「お控えくださいませ」の意味、ビジネスシーンにふさわしい使い方(メール・手紙・文書・社内上司・社外・目上・就活・転職)、注意点について。
ビジネスメールの例文つきで誰よりも正しく解説する記事。
なお…
ビジネスシーンで相手になにか控えて(やめて)もらいたいときには「ご遠慮」に言い換えても丁寧です。
※長文になりますので「見出し」より目的部分へどうぞ
意味・敬語の解説
「お控えください」は「控えてほしい」という意味。
なぜこのような意味になるのか?
そもそもの意味と敬語について順をおって解説していきます。
“控える”の意味
控える(ひかえる)の意味は…
- 待つ・待機する
- そばにいる
- 空間・時間が迫っている、近くに位置する、近くに予定される
- 度を越さないように、分量・度数などを少なめにおさえる。節制する
- 自制や配慮をして、それをやめておく。見合わせる
たとえば、
【例文】面接会場の外で控える →「待つ」の意味
【例文】最後の大会が8月に控えている →「迫る」の意味
【例文】ダイエット中にお酒を控える →「やめておく」の意味
のようにして使います。
ちなみに敬語はにするときは尊敬語or謙譲語「お(ご)」で「お控え」というようにします。
「自分がお控えする」のであれば謙譲語としての使い方。
上司・目上・取引先などの「相手がお控えくださる」のであれば尊敬語としての使い方。
“お控えくださいませ”の意味は「控えてください」
「お控えくださいませ」の意味は直訳すると「控えてくれ」となります。
ただし敬語をつかっているため実際にはもっと丁寧なニュアンス。
結局のところ、
「控えてほしい」「控えてください」ということが言いたいのですね。
「ませ」ってどんな意味?
“お控えくださいませ”の「ませ」に深い意味はなく、丁寧語「ます」の命令形です。
ほとんどの場合は「お(ご)〜くださいませ」のワンセットで使われ、
「〜してください」「〜してほしい」の意味になります。
敬語の種類
まとめとして「お控えくださいませ」の敬語の成り立ちを整理しておきます。
- もとになる単語「控える」
- 「〜してくれる」の尊敬語”お(ご)〜くださる”で「お控えくださる」
- 丁寧語”ます”の命令形「ませ」をくっつけて「お控えくださりませ」
- 楽に発音するため「り→い」にして「お控えくださいませ」
※ 漢字表記「下さい」vs ひらがな表記「ください」はどちらもOK
※「くださりませ → くださいませ」への変化を「イ音便」といいます
※ 控えるの意味は「①待つ」「②そばにいる」「③近い」「④自制する」「⑤やめておく」のどれか
このようにして元になる語「控える」を敬語にしています。つまり敬語としては何もおかしいところはありません。間違いではなく正しい敬語です。
ちなみに敬語「お(ご)」は…
「自分がお控えする」のであれば謙譲語としての使い方。
上司・目上・取引先などの「相手がお控えくださる」のであれば尊敬語としての使い方。
というように2パターンあります。
“お控えください vs くださいませ”の違い
“お控えください vs くださいませ”の違い
もともと”お控えくださいませ”は「お控えください」という命令形。
ただ、
「お控えください」だとシーンによっては強い口調に感じられることがあり、目上・上司などに不快感をあたえる恐れがあります。
(実際には敬語なので決して失礼ということはないのですけど…)
そこで、
「〜ください」に丁寧語の命令形「ませ」を添えることで、やんわ〜りとした依頼・お願いの敬語フレーズにしています。
“お控えくださいませ”のほうが丁寧
“お控えください vs くださいませ”の違い
