「ご承認いただけましたら幸いです」は「承認してもらえたら嬉しいです」という意味。
ようは「承認してほしい!」「承認してください!」と言いたいわけですが・・・丁寧な敬語にするとこんな風にややこしい表現になります。
使い方は何かしら承認してほしいときのお願い・依頼ビジネスメール。社内上司や目上にかぎらず社外取引先にもつかえる丁寧なフレーズです。
くわしくは本文にて意味や敬語の種類、ビジネスシーンにふさわしい使い方、ビジネスメール例文、注意点を解説していきます。
※長文になりますので「見出し」より目的部分へどうぞ
意味
承認の意味は(要望・要求・意見などを)認め許すこと
承認(読み:しょうにん)のそもそもの意味は…
「相手の意見・希望・要求などを認め許すこと。聞き入れること」
たとえば、
【例文】イラン出張の承認を得た。
【例文】1000億円の投資プロジェクトはご取締役会にて承認された。
【例文】経費申請のご承認をお願い致します。
のようにして使います。
ちなみに…
類語「ご承諾(ごしょうだく)・ご了承(ごりょうしょう)」との違いは…
- “ご承認”はどちらかというと「公式に認める」のニュアンスが強く、
- “ご承諾”はどちらかというと「認める、受け入れる」のニュアンス、
- “ご了承”は「納得する/了解する」の意味合いが強い(認めるの意味も含みますが…)
“ご承認いただけましたら”の意味は「承認してもらえたら」
まずは前半部分。
「ご承認いただけましたら〜」の意味は…
「承認してもらえたら〜」
このように解釈できます。
「お(ご)〜いただけましたら」は「〜してもらえたら」という意味の敬語(謙譲語+丁寧語)
「〜いただける」は謙譲語「いただく」の可能表現。可能の表現をつかっているので意味としては「〜してもらえる」となります。
おなじような可能の表現にはたとえば、
「泳ぐ → 泳げる」
「書く → 書ける」
「聞く → 聞ける」
などあり。どれも「〜できる」という意味になりますね。
こまかい敬語の解説は長くなるため次項にて。
なお表記は、
漢字表記「ご承認頂けましたら」vs. ひらがな表記「ご承認いただけましたら」の両方ともOK。どちらをつかっても正しい敬語です。
“幸いです”の意味は「嬉しいです、幸せです」
つづいて後半部分。
「幸いです」の意味は…
「嬉しいです」
「幸せです」
このように解釈できます。
もととなる単語は「幸い(さいわい)」であり、丁寧語「です」を使って敬語にしています。
あわせると意味は「承認してもらえたら嬉しいです」
- ご承認 = 承認すること
- ご・お~いただけますと = 「〜してもらえたら」の意味の敬語
- 幸いです= 「幸せです、嬉しいです」の意味
これらの単語を合体させて意味を考えます。
すると「ご承認いただけましたら幸いです」の意味は…
「承認してもらえたら嬉しいです」
のように解釈できます。
ようは「承認してほしい!」「承認してください!」ということなのですが、このままではあまりにストレートすぎて目上や上司・取引先につかうにはイマイチです。
そこで「~してもらえたらと嬉しいです」というように遠回しにして、とてもやわらか~いお願いの敬語フレーズにしています。
そんなに丁寧にお願いする必要あるの?って思うくらい。
目上・上司にはもちろんのこと社外取引先にもつかえる丁寧な敬語フレーズですね。
敬語の解説
「ご承認いただけましたら幸いです」を敬語としてみていくと以下のとおりに成り立ちます。
難しいので敬語についてくわしく学ぶ必要のない方はスキップしてください。
- もとになる単語「承認」
- “〜してもらう”の謙譲語”お(ご)〜いただく”で「ご承認いただく」
- 可能形にして「ご承認いただける」
- 丁寧語”ます”をくっつけて「ご承認いただけます」
- 仮定の”たら”をくっつけて「ご承認いただけましたら」
- “嬉しい”の意味である”幸い”に丁寧語”です”をくっつけて「幸いです」
→ すべてあわせると「ご承認いただけましたら幸いです」という敬語の完成
このようにして元になる語「承認」を敬語にしています。つまり敬語としては何もおかしいところはありません。間違いではなく正しい敬語です。
相手に強制しない、とてもやわらか~いお願いの敬語フレーズになります。
なお「ご承認していただけましたら幸いです」は間違い敬語となりますのでご注意を。「承認していただけましたら幸いです」とすれば正しい敬語ではありますが…
