「ご教授いただけますでしょうか?」意味と使い方・メール例文

ビジネスメールに「ご教授いただけますでしょうか」は使える?

そもそも二重敬語/間違い敬語じゃないの?

もっと丁寧な敬語ってなに?

とご心配のあなたへ。

ビジネスにおける「ご教授いただけますでしょうか?」はとくに商談や電話対応で使われる敬語。

二重敬語ではありませんし、間違い敬語でもありません。

100%正しい敬語です。

もちろん、

ビジネスメールに使ってもまったく差し支えありません。

そもそもの意味や正しい敬語であるという根拠、よりビジネスメールにふさわしいカチッとした言い換え敬語など、くわしくは本文にて。

なお…

ビジネスシーンで目上や上司・取引先に何かしら教えてもらいたいときには「ご教示=教えること」をよく使います。

「ご教示のほど」意味・使い方のすべて「お願い申し上げます」他

※長文になりますので「見出し」より目的部分へどうぞ

この記事の目次

意味

「ご教授いただけますでしょうか」は「教え授けてもらえますか?」という意味。

なぜこのような意味になるのか?
そもそもの意味と敬語について順をおって解説していきます。

ご教授の意味は”(学問や技芸的なことを)教え授けること”

ご教授(読み:ごきょうじゅ)のそもそもの意味は…

(学問や技芸的なことを)教え授けること

「教授」に尊敬語or謙譲語の「お・ご」を使うと「ご教授」という敬語の完成。

「自分がご教授する」のであれば謙譲語の「お(ご)」

上司・目上・社外取引先などの「相手がご教授くださる」のであれば尊敬語の「お(ご)」

というように2パターンあります。

教える内容が、学問、芸術、何かの特別な技能、スポーツなどであれば「ご教授」を使います。まさに大学の「教授」なんかは、学生に「(学問を)教え授ける」のです。

その他のことを教えてもらうのであれば「ご教示」

余談ですがビジネスシーンで教えてもらうことといったら、とくに専門的ではないため「ご教示」をよく使います。→ 「ご教示のほど」意味・使い方のすべて「お願い申し上げます」他

“ご教授いただける”の意味は「教え授けてもらえる」

まずは前半部分。

「ご教授いただける」の意味は…

「教え授けてもらえる」と解釈できます。

“ご教授”のもとになる単語は”教授”であり、「〜してもらう」の謙譲語「お(ご)~いただく」をつかって敬語にしています。

「いただける」の部分は謙譲語「いただく」の可能表現をつかっています。可能の表現をつかっているので意味としては「〜してもらえる」となります。

おなじような可能の表現にはたとえば、

「泳ぐ → 泳げる」
「書く → 書ける」
「聞く → 聞ける」

などあり。どれも「〜できる」という意味になりますね。

ちなみに”ご教授”の「お(ご)」の部分は向かう先を立てるためにつかう敬語であり謙譲語の「お(ご)」です。余談ですが尊敬語にも「お(ご)」の使い方があり混同しがち。

むずかしく感じるかたは「お(ご)●●いただく」のセットで謙譲語とおぼえておきましょう。

「ますでしょうか」ってどんな意味?

“ご教授いただけますでしょうか?”の「ますでしょうか」ってどんな意味でしょうか?

「ますでしょうか」は”①ます”+”②でしょうか“という2つの単語からなります。

  • “①ます”はシンプルに丁寧語の「ます」であり深い意味はなく、
  • “②でしょうか”は「〜だろうか?」の丁寧語

これらをあわせると「〜ますでしょうか?」の意味は「〜だろうか?」と解釈できます。

この「②でしょうか」は「不明・不確かなことを問い掛ける意を表す」の意味でつかいます。

たとえば、

  • 【例文】このカツラは部長のものでしょうか?→「部長のものだろうか?」の意味
  • 【例文】今日のオカズは何でしょうか?→「何だろうか?」の意味
  • 【例文】つまり、私をクビにするということでしょうか
  • 【例文】本日はお休みでしょうか?→「休みだろうか?」の意味

などあり。

ちなみに、

「ご教授いただけましたでしょうか?」と過去形にすると「すでに教え授けてもらえただろうか?」という催促・確認のフレーズになります。

あわせると意味は「教え授けてもらえるだろうか?」

  1. ご教授 = 教授すること
  2. お(ご)~いただける = 「〜してもらえる」の意味の敬語(謙譲語)
  3. ます = 丁寧語であり深い意味はない
  4. でしょうか =「〜だろうか?」という意味の敬語(丁寧語)

