つづいて「恐縮の至り/限り/極み」を使うときの注意点を解説します。
敬語を正しく使うことはもちろん、
ふさわしいビジネスシーンを考えて使いましょう。
使いすぎない
恐縮の至り/恐縮の限り/恐縮の極み は何か、とんでもなく恐縮しなければいけない事態が起こったときに使います。
たとえば、
【例文】
「1兆円もの融資をいただき、恐縮の至り(限り・極み)でございます」
みたいなビジネスシーンで使えますね。
銀行が1兆円というお金を貸してくれたとしたら…それはもう、これ以上ないくらいに恐縮すべき事態です。
ところがこんなのはどうでしょうか?
【NG例文】
「ボールペンをいただき、恐縮の至り(限り・極み)でございます」
こうすると、一体どれほどの高級ボールペンなんだろうか?と思います。ボールペンなんて、誰でもどこでも買えます。あきらかに「これ以上ないくらい恐縮する」がふさわしくないビジネスシーンですね…
ということで、
あまり使いすぎると「大げさだなぁ…」と相手に思われるため、ガチで恐縮すべきときにだけ使いましょう。
何が恐縮の至りなのか?
恐縮の至り/恐縮の限り/恐縮の極み を使うときには、対象というか、一体なににたいして「恐縮」であるのかをハッキリとさせて使いましょう。
なにか、高価なお土産をもらったことに対して「恐縮の至り」なのであれば、
「たいそうなお土産をいただき恐縮の至り/恐縮の限り/恐縮の極みでございます」というようになりますし、
褒めてもらったことに対して「恐縮の至り」なのであれば、
「身に余るお言葉をいただき恐縮の至り/恐縮の限り/恐縮の極みでございます」となります。
【シーン別】違いと使い分け
恐縮 のビジネスシーン(メール・手紙・社内上司・社外・目上・就活・転職)にふさわしい使い方と、敬語フレーズを使った例文をみてきましたが…
こんなときにはどれを使う?
というビジネスシーンごとの使い分けを整理しておきます。
ビジネス会話なら…
- 例文「恐縮です(恐れ入ります)」
- 例文「大変恐縮ですが(恐れ入りますが)」
会話で「恐縮の至り/恐縮の限り/恐縮の極み」を使いすぎるとバカ丁寧な感じがするため、「恐縮です」あるいは「恐縮ですが」で十分です。
ビジネスメール・文書なら…
- 例文「恐縮の至り/恐縮の限り/恐縮の極みでございます」
- 例文「恐縮の至り/恐縮の限り/恐縮の極みに存じます」
- 例文「大変恐れ入りますが」
- 例文「大変恐縮ではございますが」
ビジネスメール・手紙など文書の場合、
シンプルなフレーズではなくよりかしこまった表現を使うと好感度UP。
なぜなら、文章は会話と違って態度で敬意をしめすことができないから。
恐縮の至り/恐縮の限り/恐縮の極み のビジネスメール全文
さいごに「恐縮の至り/恐縮の限り/恐縮の極み」を使ったビジネスメールの例文を紹介します。
【例文】金品の辞退をする(社外メール)
メール件名:お中元の御礼
就活株式会社
営業部 ○○様
お世話になっております。
転職株式会社の転職です。
この度は、たいそうなお品をただき、
誠にありがとうございました。
いつもお心遣いを頂き恐縮の至り/恐縮の限り/恐縮の極みでございます。
せっかくのご好意を無にするようで心苦しいのですが
弊社ではお取引先様からの贈り物は
お受けできないことになっております。
お心遣いだけありがたく頂戴し、
誠に勝手ながらお品は別便にて返送させていただきました。
無礼なこととは存じますが
ご理解の上、ご容赦くださいますよう何卒よろしくお願い申し上げます。
甚だ略儀ではございますが、
まずはメールにてお礼ならびにお詫びを申し上げます。
メール署名
・略儀ではございますが の意味は「礼儀を省略して申し訳ありませんが~」
・まずは の意味は「まずはじめに」
・言う の謙譲語「申す」
・たいそうな=結構な で言い換えできる
・甚だ(はなはだ)の意味は「とても、大変」
・ご容赦くださいますよう の意味は「お許しくださいますよう」