長くなるため理由は省略。
補足
- 漢字表記「ご承認頂けましたら」vs. ひらがな表記「ご承認いただけましたら」の両方ともOK。
- 「〜いただける」は謙譲語「いただく」の可能表現。可能の表現をつかっているので意味としては「〜してもらえる」となります。
ちなみに敬語「お(ご)」は…
- 「自分がご承認する」「相手にご承認いただく」のであれば謙譲語としての使い方。
- 上司・目上・取引先などの「相手がご承認くださる・ご承認になる」のであれば尊敬語としての使い方。
というように2パターンあります。
難しく感じるかたは「お(ご)〜いただく」のセットで謙譲語とおぼえておきましょう。
【使い方】承認の依頼・お願いビジネスメール
つづいて「ご承認いただけましたら幸いです」の使い方について。
ようは「承認してほしい!」「承認してください!」という意味なので、そのような依頼・お願いビジネスメールに使います。
取引先など社外あてに限らず、上司や目上など社内あてのメールにも使える丁寧なフレーズですね。
例文
たとえば、
- 【例文】ご承認いただけましたら幸いです。何卒よろしくお願い申し上げます。
- 【例文】ご承認いただけましたら幸いです。よろしくお願い致します。
※ 意味は「承認してもらえたら嬉しいです。よろしく」
のようにして何かの依頼・お願いをともなうビジネス文書やビジネスメールで結び・締めくくりとして使われます。
もちろん結びでなく文章の途中でつかっても丁寧です。
なお「ご了承をいただけましたら幸いです」というように「を」を入れるケースもあります。どちらを使っても正しい敬語です。
ビジネスメール例文(全文)
こうして長々と読んでいてもイメージがつかみにくいかと思いますので、より実践的に。
ここでは「ご承認いただけましたら幸いです」の使い方をビジネスメール例文でご紹介。
どれも目上・上司・取引先にふさわしい丁寧な敬語にしています。ご参考にどうぞ。
なおビジネスメールにおいては以下の敬語もオススメです。
① それなりに丁寧「ご承認くださいませ」
② 丁寧「ご承認いただければと存じます」
③ かなり丁寧「ご承認いただけましたら幸いです」など
④ ↓とくにビジネスメール結び/文末につかう↓
「ご承認頂きますようお願い申し上げます」
「ご承認くださいますようお願い致します」
「ご承認のほど宜しくお願い致します」
ビジネスメール例文①承認のお願い
メール件名:備品購入承認のお願い
●● 課長 (社内上司)
お疲れ様です。
さて首記の件、下記の目的・背景により備品を購入いたしたく存じます。
ご査収の上、ご承認いただけましたら幸いです。
よろしくお願いいたします。
記
品目:iPad x 1台
金額:10万円
背景・目的:
以上
*********
メール署名
*********
ビジネスメール例文②製品仕様変更のお願い
メール件名:iPhone10仕様変更のお願い
株式会社ビジネス
資材部 ●● 様
いつもお世話になっております。
転職・ノマドでございます。
このたび、弊社では製品規格のグローバル統一化をめざし、iPhone10における製品仕様を下記のとおり変更いたしたく存じます。
記
対 象 製 品:iPhone10
カメラスペック:(現)100px → (改)1000px
なお、この仕様変更における品質への影響は軽微なものと判断いたしております。
以上
ご不明な点等ございましたら何なりとお申し付けください。
突然のお願いにて大変恐れ入りますが、
どうかご承認いただきますようお願い申し上げます。
*********
メール署名
*********
このようなビジネスシーンでは「ご承諾=受け入れること」「ご了承=納得すること」をつかうのが普通ですが…「ご承認」をつかっても違和感はありません。
“ご承認いただけますと幸いです”でも丁寧
「ご承認いただけましたら幸いです」と似たような敬語には・・・
- 【例文】ご承認いただけますと幸いです
もあります。言いたいことは「承認してほしい」であり、どちらも丁寧な敬語なので使い分ける必要はありませんが…
いちおう意味と違いについて考えてみます。
“ご承認頂けましたら vs. ご承認頂けますと”の意味と違い
どちらも結局のところ「承認してほしい!」「承認してください!」という意味になるのですが…こまかくは以下のとおり意味と敬語の違いあり。
