「考える」の敬語変換|謙譲語と尊敬語、ビジネスメール例文、使い方

「考える」の敬語変換(謙譲語・尊敬語・丁寧語)と、

ビジネスシーン(メール・手紙・文書・社内上司・社外・目上・就活・転職)にふさわしい使い方、注意点について。ビジネスメールの例文つきで誰よりも正しく解説する記事。

まずは要点のまとめから。

考える の謙譲語は「該当なし

考えている の謙譲語は「考えておる」。

ビジネスシーンで「考える」としたいときには「検討する」の謙譲語「検討いたす」を使うか、あるいは丁寧語を使って「考えます」を使うのが一般的。

謙譲語は自分の行為につかうことが基本となるため、

  • (自分が)来期の戦略を考えております

として使います。もっと丁寧にするため丁寧語「ます」と組み合わせて「考えております」とするのが一般的。

ただし、

厳密には「考えている」は「考える」とは意味が異なります。「考えている」は「今まさに考えている」の意味であり、「考える」は「これから考える」の意味です。

したがって、

「考える」の謙譲語を「考えておる」とするのはかなり無理があります(くわしくは本文で)。

考える の尊敬語は

①お考えになる
②考えられる

※ 丁寧語「ます」と組み合わせて「お考えになります」として使うのが一般的

いっぽうで尊敬語は相手の行為につかうことが基本となるため、

  • 上司が来期の営業戦略をお考えになります

として使います。

ただし、

尊敬語の「~られる」は受身や可能の「~れる・られる」と間違われることもおおいため、「~なる」を使うほうが無難。そうすると尊敬語は「お考えになる」を使うのがベター。

考える の丁寧語は「考えます」

さいごに丁寧語は「です・ます」を使うだけ。「考えます」とすればOKです。

ざっくりとした解説はこれにて終了ですが、本文中ではいろいろな例文を紹介しながら使い方、注意点について説明していきます。

考える の謙譲語は「該当なし」

そもそも謙譲語とは?

念のため基本となる謙譲語とはなにか?について簡単に復習しておきます。

  • 謙譲語Ⅰ = 自分を低めることで行為のおよぶ先を高めて敬意を表す敬語のこと。
    例文「お伝えします」「お土産をいただく」「貴社へ伺う」
  • 謙譲語Ⅱ = 聞き手に敬意を表す敬語のことで「もうす」「おる」「まいる」「いたす」などがある。
    例文「母に申します」「海へ参ります」

2種類ありややこしく感じるかもしれませんが「①自分側を低めて相手を高める」か「②話し手に敬意を示すために使う」だと理解しておきましょう。

【出典】文化庁「敬語の指針」

考えておる は「考える」の謙譲語ではない

冒頭でも触れましたが、

「考えておる」は「考える」の謙譲語ではない、という話。間違った解説をしているウェブサイトがたくさんあるため解説しておきます。

考えておる は「考えている」の謙譲語であり、

考える の謙譲語は「該当なし」が正しいのです。

で、

じゃあ「考えている」と「考える」の違いってそもそもなに?

ということになりますが…
これはすごく簡単。

  • 「考えている」は「今まさに考えている」の意味であり、
  • 「考える」は「これから考える」の意味

考える を謙譲語にしたいときにはどうする?

ということで「考える」の謙譲語は「該当なし」です。

とは言ったものの、やっぱり「考える」を使うビジネスシーンはもちろんあるわけで…

じゃあどうしたら謙譲語の代わりに使える丁寧な敬語になるのか、というと。

  1. 「今まさに考えている」ときには謙譲語「考えておる」
  2. 「これから考える」の意味で使うときには「考えます」とシンプルに丁寧語を使って敬語にするか、類語を使って「検討いたします」のような謙譲語にする

決して、

「これから考える」と言いたいときに「考えております!」を使わないようにご注意を。完全に違う意味になってしまいます。

使い方

「考えている」の謙譲語「考えておる」と
「考える」の敬語の使い方は先にのべたとおり、

「今まさに考えている」ときには謙譲語「考えておる」を使い、「これから考える」の意味で使うときには「考えます」と丁寧語を使って敬語にします。

あるいは類語を使って「検討いたします」のような謙譲語にしてもよいでしょう。ちなみに「いたす」は「する」の謙譲語です。

自分を低くすることで対象を立てる・うやまう・高める敬語が謙譲語であるため、決して対象の行為にたいして謙譲語を使ってはいけません。

そうすると、

  • 正しい例文「ビジネスの構想を考えております」
  • 正しい例文「はい、ただいま考えております」
  • 正しい例文「申し訳ありません、これから考えます」
  • 正しい例文「その件につきましては別途検討いたします」