これらの単語を合体させて意味を考えます。

すると「ご教授いただけますでしょうか」の意味は…

「教え授けてもらえるだろうか」

「教え授けてもらえるでしょうか」

のように解釈できます。

ようするに「教え授けてほしい!」「教え授けてください!」というあなたの希望をあらわしているのですが、このままではあまりにストレート過ぎて目上や上司に使うにはイマイチです。

そこで遠まわしに「~してもらえますでしょうか?」として、とてもやわらか~いお願いの敬語フレーズにしています。

そんなに丁寧にお願いする必要あるの?って思うくらい。

目上・上司にはもちろんのこと社外取引先にもつかえる丁寧な敬語フレーズですね。

二重敬語/間違い敬語ではない

「ご教授いただけますでしょうか」は二重敬語/間違い敬語だという意見があります。

すでに見てきたとおり正しい敬語なのですが…その根拠についても解説しておきます。

※ややこしいので敬語についてくわしく学ぶ必要の無い方はスキップしましょう。

「ご教授いただけます」は二重敬語ではない

「ご教授」はすでに謙譲語であり、さらに「~してもらう」の謙譲語「いただける」をつかって「ご教授いただける」としているから…

「ご教授=謙譲語」×「いただける=謙譲語」

「ご教授いただける」は「謙譲語 x 謙譲語」だから二重敬語??

このようなロジックで二重敬語だという意見がでてくるのかと。

ただし答えは「二重敬語ではない」です。

二重敬語とは「ひとつの語におなじ種類の敬語を二回つかうこと」であり敬語のマナー違反です。

たとえば「お伺いいたします」「お伺いする」などが二重敬語の例。「行く」の謙譲語「伺う」をつかっているのに、さらに「お〜いたす」「お〜する」という謙譲語をつかっているためです。

ところが、

「ご教授いただけます」は「①教授」+「②してもらえる」という2つの単語から成り立ちます。つまり敬語は以下のような構成です。

  • “①教授”に謙譲語”お(ご)”で「ご教授」
  • “②してもらえる”の謙譲語「いただける」
  • 丁寧語”ます”をくっつけて「いただけます」
  • すべてをあわせると「ご教授いただけます」という敬語となる

→ 2つの単語にそれぞれ謙譲語をつかっているため二重敬語ではない。

(二重敬語とはひとつの語におなじ種類の敬語を二回つかうこと

このように「①教授」「②してもらえる」という2つの単語にそれぞれ謙譲語をつかっているため二重敬語にはなりません。

ちなみに、

「お・ご」には尊敬語としての使い方もあるため、ややこしければ「お(ご)〜いただく」セットで「〜してもらう」の謙譲語だと覚えておくと良いでしょう。

丁寧語「ますでしょうか」も二重敬語ではない

あるいは「ます」は丁寧語であり、さらに「でしょうか」という丁寧語をくみあわせるから二重敬語だ、という意見もあります。

ただしこちらについても答えは「二重敬語ではない」です。

「~いただけますでしょうか」は「①いただける」「②~だろうか?」という2つの単語にそれぞれ丁寧語をつかっています。

  • “①いただける”に丁寧語”ます”で「いただけます」
  • “②〜だろうか?”の丁寧語「〜でしょうか?」
  • すべてをあわせると「いただけますでしょうか」という敬語となる

→ 2つの単語にそれぞれ丁寧語をつかっているため二重敬語ではない。

(二重敬語とはひとつの語におなじ種類の敬語を二回つかうこと

よくよく考えてみると…

「ご教授いただけますでしょうか」が二重敬語になるのでしたら、ビジネスメールの結びで必ずといっていいほど使う「お願い致します」や「お願い申し上げます」も二重敬語になるはずですよね。

「教え授けてもらえるだろうか?」を敬語にしているため正しい

二重敬語かどうかをチェックする時はもともとの文章を考えるとすぐにわかります。

「ご教授いただけますでしょうか?」

のもとになる文章は…

「教え授けてもらえるだろうか?」です。

これまで見てきたように、それぞれの単語に敬語をつかっているため二重敬語にはならないのです。

そもそも二重敬語とは?よくある間違い敬語

で先ほど、

よくある二重敬語のたとえとして「お伺いする」「お伺いいたす」があるとしました。

なぜ二重敬語といえるのか?これらのもとになる文章を考えてみましょう。

「伺う」は「行く・聞く・たずねる」の謙譲語ですので、これらが原文となります。

  • 「お伺いする」の元になる文章は「行く・聞く・たずねる」
  • 謙譲語「伺う」
  • さらに謙譲語「お~する」「お~いたす」

もとになる語「行く・聞く・たずねる」に謙譲語を2回つかっていますね。ひとつの語に同じ種類の敬語を2回つかうことが二重敬語であり、敬語のマナー違反になります。

【使い方】教え授けてほしい!と伝えるビジネスシーン

「ご教授いただけますでしょうか」の使い方は…

意味のとおりで何かしら「教え授けてほしい!と言いたいビジネスシーンに使います。

①おもに会話・電話対応シーンで使われる

「ご教授いただけますでしょうか」の使い方その1

「ご教授いただけますでしょうか」にかぎらず「〜いただけますでしょうか?」という表現はビジネスメールよりも、どちらかというと電話対応や商談・会話シーンで多くつかいますね。