- 「ご承認いただけましたら」だと意味は「承認してもらえたら」
→ 敬語は”お(ご)~いただく”+可能形+丁寧語”ます”+仮定”たら”
いっぽうで、
- 「ご承認いただけますと」だと意味は「承認してもらえると」
→ 敬語は”お(ご)~いただく”+可能形+丁寧語”ます”+接続助詞”と”
となります。
「いただけますと」に仮定の「たら」をくっつけると「いただけましたら」という敬語になります。
なお「ご承認をいただけましたら幸いです」というように「を」を入れるケースもあります。どちらを使っても正しい敬語です。
※ 接続助詞「と」は助詞の一類。用言・助動詞について、それよりまえの語句をあとの語句に接続し、前後の語句の意味上の関係をしめすはたらきをする。
どちらも丁寧であり使い分けの必要はない
これまで見てきたように、どちらの敬語もこのうえなく丁寧なフレーズです。上司など社内の目上はもちろんのこと、社外取引先にもつかえる素晴らしく丁寧な敬語です。
どちらかお好きな方を使えばよく、使い分けする必要はありません。
“ご承認賜れましたら幸いです”だとなお丁寧
さらに死ぬほど丁寧なメールや文書にしたいときには・・・
「いただく」ではなく「賜る(たまわる)」をつかい、
- 【例文】ご承認賜れますと幸いです
- 【例文】ご承認賜れましたら幸いです
とします。
これまで紹介した敬語と言いたいことはおなじ。
ただ、賜る(たまわる)という敬語のほうがよりカチッとした表現になりますので、文書や手紙・公式なビジネスメールでは「賜る」をよく使います。
普段づかいのメールであれば「いただく」で十分に丁寧です。
いちおう意味と違いについて簡単に解説しておきます。
“ご承認頂けましたら vs. ご承認賜れましたら”の意味と違い
どちらも結局のところ「承認してほしい!」「承認してください!」という意味になるのですが…こまかくは以下のとおり意味と敬語の違いあり。
- 「ご承認いただけましたら」だと意味は「承認してもらえたら」
→ 敬語は”お(ご)~いただく”+可能形+丁寧語”ます”+仮定”たら”
いっぽうで、
- 「ご承認賜れましたら」だと意味は「承認してもらえたら」
→ 敬語は謙譲語“お(ご)~賜る”+可能形+丁寧語”ます”+仮定”たら”
となります。
「お(ご)〜賜る」「お(ご)〜いただく」はどちらも「〜してもらう」の敬語(謙譲語)。
したがって意味としてはどちらも同じです。
ただし「賜る」のほうがよりカチッとした表現になりますので、文書や手紙・公式なビジネスメールでは「賜る」をよく使います。
なお「ご承認を賜れましたら幸いです」というように「を」を入れるケースもあります。どちらを使っても正しい敬語です。
手紙や公式なビジネスメールにおすすめ
これまで見てきたように、どちらの敬語もこのうえなく丁寧なフレーズです。上司など社内の目上はもちろんのこと、社外取引先にもつかえる素晴らしく丁寧な敬語です。
ただ、より堅苦しいというかビジネス文書や手紙むけというか・・・
カチッとした表現は「賜る」のほうです。
本当に死ぬほど丁寧なメールや文書にしたいときに使いましょう。
ほかにも使える丁寧な敬語
これまで紹介した例文のほかにも・・・
似たような言い換え敬語で、おなじように丁寧なフレーズをまとめておきます。
どれも「承認してほしい!」「承認してください!」と依頼・お願いしたいときのビジネスメールに使えます。
『ご承認いただければ幸いです』
「ご承認頂けましたら幸いです」だけじゃない丁寧なビジネス敬語
- 例文「ご承認いただければ幸いです」
意味は『承認してもらえたら嬉しいなぁ、幸せだなぁ』
つまり『承認してもらえたら嬉しいです』
相手に強制しない、とてもやわらか~いお願いの敬語フレーズですね。
「いただければ」は「〜してもらう」の謙譲語「お(ご)〜いただく」+可能形+仮定の「~れば」
「幸いです」は「幸い」+丁寧語「です」
というように敬語にしており、目上のひとや上司・社外取引先につかえるとても丁寧なビジネスフレーズです。
『ご承認いただけましたら幸甚に存じます』など
「ご承認頂けましたら幸いです」だけじゃない丁寧なビジネス敬語
- 【例文】ご承認いただければ幸甚に存じます
※意味は「承認してもらえたら、とても嬉しく思います」 - 【例文】ご承認いただけますと幸甚に存じます
※意味は「承認してもらえると、とても嬉しく思います」 - 【例文】ご承認いただけましたら幸甚に存じます
