「お納めいただけましたか」の意味、ビジネスシーンにふさわしい使い方（メール・手紙・文書・社内上司・社外・目上・就活・転職）、注意点について。
ビジネスメールの例文つきで誰よりも正しく解説する記事。
なお…
「納める」には「①受け取る」と「②納入する・渡す」の２つの意味があります。
「②納入する・渡す」の意味でつかうときには、
【例文】納入いただけましたか？
【例文】納入いただけましたでしょうか？
のように言い換えても丁寧です。
※長文になりますので「見出し」より目的部分へどうぞ
意味と敬語
「お納めいただけましたか？」は「納めてもらえましたか」という意味。
なぜこのような意味になるのか？
そもそもの意味と敬語について順をおって解説していきます。
正反対の2つの意味をもつ「納める」
ややこしいのでまずは「納める」という言葉の、そもそもの意味について少し。
冒頭でも紹介したように納めるは２つの正反対の意味をもちます。
- 意味①受け取る・受納する
- 意味②渡す・納入する
したがってたとえば、
「お納めください」としたときには「①受け取ってください」 or 「②納入してください」の２とおりの解釈ができます。
まぁ日本語ネイティブの私たちであれば意味を取り違えることはないとは思いますが…
たとえば、
「商品をお納めいただけますか？」だと「②商品を納入してほしい」の意味とするのが妥当であり、
「お祝儀お持ちしました。どうかお納めください」だと「①受け取ってほしい」の意味と考えるのが妥当ですね。
“お納めいただける”の意味は「納めてもらえる」
まずは前半部分。
「お納めいただける」の意味は…
「納めてもらえる」
つまり、
「①受け取ってもらえる」
「②納入してもらえる」
のどちらかの意味に解釈できます。
“お納め”のもとになる単語は”納める”であり、「〜してもらう」の謙譲語「お（ご）～いただく」をつかって敬語にしています。
「いただける」の部分は謙譲語「いただく」の可能表現をつかっています。可能の表現をつかっているので意味としては「〜してもらえる」となります。
おなじような可能の表現にはたとえば、
「泳ぐ → 泳げる」
「書く → 書ける」
「聞く → 聞ける」
などあり。どれも「〜できる」という意味になりますね。
ちなみに”お納め”の「お（ご）」の部分は向かう先を立てるために使う敬語であり謙譲語の「お（ご）」です。余談ですが尊敬語にも「お（ご）」の使い方があり混同しがち。
むずかしく感じるかたは「お（ご）●●いただく」のセットで謙譲語とおぼえておきましょう。
“ましたか？”は丁寧語の疑問形+過去形
つづいて後半部分。
「〜ましたか？」は丁寧語「ます」の疑問形を過去形にしたもの。
意味としてはシンプルに「〜したか？」というような質問・疑問の形になります。
目上・上司や取引先に質問するときにはたとえば、
「泳げたか？ → 泳げましたか？」
「書けたか？ → 書けましたか？」
「聞けたか？ → 聞けましたか？」
このように丁寧語の疑問形をつかうと丁寧です（例文を使うかどうかは別として…）。
ちなみに、
「お納めいただけますか？」と現在形をつかうと「納めてもらえますか？」というお願い・依頼のフレーズになります。
あわせると意味は「納めてもらえましたか」
- お納め ＝ 納めること
- お（ご）～いただける ＝ 「〜してもらえる」の意味の敬語（謙譲語）
- ますか = 「〜か？」という意味の敬語（丁寧語）
※ 納めるの意味は「①受け取る」「②納入する・渡す」のいずれか
これらの単語を合体させて意味を考えます。
すると「お納めいただけましたか？」の意味は…
「納めてもらえましたか？」
のように解釈できます。
ようするに「すでに納めたのか？」「もう納めたのか？」という催促や確認の意味をあらわしているのですが、このままではあまりにストレート過ぎて目上や上司・取引先に使うにはイマイチです。
そこで遠まわりに「～してもらえましたか？」として、とてもやわらか～いお願いの敬語フレーズにしています。
そんなに丁寧に催促する必要あるの？って思うくらい。
目上・上司にはもちろんのこと社外取引先にもつかえる丁寧な敬語フレーズですね。
敬語の解説
ややこしいので、これまでの敬語の解説をまとめておきます。
「お納めいただけましたか」を敬語としてみていくと以下のとおりに成り立ちます。
- もとになる単語「納める」
- “〜してもらう”の謙譲語「お（ご）〜いただく」で「お納めいただく」
