ご愛顧(読み:ごあいこ)
の意味、ビジネスシーン(メール・手紙・文書・社内上司・社外・目上・就活・転職)にふさわしい使い方、注意点について。
ビジネスメールの例文つきで誰よりも正しく解説する記事。
ご愛顧の意味は「ひいきにすること」「お引き立て」
「ご愛顧」の意味は「ひいきにすること」「引き立てること」「お引き立て」
「ご愛顧」のもととなる単語は「愛顧」であり尊敬語or謙譲語の「お(ご)」をつかって敬語にしています。
「顧」は「顧客」などで使われるように「ひいきにすること」という意味をふくみます。
「ひいきにする」はたとえば、あなたがトヨタ車の大ファンであるときに「私はトヨタ車をひいきしています」などのように使いますね。
「ご愛顧」は尊敬語「ご」を使っているため、自分の行為ではありません。
相手があなたあるいは、あなたの会社の製品やサービスを「ひいきにすること」という意味になります。
ご愛顧の使い方
つづいて「ご愛顧」の使い方について。
使い方はおもに3つ。
- 挨拶ビジネス文書あるいは挨拶メールの結び・締めの挨拶
- 年賀状・暑中見舞い・寒中見舞いなどの結び挨拶
- ビジネス文書あるいはメールの書き出し挨拶
といったビジネスシーンで使います。
使い方①社外あてビジネス文書・メールの結び
「ご愛顧」の使い方その1
取引先など社外あての、
何かしらの挨拶ビジネス文書や挨拶メールの結びとして使います。といってもほとんど決まりきった使い方しかしません。
- ビジネスメール文書の例文(結び)
「今後ともご愛顧のほどお願い申し上げます」
「今後ともご愛顧を賜りますようお願い申し上げます」
「今後とも末永いご愛顧のほど何卒よろしくお願い申し上げます」
「本年も変わらぬご愛顧のほどお願い申し上げます」※年賀状
のようにして、挨拶をともなうビジネス文書やビジネスメールで結び・締めくくりとして使われます。
挨拶の中には「就任の挨拶」「着任の挨拶」「退任の挨拶」「本社移転の挨拶(案内)」などがありますね。
具体的にはたとえば、社外にむけて就任の挨拶文書やメールをするとき。
「このたび、下記のとおり本社を移転いたします。(中略)今後とも末永いご愛顧のほどお願い申し上げます」
みたいにメール結びとして使えます。
まぁ、ようするに「今後もよろしくね!」という意味なのです。難しいようでしたら「今後もよろしくね!」のカッコつけた表現だということを覚えておけばよいでしょう。
おなじような表現としては、
「お引き立てくださいますよう〜」※読み:おひきたて=ひいきにすること
「ご支援くださいますよう〜」※読み:ごしえん
もあります。
使い方②社外あて年賀状・暑中寒中見舞いなどビジネス手紙の結び
「ご愛顧」の使い方その2
こちらも挨拶の一部ではありますが、取引先など社外あて年賀状や暑中寒中見舞いに結びとして使われます。例文で使い方①と重複するものは省略します。
- 年賀状の例文
「本年中に賜りましたご厚情を深謝いたしますとともに 明年も変わらぬご愛顧のほどお願い申し上げます」
「本年中に賜りましたご厚情に深謝いたしますとともに 本年も変わらぬご愛顧を賜りますようお願い申し上げます」
※ 喪中ハガキや年賀状では句読点を使わないのが一般的
※ただし「ご愛顧」はビジネスライクな感じがするため、ビジネス以外での年賀状は「ご厚誼=親しいお付き合い」を使った方がよい
使い方③社外あてビジネスメール・文書の書き出し挨拶(お礼)
「ご愛顧」の使い方その3
あとは「ご愛顧いただきありがとうございます」のようにして「お世話になっております」の代わりにビジネスメールや文書の書き出し挨拶としても使えます。
- ビジネスメール文書の例文(書き出し)
「平素は格別のご愛顧にあずかり厚くお礼申し上げます」
「旧年中はご愛顧いただきありがとうございました」
「本年もひとかたならぬご愛顧を賜りありがとうございました」
