「拝受 vs. 拝読」の意味と違い・使い分け

拝受(はいじゅ)と拝読(はいどく)の意味と違い・使い分けについて。100%完璧な答えを提示する記事。

まずは結論。

拝受 vs 拝読」はどちらも敬語(謙譲語)ですがそもそもの意味が違います。

●「拝受する」は「モノや金を受け取る」の意味。

「受ける(受け取る)」に「拝」をくっつけた敬語(謙譲語)であるため、ニュアンスとしてはもっと丁寧で「つつしんで受け取る」の意味となります。「受け取る」よりもかしこまった感じの敬語とお考えください。

いっぽう。

●「拝読する」は「読む」の意味。

「読む」に「拝」をくっつけた敬語(謙譲語)であるため、ニュアンスとしてはもっと丁寧で「つつしんで読む」の意味となります。「読む」よりもかしこまった感じの敬語とお考えください。

したがって使い方としては…

メールや資料などを上司なり目上・取引先から「受け取りました!」とするときには「拝受しました/拝受いたしました」というように「拝受」をつかいます。

いっぽうで。

本や資料などを「読みました!」とするときには「拝読しました/拝読いたしました」というように「拝読」をつかいます。

なお使い分けは…

「受け取ること=拝受」と「読むこと=拝読」のどっちが日本語としてふさわしいのかをまず考えましょう。そうすれば自ずと答えにたどり着けるでしょう(くわしくは本文にて)。

ざっくりとした解説はこれにて終了。

ここからはより詳しく「拝受」「拝読」それぞれの意味と違い、使い分け、正しい使い方についてビジネスメールの例文つきで解説していきます。

※長文になりますので時間の無い方は「見出し」より目的部分へどうぞ。

“拝受と拝読”の違いまとめ

すでに冒頭で「拝受」と「拝読」の違いについて解説しましたので、ここではまとめとして①意味の違い、②使い方の違い、③使い分け方について表をつかって整理しておきます。

①意味の違い

意味の違い
拝受
はいじゅ
・受け取ることをへりくだっていう語。

・つまり「受け取ること」の意味の謙譲語であり
「つつしんで受け取ること」のようなニュアンスとなる。

・送り主を立てるためにつかう

拝読
はいどく
・読むことを、その筆者を敬っていう謙譲語。

・つまり「読むこと」の謙譲語であり
「つつしんで読むこと」のようなニュアンスとなる。

・本や資料の筆者を立てるためにつかう

【注意点】

※「拝受」は送り主を立てるためにつかいますので、送り主を立てる必要のないときにはつかいません。

※「拝読」は著者を立てるためにつかう敬語です。たとえばお客さんの前で自分の上司が書いた本を「拝読しました」とするのは間違い。お客さんではなく上司を立ててしまうことになります。

②使い方の違い・例文

使い方の違い 例文
拝受
はいじゅ
・受け取ったことを報告する
ためにつかう・立てる相手は送り主
・資料を拝受しました。
・メール拝受いたしました。
・商品を拝受いたしました。
・カタログを拝受いたしました。
・代金を拝受いたしました。
拝読
はいどく
・本なり資料の筆者を立てる
ためにつかう。・目の前にいる相手を立てる
訳ではない。
・資料を拝読しました。
・メール拝読しました。
・新著を拝読いたしました。
・著書を拝読いたしました。

【注意点】

※メールや資料は拝読なのか拝受なのか?という点については次項でくわしく解説。

※ 「~いたしました」は「~する」の謙譲語”いたす”に丁寧語”ます”の過去形「ました」をくっつけた敬語。「~しました」とするよりも丁寧です。

③拝受しましたか?拝読しましたか?は間違い敬語

拝受」「拝読」はどちらも謙譲語であるため基本的には自分の行為につかい、上司なり目上・取引先など相手の行為にはつかいません。

「資料は拝受しましたか?」「拝読しましたか?」のような使い方は間違い敬語ですのでご注意を。

こんなときには。

「資料はお受け取りになりましたか?/お読みになりましたか?」というような敬語をつかうのが正解です。

メールや資料は「拝受・拝読」どっちを使う?

ところが「拝受」「拝読」の使い分けがややこしく感じるのは…

たとえばメールや資料は「読んだ=拝読した」のか「受け取った=拝受した」のかどっち!?