命令形である点において「お控えください」とたいして違いはありませんが、「ませ」を添えることで、よりやわらかい印象となりますね。
ちなみに「〜くださいませ」は女性がよくつかうフレーズであるため、女性敬語だと言われることもあります。
ただ実際には男性であろうと女性であろうと違和感なくつかえます。
【使い方】控えてほしい!と伝えるビジネスシーン
つづいて「お控えくださいませ」の使い方について。
意味のとおりで何かしら「控えてほしい!」「控えてください!」と言いたいビジネスシーンに使います。
①電話対応・ビジネスメールどちらにも使える
「お控えくださいませ」の使い方
上司や社内の目上・社外取引先になにかしら「控えてほしい」とき。
電話対応・商談などの会話シーンでもつかえますし、ビジネスメールなど文章にもつかえる丁寧な敬語フレーズです。
お願いごとや依頼事項のたくさんあるビジネスメールではとかく「いただく」ばかりつかってしまい、文章や言い回しが気持ち悪くなるケースあり。
そんなとき、
「お控えくださいませ」にかぎらず「〜くださいませ」というフレーズはサラッとつかえてかつ、やわらかい印象になるので重宝しますね。
②例文
「お控えくださいませ」はたとえば、
- 【例文】一般の方へご迷惑となるような行為は、どうかお控えくださいませ
- 【例文】ご宿泊のお客さまにご迷惑となるような行為はお控えくださいませ
- 【例文】タバコはお控えくださいませ
※ 控えるの意味は「①待つ」「②そばにいる」「③近い」「④自制する」「⑤やめておく」のどれか
のようにして依頼・お願いをともなうビジネスシーン(会話・電話対応・メール)に使われます。
ようするに「控えてほしい!」という意味なのですが丁寧な敬語にすると、こんな風にややこしい文章になります。
③「ご遠慮くださいませ」に言い換えても丁寧
なお繰り返しにはなりますが…
ビジネスシーンで相手になにか控えて(やめて)もらいたいときには「ご遠慮」に言い換えても丁寧です。
“お控えいただく”に言い換えても丁寧
ビジネスシーンでは「お控えくださいませ」でも十分に丁寧ではありますが…
敬語「お控えいただく」をつかったフレーズに言い換えても丁寧です。
たとえば、
- 【例文】お控えいただければと存じます
- 【例文】お控えいただければ幸いです
などあり。
例文は後ろでまとめて紹介します。
違いと使い分け
「お控えいただく vs お控えくださる」の違いについて簡単に。
どちらも結局のところ言いたいことは同じ。
「控えてもらう・控えてくれる」
と言いたいわけですが…
- “お控えいただく“だと意味は「控えてもらう」
→敬語は謙譲語「お(ご)〜いただく」
vs.
- “お控えくださる“だと意味は「控えてくれる」
→敬語は尊敬語「お(ご)〜くださる」
というように意味と敬語の使い方が違います。
が、言いたいことは全く同じなわけです。
したがって、
敬語の使い方には違いはあれど、どちらもひとしく丁寧な敬語であり目上・上司・社外取引先につかえるフレーズです。
ただ少しニュアンスの違いというか敬語の使い方が違うよ、ということですね。
ちなみに「お控えいただく」をつかったほうが、やんわ~りとしたニュアンスになります。
が、だからといって「いただく」ばかり使っていては気持ち悪い文章になります。バランスを考えてつかいましょう。
【補足】敬語の種類(ざっくり復習)
① 尊敬語とは?
相手をうやまって使う敬語の一種。
相手の行為にたいして使い、自分の行為には使わないことが基本。
敬語の種類はほかに②謙譲語、③丁寧語がある
② 謙譲語とは?
自分をへりくだって下にすることで、相手への敬意をあらわす敬語。
自分の行為に使い、相手の行為には使わないことが基本(例外あり)。
③ 丁寧語とは?
