敬語「ご記載いただく vs くださる」の意味と違い・使い方

① ご記載いただく

vs.

② ご記載くださる

の敬語、意味と違い、目上・上司・取引先への使い方、注意点についてビジネスメールの例文つきで誰よりも正しく解説していく記事。

まずは基本。

「ご記載いただく vs ご記載くださる」の意味はそれぞれ

  1. ご記載いただく → 記載してもらう
  2. ご記載くださる → 記載してくれる

※記載(きさい)の意味は「書類・書物などに書いて記すこと。記入」

どちらも正しい敬語であり使い方はたとえば…

① お礼「記載ありがとう」

  • 例文「ご記載いただきありがとうございます」
  • 例文「ご記載いただきましてありがとうございます」
  • 例文「ご記載くださいましてありがとうございます」

② 希望・依頼・お願い「記載してほしい」

  • 例文「ご記載いただきたく存じます」
  • 例文「ご記載いただければと存じます」
  • 例文「ご記載いただければ幸いです」
  • 例文「ご記載いただきますようお願い致します」
  • 例文「ご記載くださいますようお願い申し上げます」

※「存じます」は「思う」の謙譲語”存じる”+丁寧語”ます”

※「ますよう」は丁寧語”ます”+「ように」

③ 記載してくれた●●/記載してもらった●●

  • 例文「ご記載いただいた説明書に不備がございました」
  • 例文「ご記載いただきました内容でお願い致します」
  • 例文「ご記載いただいておりました内容ではお受けいたしかねます」
  • 例文「ご記載くださいました○○」

のようにしてメールに使うと、上司・目上やビジネスパートナーに使えるすばらしい敬語フレーズになります。

使い方は依頼・お礼メールなどいろいろあり。

どちらをつかっても丁寧な敬語であり使い分けの必要はありません。

その根拠については本文にて。

ざっくりとした解説はこれにて終了ですが、本文中ではメール例文をまじえながらくわしく進めていきます。

※長文になりますので時間の無い方は「見出し」より目的部分へどうぞ。

意味・敬語の違い

まずは「ご記載いただく vs ご記載くださる」の意味と敬語における違いについて簡単に。

ようは「記載してもらう vs 記載してくれる」ということなのですが、あまりに乱暴なのでもう少しくわしく解説します。

“ご記載いただく”の意味・敬語

「ご記載いただく vs ご記載くださる」の違い

まず
「ご記載いただく」の辞書的な意味は…

「記載してもらう」であり、おもにビジネスシーンでなにかしら記載してほしいとき。依頼・お願いにつかう敬語フレーズです。もちろんお礼などにも使えます。

「ご記載いただく」の敬語を細かくみていくと、以下のような成り立ちです。

  1. 元になる語は“記載”
  2. “〜してもらう”の謙譲語「お(ご)〜いただく」で「ご記載いただく」

※記載(きさい)の意味は「書類・書物などに書いて記すこと。記入」

謙譲語をつかい、この上なく丁寧な敬語フレーズとなっていることがわかります。

こうすると「ありがたくも記載してもらう」というようなニュアンスになります。

したがって上司・目上やビジネスメールで使うのにふさわしい表現、と言えるでしょう。

ちなみに「ご記載」の「お(ご)」は謙譲語と尊敬語の使い方があります。ここでは「自分が〜してもらう」というように自分を主語にしているため謙譲語としての使い方です。

“ご記載くださる”の意味・敬語

「ご記載いただく vs ご記載くださる」の違い

つづいて

「ご記載くださる」の辞書的な意味は…

「記載してくれる」であり、ビジネスシーンでなにかしら記載してほしいとき。依頼・お願いにつかう敬語フレーズです。もちろんお礼などにも使えます。

「ご記載くださる」の敬語を細かくみていくと、以下のような成り立ちです。

  1. 元になる語は“記載”
  2. “〜してくれる”の尊敬語「お(ご)〜くださる」で「ご記載くださる」

※記載(きさい)の意味は「書類・書物などに書いて記すこと。記入」

尊敬語をうまくつかい、この上なく丁寧な敬語表現となっていることがわかります。

こうすると「ありがたくも記載してくれる」というようなニュアンスになります。

ちなみに「ご記載」の「お(ご)」は謙譲語と尊敬語の使い方があります。ここでは「相手が〜してくれる」というように相手を主語にしているため尊敬語としての使い方です。

違いと使い分け

ここまで意味と敬語についてみてきました。

さて「ご記載いただく vs ご記載くださる」の違いにお気づきでしょうか?