「いつもご愛顧いただきありがとうございます」
あとに続く「〜のほど・〜を頂き・〜を賜り」
「ご愛顧」はあとに文章を続けてビジネスメールや文書・年賀状・手紙の結びを作ります。
すでに登場してはいますがおもに4つの使い方がありますので、まとめとして紹介しておきます。
- ご愛顧のほどお願いいたします・お願い申し上げます
意味は「ひいきにしてもらうよう、お願い」
「〜のほど」に深い意味はない - ご愛顧を頂きますようお願いいたします・お願い申し上げます
意味は「ひいきにしてもらうよう、お願い」
「いただく」は「もらう」の謙譲語
「ますよう」は丁寧語「ます」に「ように」をつづけた敬語 - ご愛顧を賜りますようお願いいたします・お願い申し上げます
意味は「ひいきにしてもらうよう、お願い」
「賜る(たまわる)」は「もらう」の謙譲語
「ますよう」は丁寧語「ます」に「ように」をつづけた敬語
- その他お礼
「旧年中はご愛顧いただきありがとうございました」
「本年もひとかたならぬご愛顧を賜りありがとうございました」
「いつもご愛顧いただきありがとうございます」
「平素はご愛顧にあずかり厚くお礼申し上げます」
※「お願い申し上げます=お願いいたします」で言い換えできます
ざっくりとした解説はこれにて終了。
ここからはよく使う例文とその意味を紹介しておきます。
例文①ご愛顧のほどお願い申し上げます
「ご愛顧」のビジネスシーン(メール/手紙/文書/社内上司/社外取引先/目上/就活/転職)にふさわしい使い方と、敬語フレーズを使った例文。
- 例文「ご愛顧のほどよろしくお願いいたします」
- 例文「ご愛顧のほどお願い申し上げます」
意味は「ひいきにしてもらうよう、お願いします」
- ご愛顧 = ひいきにすること、お引き立て
- のほど = 「〜してもらうよう」あるいは「〜してくれるよう」の意味
- お願い申し上げます = お願いのかしこまった敬語
これらの単語を合体させて意味を考えます。
すると「ご愛顧のほどお願い申し上げます」の意味は…
「ひいきにしてくれるよう、お願いします」
「ひいきにしてもらうよう、お願いします」
のように解釈できます。
ご愛顧のほど〜の「のほど」ってどんな意味?
「ご愛顧のほど」の意味は「ひいきにしてもらうよう〜」「ひいきにしてくれるよう〜」
「〜のほど」は限定を避ける言い方ですが、意味としては「〜してもらうよう」「〜してくれるよう」と考えることができます。
断定をさけて表現をやわらげるのに用いる語です。
たとえば、
- ご査収のほどお願い申し上げます
意味「よく中身を確認して受け取るよう、お願い」 - お取り計らいのほどお願い申し上げます
意味「物事をうまく進めてくれるよう、お願い」 - ご確認のほどお願い申し上げます
意味「確認してくれるよう、お願い」 - ご了承のほどお願い申し上げます
意味「了解してもらうよう、お願い」
などのようにして使います。
これらはもともと「●●してください」という命令形なのですが、「〜のほど」を使うことによって相手に強制しないやんわ〜りとした表現となっています。
ビジネスでは下手(したて)に出ることが基本ですので、強い口調を避けるためにこのような使い方をするようになったのだと推測します。
使い方は社外あてビジネスメール・文書の結び
取引先など社外あてビジネスメールや年賀状・手紙の結びとして「今後ともよろしくお願いいたします」と同じようなニュアンスで使われます(本当は違う意味ですが…)
ただし取引先など社外あてにつかい、上司や目上・先輩など社内の相手につかうのは一般的ではありません。社内の相手には「ご指導」「ご指導ご鞭撻」をつかいます。
ビジネスメール・年賀状など例文
- ビジネスメールの例文(結びの挨拶)
「今後ともご愛顧のほどお願い申し上げます」
「末永いご愛顧のほどお願い申し上げます」