- 可能形にして「お納めいただける」
- 丁寧語”ます”の疑問形「ますか」を過去形にして「ましたか？」
→ すべてあわせると「お納めいただけましたか？」という敬語の完成
※「お（ご）」を省いて「納めていただけましたか？」でも正しい敬語です。
このようにして元になる語「納める」を敬語にしています。つまり敬語としては何もおかしいところはありません。間違いではなく正しい敬語です。
相手に強制しない、とてもやわらか～いお願いの敬語フレーズになります。
なお「お納めしていただけましたか？」は間違い敬語となりますのでご注意を。
この場合、謙譲語「お（ご）」をなくして「納めていただけましたか？」とすれば正しい敬語になります。
理由は長くなるので省きますが、あくまでも「お納めいただけましたか？」をつかうことをオススメします。
それでは次項より使い方についても見ておきましょう。
使い方
つづいて「お納めいただけましたか」の使い方について。
【基本】納めてもらえたか？と催促・確認するビジネスシーン
「お納めいただけましたか」の使い方
意味のとおりで何かしら「すでに納めてもらえたか？」と催促したい、あるいは確認したいときのビジネスシーンで使います。
「お納めいただけましたか」にかぎらず「〜いただけましたか？」という表現はビジネスメールよりも、どちらかというと電話対応や商談・会話シーンで多くつかいますね。
だからと言ってメールにつかったら失礼とかではなく、ビジネスメールにつかっても違和感はありません。
例文
たとえば、
- 【例文】先日ご注文いたしました商品は、お納めいただけましたか。→納入するの意味
- 【例文】先般お送りしましたサンプルは、お納めいただけましたか？→受け取るの意味
※「お（ご）」を省いて「納めていただけましたか？」でも正しい敬語です。
※ 納めるの意味は「①受け取る」「②納入する・渡す」のいずれか
のようにして催促や確認をともなうビジネスシーン（会話・電話対応・メール）に使われます。
ようするに「すでに納めてもらえたか？」という意味なのですが丁寧な敬語にすると、こんな風にややこしい文章になります。
納めてもらえるか？と依頼する時は”~いただけますか？”
「納めてもらえましたか？」は「すでに納めたのか？」という催促や確認の意味をあらわしています。
で、
納めてもらえるか？と依頼・お願いしたいときには…
- 【例文】お納めいただけますか？
- 【例文】お納めいただけますでしょうか？
のように現在形「〜いただけますか？」をつかうと丁寧です。
あるいは尊敬語「お（ご）〜くださる」をつかい…
- 【例文】お納めくださいますか？
- 【例文】お納めくださいますでしょうか？
のように「〜くださいますか？」をつかっても丁寧。
こうすると意味は「納めてくれるか？」となります。
ニュアンスと敬語の使い方は違いますが、言いたいことは同じでありどちらも丁寧です。
“お納めいただけますか vs いただけましたか？”の違い
“お納めいただけますか vs いただけましたか？”の違いについて簡単にまとめ。
これまで解説したとおり、
- 「お納めいただけましたか？」は過去形であるため「すでに納めたのか？」「もう納めたのか？」という催促や確認の意味でつかわれます。
いっぽうで、
- 「お納めいただけますか？」と現在形をつかうと「納めてもらえますか？」というお願い・依頼のフレーズになります。
まったく違う意味になりますのでご留意ください。
お納めいただけましたでしょうか？とするとなお丁寧
「納めてもらえましたか？」と催促・確認したいときに使える敬語。
「お納めいただけましたか」でも十分に丁寧ではありますが…
「お納めいただけましたでしょうか」とすると、よりやわらか〜い感じの敬語フレーズになります。
推測「〜だろうか？」の丁寧語「〜でしょうか？」を「お納めいただけましたか」に加えるとこうなります。
意味と使い方・例文
「お納めいただけましたでしょうか」の意味は「納めてもらえただろうか？」
使い方はおなじでたとえば、
- 【例文】先般お送りしましたお品は、お納めいただけましたでしょうか。→受け取るの意味
- 【例文】当方の希望どおりにお納めいただけましたでしょうか。→納入するの意味
※ “でしょうか？”は「だろうか？」の丁寧語（敬語）
※ 意味は「納めてもらえただろうか？」
※「お（ご）」を省いて「納めていただけましたでしょうか？」でも正しい敬語です。
のようにして催促や確認をともなうビジネスシーン（会話・電話対応・メール）に使われます。