どちらも結局のところ言いたいことは同じ。

「記載してもらう・記載してくれる」

と言いたいわけですが…

  • “ご記載いただく“だと意味は「記載してもらう」
    →敬語は謙譲語「お(ご)〜いただく」

vs.

  • “ご記載くださる“だと意味は「記載してくれる
    →敬語は尊敬語「お(ご)〜くださる」

というように意味と敬語の使い方が違います。

いい加減しつこいのですが、だからといって言いたいことは全く同じなわけです。

したがって、

敬語の使い方には違いはあれど、どちらもひとしく丁寧な敬語であり目上・上司・社外取引先につかえるフレーズです。

ただ少しニュアンスの違いというか敬語の使い方が違うよ、ということですね。

ちなみにビジネスメール結びとして一般的なのは「ご記載くださる」のほうですが、心底どちらでも差し支えありません。

“ご記載いただく vs ご記載くださる”の使い方

つづいて「ご記載いただく vs ご記載くださる」の使い方について。

代表的なパターンを表にまとめておきます。

こまかく解説していくとそれだけで記事がおわってしまいますので、目的にあわせてお使いください。

▼「ご記載いただく」の使い方まとめ(すべて敬語)

①基本 ②+丁寧語”ます” ③その他
現 在  ご記載いただく  ご記載いただきます -頂くよう
-頂きますよう
過 去  ご記載いただいた  ご記載いただきました ×
進行形  ご記載いただいている  ご記載いただいています -頂いております
過去~現在  ご記載いただいていた  ご記載いただいていました -頂いておりました
希 望
依 頼
 ご記載いただきたい
ご記載いただきたく
ご記載いただくよう
 ご記載いただきたいです

ご記載いただきますよう

-頂きたく思います
-頂きたく存じます
-頂ければと存じます
可 能  ご記載いただける  ご記載いただけます -頂けるよう
-頂けますよう
仮 定  ご記載いただければ  ご記載いただけましたら ×
疑 問  ご記載いただけるか?  ご記載いただけますか? -頂けますでしょうか
否 定  ご記載いただけない  ご記載いただけません ×
命 令 × × ×

※ ②+丁寧語”ます”をつかうとより丁寧な敬語になります。

※「×」としたのは一般的につかわない

▼「ご記載くださる」の使い方まとめ(すべて敬語)

①基本 ②+丁寧語”ます” ③その他
現 在  ご記載くださる  ご記載くださいます -くださるよう
-くださいますよう
過 去  ご記載くださった  ご記載くださいました ×
進行形  ご記載くださっている  ご記載くださっています -くださっております
過去~現在  ご記載くださっていた  ご記載くださっていました -くださっておりました
希 望
 ご記載くださるよう  ご記載くださいますよう ×
可 能 × × ×
仮 定 × × ×
疑 問  ご記載くださるか?  ご記載くださいますか? ×
否 定  ご記載くださらない  ご記載くださいません ×
命 令  ご記載ください  ご記載くださいませ ×

※ ②+丁寧語”ます”をつかうとより丁寧な敬語になります。

※「×」としたのは一般的につかわない

敬語”~いただく vs くださる”の違いをもっと!

せっかくですので「~いただく」「~くださる」の違いをもっと考えてみます。

たとえば結び・締めに使う「お願い」するときのシーンを考えましょう

すると…

「ご容赦くださいますようお願い申し上げます」
「ご容赦いただきますようお願い申し上げます」

「ご了承くださいますようお願い申し上げます」
「ご了承いただきますようお願い申し上げます」

「ご連絡くださいますようお願い申し上げます」
「ご連絡いただきますようお願い申し上げます」

こんな敬語フレーズをよく使います。

実はこれらは「くださる」を使うのが一般的です…
「いただく」としても丁寧ではありますが…

ところが、たとえば何かをもらった時のお礼のシーンを考えます。

「たいそうなお品をくださりありがとうございました」
「たいそうなお品をいただきありがとうございました」

もうひとつ、

「いつもご利用くださりありがとうございます」
「いつもご利用いただきありがとうございます」

上記の例文はどれも敬語としては正しい使い方。

ただ圧倒的に「いただき〜」とするほうが多いですね。

結び・締めに使うフレーズとしては「くださる」のほうが一般的で、お礼に使うフレーズとしては「いただきありがとう」を使うのが一般的です。

ただし何度もしつこいのですが…

本来であればどれも丁寧な敬語であり、使い分けする必要はありません。

【補足】敬語の種類(ざっくり復習)