「変わらぬご愛顧のほどお願い申し上げます」 - 年賀状の例文(結び挨拶)
「本年もご愛顧のほどお願い申し上げます」
「旧年中に賜りましたご厚情を深謝いたしますとともに 本年もご愛顧のほどお願い申し上げます」
※「お願い申し上げます=お願いいたします」に言い換えできる
例文②ご愛顧賜りますようお願い申し上げます
「ご愛顧」のビジネスシーン(メール/手紙/文書/社内上司/社外取引先/目上/就活/転職)にふさわしい使い方と、敬語フレーズを使った例文。
- 例文「ご愛顧賜りますよう何卒よろしくお願いいたします」
- 例文「ご愛顧賜りますようお願い申し上げます」
意味は「ひいきにしてもらうよう、お願いします」
- ご愛顧 = ひいきにすること、お引き立て
- 賜る(たまわる) = 「もらう」の謙譲語
- ますよう = 丁寧語「ます」+ように
- お願い申し上げます = お願いのかしこまった敬語
これらの単語を合体させて意味を考えます。
すると「ご愛顧賜りますようお願い申し上げます」の意味は…
「ひいきにしてもらうよう、お願いします」
のように解釈できます。
使い方は社外あてビジネスメール・文書の結び
取引先など社外あてビジネスメールや年賀状・手紙の結びとして「今後ともよろしくお願いいたします」と同じようなニュアンスで使われます(本当は違う意味ですが…)
ただし取引先など社外あてにつかい、上司や目上・先輩など社内の相手につかうのは一般的ではありません。社内の相手には「ご指導」「ご指導ご鞭撻」をつかいます。
ビジネスメール・年賀状など例文
- ビジネスメールの例文(結びの挨拶)
「今後ともご愛顧を賜りますようお願い申し上げます」
「末永くご愛顧賜りますようお願い申し上げます」
「今後とも変わらぬご愛顧を賜りますようお願い申し上げます」 - 年賀状の例文(結び挨拶)
「本年もご愛顧賜りますようお願い申し上げます」
「旧年中に賜りましたご厚情を深謝いたしますとともに 本年もご愛顧のほどお願い申し上げます」
※「お願い申し上げます=お願いいたします」に言い換えできる
例文③ご愛顧いただきありがとうございます
「ご愛顧」のビジネスシーン(メール/手紙/文書/社内上司/社外取引先/目上/就活/転職)にふさわしい使い方と、敬語フレーズを使った例文。
- 例文「ご愛顧いただきありがとうございます」
意味は「ひいきにしてもらい、ありがとう」
- ご愛顧 = ひいきにすること、お引き立て
- いただく = 「もらう」の謙譲語
- ありがとうございます = お礼
これらの単語を合体させて意味を考えます。
すると「ご愛顧いただき誠にありがとうございます」の意味は…
「ひいきにしてもらい、ありがとう」
のように解釈できます。
要は「お世話になっててありがとう!」だと覚えておけばよい
「ご愛顧」「いただく」とかイロイロと大げさなフレーズを組み合わせているため、なんだかバカ丁寧な印象になる言葉です。
が、ビジネス文書ではよく登場します。
「ご愛顧いただき誠にありがとうございます」までを一つのフレーズとして覚えておくと、ビジネス文書を書くときに役立つでしょう。
で、ビジネスシーンに使われるときはもっとシンプルに意訳して「お世話になっててありがとう!」の意味だと考えればOKです。
使い方①ビジネスメールの書き出し挨拶文
「ご愛顧」はビジネスメールの書き出し挨拶に使います。
といってもほとんど決まりきった使い方しかしません。
たとえば、
- 例文「いつもご愛顧いただき誠にありがとうございます」
- 例文「平素はご愛顧いただき誠にありがとうございます」
- 例文「いつも■■■をご愛顧いただき誠にありがとうございます」
のようにしてビジネス文書やメールの挨拶に使われます。
ここで例文②「平素は」の意味は「日ごろは」です。
つまり全文だと「日ごろはひいきにしてもらい、本当にありがとう」という意味。