もちろん上司・目上・社外取引先につかえる素晴らしい敬語です。
で、どちらを使うかは結局のところあなたの好み。
どちらかというと「〜いただけましたでしょうか？」のほうが丁寧なのですが…
バカ丁寧だという意見もあるため「〜いただけましたか？」でも差し支えありません。
ちなみに、
「お納めいただけますでしょうか？」と現在形をつかうと「納めてもらえるだろうか？」というお願い・依頼のフレーズになります。
敬語の解説
「お納めいただけましたでしょうか？」
の敬語の成り立ちとしては…
- “納める”に「〜してもらう」の謙譲語「お（ご）〜いただく」で「お納めいただく」
- 可能形にして「お納めいただける」
- さらに丁寧語”ます”で「お納めいただけます」
- 疑問形にして「お納めいただけますか？」
“〜だろうか”の丁寧語「〜でしょうか」を使うと「お納めいただけますでしょうか？」
どちらの表現も謙譲語をうまくつかい、このうえなく丁寧な敬語フレーズとなっていることがわかります。
したがって上司・目上・社外取引先につかえる素晴らしい敬語、と言えるでしょう。
どちらかというと「〜いただけましたでしょうか？」のほうが丁寧なのですが…バカ丁寧だという意見もあるため「〜いただけましたか？」でオッケー。
お納めくださいましたか？としても丁寧
「納めてもらえましたか？」と催促・確認したいときにつかえる敬語。
「お納めいただけましたか？」「お納めいただけましたでしょうか？」だけでなく…
- 【例文】お納めくださいましたか？
→意味は「納めてくれたか？」 - 【例文】お納めくださいましたでしょうか？
→意味は「納めてくれただろうか？」
※「～してくれる」の尊敬語「お（ご）～くださる」をつかって敬語にしています。
もあります。
目上・上司にはもちろんのこと社外取引先にもつかえる丁寧な敬語フレーズですね。
“いただけましたか vs くださいましたか”意味と違い・使い方
「お納めいただけましたか？」vs「お納めくださいましたか？」の意味と違い。
どちらも言いたいことは結局のところ「すでに納めたか？」なのですが…
敬語の使い方に違いあり。
- “お納めいただけましたか？“だと意味は「納めてもらえたか？」
→敬語は謙譲語「お（ご）〜いただく」の可能形＋丁寧語
vs.
- “お納めくださいましたか？“だと意味は「納めてくれたか？」
→敬語は尊敬語「お（ご）〜くださる」＋丁寧語
というように意味と敬語の使い方が違います。
が、
結局のところ言いたいことはどちらも全く同じなわけです。
ちなみに、
「お納めくださいますか？」と現在形をつかうと「納めてくれるか？」というお願い・依頼のフレーズになります。
いただけましたか？のほうが丁寧
「納めてくれたか？＝お納めくださいましたか？」
よりも”いただく＋可能形”をつかって、
「納めてもらえたか？＝お納めいただけましたか？」
としたほうが丁寧な印象のフレーズとなります。
ただ、
敬語の使い方には違いはあれど、どちらもひとしく丁寧な敬語であり目上・上司・社外取引先につかえるフレーズです。
ただ少しニュアンスの違いというか敬語の使い方が違うよ、ということですね。
これは好みで分かれるところ。
どちらかというと「いただく」を使ったほうがやんわ～りとした表現になりますが、心底どちらでも差し支えありません。
まぁ、ひとつのオプションとしてお好みでお使いください。
お納めいただきましたか？でも丁寧
「納めてもらえましたか？」と催促・確認したいときにつかえる敬語。
これまで紹介した例文のほかにも…
- 【例文】お納めいただきましたか？
→意味は「納めてもらったか？」 - 【例文】お納めいただきましたでしょうか？
→意味は「納めてもらっただろうか？」
※「～してもらう」の謙譲語「お（ご）～いただく」をつかって敬語にしています。
※「お（ご）」を省いて「納めていただきましたか？」でも正しい敬語です。
もあります。
目上・上司にはもちろんのこと社外取引先にもつかえる丁寧な敬語フレーズですね。
“いただけましたか vs いただきましたか”の意味と違い・使い方
「お納めいただけましたか？」vs「お納めいただきましたか？」の意味と違い。
どちらも言いたいことは結局のところ「すでに納めたか？」なのですが…
敬語の使い方に違いあり。
- “お納めいただけましたか？“だと意味は「納めてもらえたか？」
→敬語は謙譲語「お（ご）〜いただく」の可能形＋丁寧語
vs.
