つづいて「ご厚情」を使うときの注意点を解説します。

敬語を正しく使うことはもちろん、ふさわしいビジネスシーンを考えて使いましょう。

ビジネス文書で使うときは時候の挨拶も入れる!

「ご厚情」をつかうときの、一連の流れとして覚えていただきたいこと。

ビジネス文書で使うとき「平素は格別のご厚情を賜り厚くお礼申し上げます」の前に時候の挨拶を入れましょう。

そして「拝啓~敬具」もあわせて使います。

すると以下のような感じ。

  1. 企業向け「拝啓 時下ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。平素は格別のご厚情を賜り厚くお礼申し上げます (本文) 敬具」
  2. 企業向け「拝啓 ●●の候 貴社ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。平素は格別のご厚情を賜り厚くお礼申し上げます (本文) 敬具」
  3. 個人向け「拝啓 時下ますますご健勝のこととお喜び申し上げます。平素は格別のご厚情を賜り厚くお礼申し上げます (本文) 敬具」
  4. 個人向け「拝啓 ●●の候 xx様におかれましては益々ご健勝のこととお喜び申し上げます。平素は格別のご厚情を賜り厚くお礼申し上げます (本文) 敬具」

かみくだくと「最近どうよ?世話になっててありがとう!」というような意味となります。

季節ごとに「●●の候」というような季語を使うこともありますが…最近では上記のようにオールシーズンで使われる時候の挨拶しか見たことないですね。

➡︎ ビジネス挨拶文の例文50選(文書・メール・年賀状・時候ほか)

➡︎ ビジネスメールでの「拝啓・敬具」の書き方と位置

「ご厚情してください」はNG!

きわめて初歩的な敬語の使い方なのですが…

「ご厚情」するのはあくまでも相手の厚意であるため、相手に「ご厚情してください=心からの思いやりをください」と要求するのは、なんとも厚かましい感じがします。

これは受け手の感情次第であり、そんなことは考えずに使っているヒトがほとんどだと思いますが…

とくに目上のヒトに何かをお願いするときには「お取り計らい」をつかい、「お取り計らいのほど、何卒よろしくお願いいたします」などのようにするのが無難です。

「お取り計らい」意味と目上の方への正しい使い方【例文あり】

ご厚情を賜りますようお願いします?

こちらも「ご厚情してください」と同じようになんか違和感のある表現です。

「厚情=心からの思いやり、情け」として考えるのであれば「心からの思いやりをもらえるようお願い!」という意味になります。

「ご厚情」はどちらかというと「お心配り」の意味であり、意識的じゃない相手の厚意という意味だと私は思います。

まぁ、そんなことは誰も気にしないとは思いますけどね…

ただしメール結びや締めくくりとして「今後ともご厚情を賜りますようお願い申し上げます」はよく使われます。結局は「今後もよろしくね」と言っているのとおなじニュアンスであり、何も問題はありません…

【参考】「取り急ぎお礼まで」を目上の人に使わない理由・丁寧な言い換え

【シーン別】違いと使い分け

「ご厚情」のビジネスシーン(メール・手紙・社内上司・社外・目上・就活・転職)にふさわしい使い方と、敬語フレーズを使った例文をみてきましたが…

こんなときにはどれを使う?

というビジネスシーンごとの使い分けを整理しておきます。

ビジネス会話なら…

  • 例文「お心遣いありがとうございます」
  • 例文「ご配慮いただきありがとうございます」
  • 例文「お心遣いをいただきありがとうございます」

会話で「ご厚情」という表現はなかなか使いません。「お心遣い」あるいは「ご配慮」で十分です。

ビジネスメールなら…

  • 例文「いつもお世話になっております」
  • 例文「いつもお世話になり、誠にありがとうございます」
  • 例文「お心遣いをいただき大変恐縮でございます」

ビジネスメールの場合、シンプルなフレーズではなくよりかしこまった表現を使うと好感度UP。ただしビジネスメールの挨拶文は「お世話」を使うのが一般的です。

たしかにたま~に「ご厚情」「ご高配」をつかった挨拶を見かけますが、あまり一般的ではありません。

ビジネス文書や手紙なら…

  • 拝啓 時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
    平素は格別のご高配を賜り厚くお礼申し上げます。 (本文) 敬具」
  • 「拝啓 時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
    平素は格別のご厚情を賜り厚くお礼申し上げます。 (本文) 敬具」
  • 拝啓 ●●の候 貴社におかれましては益々ご清栄のこととお慶び申し上げます。
    平素は格別のご高配を賜り厚くお礼申し上げます。 (本文) 敬具」

ビジネス文書や手紙ではほんとうに「ご厚情」や「ご高配」「お引き立て」をよく使います。送り状・添え状から見積もり書にいたるまで、ほとんどすべてのビジネス文書(社外むけのみ)に使われます。

また「ご厚情」の代わりに「ご高配」「お引き立て」をもちいてもよいでしょう。

ビジネス挨拶文の例文50選(文書・メール・年賀状・時候ほか)

「ご厚情を深謝いたします」の喪中ハガキ例文

さいごに「ご厚情を深謝いたします」「ご厚情に深謝いたします」を使った喪中ハガキの例文を紹介します。

例文①ご厚情を深謝いたしますともに

今年■■(祖母)が他界し喪中のため
年頭のご挨拶を差し控えさせていただきます
本年中に賜りましたご厚情を深謝いたしますとともに
明年も変わらぬご厚誼のほどお願い申し上げます
寒さ厳しき折 くれぐれもご自愛ください
平成二十九年●月

例文②ご厚情に深謝いたしますともに

本年中に賜りましたご厚情に深く感謝いたしますとともに
明年も変わらぬご厚誼のほど謹んでお願い申し上げます
皆様が健やかなる新年をお迎えになりますよう
心よりお祈り申し上げます
平成二十九年●月

例文③ご厚情に深謝いたしますとともに

本年●月にノマドの母 のま野間子が●●歳にて永眠いたしました
生前のご厚情に深謝いたしますとともに
明年も変わらぬご厚誼を賜りますようお願いいたします
平成二十九年●月

参考記事

➡︎「ご厚情」の意味とビジネスにふさわしい使い方・例文

➡︎「ご厚誼」「ご交誼」「ご高配」「ご厚情」の意味と違い、使い分け