のような感じで使えますね。

一方でNGとなる使い方にはたとえば、

  • NG例文「部長、来期の人員配置については考えておりますか?」

のような例文はダメ。

目上のひとなり第三者が「〜考えている」としたいときには謙譲語ではなく尊敬語を使い「部長、来期の人員配置についてはお考えでしょうか?」などとします。

丁寧語「です・ます」を組み合わせると、より丁寧な敬語になる

「考えている」の謙譲語「考えておる」を使うときには、丁寧語「です・ます」を組み合わせるとより素晴らしい敬語になります。

すでに例文にはしていますが…

ビジネスシーンにおいては
「考えております」として使うとより丁寧です。というより、ほぼ100%こういった使い方をします。

考える の尊敬語「お考えになる」使い方と例文

つづいて「考える」の尊敬語「お考えになる」「考えられる」のビジネスシーン(メール・手紙・文書・社内上司・社外・目上・就活・転職)にふさわしい例文と使い方を紹介します。

そもそも尊敬語とは?

念のため基本となる尊敬語とはなにか?について簡単に復習しておきます。

尊敬語とは、相手を高めるときに使う敬語のことを言います。敬意を表したい相手の動作や行為を高めて使う敬語ですね。

注意点として、

社外のひとに社内のひとのことを話すときには尊敬語ではなく、謙譲語を使います。このシーンで尊敬語を使うと「社内のひと > 社外のひと」というようになってしまいますね。

社外の人の前で尊敬語「弊社の部長がおっしゃいました」ではおかしくって謙譲語「弊社の○○が申しておりました」とします。

高めるべき順番は「社外 > 社内」であり、この図式を守って使いましょう。

お考えになる・考えられる どっち使う?

ここでひとつ注意点というか、まぎらわしいので少し解説を。

「考える」の尊敬語には、

①お考えになる
②考えられる

と2パターンあります。どちらとも正しい敬語なのですが「考えられる」は受け身や可能形の「れる・られる」との混同をまねいてしまうため①お考えになる をつかうのが無難。

たとえば

「部長が私に手紙を送られました」

だと敬語なのかなんなのか、難しい表現になってしまいます。

そこで

「部長が私に手紙をお送りになりました」

のように「お・ご〜なる」という尊敬語を使うことをオススメします。

使い方

「考える」の尊敬語「お考えになる」「考えられる」の使い方は先にのべたとおり、

「目上の相手がお考えになる」のようにして相手の行為・行動に使う尊敬語です。

相手を立てる・うやまう・高める敬語が尊敬語であるため、決して自分の行為にたいして尊敬語を使ってはいけません。尊敬語を自分の行為に使うと、自分で自分をうやまうことになってしまいます。

そうすると、

  • 正しい例文「来期の人員配置は部長がお考えになります」
  • 正しい例文「部長、結婚式のスピーチはお考えになりましたか?」

のような感じで「相手が考える」ときにつかいます。

一方でNGとなる使い方にはたとえば、

  • NG例文「部長、結婚式のスピーチは考えておりますか?」

のような例文はダメ。

目上のヒトが「考えている」としたいときには謙譲語ではなく、相手の行為をうやまって高める敬語(尊敬語)を使います。

丁寧語「です・ます」を組み合わせると、より丁寧な敬語になる

繰り返しにはなりますが、

「考える」の尊敬語「お考えになる」「考えられる」は、丁寧語「です・ます」を組み合わせるとより素晴らしい敬語になります。

すでに例文にはしていますが…

ビジネスシーンにおいては
「お考えになります」「お考えになりました」として使うとより丁寧です。

例文

「考える」の尊敬語「お考えになる」「考えられる」のビジネスシーン(メール・手紙・文書・社内上司・社外・目上・就活・転職)にふさわしい例文。

  • 例文「部長、明日の内定式でのご挨拶はお考えになりましたか?」
    例文「送別会のスピーチはお考えになりましたか?」

    ・使い方はビジネス会話やメールで「考えましたか?」と質問するときに使えるフレーズ
    ・相手を高めるために尊敬語を使う
  • 例文「部長のお考えを伺いたく存じます」
    例文「部長のお考えによると、今期は無理して売らない方針である」