だからと言ってメールにつかったら失礼とかではなく、ビジネスメールでもまぁ違和感はありません。

ようするに上司や目上・社外取引先に「教え授けてほしい!」と言いたいビジネスシーンであればたいていは使えます。

②ビジネスメールにも使えるけど…

「ご教授いただけますでしょうか」の使い方その2

わたし個人としてはビジネスメールに「ご教授いただけますでしょうか?」のような疑問文をつかうのがあまり好きではありません。

そこで、

  • 【例文】ご教授をお願い致します
  • 【例文】ご教授いただきたく存じます
  • 【例文】ご教授いただきたく、お願い致します
  • 【例文】ご教授いただければと存じます
  • 【例文】ご教授いただければ幸いです

など、自分の意思や願望をつたえる敬語を代わりにえらびます(下の例文ほど丁寧な敬語になります)

いっぽうで電話対応や会話では「〜いただけますでしょうか?」や「〜いただけますか?」を多用します。

これは好みで分かれるところ。

おっさん営業マンのたわ言だと思ってスルーしてもらっても構いません。

まぁとにかく、

「〜いただけますでしょうか?」はシーンをえらばずに使える、とても便利な敬語フレーズ。

上司や目上など社内に限らず、取引先など社外にも使える丁寧な敬語ですね。

【敬語の補足】

・「幸いです」は「嬉しいです」の意味

・「存じる」は「思う」の謙譲語

・「いただきたく」は謙譲語「いただく」+希望「~したい」

・「いただければ」は謙譲語「いただく」+可能形+仮定「たら・れば」

③ご教授いただきますでしょうか?とは言わない

「ご教授いただけますでしょうか」の使い方その3

きわめて初歩的なことですが…

「ご教授いただますでしょうか?」は使えません。

“〜してもらう”の敬語「お(ご)〜いただく」に丁寧語「ます」を組み合わせると「いただきます」というフレーズの完成。

そう考えると「教え授けてもらうだろうか?」という意味不明な敬語になってしまいます。

相手にお願いしたいのに「教え授けてもらう」ことを前提にして話を進めてしまっています…

敬語としては正しいのですが日本語としておかしなことになりますね。

そこで、

「ご教授いただますでしょうか?」というように「教え授けてもらえるだろうか」という意味の敬語にする必要があるのです。

ちなみに、

「お(ご)〜いただきます」をどうしても使いたいのでしたら「ご教授いただきますようお願い致します」とすれば正しい敬語になります。

“頂けますでしょうか vs 頂けましたでしょうか?”の違い

ところで…

現在形「ご教授いただけますでしょうか?」だけでなく

過去形「ご教授いただけましたでしょうか?」という敬語もよくつかわれます。

ここでは過去形にしたときの意味の違いについて簡単に。

ご教授いただけますでしょうか?は依頼・お願いフレーズ

すでに見てきたとおり、

  • 「ご教授いただけますでしょうか?」は現在形であるため教え授けてもらえるだろうか?」というお願い・依頼のフレーズになります。

なんども説明しているとおりで要するに「教え授けてほしい」「教え授けてください」と言いたいときにつかう丁寧な敬語フレーズですね。

ご教授いただけましたでしょうか?は確認・催促フレーズ

いっぽうで、

  • 「ご教授いただけましたでしょうか?」と過去形をつかうと「すでに教え授けてもらえただろうか?」「もう教え授けただろうか?」という催促や確認の意味でつかわれます。

過去形にすると「すでに教え授けたか?」「教え授けたのか?」と言いたいときにつかう丁寧な敬語フレーズになります。

ということで、それぞれまったく違う意味になりますのでご留意ください。

シンプルに”ご教授いただけますか?”でも丁寧

「教え授けてもらえますか?」とお願い・依頼したいときに使える丁寧な敬語。

「ご教授いただけますでしょうか」だけでなく…

ご教授いただけますか?」という敬語もよくつかいますね。

“いただけますか vs いただけますでしょうか”の違い

「ご教授いただけますか?」vs「ご教授いただけますでしょうか?」の意味と違い。

どちらも言いたいことは結局のところ「教え授けてほしい!」なのですが…

敬語と意味の違いあり。

  • “ご教授いただけますか?”だと意味は「教え授けてもらえるか?」
    →敬語は謙譲語「お(ご)〜いただく」の可能形+丁寧語”ます”

vs.