※意味は「承認してもらえたら、とても嬉しく思います」
なども似たような意味であり、とても丁寧な敬語です。
幸甚(こうじん)の意味は「この上もない幸せ。大変ありがたいこと。また、そのさま」
「存じる」は「思う」の謙譲語
「いただければ」は謙譲語「いただく」+可能形+仮定「たら・れば」
「いただけましたら」は謙譲語「いただく」+可能形+丁寧語「ます」+仮定「たら・れば」
『ご承認賜れましたら幸甚に存じます』など
「ご承認頂けましたら幸いです」だけじゃない丁寧なビジネス敬語
「いただく」よりもカチッとした敬語「賜る(たまわる)」をつかい、
- 【例文】ご承認賜れますと幸甚に存じます
※意味は「承認してもらえると、とても嬉しく思います」 - 【例文】ご承認賜れましたら幸甚に存じます
※意味は「承認してもらえたら、とても嬉しく思います」
とするとより丁寧な敬語になります。
幸甚(こうじん)の意味は「この上もない幸せ。大変ありがたいこと。また、そのさま」
「存じる」は「思う」の謙譲語
「賜れますと」は謙譲語「賜る」+可能形+丁寧語「ます」+接続助詞”と”
「賜れましたら」は謙譲語「賜る」+可能形+丁寧語「ます」+仮定「たら・れば」
ビジネスメール結びをより丁寧にするコツ
あまり関係ないのかもしれませんが重要なので念のため。
ビジネスメールの文末・結び・締めとして使うことのおおい「ご承認」
ここでは、
ビジネスメール結びをより丁寧にするためのコツをご紹介します。
①メール結びに使うときは「よろしく!」を加えると丁寧
ビジネスメール結びをより丁寧にするためのコツ。
「ご承認いただけましたら幸いです」はそれだけではビジネスメール結び締めとしてイマイチ。
そこで結びにつかう時にはうしろに「よろしく!」的なフレーズを組み合わせて、セットで使うとより丁寧なメール結びになります。
すでに例文にはしましたが…
- 【例文】ご承認いただけましたら幸いです。何卒よろしくお願い申し上げます。
- 【例文】ご承認いただけましたら幸いです。よろしくお願い致します。
- 【例文】ご承認いただけましたら幸いです。よろしくお願い申し上げます。
ビジネスメールの結び締めに使うときにはこんな感じにするとよいでしょう。
②どうか・何卒+ご承認
ビジネスメールの文末・結び・締めをより丁寧にするためのコツ。
「ご承認」の前置きに添える丁寧なお願いフレーズ「どうか」「何卒(なにとぞ)」を使うとより丁寧な印象のメールとなります。
たとえば以下のようなフレーズがあります。
- どうか/どうぞ
例文「どうかご承認くださいますようお願い申し上げます」
例文「どうかご承認くださいますようお願い致します」
例文「どうかご承認いただけましたら幸いです」
例文「どうかご承認いただければと存じます。何卒よろしくお願い申し上げます」 - 何卒(なにとぞ)
例文「何卒ご承認くださいますようお願い申し上げます」
例文「何卒ご承認くださいますようお願い致します」
例文「何卒ご承認いただけましたら幸いです」
例文「何卒ご承認いただければと存じます。よろしくお願い申し上げます」
③恐縮・お手数+ご承認
ビジネスメールの文末・結び・締めをより丁寧にするためのコツ。
「ご承認」の前置きには強調するフレーズ「どうか」「何卒(なにとぞ)」だけでなく、申し訳なく思う気持ちや、相手を気づかうフレーズをもってきても丁寧です。
たとえば「誠に勝手を申し上げますが」などと組み合わせ、以下例文のようにすると好感がもてますね。上司や目上にはもちろんのこと、取引先のメールにも使える丁寧な例文にしています。
- 恐縮=申し訳なく思うこと
「お忙しいところ恐縮ではございますがご承認〜」
「大変恐縮ではございますがご承認〜」
「たびたび恐縮ではございますがご承認〜」 - 恐れ入る=申し訳なく思う
「お忙しいところ恐れ入りますがご承認〜」
「大変恐れ入りますがご承認〜」
「たびたび恐れ入りますがご承認〜」 - お手数=お手間
「お忙しいところお手数お掛けしますがご承認〜」
「大変お手数ではございますがご承認〜」 - 勝手を申し上げる=自分勝手を言う
「誠に勝手を申し上げますがご承認〜」 - ご無理申し上げる = 無理を言う
「ご無理申し上げますが、何卒ご承認のほどお願い申し上げます」 - ご多忙とは存じますが=忙しいとは思うけど
「ご多忙とは存じますがご承認〜」