ビジネスメールでは「お世話になっております」「いつもお世話になっております」のほうが一般的ですが、オンラインショップや個人向けサービスを運営していて顧客の顔がみえないときに使うとよいでしょう。
「いつもご利用いただき誠にありがとうございます」
の言い換えとして使えるフレーズです。
使い方②ビジネス文書の書き出し挨拶文
「ご愛顧」はビジネス文書の書き出し挨拶にも使えます。
といってもほとんど決まりきった使い方しかしません。
たとえば、
- 例文「平素は格別のご愛顧にあずかり厚くお礼申し上げます」
- 例文「平素は格別のご愛顧を賜り厚く御礼申し上げます」
のようにしてビジネス文書やメールの挨拶に使われます。
ここで「平素は格別の~」の意味は「日ごろは特別な~」です。
つまり全文だと「日ごろは特別ひいきにしてもらい、本当にありがとう」という意味になりますね。
ビジネスメールでは「お世話になっております」のほうが一般的ですが、
ビジネス文書など公式なシーンではかならず上記のように「ご愛顧」や「ご高配=お心配り」「ご厚情=厚いお情け」「お引き立て=ご愛顧」をつかって挨拶文をつくりますね。
ご愛顧いただき/ご愛顧を賜り/ご愛顧にあずかり〜の違い
ここで少し横道にそれます。
「ご愛顧いただき誠にありがとうございます」と似たような表現には
「ご愛顧を賜りありがとうございます」
「ご愛顧にあずかりありがとうございます」があります。
これって何が違うのでしょうか?
「ご愛顧にあずかる」の意味は、
主に目上から好意の表れとして「ご愛顧=ひいき」を受けること。
「ご愛顧を賜る」「ご愛顧いただく」の意味はどちらも、
「ご愛顧=ひいき」を受ける・もらうこと。
※「もらう」の謙譲語が「賜る・いただく」
となり、どれもまったくおなじ意味です。
なぜなら「賜る(たまわる)」と「頂く(いただく)」はどちらも「もらう」の謙譲語だからです。
かしこまったフレーズは「賜る(たまわる)」「あずかる」
「賜る(たまわる)」「いただく」「あずかる」は、いずれを用いても丁寧な敬語フレーズですが強いていうのであれば、どれくらい「かしこまったフレーズであるか」という点でビミョーに違います。
「いただく」よりも「賜る」「あずかる」のほうが、よりかしこまった印象となりますね。まぁどれを使っても丁寧ではありますが…
公式なビジネス文書でよく目にするのは「賜る」「あずかる」のほうです。
いっぽうビジネスメールではそこまでかしこまった敬語フレーズを使う必要はありませんので「いただく」をよく使います。
ビジネス文書の例文(推奨)
ビジネス文書では「ご愛顧を賜り誠にありがとうございます」「ご愛顧にあずかり〜」のほうがよく使われます。
もっというと「誠にありがとう」を「厚く御礼申し上げます」と言い換えたほうがより、かしこまった表現になります。
ビジネス文書でよく使う例文をまとめておきます。
- 例文「平素は格別のご愛顧にあずかり誠にありがとうございます」
- 例文「平素はご愛顧を賜り誠にありがとうございます」
- 例文「平素は格別のご愛顧にあずかり厚く御礼申し上げます」
- ※ 意味は「日ごろは特別ひいきにしてもらい、本当にありがとう」
例文④ご愛顧くださいますようお願い申し上げます
「ご愛顧」のビジネスシーン(メール/手紙/文書/社内上司/社外取引先/目上/就活/転職)にふさわしい使い方と、敬語フレーズを使った例文。
- 例文「ご愛顧くださいますようお願い申し上げます」
意味は「ひいきにしてくれるよう、お願いします」
- ご愛顧 = ひいきにすること、お引き立て
- くださる = 「くれる」の尊敬語
- ますよう = 「するように」の意味の敬語
- お願い申し上げます = お願いのかしこまった敬語
これらの単語を合体させて意味を考えます。
すると「ご愛顧くださいますようお願い申し上げます」の意味は…
「ひいきにしてくれるよう、お願いします」
のように解釈できます。