    ・使い方はビジネス会話やメールで「〜について考える」とするときに使えるフレーズ
    ・相手を高めるために尊敬語を使う
【敬語の補足】
・伺う は「聞く・尋ねる」の謙譲語
・存じる は「思う」の謙譲語

他にもよく使う敬語の変換表

「考える」の敬語変換(謙譲語・尊敬語・丁寧語)のほかにもビジネスシーンでよく使う敬語をまとめておきます。これを機にマスターしておきましょう。

謙譲語 尊敬語 丁寧語
受け取る  拝受する
拝受いたす
 お受け取りになる  受け取ります
見る  拝見する  ご覧になる
見られる
見ます
言う  申す
申し上げる
 おっしゃる
言われる
 言います
会う  お会いする
お目にかかる
 お会いになる
会われる
 会います
する  致す
(いたす)
 なさる  します
伝える  お伝えする
申し伝える
 お伝えになる
伝えられる
 伝えます
思う  存じる  お思いになる
思われる
 思います
行く  伺う
参る
参上する
 お行きになる
行かれる
 行きます
もらう  いただく  くださる  もらいます
いる  おる  いらっしゃる  います
考える  該当なし  お考えになる
考えられる
 考えます
送る  お送りする
お送りいたす
送付いたす
 お送りになる
送られる
 送ります
「~れる」という尊敬語は受身や可能の「れる・られる」と混同しやすいため「お~なる」を使うほうがベター。

考える の謙譲語・尊敬語はこう使う!

つづいて「考える」の敬語変換(謙譲語・尊敬語・丁寧語)を使うときの注意点を解説します。

敬語を正しく使うことはもちろん、
ふさわしいビジネスシーンを考えて使いましょう。

×部長、結婚式のスピーチは考えておりますか?

「考える」の敬語変換(謙譲語・尊敬語・丁寧語)を使うときの注意点。

きわめて初歩的ではありますが…

謙譲語を使うべき対象がおかしいのはダメ。「考えております」は謙譲語であるため、自分の行為にたいして使います。

したがって、

  • NG例文「部長、結婚式のスピーチは考えておりますか?」

は間違い敬語です。

上司や目上のヒトが何かを「考えている」のであれば

  • 正しい例文「部長、結婚式のスピーチはお考えになりましたか?」

とするのが正解。

蛇足ですが電話で「〇〇様はおりますか?」も間違い敬語。相手が「いる」ことを確認したいときには尊敬語を使い「〇〇様はいらっしゃいますか?」とします。

×(私が)内定式のスピーチをお考えになります

「考える」の敬語変換(謙譲語・尊敬語・丁寧語)を使うときの注意点。

こちらもきわめて初歩的ではありますが…

尊敬語を使うべき対象がおかしいのはダメ。「お考えになります」は尊敬語であるため、相手の行為にたいして使います。

したがって、

  • NG例文(私が)内定式のスピーチをお考えになります

は間違い敬語です。

こうすると、あなたが自分で自分のことを高めてしまっています。あなたが「考える」であれば、

  • 正しい例文(私が)内定式のスピーチを考えます

×社外のヒトにたいして「その件につきましては上司がお考えになります」

「考える」の敬語変換(謙譲語・尊敬語・丁寧語)を使うときの注意点。

こちらもきわめて初歩的ではありますが…

ウチ・ソトが逆転している敬語はダメ。社内のヒトのことを社外に伝えるときには、たとえ上司であっても高めてはいけません。ウチを低める謙譲語を使います。
  • NG例文(社外に対して)その件につきましては上司がお考えになります

だと、社外のヒトに対して上司を高めてしまっています。この敬語の使い方だと「上司 > 社外のヒト」となってしまうのですよね。

ということで、

上司を低めて社外の相手を高める謙譲語をつかい「社外のヒト > 上司」という本来あるべきポジションにします。

  • 正しい例文(社外に対して)その件につきましては〇〇が考えております

丁寧語「です・ます」を組み合わせると、より丁寧な敬語になる

「考える」の敬語変換(謙譲語・尊敬語・丁寧語)を使うときの注意点。

何度もしつこいですが…

丁寧語「です・ます」を謙譲語や尊敬語と組み合わせると、より丁寧な敬語フレーズになります。むしろビジネスシーンでは必ずといっていいほど組み合わせて使いますね。

たとえば、

  • 考える の謙譲語は該当なし
  • 考える の尊敬語「お考えになる」は「お考えになります・お考えになりました」

のようにするとより丁寧な敬語となります。

考える の謙譲語・尊敬語を使ったビジネスメール全文