「お待ちくださいませ」の意味、ビジネスシーンにふさわしい使い方(メール・手紙・文書・社内上司・社外・目上・就活・転職)、注意点について。
ビジネスメールの例文つきで誰よりも正しく解説する記事。
なお…
とくにビジネスメールで上司・目上・取引先に何かしらの仕事を待ってほしいときには「お時間をいただきたく存じます」などをつかって言い換えると丁寧。
電話対応では「お待ちくださいませ」をよくつかいますが、ビジネスメールにおいては「お時間」のほうが一般的です。
※長文になりますので「見出し」より目的部分へどうぞ
この記事の目次
意味・敬語の解説
「お待ちください」は「待ってほしい」という意味。
なぜこのような意味になるのか?
そもそもの意味と敬語について順をおって解説していきます。
“お待ちくださいませ”の意味は「待ってください」
「お待ちくださいませ」の意味は直訳すると「待ってくれ」となります。
ただし敬語をつかっているため実際にはもっと丁寧なニュアンス。
結局のところ、
「待ってほしい」「待ってください」ということが言いたいのですね。
「ませ」ってどんな意味?
“お待ちくださいませ”の「ませ」に深い意味はなく、丁寧語「ます」の命令形です。
ほとんどの場合は「お(ご)〜くださいませ」のワンセットで使われ、
「〜してください」「〜してほしい」の意味になります。
敬語の種類
まとめとして「お待ちくださいませ」の敬語の成り立ちを整理しておきます。
- もとになる単語「待つ」
- 「〜してくれる」の尊敬語”お(ご)〜くださる”で「お待ちくださる」
- 丁寧語”ます”の命令形「ませ」をくっつけて「お待ちくださりませ」
- 楽に発音するため「り→い」にして「お待ちくださいませ」
※ 漢字表記「下さい」vs ひらがな表記「ください」はどちらもOK
※「くださりませ → くださいませ」への変化を「イ音便」といいます
このようにして元になる語「待つ」を敬語にしています。つまり敬語としては何もおかしいところはありません。間違いではなく正しい敬語です。
ちなみに敬語「お(ご)」は…
「自分がお待ちする」のであれば謙譲語としての使い方。
上司・目上・取引先などの「相手がお待ちくださる」のであれば尊敬語としての使い方。
というように2パターンあります。
“お待ちください vs くださいませ”の違い
“お待ちください vs くださいませ”の違い
もともと”お待ちくださいませ”は「お待ちください」という命令形。
ただ、
「お待ちください」だとシーンによっては強い口調に感じられることがあり、目上・上司などに不快感をあたえる恐れがあります。
(実際には敬語なので決して失礼ということはないのですけど…)
そこで、
「〜ください」に丁寧語の命令形「ませ」を添えることで、やんわ〜りとした依頼・お願いの敬語フレーズにしています。
“お待ちくださいませ”のほうが丁寧
“お待ちください vs くださいませ”の違い
命令形である点において「お待ちください」とたいして違いはありませんが、「ませ」を添えることで、よりやわらかい印象となりますね。
ちなみに「〜くださいませ」は女性がよくつかうフレーズであるため、女性敬語だと言われることもあります。
ただ実際には男性であろうと女性であろうと違和感なくつかえます。
【使い方】待ってほしい!と伝えるビジネスシーン
つづいて「お待ちくださいませ」の使い方について。
意味のとおりで何かしら「待ってほしい!」「待ってください!」と言いたいビジネスシーンに使います。
①電話対応・ビジネスメールどちらにも使える
「お待ちくださいませ」の使い方
上司や社内の目上・社外取引先になにかしら「待ってほしい」とき。
電話対応・商談などの会話シーンでもつかえますし、ビジネスメールなど文章にもつかえる丁寧な敬語フレーズです。
お願いごとや依頼事項のたくさんあるビジネスメールではとかく「いただく」ばかりつかってしまい、文章や言い回しが気持ち悪くなるケースあり。
そんなとき、
「お待ちくださいませ」にかぎらず「〜くださいませ」というフレーズはサラッとつかえてかつ、やわらかい印象になるので重宝しますね。
②例文
「お待ちくださいませ」はたとえば、
- 【例文】少々お待ちくださいませ → 電話対応で相手を待たせるときに使う
- 【例文】どうかお待ちくださいませ
のようにして依頼・お願いをともなうビジネスシーン(会話・電話対応・メール)に使われます。
ようするに「待ってほしい!」という意味なのですが丁寧な敬語にすると、こんな風にややこしい文章になります。
③ビジネスメールには「お時間をいただく」のほうが一般的
繰り返しにはなりますが…
とくにビジネスメールで上司・目上・取引先に何かしらの仕事を待ってほしいときには「お時間をいただきたく存じます」をつかって言い換えると丁寧です。
電話対応においては「お待ちくださいませ」をよくつかうのですが…
ビジネスメールだと「お時間をいただく・お時間を頂戴する」のほうが一般的です。
→「お時間をいただく」敬語の種類・ビジネスに最適な使い方のすべて
→「お時間を頂戴する」意味・敬語の種類・ビジネスにふさわしい使い方
ビジネスメール例文
こうして長々と読んでいてもイメージがつかみにくいかと思いますので、より実践的に。
ここでは「お待ちくださいませ」の使い方をビジネスメール例文とともにご紹介。
どれも目上・上司・取引先にふさわしい丁寧な敬語にしています。ご参考にどうぞ。
ビジネスメール例文①回答を待ってほしい
メール件名: 製品Aに関するお問い合わせ
◯◯株式会社
資材部 △△ 様(社外取引先)
いつもお世話になっております。
(株)ビジネス・ノマドでございます。
このたびはお問い合わせいただき誠にありがとうございます。
さてご質問の件、あいにく弊社では製品Aの自動車用途にかんする知見を持ち合わせておりません。
つきまして研究開発担当に確認の上、あらためてご報告いたします。
確認に少々お時間を頂戴いたしますが、
どうかお待ちいただきたく存じます。
よろしくお願い申し上げます。
*********
メール署名
*********
こんなときには「了解すること=ご了承」をつかうのが一般的です。
-言い換え-
確認に少々お時間を頂戴いたしますが、
どうかご了承くださいますようお願い申し上げます。
ビジネスメール例文②出欠の回答を待ってほしい
メール件名:返信Re:懇親会・出欠のご確認
●●課長(上司) お疲れ様です。
このたびは懇親会にお誘い頂き誠にありがとうございます。
さて出欠の件、現在顧客Aとのアポイントを調整しており、現時点ではお答えが難しい状況でございます。
つきまして回答を少々お待ちいただきたく存じます。
大変ご迷惑をお掛けいたしますが、 ご了承のほどお願いいたします。
*********
メール署名
*********
こんなときには「時間をもらう=お時間をいただく」をつかうのが一般的です。
-言い換え-
つきまして回答に少々お時間をいただきたく存じます。
ビジネス会話・電話対応では”お待ちください”で十分
ビジネスメールではなく会話や電話対応シーンであれば…
「お待ちくださいますようお願い申し上げます」などは絶対につかいません。
長いうえに丁寧すぎて気持ち悪いですからね。
ビジネス会話・電話対応では「お待ちください」だけでも十分に丁寧です。
あるいは、
- 【例文】お待ちいただけますか?