要は「今後もよろしく!」だと覚えておけばよい
「ご愛顧」「くださる」「お願い申し上げます」とかイロイロと大げさなフレーズを組み合わせているため、なんだかバカ丁寧な印象になる言葉です。
が、公式なビジネスシーンではよく登場します。
「ご愛顧くださいますようお願い申し上げます」までを一つのフレーズとして覚えておくと、ビジネス文書や公式な挨拶メールを書くときに役立つでしょう。
で、ビジネスシーンに使われるときはもっとシンプルに意訳して「今後もよろしく!」の意味だと考えればOKです。
使い方「社外あてビジネス文書・メールの結び」
「ご愛顧くださいますようお願い申し上げます」の使い方その1
取引先など社外あての、
何かしらの挨拶ビジネス文書や挨拶メールの結びとして使います。といってもほとんど決まりきった使い方しかしません。
- 例文「今後ともご愛顧くださいますようお願い申し上げます」
- 例文「今後とも末永くご愛顧くださいますよう何卒よろしくお願い申し上げます」
- 例文「本年も変わらぬご愛顧のほどお願い申し上げます」※年賀状
のようにして、挨拶をともなうビジネス文書やビジネスメールで結び・締めくくりとして使われます。
挨拶の中には「就任の挨拶」「着任の挨拶」「退任の挨拶」「本社移転の挨拶(案内)」などがありますね。
具体的にはたとえば、社外にむけて就任の挨拶文書やメールをするとき。
「このたび、下記のとおり本社を移転いたします。(中略)今後とも末永くご愛顧くださいますようお願い申し上げます」
みたいにメール結びとして使えます。
まぁ、ようするに「今後もよろしくね!」という意味なのです。難しいようでしたら「今後もよろしくね!」のカッコつけた表現だということを覚えておけばよいでしょう。
おなじような表現としては、
「お引き立てくださいますよう〜」※読み:おひきたて=ひいきにすること
「ご支援くださいますよう〜」※読み:ごしえん
もあります。
「ご愛顧のほど」「ご愛顧賜りますよう」のほうが一般的
ところでビジネスシーンでは、
「ご愛顧くださいますようお願い申し上げます」としてもよいのですが…
より一般的によく使うフレーズとしては、
「ご愛顧のほどお願い申し上げます」
「ご愛顧(を)賜りますようお願い申し上げます」
があります。意味としてはほとんどおなじですが、なぜこっちの表現のほうが一般的なのか?理由やそれぞれの違いについては次でくわしく解説します。
ご愛顧くださいますよう/ご愛顧のほど/ご愛顧頂きますよう/ご愛顧賜りますよう〜の違い
ところで、
「ご愛顧」の使い方というか、あとに続くフレーズには
「ご愛顧くださいますようお願い申し上げます」
「ご愛顧のほどお願い申し上げます」
「ご愛顧(を)賜りますようお願い申し上げます」
「ご愛顧(を)頂きますようお願い申し上げます」
というように主に4つあります。
これって何が違うのでしょうか?
「ご愛顧くださいますようお願い」
の意味は
「ひいきにしてくれるようお願い」
※「くれる」の尊敬語が「くださる」
「ご愛顧のほどお願い」
の意味は
「ひいきにしてくれるようお願い」
「ひいきにしてもらうようお願い」
のどちらの意味にも取れる。
「ご愛顧賜りますようお願い」
「ご愛顧頂きますようお願い」
の意味はどれも同じで、
「ひいきにしてもらうようお願い」
※「もらう」の謙譲語が「賜る・いただく」
となり「ご愛顧くださる」なのか「ご愛顧いただく・賜る」なのか「ご愛顧のほど」なのかでニュアンスが違います。
「ご愛顧くださいますよう」よりも「ご愛顧賜りますよう・ご愛顧のほど」を使う理由
ビジネスシーンでは「ご愛顧くださいますよう」よりも「ご愛顧賜りますよう・ご愛顧のほど」をよく使います。
もっというと相手が「くれる=くださる」というフレーズよりも自分が「もらう=いただく」というようにするケースが多いです。
これってなぜでしょうか?