  • “ご教授いただけますでしょうか?”だと意味は「教え授けてもらえるだろうか?」
    →敬語は謙譲語「お(ご)〜いただく」の可能形+丁寧語”ます”+“だろうか”の丁寧語でしょうか

というように意味と敬語の使い方が違います。

が、

結局のところ言いたいことはどちらも全く同じなわけです。

で、どちらを使うかは結局のところあなたの好み。

「〜いただけますでしょうか?」のほうが丁寧な表現ではありますが、バカ丁寧だという意見もあるため「〜いただけますか?」でも差し支えありません。

ご教授いただけますでしょうか?のほうが丁寧

「教え授けてもらえるか?=ご教授いただけますか?」

よりも”だろうか?”をつかって、

「教え授けてもらえるだろうか?=ご教授いただけますでしょうか?」

としたほうが丁寧な印象のフレーズとなります。

理由は意味を考えるとよくわかるのですが、

  • ①ご教授いただけますか=教え授けてもらえるか?

だと相手の事情はおかまいなしに、より直接的に依頼していることになります。

いっぽうで、

  • ②ご教授いただけますでしょうか=教え授けてもらえるだろうか?

だと相手に教え授けてもらうことが決まっているわけでは無いため「教え授けてもらえるだろうか?」と確かめる意味で「〜でしょうか?」を入れて回りくどい言い方をしています。

ビジネスでは回りくどい敬語であればあるほど丁寧だとみられる傾向にあります。

(本質的には間違っているのですが事実なので仕方ないですね…)

ということでどちらが丁寧かは明白です。

ホントに些細なことなので誰も気にしないのでしょうけど…

まぁ結論としては、

敬語の使い方や意味に違いはあれど、どちらもひとしく丁寧な敬語であり目上・上司・社外取引先につかえるフレーズです。

ひとつのオプションとしてお好みでお使いください。

使い分けの例

ちなみに、おっさん営業マンのわたしは相手やシーンによってつかう敬語を変えます。

社外取引先には「ご教授いただけますでしょうか?」をつかい、

上司や社内の目上には「ご教授いただけますか?」をつかうといった感じ。

あるいは、

かなり頼みづらいようなことを依頼するときには相手が誰であろうと「ご教授いただけますでしょうか?」をつかいますね。

※おっさん営業マンのたわ言だと思って無視していただいて構いません。

敬語の解説

ご教授いただけますか?

の敬語の成り立ちとしては…

  • “教授”に「〜してもらう」の謙譲語「お(ご)〜いただく」で「ご教授いただく」
  • 可能形にして「ご教授いただける」
  • さらに丁寧語”ます”で「ご教授いただけます」
  • 疑問形にして「ご教授いただけますか?」

“〜だろうか”の丁寧語「〜でしょうか」を使うと「ご教授いただけますでしょうか?」

どちらの表現も謙譲語をうまくつかい、このうえなく丁寧な敬語フレーズとなっていることがわかります。

したがって上司・目上・社外取引先につかえる素晴らしい敬語、と言えるでしょう。

ビジネスメール例文は該当なし「ご教示」を使う

繰り返しにはなりますが…

ビジネスシーンで教えてもらうことは学問や技芸的なことでは無いため「ご教示=教えること」をつかいます。

そこで「ご教示」を使った例文を紹介しておきます。

例文①問い合わせメール(就活メール)

メール件名: 2018年卒・新卒採用予定の有無(就活大学・就活一郎)

転職株式会社
採用担当者 様

突然のメールにて大変失礼いたします。

私、現在就職活動をしております、就活大学・就活学部の就活一郎と申します。

この度は、今年度の新卒採用予定の有無について伺いたく、連絡いたしました。
もし貴社にて新卒採用のご予定がおありでしたら、応募したいと考えております。

お忙しいところ大変恐れ入りますが、
ご教示くださいますようお願い致します。

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メール署名
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例文②問い合わせメール(ビジネス)

メール件名:貴社製品に関する問い合わせ

株式会社転職
ご担当者 様

お世話になります。

突然のご連絡、大変失礼をいたします。株式会社就活・開発担当の就活と申します。
この度は貴社ホームページを拝見し、連絡を致しました。

さて首記の件、貴社製品を以下の用途へ適用検討しております。

①検討用途:電気自動車のエンジン部材
②求める物性:高耐熱性、高耐久性

貴社ホームページにて製品一覧を確認しましたところ、
商品AとBが目的に合致すると考えておりますが、いかがでしょうか。

ご多忙のところ大変恐れ入りますが、
ご教示のほど何卒よろしくお願い致します。

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メール署名
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参考記事

他にもある丁寧な言い換え敬語