「拝命 vs. 拝受」の意味と違い・使い分け

拝受(はいじゅ)と拝命(はいめい)の意味と違い・使い分けについて。100%完璧な答えを提示する記事。

まずは結論。

拝受 vs 拝命」はどちらも敬語(謙譲語)ですがそもそもの意味が違います。

●「拝受する」は「モノや金を受け取る」の意味。

「受ける(受け取る)」に「拝」をくっつけた敬語(謙譲語)であるため、ニュアンスとしてはもっと丁寧で「つつしんで受け取る」の意味となります。「受け取る」よりもかしこまった感じの敬語とお考えください。

いっぽう。

●「拝命する」は「任命を受ける」あるいは「命ぜられる」の意味。

「命ぜられる」に「拝」をくっつけた敬語(謙譲語)であるため、ニュアンスとしてはもっと丁寧で「つつしんで命令を受ける」の意味となります。「任命」「命ぜられる」よりもかしこまった感じの敬語とお考えください。

したがって使い方としては…

メールや資料などを上司なり目上・取引先から「受け取りました!」とするときには「拝受しました/拝受いたしました」というように「拝受」をつかいます。

いっぽうで。

転勤なり異動を「命ぜられました!」とするときには「拝命しました/拝命いたしました」というように「拝命」をつかいます。

なお使い分けはそもそもの意味が違うため簡単です。

「受け取ること=拝受」と「任命されること=拝命」のどっちが日本語としてふさわしいのかをまず考えましょう。そうすれば自ずと答えにたどり着けるでしょう(くわしくは本文にて)。

ざっくりとした解説はこれにて終了。

ここからはより詳しく「拝受」「拝命」それぞれの意味と違い、使い分け、正しい使い方についてビジネスメールの例文つきで解説していきます。

※長文になりますので時間の無い方は「見出し」より目的部分へどうぞ。

“拝受と拝命”の違いまとめ

すでに冒頭で「拝受」と「拝命」の違いについて解説しましたので、ここではまとめとして①意味の違い、②使い方の違い、③使い分け方について表をつかって整理しておきます。

①意味の違い

意味の違い
拝受
はいじゅ
・受け取ることをへりくだっていう語。

・つまり「受け取ること」の意味の謙譲語であり
「つつしんで受け取ること」のようなニュアンスとなる。

・送り主を立てるためにつかう

拝命
はいめい
・任命されることをへりくだっていう語。

・つまり「任命される」の謙譲語であり
「命令を謹んで受けること」のようなニュアンスとなる。

・任命するヒトなり組織を立てるためにつかう。

【注意点】

※「拝受」は送り主を立てるためにつかいますので、送り主を立てる必要のないときにはつかいません。

※「拝命」は任命したヒトなり組織を立てるためにつかう敬語です。たとえばお客さんの前で「大阪勤務を拝命しました」とするのは間違い。お客さんではなく任命したヒトなり自分の会社を立ててしまうことになります。

②使い方の違い・例文

使い方の違い 例文
拝受
はいじゅ
・受け取ったことを報告する
ためにつかう・立てる相手は送り主
・資料を拝受しました。
・メール拝受いたしました。
・商品を拝受いたしました。
・カタログを拝受いたしました。
・代金を拝受いたしました。
拝命
はいめい
・任命するヒトなり組織を立てるためにつかう。

・目の前にいる相手を立てる
訳ではない。

・国連大使を拝命しました。
・大阪支店長を拝命しました。
・本社勤務を拝命しました。
・拝命いたしました。

【注意点】

※ 「~いたしました」は「~する」の謙譲語”いたす”に丁寧語”ます”の過去形「ました」をくっつけた敬語。「~しました」とするよりも丁寧です。

③拝受しましたか?拝命しましたか?は間違い敬語

拝受」「拝命」はどちらも謙譲語であるため基本的には自分の行為につかい、上司なり目上・取引先など相手の行為にはつかいません。

「メールは拝受しましたか?」「支店長を拝命しましたか?」のような使い方は間違い敬語ですのでご注意を。

こんなときには。

「メールはお受け取りになりましたか?/お読みになりましたか?」というような敬語をつかうのが正解です。

【使い分け】こんな時には”拝受”と”拝命”どっち?

つづいて「拝受」「拝命」の使い分け方について。

「拝受」と「拝命」はそもそもの意味がことなるため使い分けは簡単です。

「受け取ること=拝受」と「任命されること=拝命」のどっちが日本語としてふさわしいのかをまず考えましょう。

そうすれば自ずと答えにたどり着けるでしょう。

以降でケーススタディー的にビジネスシーンごとにふわさしい使い分け方を紹介します。

「大阪支店長を拝受or拝命しました」はどっちが正しい?

「拝受」「拝命」の使い分け方。

転勤なり異動の挨拶メールを社内あてに送るとき。

  • 例文「さて私こと4月1日付で大阪支店長を拝命いたしました。」
  • 例文「さて私こと4月1日付で大阪支店長を拝受いたしました。」

はどっちが正しいでしょうか?

◎結論としては「拝命」が正しい日本語の使い方です。

それぞれの意味を考えると理由は明白です。

  • 意味「私は4月1日付けで大阪支店長に任命されました」
  • 意味「私は4月1日付けで大阪支店長を受け取りました」

日本語としてシックリくるのは「任命されました」であるハズ。したがって「拝命=任命されること」をつかうのが妥当ということになります。

ここで「大阪支店長を受け取りました」では日本語として成り立たないですよね。

そんなわけで「拝命」が日本語として正しい、ということになります。

顧客に異動の挨拶をするときに”拝命”は使わない

話はそれますが…

謙譲語「拝命」は社内の相手を前にしてつかうのはOKですが、顧客(社外)を前にしてつかうと違和感のある敬語になります。

なぜなら。

謙譲語「拝命」は任命するヒトなり組織を立てるためにつかう敬語であり、目の前にいる相手を立てる訳ではないから。

たとえばお客さんの前で「大阪勤務を拝命しました」とするのは間違い。お客さんではなく任命したヒトなり自分の会社を立ててしまうことになります。

そこで社外の相手への挨拶メールにはたとえば、

  • 転勤「xx勤務を命ぜられました」「東京に転勤する運びとなりました」
  • 異動「異動を命ぜられました」「異動する運びとなりました」
  • 昇進「支店長を命ぜられました」

というように「拝命」を言い換えてつかいます。

◎参考記事:敬語「拝命」の意味と使い方・ビジネスメール例文

敬語はまず、もとの意味に直して考えてみよう!

こうして例をあげていくとキリがないためまとめます。

「拝受」「拝命」にかぎらず敬語の使い分けでつまずいた場合。

敬語をつかう前のもとの意味にもどって考えるとたいてい上手くいきます。

たとえば「拝受」「拝命」の使い分けについて悩んだとき。

こういうときには「受け取ること」と「任命されること」のどっちが日本語としてふさわしいのか?をまず考えましょう。

そうすると日本語ネイティレベルの皆さまでしょうから自ずと答えはでてきます。

どちらも使えそうであればどちらを使っても差し支えありません。

敬語ってわからない英単語みたいに意味不明だから悩ましいのですが、いったん意味がわかるとドンドン応用できるようになります。わからない敬語がでてきたらその都度、意味をチェックすることをオススメします。

参考記事

タイトルに対する結論は以上。

あとは以下の記事にて「拝受」「拝命」の正しい使い方を、ビジネスメール例文とともに解説しています。よろしければご参考にどうぞ。