理由は…
- 「くれる=くださる」だと相手が頼んでもいないのに「〜してくれる」というニュアンス、
- 「もらう=いただく・賜る」だと相手のご厚意で「〜してもらう」というニュアンスになるから
どちらがビジネスシーンにふさわしいのかは明白です。
もっと分かりやすく。
たとえば何かをもらった時のお礼で、
「たいそうなお品をくださりありがとうございました」
「たいそうなお品をいただきありがとうございました」
もうひとつ、
「いつもご利用くださりありがとうございます」
「いつもご利用いただきありがとうございます」
上記の例文はどれも敬語としては正しい使い方。ただ圧倒的に「いただき〜」とするほうが多いですね。
ただし「いただく・賜る」vs「くださる」の使い分けは難しい
ただし日本語はそこまでシンプルではありません。
たとえば結び・締めに使う「お願い」するときのシーンを考えましょう
すると…
「ご容赦くださいますようお願い申し上げます」
「ご容赦いただきますようお願い申し上げます」
「ご了承くださいますようお願い申し上げます」
「ご了承いただきますようお願い申し上げます」
「ご検討くださいますようお願い申し上げます」
「ご検討いただきますようお願い申し上げます」
こんな敬語フレーズをよく使います。
実はこれらは「くださる」を使うのが一般的です…まぁ「いただく」としても丁寧ではありますが…
で結論としては、
使う語によって「くださる」がよいのか「いただく・賜る」がよいのか、相性がありなんとも言えません。
ひとつだけ言えるのは「いただく」よりも「賜る」のほうがよりあらたまった敬語フレーズであることくらいでしょうか。
「ご愛顧のほど」の「〜のほど」ってどんな意味?
繰り返しにはなりますが、
「〜のほど」は限定を避ける言い方ですが、意味としては「〜してもらうよう」「〜してくれるよう」と考えることができます。
断定をさけて表現をやわらげるのに用いる語です。
かしこまったフレーズは「ご愛顧賜りますよう」
「くださいますよう」「賜りますよう(たまわりますよう)」「いただきますよう」「〜のほど」は、いずれを用いても丁寧な敬語フレーズです。
強いていうのであれば、どれくらい「かしこまったフレーズであるか」という点でビミョーに違います。
「いただく」や「〜のほど」よりも「賜りますよう(たまわりますよう)」のほうが、よりかしこまった印象となりますね。まぁどれを使っても丁寧ではありますが…
公式なビジネス文書やビジネスメールでよく目にするのは「賜る」のほうです。いっぽうで普段使いのビジネスメールでは「いただく」「〜のほど」をよく使います。
ただし文章のバランスを考える
ただし「賜る」「頂く」「くださる」ばかり使っていると文章が読みにくいため、「〜のほど」もひとつのオプションに入れてバランスよく使いましょう。
たとえば、
- 悪い例「旧年中はひとかたならぬご厚情を賜り厚く御礼申し上げますとともに、本年もご愛顧を賜りますようお願い申し上げます」
こんなのは丁寧であっても文章がとても読みにくく、悪い例になります。
- 良い例「旧年中はひとかたならぬご厚情を賜り厚く御礼申し上げますとともに、本年もご愛顧のほどよろしくお願いいたします」
というようにバランスよく使いましょう。
似たような意味でいろいろな敬語フレーズがあるのは、文章を読みやすくするためとも言えます。
「ご愛顧を賜りますよう」「ご愛顧賜りますよう」はどちらもOK
かなり細かい部分ではありますが…
「ご愛顧を賜りますようお願い申し上げます」
「ご愛顧賜りますようお願い申し上げます」
はどちらを使ってもOKです。
が、前にどんな文章を使うかによって読みやすい・読みにくいがあります。
たとえば以下のような感じで使い分けするとよいでしょう。
- 末永い x ご愛顧だと「末永いご愛顧を賜りますよう〜」
- 末永く x ご愛顧だと「末永くご愛顧賜りますよう〜」
- 今後とも x ご愛顧だと「今後ともご愛顧(を)賜りますよう〜」はどちらでもOK
- 今後とも x 変わらぬ x ご愛顧だと「今後とも変わらぬご愛顧を賜りますよう〜」
私としては、
「ご愛顧を」としたほうが全てのシーンでつかえるため応用が効いてGoodと思います。
ご愛顧の類語と言い換え
「ご愛顧」の類語と言い換えについて。
ビジネスシーンでも使える言い換え表現をざっくりまとめておきます。