- “お納めいただきましたか？“だと意味は「納めてもらったか？」
→敬語は謙譲語「お（ご）〜いただく」＋丁寧語
というように、
可能形をいれるかどうかという点において違いますね。
が、結局のところ言いたいことはどちらも全く同じなわけです。
ちなみに、
「お納めいいただきますか？」と現在形をつかうと「納めてもらうか？」という意味不明なフレーズになります。決してこういう使い方はしませんね。
いただけましたか？のほうが丁寧
「納めてもらいましたか？＝お納めいただきましたか？」
よりも可能形をつかって、
「納めてもらえましたか？＝お納めいただけましたか？」
というほうが丁寧な印象のフレーズとなります。
ホントに些細なことなので誰も気にしないかもしれませんけど…。
まぁとにかく、これまで紹介した例文はどれを用いても丁寧ではあります。
シンプルに”お納めになりましたか？”でもOK
「納めてもらえましたか？」と催促・確認したいときにつかえる敬語。
いい加減くどいのですが、まだまだあります…
とくに会話や電話対応はビジネスメールとちがって堅苦しい敬語は好まれません。
そこでシンプルに、
- 【例文】お納めになりましたか？
→意味は「納めたか？」 - 【例文】お納めになりましたでしょうか？
→意味は「納めたでしょうか？」
※「～する」の尊敬語「お（ご）〜になる」をつかって敬語にしています。
でも十分に丁寧です。
「納める」に尊敬語「お（ご）〜になる」をつかい、さらに丁寧語の疑問形をつけくわえると例文のような敬語になります。
あるいは「～する」の尊敬語「お（ご）～なさる」をつかい、
- 【例文】お納めなさいましたか？
- 【例文】お納めなさいましたでしょうか？
としても丁寧。
こちらも目上・上司にはもちろんのこと社外取引先にもつかえる丁寧な敬語フレーズですね。
いただけましたか？のほうが丁寧
「納めたか？＝お納めになりましたか？／お納めなさいましたか？」
よりも”いただく＋可能形”をつかって、
「納めてもらえましたか？＝お納めいただけましたか？」
というほうが丁寧な印象のフレーズとなります。
結局どれがもっとも丁寧？
敬語の種類というのは本当にいろいろあります。
あまりにも言い換え敬語フレーズがおおいので、どれを使うべきか迷ってしまうというあなたのために。
ここまで紹介した言い換えだけでなく、思いつくかぎりの敬語フレーズを丁寧レベルごとに整理しておきます。
どれも「納めてもらえましたか？」「納めてくれましたか？」と催促・確認したいときにつかえる敬語です。
※ あくまでも目安としてお考えください。
①会話・電話対応につかえる丁寧レベル
「納めてもらえましたか？」「納めてくれましたか？」と催促・確認したいときの敬語。
まずは会話や電話対応シーンでよくつかう敬語フレーズから。
下にいくほど丁寧な敬語になります。また、おすすめの敬語フレーズは青文字にしておきます。
- 納めてくれましたか？
- 納めてもらえましたか？
- 納めていただきましたか？
- 納めていただけましたか？
- お納めになりましたか？
- お納めなさいましたか？
- お納めされましたか？
- お納めいただきましたか？
- お納めくださいましたか？
- お納めいただけましたか？
②ビジネスメール対上司・対社内につかえる丁寧レベル
「納めてもらえましたか？」「納めてくれましたか？」と催促・確認したいときの敬語。
つづいて、上司や社内目上のビジネスメールにふさわしい敬語フレーズをご紹介。
下にいくほど丁寧な敬語になります。おすすめの敬語フレーズは青文字にしておきます。
- お納めになりましたか？
- お納めなさいましたか？
- お納めされましたか？
- お納めいただきましたか？
- お納めくださいましたか？
- お納めいただけましたか？
- お納めになりましたでしょうか？
- お納めなさいましたでしょうか？
- お納めされましたでしょうか？
- お納めいただきましたでしょうか？
- お納めくださいましたでしょうか？
- お納めいただけましたでしょうか？
注）上下関係に厳しい上司や、社内でも相当のポジションにいる人にたいしては例文⑥以降をつかいましょう。
【敬語の補足】
・「なさる／される」は”〜する”の尊敬語
・「お（ご）〜になる」は”〜する”の尊敬語
・「お（ご）〜くださる」は”〜してくれる”の尊敬語
・「お（ご）〜いただく」は”〜してもらう”の謙譲語
・「〜でしょうか」は”〜だろうか”の丁寧語
③ビジネスメール対取引先・対顧客につかえる丁寧レベル
「納めてもらえましたか？」「納めてくれましたか？」と催促・確認したいときの敬語。
最後に、社外取引先や顧客のビジネスメールにふさわしい敬語フレーズをご紹介。
下にいくほど丁寧な敬語になります。おすすめの敬語フレーズは青文字にしておきます。
- お納めいただきましたか？
- お納めくださいましたか？
- お納めいただけましたか？
- お納めになりましたでしょうか？
- お納めなさいましたでしょうか？
- お納めされましたでしょうか？
- お納めいただきましたでしょうか？
- お納めくださいましたでしょうか？
- お納めいただけましたでしょうか？
【敬語の補足】
・「なさる／される」は”〜する”の尊敬語
・「お（ご）〜になる」は”〜する”の尊敬語
・「お（ご）〜くださる」は”〜してくれる”の尊敬語
・「お（ご）〜いただく」は”〜してもらう”の謙譲語
・「〜でしょうか」は”〜だろうか”の丁寧語