のようなどっちつかずのケースが多々あるからです。

この問いに対する結論としては「ビジネスシーンによる」ということになります。

メールのときは「拝受」で資料のときは「拝読」をつかう、というような使い分けをするのではなく。状況におうじてふさわしい語を選択します。

以降でビジネスシーン別にふわさしい使い分け方を紹介します。

①返信メールの書き出しに「メール拝受しました」はOK?

「拝受」「拝読」の使い分け方。

まずは上司なり目上・取引先からのメールに返信するとき。

  • 「メール拝受しました/拝受いたしました」はOK?ということですが…

◎結論としてこの使い方はまったく違和感がなく丁寧な拝受の使い方といえます。

意味は「メールを受け取りました」であり「拝受」はメールの送り主である上司なり目上・取引先を立てるためにつかっています。

なお返信メールではたとえば。

  • 【例文】メール拝受しました。早々にお返事いただき誠にありがとうございます。
  • 【例文】資料を拝受いたしました。早速ご対応いただきありがとうございます。

というように「拝受しました+相手がしてくれた事にたいするお礼」とすると丁寧です。これらはビジネスメール返信の書き出しにつかえるフレーズですね。

あるいは。

  • 【それなりに丁寧】まずは拝受のご連絡まで。
  • 【それなりに丁寧】まずは拝受のお礼まで。
  • 【かなり丁寧】まずは拝受しましたことをご報告申し上げます。
  • 【かなり丁寧】まずは拝受のお礼までにご連絡(お返事)申し上げます。
  • 【かなり丁寧】略儀ながら、まずは拝受しましたことをご連絡(ご報告)申し上げます。

というようにビジネスメールの結びにつかっても丁寧。こうすると「まず手始めに受け取ったことの連絡(報告・お礼など)をしますよ!」という意味になります。

受け取ったことを報告・連絡する返信メールでつかう敬語フレーズであり、上司なり目上につかってもまぁそれなりには丁寧です。

こんなシーンで「メールなり資料を読みましたよ!」という意味で「拝読しました/拝読いたしました」をつかってもまぁ違和感はないのですが…あまり見たことがありません。

②メールの途中で「資料を拝受しましたところ、いくつか修正をお願いしたい箇所が見つかりました」はOK?

「拝受」「拝読」の使い分け方。

つづいて上司なり目上・取引先からのメールに返信するとき。

たとえば取引先にお願いした資料(見積書や契約書をふくむ)をメールで受け取ったあと。何かしら修正が必要になったとき。

  • 例文「資料を拝受しましたところ、いくつか修正をお願いしたい箇所が見つかりました」

とした場合はどうでしょうか?

×結論としてこの使い方は違和感のある日本語になります。

意味は「資料を受け取ったところ、いくつか修正してほしい」となりますが、なんとな~く日本語として成り立たないですよね。資料を読んだあとに何かしら修正点を見つけたわけであって、資料を受け取った段階ではわからなかったハズ。

したがってこんなシーンでは「読みました=拝読しました/拝読いたしました」をつかい、

  • 例文「資料を拝読しましたところ、いくつか修正をお願いしたい箇所が見つかりました

というようにするのが日本語の使い方としてシックリきます。

敬語はまず、もとの意味に直して考えてみよう!

こうして例をあげていくとキリがないためまとめます。

「拝受」「拝読」にかぎらず敬語の使い分けでつまずいた場合。

敬語をつかう前のもとの意味にもどって考えるとたいてい上手くいきます。

たとえば「拝受」「拝読」の使い分けについて悩んだとき。

こういうときには「受け取ること」と「読むこと」のどっちが日本語としてふさわしいのか?をまず考えましょう。

そうすると日本語ネイティレベルの皆さまでしょうから自ずと答えはでてきます。

どちらも使えそうであればどちらを使っても差し支えありません。

敬語ってわからない英単語みたいに意味不明だから悩ましいのですが、いったん意味がわかるとドンドン応用できるようになります。わからない敬語がでてきたらその都度、意味をチェックすることをオススメします。

タイトルに対する結論は以上。

ここからは「拝受」「拝読」の正しい使い方について、ビジネスメール例文とともに解説していきます。ご興味あるかたのみどうぞ。

“拝受”の使い方とビジネス例文