いわゆる「です・ます」口調のこと。
ビジネスメールによく使う丁寧な言い換え
「控えてほしい」ときにつかえるビジネス敬語。
じつは…
「お控えくださいませ」だけではなく、もっと丁寧な(というか堅苦しい)敬語フレーズというのはたくさんあります。
ということで、
ここではとくにビジネスメールにおいて活躍する丁寧な敬語フレーズを紹介します。
①お控えいただければと存じます
「控えてほしい」ときにつかえる丁寧なビジネス敬語
- 例文「お控えいただければと存じます」
意味は『控えてもらえたらと思います』
「~してもらえたらと思う」としているため相手に強制しない、とてもやわらか~いお願いの敬語フレーズになります。
目上・上司にはもちろんのこと社外取引先にもつかえる丁寧な敬語フレーズですね。
「いただければ」は「〜してもらう」の謙譲語「お(ご)〜いただく」+可能形+仮定の「れば」
「存じます」は「思う」の謙譲語「存じる」+丁寧語「ます」
②お控えいただきたく存じます
「控えてほしい」ときにつかえる丁寧なビジネス敬語
- 例文「お控えいただきたく存じます」
意味は『控えてもらいたいと思います』
「~してもらいたいと思う」としているため相手に強制しない、とてもやわらか~いお願いの敬語フレーズになります。
「いただきたく」は「〜してもらう」の謙譲語「お(ご)〜いただく」+願望の「~たい」
「存じます」は「思う」の謙譲語「存じる」+丁寧語「ます」
というように敬語にしており、目上のひとや上司・社外取引先につかえるとても丁寧なビジネスフレーズです。
③お控えいただければ幸いです
「控えてほしい」ときにつかえる丁寧なビジネス敬語
- 例文「お控えいただければ幸いです」
意味は『控えてもらえたら嬉しいなぁ、幸せだなぁ』
つまり『控えてもらえたら嬉しいです』
相手に強制しない、とてもやわらか~いお願いの敬語フレーズですね。
「いただければ」は「〜してもらう」の謙譲語「お(ご)〜いただく」+可能形+仮定の「~れば」
「幸いです」は「幸い」+丁寧語「です」
というように敬語にしており、目上のひとや上司・社外取引先につかえるとても丁寧なビジネスフレーズです。
「~いただければ幸いです」という敬語フレーズはお願い・依頼のビジネスメールでよく使います。以下の例文もご参考にどうぞ。
ほかにも似たような敬語には以下のようなフレーズもあります。
- 例文「お控えいただけましたら幸いです」
- 例文「お控えいただけましたら幸甚に存じます」
- 例文「お控えいただければ幸甚に存じます」
- 例文「お控えいただけますと幸いです」
- 例文「お控えいただけますと幸甚に存じます」
補)幸甚(こうじん)の意味は「この上もない幸せ。大変ありがたいこと。また、そのさま」
④お控えくださいますようお願い申し上げます
「控えてほしい」ときにつかえる丁寧なビジネス敬語
- 例文「お控えくださいますようお願い申し上げます」
- 例文「お控えくださいますようお願い致します」
意味は『控えてくれるようお願いします』
とくにビジネスメールの結び・締めによくつかうフレーズですね。
「ください」単体としての意味は「〜してくれ」「〜して欲しい」の丁寧な言いまわしと考えることができます。
が、
「ください」は敬語ではあるものの、結局のところ命令形であるために強い口調となります。
そこで「ますようにお願い」と続けることで「お願い」とすり替え、やんわ〜りとした表現にしています。とても丁寧な敬語フレーズと言えますね。
たとえば、
- ご査収くださいますようお願い申し上げます
意味「よく中身を確認して受け取ってくれるようお願い!」 - ご検討くださいますようお願い申し上げます
意味「検討してくれるようお願い!」 - ご確認くださいますようお願い申し上げます
意味「確認してくれるようお願い!」 - ご了承くださいますようお願い申し上げます
意味「納得してくれるようお願い!」
などのようにして使います。
これらはもともと「●●してください」という命令形なのですが、「●●くださいますようお願い〜」を使うことによって相手に強制しないやんわ〜りとした表現となっています。
ビジネスでは下手(したて)に出ることが基本ですので、強い口調を避けるためにこのような使い方をするようになったのだと推測します。
⑤お控えいただきますようお願い致します
「控えてほしい」ときにつかえる丁寧なビジネス敬語
- 例文①お控えいただきますようお願い申し上げます
- 例文②お控えいただけますようお願い致します
意味は『①控えてもらうようお願いします』『②控えてもらえるようお願いします』
とくにビジネスメールの結び・締めによくつかうフレーズですね。
「いただきますよう」は”〜してもらう”の謙譲語「お(ご)〜いただく」+丁寧語”ます”+”ように”
「いただけますよう」は”〜してもらう”の謙譲語「お(ご)〜いただく」+可能形+丁寧語”ます”+”ように”
というように敬語にしており、目上のひとや上司・社外取引先につかえるとても丁寧なビジネスフレーズです。