ご高配(読み:ごこうはい)
ビジネスシーンで使える「ご愛顧」の言い換え・類語
まずは「ご高配」
ご高配(ごこうはい)の意味は「お心配り、お心遣い」
意味としては「ご愛顧」と違いますが、結局のところどちらも「今後もよろしく!」的な意味でビジネスメールや手紙・文書の締めくくりとして使われますね。
- ビジネス文書の書き出し例文
「平素は格別のご高配を賜り厚くお礼申し上げます」
「平素は格別のご高配にあずかり厚くお礼申し上げます」 - ビジネスメールの結び例文
「今後ともご高配を賜りますよう何卒お願い申し上げます」
「今後とも倍旧のご高配を頂きますようお願い申し上げます」
※「倍旧の」は「より一層の」という意味
ご厚情(読み:ごこうじょう)
ビジネスシーンで使える「ご愛顧のほどお願い申し上げます」の言い換え・類語
続いてオーソドックスなのが「ご厚情を賜りますようお願い申し上げます」です。
「お引き立て」は「ご厚情」に言い換えることもできます。
「ご厚情」の意味は「厚いなさけ。心からの深い思いやりの気持ち」であり、「ご愛顧」と似たようなシーンで使われます。
意味としては違いますが結局のところどちらも「今後もよろしく!」的な意味でビジネスメールや手紙・文書の締めくくりとして使われますね。
- ビジネス文書の書き出し例文
「平素は格別のご厚情を賜り厚くお礼申し上げます」
「平素は格別のご厚情にあずかり厚くお礼申し上げます」 - ビジネスメールの結び例文
「今後ともご厚情を賜りますようお願い申し上げます」
「今後ともご厚情を賜りますよう何卒よろしくお願い申し上げます」
「今後とも変わらぬご厚情を頂きますようお願い申し上げます」
「今後とも倍旧のご厚情を賜りますようお願い申し上げます」
※「倍旧の」は「より一層の」という意味
ご厚誼(読み:ごこうぎ)
ビジネスシーンで使える「ご愛顧のほどお願い申し上げます」の言い換え・類語
つづいて「ご厚誼(ごこうぎ)」
「ご厚誼」の意味は「心のこもった親しい付き合い」「厚いよしみ」「心からの親しみ」
とくにビジネス文書の挨拶文で「お引き立て」と同じくよく使います。
意味としては違いますが結局のところどちらも「今後もよろしく!」的な意味でビジネスメールや手紙・文書の締めくくりとして使われますね。
- ビジネスメール・年賀状の結び例文
「今後ともご厚誼を賜りますようお願い申し上げます」
「今後とも末永くご厚誼を賜りますよう何卒よろしくお願い申し上げます」
「今後とも倍旧のご厚誼を賜りますようお願い申し上げます」
※「倍旧の」は「より一層の」という意味
お引き立て(読み:おひきたて)
ビジネスシーンで使える「ご愛顧のほどお願い申し上げます」の言い換え・類語
つづいて「お引き立て」
「お引き立て」は「ご愛顧」にも言い換えることもできます。
「お引き立て」の意味は「ご愛顧」と似たようなもので「ひいきにすること」であり、とくにビジネス文書の挨拶文によく使います。
意味としては違いますが結局のところどちらも「今後もよろしく!」的な意味でビジネスメールや手紙・文書の締めくくりとして使われますね。
- ビジネス文書の書き出し例文
「平素は格別のお引き立てを賜り厚くお礼申し上げます」
「平素は格別のお引き立てにあずかり厚くお礼申し上げます」 - ビジネスメールの結び例文
「今後ともお引き立てを賜りますようお願い申し上げます」
「今後とも末永くお引き立てを賜りますよう何卒よろしくお願い申し上げます」
「今後とも変わらぬお引き立てを賜りますようお願い申し上げます」
「今後とも倍旧のお引き立てを賜りますようお願い申し上げます」
※「倍旧の」は「より一層の」という意味
その他いろいろ
ビジネスシーンで使える「ご愛顧」の言い換え・類語
あとは場合によっては使えるであろう言い換え・類語を紹介します。
- 今後とも変わらぬご愛顧のほどお願い申し上げます
意味「今後も変わらず愛用してもらうようお願い」 - 今後とも変わらぬご支援のほどお願い申し上げます
意味「今後も変わらず支援してもらうようお願い」 - 今後とも変わらぬお付き合いのほどお願い申し上げます
意味「今後も変わらず付き合いしてもらうようお願い」 - 今後とも倍旧のご指導を賜りますようお願い申し上げます
意味「今後も指導してもらうようお願い」
【注意点】ご愛顧はこう使う!
