「構いません」の代わりによく使われる、間違った敬語として「はい、大丈夫です」「結構です」があります。
これを上司(目上の人)に使うのはNGではないのですが、ビジネスシーンではふさわしくない言葉ですのでご注意ください。念のため理由を解説しておきます。
大丈夫 の意味を考える
「大丈夫です」は「大」+「丈夫」で成り立っていますので、直訳すると意味は「ものすごく丈夫です」ということになります。
念のため辞書で調べると「大丈夫」には以下2つの意味があります。
- あぶなげがなく安心できるさま
例:この刺身、食べても大丈夫ですか? - 間違いなくて確かなさま
例:時間は大丈夫ですか?
※注意)「この刺身、食べても大丈夫ですか?」という言葉には2つの解釈ができます。ひとつは「刺身がクサってないか、食べても健康に被害ないかを確認したい」であり、ふたつめの解釈は「自分が食べてもいいものか?誰か他の人のではないか?」確認したい、です。
結局のところ「大丈夫」という言葉の意味はすごくあいまい。どんな風にも解釈できてしまうのです。まぁ、それが良いところでもありますが…。
いえ大丈夫です/はい大丈夫です が使えない理由
さて、ここで「いえ、大丈夫です/はい、大丈夫です」のような使い方の何が問題か?というのを解説します。
先ほどの「大丈夫」がもつ意味を考えて、ビジネスシーンに当てはめてみると…
–ビジネスシーン例文–
上司
『ランチ行くけど、一緒にどう?』
『今夜、空いてたら一杯どう?』
あなた
『いえ、大丈夫です = いえ、間違いないです』
『はい、大丈夫です = はい、間違いないです』
となり意味不明な言葉となってしまいます…要は何が言いたいのか、さっぱりわからない言葉になってしまうのですよね。
大丈夫なの? 大丈夫じゃないの?
なんかモヤモヤした言葉となります。私みたいなおっさんが聞くと、なおさらですね。
正しく言葉を使うのなら、
あなた
『いえ、大丈夫じゃないです = いえ、ダメです』
『はい、大丈夫です = はい、間違いないです』
と使うべきなのです。
結構です も目上の人には使わない
「構いません」の言い換えとしてよく使われる「結構です」も同じく目上の人やビジネスメールでは使わない方が無難。
ダメな理由は「構いません」と同じく「結構です = どうでもよい」と捉えられる可能性があるから。念のため「結構です」の意味と使い方をまとめておきます。
「結構です」の意味と使い方:
意味①問題ないです
使い方①「はい、結構です」として許可するときに使う。
意味②必要ないです、お断りします
使い方②「いいえ、結構です」として否定・誘いなどを断るときに使う。
この使い方のうち、「構いません」と同じような意味となるのは「使い方①はい、結構です」と許可するシーンですね。
くわしくは別の記事にて解説していますので、ご参考にどうぞ。
→「結構です」の代わりに使える7つの敬語(対上司・目上の人)
言葉の意味は時代とともに変わる
ただ最近は「構いません」の代わりに「はい、大丈夫です/いえ、大丈夫です」を使うビジネスパーソンも多いです。若い世代に多いかと思いきや、40代のおっさんも普通に使っていますし私もたまに使います。
だから100%間違いかというと、そうでもないかなぁ…と思うのです。
言葉ってなにが正しい、なにが間違いという明確なルールはなく、合っていると多くの人が認識すれば正しい言葉になる。という気持ち悪い性質があります。
したがって「いえ、大丈夫です/はい、大丈夫です」もいずれは、正しい言葉として認識されるのじゃないかと思います。