- 【例文】お待ちいただけますでしょうか?
- 【例文】お待ち願えますでしょうか?
といった質問フレーズをつかっても丁寧。
これらの意味としては「待ってもらえますか?」であり、敬語をつかって丁寧な表現にしています。
「〜いただけますか?」サラッと言えるためビジネスシーンで重宝するフレーズです。
敬語の解説
「お待ちいただけますか?」「お待ちいただけますでしょうか?」
の敬語の成り立ちとしては…
- “待つ”に「〜してもらう」の謙譲語「お(ご)〜いただく」で「お待ちいただく」
- 可能形にして「お待ちいただける」
- さらに丁寧語”ます”で「お待ちいただけます」
- 疑問形にして「お待ちいただけますか?」
“〜だろうか”の丁寧語「〜でしょうか」を使うと「お待ちいただけますでしょうか?」
どちらの表現も謙譲語をうまくつかい、このうえなく丁寧な敬語フレーズとなっていることがわかります。
したがって上司・目上・社外取引先につかえる素晴らしい敬語、と言えるでしょう。
どちらかというと「〜いただけますでしょうか?」のほうが丁寧なのですが…バカ丁寧だという意見もあるため「〜いただけますか?」を使うのをオススメします。
参考記事
“お待ちいただく vs お待ちくださる”の使い方
ややこしいので「お待ちいただく vs お待ちくださる」の使い方について。
代表的なパターンを表にまとめておきます。
こまかく解説していくとそれだけで記事がおわってしまいますので、目的にあわせてお使いください。
“お待ちいただく”の使い方まとめ(すべて敬語)
①基本 | ②+丁寧語”ます” | ③その他 | |
---|---|---|---|
現 在 | お待ちいただく | お待ちいただきます | -頂くよう -頂きますよう |
過 去 | お待ちいただいた | お待ちいただきました | × |
進行形 | お待ちいただいている | お待ちいただいています | -頂いております |
過去~現在 | お待ちいただいていた | お待ちいただいていました | -頂いておりました |
希 望 依 頼 |
お待ちいただきたい お待ちいただきたく お待ちいただくよう お待ちいただけるよう |
お待ちいただきたいです × お待ちいただきますよう お待ちいただけますよう |
-頂きたく思います -頂きたくお願いします -頂きたく存じます -頂ければと存じます |
可 能 | お待ちいただける | お待ちいただけます | -頂けるよう -頂けますよう |
①仮定 ②仮定+可能 |
①お待ちいただいたら ②お待ちいただければ |
①お待ちいただきましたら ②お待ちいただけましたら |
× |
①疑問+過去 ②疑問+可能 ③疑+可+過 |
①お待ちいただいたか? ②お待ちいただけるか? ③お待ちいただけたか? |
お待ちいただきましたか? お待ちいただけますか? お待ちいただけましたか? |
-頂きましたでしょうか -頂けますでしょうか -頂けましたでしょうか |
禁 止 | お待ちいただけない | お待ちいただけません | × |
命 令 | × | × | × |
※ ②+丁寧語”ます”をつかうとより丁寧な敬語になります。
※ 「頂く」「いただく」は漢字でも平仮名でもOK
※「×」としたのは一般的につかわない
“お待ちくださる”の使い方まとめ(すべて敬語)
①基本 | ②+丁寧語”ます” | ③その他 | |
---|---|---|---|
現 在 | お待ちくださる | お待ちくださいます | -くださるよう -くださいますよう |
過 去 | お待ちくださった | お待ちくださいました | × |
進行形 | お待ちくださっている | お待ちくださっています | -くださっております |
過去~現在 | お待ちくださっていた | お待ちくださっていました | -くださっておりました |
希 望 |
お待ちくださるよう | お待ちくださいますよう | × |
可 能 | × | × | × |
仮 定 | × | × | × |
疑 問 | お待ちくださるか? | お待ちくださいますか? | × |
否 定 | お待ちくださらない | お待ちくださいません | × |
命 令 | お待ちください | お待ちくださいませ | × |
※ ②+丁寧語”ます”をつかうとより丁寧な敬語になります
※ 「下さる」「くださる」は漢字でも平仮名でもOK
※「×」としたのは一般的につかわない