つづいて「ご愛顧」を使うときの注意点を解説します。
敬語を正しく使うことはもちろん、ふさわしいビジネスシーンを考えて使いましょう。
「ご愛顧くださいますよう」よりも「ご愛顧賜りますよう・ご愛顧のほど」を使う
繰り返しにはなりますが、
「ご愛顧くださいますようお願い申し上げます」
よりも
「今後ともご愛顧賜りますようお願い申し上げます」
「今後とも末永いご愛顧のほどお願い申し上げます」
「今後ともご愛顧いただきますようお願い申し上げます」
といったフレーズをよく使います。違いや理由はすでに解説しているため省略。
ビジネスメール=ご愛顧頂きますよう、ビジネス文書=ご愛顧賜りますよう
「今後ともご愛顧いただきますようお願い申し上げます」
はおもにビジネスメールで使い、
ビジネス文書や手紙など、よりかしこまった敬語が好まれるシーンでは
「今後ともご愛顧(を)賜りますようお願い申し上げます」
といった表現のほうがよく使われます。
またビジネスメールでも文書でも使われる万能フレーズには、
「今後とも変わらぬご愛顧のほどお願い申し上げます」
「今後とも末永いご愛顧のほどお願い申し上げます」
があります。
意味はどれもおなじですが「いただく」よりも「賜る」のほうがかしこまったシーンにおいて好まれるフレーズです。
かしこまった言い方であり、ビジネス文書や手紙でよく使う
「ご愛顧」はかなりかしこまった表現であるため、普段のビジネスメールや会話ではあまり使いません。
公式な挨拶が必要となるシーン、
たとえば「ビジネス文書」「手紙」「暑中寒中見舞いハガキ」「年賀状」「転勤の挨拶メール」といったビジネスシーンで使われます。
普段のビジネスメール結びや締めくくりに使ったらダメという訳ではないですが、ほとんど目にしたことがありません。
もちろん異動の挨拶・就任の挨拶・転勤の挨拶・赴任の挨拶・退職の挨拶メールなど、公式なビジネスメールではよく使われますが…
あくまでも普段づかいのビジネスメールではあまり目にしないという話。
【参考】「取り急ぎお礼まで」を目上の人に使わない理由・丁寧な言い換え
「ご愛顧してください」はNG!
きわめて初歩的な敬語の使い方なのですが…
「ご愛顧」するのはあくまでも相手の厚意であるため、相手に「ご愛顧してください=ひいきにしてください」と要求するのは、なんとも厚かましい感じがします。
これは受け手の感情次第であり、そんなことは考えずに使っているヒトがほとんどだと思いますが…
とくに目上のヒトに何かをお願いするときには「お取り計らい」をつかい、「お取り計らいのほど、何卒よろしくお願いいたします」などのようにするのが無難です。
→「お取り計らい」意味と目上の方への正しい使い方【例文あり】
「お願い申し上げます=お願いいたします」で言い換えできる
極めて初歩的ではありますが…
「ご愛顧のほどお願い申し上げます」
は
「ご愛顧のほどお願いいたします」
と言い換えできます。
あるいは「どうか」という意味の「何卒(なにとぞ)」を使って、
「ご愛顧のほど何卒よろしくお願いいたします」
「ご愛顧のほど何卒よろしくお願い申し上げます」
としても丁寧です。頭のかたすみに入れておきましょう。