① 尊敬語とは?
相手をうやまって使う敬語の一種。
相手の行為にたいして使い、自分の行為には使わないことが基本。

敬語の種類はほかに②謙譲語、③丁寧語がある

② 謙譲語とは?
自分をへりくだって下にすることで、相手への敬意をあらわす敬語。
自分の行為に使い、相手の行為には使わないことが基本(例外あり)。

③ 丁寧語とは?
いわゆる「です・ます」口調のこと。

使い方

つづいて「ご記載くださる vs ご記載いただく」の使い方を例文で紹介します。

目上・上司にはもちろんのこと、社外取引先にもつかえる丁寧な敬語フレーズにしています。ご参考にどうぞ。

使い方①相手に記載してほしい時

相手に「記載してほしい・記載してもらいたい」ときは…

  • 【例文】ご記載いただきたく存じます
  • 【例文】ご記載いただきたく、お願い致します
  • 【例文】ご記載いただければと存じます
  • 【例文】ご記載いただきますようお願い申し上げます
  • 【例文】ご記載くださいますようお願い申し上げます
  • 【例文】ご記載いただければ幸いです
  • 【例文】ご記載いただけましたら幸いです
  • 【例文】ご記載いただけますか/ますでしょうか?
  • 【例文】ご記載のほどお願い申し上げます
  • 【例文】ご記載をお願い致します

▼敬語の補足

・「存じる」は「思う」の謙譲語
・「いただきたく」は謙譲語「いただく」+希望”~したい”
・「いただければ」は謙譲語「いただく」+可能形+仮定”たら・れば”
・「いただけましたら」は謙譲語「いただく」+丁寧語”ます”+仮定”たら・れば”
・「幸いです」は「幸い」+丁寧語”です”
・「ますよう」は丁寧語”ます”+”ように”

使い方②相手に「記載ありがとう!」とお礼するとき

相手に「記載ありがとう!」とお礼するときは…

  • 【例文】ご記載ありがとうございます
  • 【例文】ご記載いただきありがとうございます
  • 【例文】ご記載いただきましてありがとうございます
  • 【例文】ご記載くださいましてありがとうございます

▼敬語の補足

・「いただきまして」は謙譲語”いただく”+丁寧語”ます”の活用形「まして」
・「くださいまして」は謙譲語”くださる”+丁寧語”ます”の活用形「まして」

使い方③記載できません!と断るとき

①上司なり取引先・目上の相手が「記載できません!」とするときは…

  • 【例文】ご記載いただけません
  • 【例文】ご記載いただくことはできません

②自分が「記載できません!」とするときは…

  • 【例文】(ご)記載いたしかねます
  • 【例文】ご記載しかねます
  • 【例文】●●のためご記載することが叶いません
  • 【例文】ご記載することが大変困難でございます

無理やり感のある例文になってしまいました…すみません。

こんなときには「ご対応いたしかねます」「お受けいたしかねます」などの敬語をつかいますね。

使い方④記載してくれた●●/記載してもらった●●

記載してくれた●●/記載してもらった●●

  • 例文「ご記載いただいた説明書に不備がございました」
  • 例文「ご記載いただきました内容でお願い致します」
  • 例文「ご記載いただいておりました内容ではお受けいたしかねます」
  • 例文「ご記載くださいました○○」

使い方⑤自分が「記載します!」とするとき

ついでに自分が「記載します!」と言いたいときには…

  • 【現在形】ご記載します/(ご)記載いたします
  • 【過去形】ご記載しました/(ご)記載いたしました
  • 【進行形】ご記載しております/(ご)記載いたしております
  • 【希望①】ご記載したく思います/(ご)記載いたしたく思います
  • 【希望②】ご記載したく存じます/(ご)記載いたしたく存じます