「くださいますよう」「いただきますよう・いただけますよう」はニュアンスが違うものの、どれも結局のところ「~してほしい」と言いたいので同じです。
⑥~その他いろいろな言い換え敬語
敬語の種類というのは本当にいろいろあります。
ほんの一例ですが他にもある使い方を例文にまとめておきます。なお下にある例文ほど丁寧なフレーズになります。
- 例文「お控えいただきたく、お願い致します」
意味は「控えてほしい、お願いします」 - 例文「お控えいただけますか?」
※意味は「控えてもらえるか?」でとくに会話シーンで使われるフレーズ - 例文「お控えいただけますでしょうか?」
※意味は「控えてもらえるだろうか?」でとくに会話シーンで使われるフレーズ - 例文「お控えいただけますと幸いです」
※意味は「控えてもらえると嬉しいです」 - 例文「お控えいただけましたら幸いです」
※意味は「控えてもらえたら嬉しいです」 - 例文「お控えいただければ幸甚に存じます」
※意味は「控えてもらえれば、大変嬉しく思います」 - 例文「お控えいただけますと幸甚に存じます」
※意味は「控えてもらると、大変嬉しく思います」 - 例文「お控えいただけましたら幸甚に存じます」
※意味は「控えてもらえれば、大変嬉しく思います」
・「存じる」は「思う」の謙譲語
・「いただきたく」は謙譲語「いただく」+願望「~たい」
・「いただければ」は謙譲語「いただく」+可能形+仮定「たら・れば」・幸甚(こうじん)の意味は「この上もない幸せ。大変ありがたいこと。また、そのさま」
ビジネスメール例文
こうして長々と読んでいてもイメージがつかみにくいかと思いますので、より実践的に。
ここでは「お控えくださいませ」の使い方をビジネスメール例文とともにご紹介。
なおビジネスメールにおいて「お控えくださいませ」としてもいいのですが、
「お控えいただきたく存じます」
「お控えいただければと存じます」
「お控えいただければ幸いです」
などの敬語もオススメです。
どれも目上・上司・取引先にふさわしい丁寧な敬語にしています。ご参考にどうぞ。
ビジネスメール例文:マナーを欠く行為は控えてほしい
メール件名:【全社】懇親会開催のご案内
●●グループ
社員の皆さま (社内全員)
お疲れ様です。
幹事を務めさせて頂きます、総務部・ノマドと申します。
さて首記の件、日頃のご慰労をかねて●●グループ全社の懇親会を下記のとおり開催いたします。
仕事では関わることの少ない部署間の交流を深めるための、懇親の場といたしたく存じます。
皆様お誘い合わせの上、ぜひご参加ください。
どうぞよろしくお願いいたします。
記
①日時:1月30日(木)18:30~
※本社1階に18:00集合 → 移動
②場所:●●ホテル15階
※地図を別途添付いたします
③会費:1000円/人(当日受付にて徴収)
④緊急連絡先:
・xxx(幹事・ノマド)
・xxx(副幹事・野間子)
なお会場は貸切となりますが、ホテルには宿泊の方々・ゲストもいらっしゃいます。マナーを欠くような行為はくれぐれもお控えくださいませ。
以上
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幹事
総務部 ノマド
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※「周囲の方々へ十分にご配慮いただきますようお願い申し上げます」というように「ご配慮」をつかった言い換えもOK
※ また「ご遠慮」を使っても丁寧
ビジネス会話・電話対応では”お控えください”で十分
ビジネスメールではなく会話や電話対応シーンであれば…
「お控えくださいますようお願い申し上げます」などは絶対につかいません。
長いうえに丁寧すぎて気持ち悪いですからね。
ビジネス会話・電話対応では「お控えください」だけでも十分に丁寧です。
あるいは、
- 【例文】お控えいただけますか?
- 【例文】お控えいただけますでしょうか?
- 【例文】お控え願えますでしょうか?
といった質問フレーズをつかっても丁寧。
これらの意味としては「控えてもらえますか?」であり、敬語をつかって丁寧な表現にしています。
「〜いただけますか?」サラッと言えるためビジネスシーンで重宝するフレーズです。
敬語の解説
「お控えいただけますか?」「お控えいただけますでしょうか?」
の敬語の成り立ちとしては…
- “控える”に「〜してもらう」の謙譲語「お(ご)〜いただく」で「お控えいただく」
- 可能形にして「お控えいただける」
- さらに丁寧語”ます”で「お控えいただけます」
- 疑問形にして「お控えいただけますか?」
“〜だろうか”の丁寧語「〜でしょうか」を使うと「お控えいただけますでしょうか?」
どちらの表現も謙譲語をうまくつかい、このうえなく丁寧な敬語フレーズとなっていることがわかります。
したがって上司・目上・社外取引先につかえる素晴らしい敬語、と言えるでしょう。
どちらかというと「〜いただけますでしょうか?」のほうが丁寧なのですが…バカ丁寧だという意見もあるため「〜いただけますか?」を使うのをオススメします。