▼敬語の補足

・「存じる」は「思う」の謙譲語
・(ご)とした例文は省略可
・「お(ご)~します」は謙譲語「お(ご)~する」+丁寧語”ます”
・「お(ご)~いたします」は謙譲語「お(ご)~いたす」+丁寧語”ます”

おもにはこんな感じの使い方があります。

それぞれの意味や敬語の使い方など、くわしい解説は本文の一番最後にあります。

本当はもっといろいろありますが、すべての使い方を例文で紹介しているとそれだけで日が暮れるため、少しだけにしておきますね。

ビジネスメール例文【全文】

ここでは「ご記載くださる vs ご記載いただく」のビジネスメール例文を紹介します。

使い方・例文①アンケート記入のお願い

メール件名:残業時間に関するアンケート実施

営業部 ノマド 様

突然のご連絡、大変失礼いたします。
総務部・野間湖と申します。

このたび人事労務部では残業時間の申請と実質の乖離を防ぐため、残業時間に関するアンケート調査を実施する運びとなりました。

添付エクセルのとおり質問フォームを作成いたしましたので、ご記載いただければと存じます。

なお本メールは残業の申請が月30時間を超過している社員の皆さまへ一斉送信しております。

お忙しいところ大変お手数ではございますが、お力添えのほど何卒よろしくお願い致します。

**************
人事部 のまど
**************

ただし上記のシーンでは「ご記入」とするのが一般的

使い方・例文②催促ビジネスメール

メール件名:転送Fw:【再送】残業時間に関するアンケート実施

各位

たびたび失礼いたします。

さて、先般お願いしておりました残業時間に関するアンケート調査の件、その後いかがでしょうか。

お忙しいところ大変恐れ入りますが、部内で報告が必要なため明日中に添付フォームにご記載くださいますようお願い申し上げます。

なお、このメールはご返答がまだの方へ送付しております。

行き違いでご連絡いただいておりましたら申し訳ありません。

何卒宜しくお願い致します。

**************
人事部 ノマド
**************

ただし上記のシーンでは「ご記入」とするのが一般的

ビジネスメール例文③断りをいれる

メール件名:返信Re: 販売契約締結のお願い

ビジネス 株式会社
資材部 〇〇 様(社外ビジネス取引先)

平素はお世話になっております。
転職・ノマドでございます。

さて先日ご依頼の販売契約ですが、弊社内にて精査いたしましたところ、以下のご記載いただいた部分についてお受けすることが非常に困難な状況でございます。

①賠償請求
②品質保証
③納期に関する条項

つきまして添付ファイルのとおりに訂正させていただきたく存じます(訂正箇所を赤文字にて記載いたしました)。

誠に勝手を申し上げますが、どうかご了承いただきますようお願い申し上げます。

************
営業部 ノマド
************

“ご記載いただく”は間違い敬語?

少し話はそれますが「いただく」が謙譲語として誤りだという指摘があります。

間違いだという指摘の根拠は、

  1. “いただく”は「もらう」の謙譲語
  2. 謙譲語は自分の動作を低めて相手を敬うため、基本は自分の行為にしか使えない
  3. “ご記載する”のは相手だから…
  4. “ご記載いただく”は相手の行為に謙譲語を使うことになり、おかしい?

ということです。

正しい敬語である根拠

まずは結論だけ述べますが「ご記載いただく」は間違った謙譲語ではありません。

「ご記載いただく」は 「私が相手に記載してもらう」という意味。

もっとかみ砕くと

「ありがたくも私が相手に記載してもらう」というようなニュアンスになります。

自分が上司・目上・取引先など相手に「〜してもらう」の主語は自分であるハズ。したがって自分を低めて上司・目上・取引先をたてる謙譲語「いただく」をつかいます。

ちなみに尊敬語をつかって相手の行為をたてるのであれば…

「ご記載くださる=相手が記載してくださる」をつかえばOK。

謙譲語にも”お(ご)”という使い方がある

ややこしいので基本的な敬語の使い方についてくわしく解説を。

じつは尊敬語と謙譲語にはどちらも「お(ご)」の使い方があります。

謙譲語としての「お(ご)」の使い方はたとえば、

  • 会議日程のご連絡
  • 忘年会開催のお知らせ
  • 販売状況のご報告
  • 転勤のご挨拶
  • 貴社ご訪問のお願い

こんな感じのフレーズがあります。よくビジネスメールの件名で目にする表現ですね。

ところが例文は自分が「ご連絡・お知らせ・ご報告・ご挨拶」するため「お(ご)」をつかうのはおかしいと感じるかたもいらっしゃることでしょう。

これは、

謙譲語「お(ご)」の使い方を知らないためにくる勘違いです。

尊敬語の「お(ご)」だと勘違いしているために間違い敬語と感じるのですが、実際にはどれも正しい敬語をつかっています。

いっぽうで尊敬語の「お(ご)」は、「部長が戻りになりました」などのようにして、相手の行為をうやまって使う敬語です。

謙譲語の一般形まとめ

謙譲語の「お・ご」は尊敬語の「お・ご」と勘違いしやすい敬語です。

他にもセットで謙譲語として覚えておくと役に立つフレーズを以下にまとめます。

  1. お(ご)〜する
    お(ご)〜します
  2. お(ご)〜いたす
    お(ご)〜いたします
  3. お(ご)〜いただく
    お(ご)〜いただきます
  4. お(ご)〜差し上げる
    お(ご)〜差し上げます
  5. お(ご)〜申し上げる
    お(ご)〜申し上げます
  6. お(ご)〜させていただく
    お(ご)〜させていただきます

※「させていただく」は日本語としておかしい表現になる時もあり何でもかんでも使える訳ではない

「〜」の部分にイロイロな語がきて謙譲語になります。たとえば「了承」「教示」「承諾」「検討」「容赦」「査収」「取り計らい」など。

また丁寧語「ます」とくみあわせて「〜します」「〜いたします」とするのが丁寧な使い方ですのでご留意ください。

ちなみに、これは文化庁の「敬語の指針」においても解説されています。私のような頭の悪い人には難しいのですが、ご興味ありましたら以下のリンクよりどうぞ。

“ご記載賜る”としても丁寧

「ご記載いただく vs ご記載くださる」と似たような敬語には

「ご記載賜る(たまわる)」もあります。

言いたいことはどれもおなじく「記載してもらう・記載してくれる」なのですが…

よりかしこまったビジネスシーンでは「賜る」を使います。

賜る(たまわる)という敬語のほうがよりカチッとした表現になりますので、文書など公式なビジネスシーンではかならず「賜る」を使いますね。

ただし普段のビジネスメールでは必要のない敬語フレーズ。

使い方にはたとえば、

  • 例文「ご記載賜りますようお願い申し上げます」
  • 例文「ご記載賜りますようお願い致します」

などあり。

「お(ご)~賜る」「お(ご)~いただく」はどちらも「〜してもらう」の謙譲語であり、かしこまり度合いが違うだけです。

ビジネスメールでは”ご記載のほど”もよく使う

他にもビジネスメールでよく使う敬語には「ご記載のほど」もあります。

ビジネスメールではとかく「いただく」「くださる」ばかりになってしまい、文章が気持ち悪くなってしまうのですよね。

そこで活躍するのが「ご記載のほど~」です。

使い方にはたとえば、

  • 例文「ご記載のほどお願い申し上げます」
  • 例文「ご記載のほどお願い致します」

などあり。

“ご記載のほど”の「ほど」ってどんな意味?

ここで「ご記載のほど」の「のほど」は限定を避ける言い方で、意味としては「〜してもらうよう」「〜してくれるよう」と考えることができます。

断定をさけて表現をやわらげるのに用いる語です。

もともと、とくに深い意味はありません。

ビジネスでは下手(したて)に出ることが基本ですので、強い口調を避けるためにこのような使い方をするようになったのだと推測します。

ちなみに「ご記載の程」というように漢字をもちいてもOK。あなたのお好みでお使いください。

ビジネスメール結びをより丁寧にするコツ

あまり関係ないのかもしれませんが重要なので念のため。

ビジネスメールの文末・結び・締めとして使うことのおおい「ご記載いただく vs ご記載くださる

ここでは、

ビジネスメール結びをより丁寧にするためのコツをご紹介します。

+前置きに添えるフレーズを!

ビジネスメールの文末・結び・締めをより丁寧にするためのコツ。

「ご記載」の前置きに添える丁寧なお願いフレーズ「どうか」「何卒(なにとぞ)」を使うとより丁寧な印象のメールとなります。

たとえば以下のようなフレーズがあります。

  • どうか
    例文「どうかご記載くださいますようお願い申し上げます」
    例文「どうかご記載くださいますようお願い致します」
    例文「どうかご記載いただければ幸いです」
    例文「どうかご記載いただければと存じます。何卒よろしくお願い申し上げます」
  • 何卒=どうか
    例文「何卒ご記載くださいますようお願い申し上げます」
    例文「何卒ご記載くださいますようお願い致します」
    例文「何卒ご記載いただければ幸いです」
    例文「何卒ご記載いただければと存じます。よろしくお願い申し上げます」

+気づかいの敬語フレーズもGood

ビジネスメールの文末・結び・締めをより丁寧にするためのコツ。

「ご記載」の前置きには強調するフレーズ「どうか」「何卒(なにとぞ)」だけでなく、申し訳なく思う気持ちや、相手を気づかうフレーズをもってきても丁寧です。

たとえば「誠に勝手を申し上げますが」などと組み合わせ、以下例文のようにすると好感がもてますね。上司や目上にはもちろんのこと、取引先のメールにも使える丁寧な例文にしています。

  • 恐縮=申し訳なく思うこと
    「お忙しいところ恐縮ではございますがご記載〜」
    「お忙しいところ大変恐縮ではございますがご記載〜」
    「たびたび恐縮ではございますがご記載〜」
  • 恐れ入る=申し訳なく思う
    「お忙しいところ恐れ入りますがご記載〜」
    「お忙しいところ大変恐れ入りますがご記載〜」
    「たびたび恐れ入りますがご記載〜」
  • お手数=お手間
    「お忙しいところお手数お掛けしますがご記載〜」
    「お忙しいところ大変お手数ではございますがご記載〜」
  • 勝手を申し上げる=自分勝手を言う
    「誠に勝手を申し上げますがご記載〜」
  • ご無理申し上げる = 無理を言う
    「ご無理申し上げますが、何卒ご記載のほどお願い申し上げます」
  • ご多忙とは存じますが=忙しいとは思うけど
    「ご多忙とは存じますがご記載〜」

ビジネス会話・電話では”ご記載いただけますか?”

ビジネスメールではなく会話や電話シーンであれば…

「ご記載くださいますようお願い申し上げます」などは絶対につかいません。

長いうえに丁寧すぎて気持ち悪いですからね。

そこでビジネス会話・電話では…

  • 【例文】ご記載いただけますか?
  • 【例文】ご記載いただけますでしょうか?
  • 【例文】ご記載願えますでしょうか?

※もちろん「ご記載ください」としてもOK

といった質問フレーズをつかいましょう。

意味としては「記載してもらえますか?」であり、敬語をつかって丁寧な表現にしています。

「〜いただけますか?」サラッと言えるためビジネスシーンで重宝するフレーズです。

敬語の解説

ご記載いただけますか?」「ご記載いただけますでしょうか?

の敬語の成り立ちとしては…

  • “記載”に「〜してもらう」の謙譲語「お(ご)〜いただく」で「ご記載いただく」
  • 可能形にして「ご記載いただける」
  • さらに丁寧語”ます”で「ご記載いただけます」
  • 疑問形にして「ご記載いただけますか?」

“〜だろうか”の丁寧語「〜でしょうか」を使うと「ご記載いただけますでしょうか?」

どちらの表現も謙譲語をうまくつかい、このうえなく丁寧な敬語フレーズとなっていることがわかります。

したがって上司・目上・社外取引先につかえる素晴らしい敬語、と言えるでしょう。

どちらかというと「〜いただけますでしょうか?」のほうが丁寧なのですが…バカ丁寧だという意見もあるため「〜いただけますか?」を使うのをオススメします。

参考記事

ビジネスシーン別”ご記載”の使い方・例文