「ご確認いたします」は間違い敬語?二重敬語?
とご心配のあなたへ。
「ご確認いたします」は完璧に正しい敬語でありビジネスシーンではよく使われます。
たとえば、
- 【例文】至急ご確認いたします
などとして使われます。
「ご確認」の「ご」はあっても無くても丁寧な敬語です。
くわしい解説は本文にて。
それでは、
「ご確認いたします」が正しい敬語である理由と、ビジネスシーン(電話・メール・手紙・文書・社内上司・社外取引先・目上・就活・転職)での使い方、例文を紹介します。
「ご確認いたします」は間違い敬語・二重敬語ではない
まずは結論から。
「ご確認いたします」は二重敬語ではありませんし、間違い敬語でもありません。正しい敬語です。
なぜなら、
もとになる単語「確認」に「(お・ご)〜いたす」という謙譲語の基本形をつかっているから。
「ご確認いたします」の意味
「ご確認いたします」のそもそもの意味は敬語にする前のもとになる語「確認」の意味を考えるとわかります。
辞書によると「確認」の意味はおおきく以下2つ
- はっきり認めること。また、そうであることをはっきりたしかめること
【例】その後の状況を(ご)確認いたします
【例】かしこまりました。すぐに(ご)確認いたします - 特定の事実や法律関係の存否について争いや疑いのあるとき、これを判断・認定する行為。当選者の決定など
一般的に私たちが使うときには①何かしらを「確かめること」という意味で使われる語です。
ここで(ご)というように( )書きにしたのは、「ご」はあっても無くても敬語として正しいからです。
ちなみに敬語「ご確認いたします」は自分が「確認する」ときにつかいます。
相手に「確認してもらう」としたいときには…
「ご確認いただく=確認してもらう」
「ご確認くださる=確認してくれる」
という敬語をつかいます。
これまでの解説ですべてを物語っているのですが説明不足かもしれませんので、
- なぜ「ご確認いたします」を間違い敬語とおもってしまうのか?
- なぜ正しい敬語なのか?
- そもそも謙譲語とか尊敬語って何?
- そもそも二重敬語って何?
という部分についてもくわしく解説していきます。
間違い敬語と感じる理由は「尊敬語」と判断しているから
なぜ「ご確認いたします」が間違い敬語のように感じてしまうかというと…
「ご確認」の「ご」の部分にあります。
この「ご確認」は尊敬語「ご」をつかって敬語にしているかのように見えます。
尊敬語は相手の行為につかうため「ご確認」が尊敬語であればたしかに「ご確認いたします」は間違い敬語です。
尊敬語とはたとえば、
「お客様、お忘れものはございませんか?」
「部長はお戻りになりましたか?」
などとしてつかう「お・ご」のこと。これらはいずれも尊敬語であり、目上の行為をうやまってつかう敬語。
ところが「ご確認いたします」は自分が「確認する」という意味であるハズ。したがって尊敬語ではおかしいのです。
でも実際には「ご確認いたします」は尊敬語ではなく、謙譲語をつかっています。
【補足】そもそも尊敬語とは?
そもそも尊敬語とは…
敬語の一種であり、相手を立てる・うやまう・高める敬語のこと。
相手の行為につかい、決して自分の行為にたいして尊敬語を使ってはいけません。尊敬語を自分の行為に使うと、自分で自分をうやまうことになってしまいます。
ビジネスシーンで尊敬語をつかうときの注意点として、
社外のひとに社内のひとのことを話すときには尊敬語ではなく、謙譲語を使います。このシーンで尊敬語を使うと「社内のひと > 社外のひと」というようになってしまいますね。
社外の人の前で尊敬語「弊社の部長がおっしゃいました」ではおかしくって謙譲語「弊社の○○が申しておりました」とします。
高めるべき順番は「社外 > 社内」であり、この図式を守って使いましょう。
謙譲語「(お・ご)〜いたす」を使っているから正しい
「ご確認いたします」はもとになる単語「確認」に「(お・ご)〜いたす」という謙譲語の基本形をつかっています。
ここで(お・ご)と( )書きにしたのは、あってもなくても敬語としてOKだから。
謙譲語をつかって敬語にしており、正しい敬語の使い方をしています。二重敬語でもなく間違い敬語でもありません。
謙譲語には「お・ご〜する」「お・ご〜いたす」という使い方があります。
たとえば、
「ご連絡する」「(ご)連絡いたす」
「ご報告する」「(ご)報告いたす」
「ご挨拶する」「(ご)挨拶いたす」
「お願いする」「お願いいたす」
こんな感じでつかう敬語です。ちなみに丁寧語「ます」をくっつけて「お・ご〜します」「お・ご〜いたします」とするのが一般的。
【補足】そもそも謙譲語とは?
そもそも謙譲語とは…
敬語の一種であり、自分を低くすることで対象を立てる・うやまう・高める敬語。
自分の行為につかい、対象の行為にたいして謙譲語を使ってはいけません。
ただし細かくは謙譲語にも2種類あります。
- 謙譲語Ⅰ = 自分を低めることで行為のおよぶ先を高めて敬意を表す敬語のこと。
例文「お伝えします」「お土産をいただく」「貴社へ伺う」 - 謙譲語Ⅱ = 聞き手に敬意を表す敬語のことで「もうす」「おる」「まいる」「いたす」などがある。
例文「母に申します」「海へ参ります」
ややこしく感じるかもしれませんが「①自分側を低めて相手を高める」か「②話し手に敬意を示すために使う」だと理解しておきましょう。
【出典】文化庁「敬語の指針」
「ご確認いたします」は二重敬語ではない
「ご確認いたします」は二重敬語だという意見があります。
「ご確認する」はすでに謙譲語であり、さらに「する」の謙譲語「いたす」をつかって「ご確認いたす」としているから…
「ご確認する=謙譲語」×「いたす=謙譲語」
「ご確認いたす」は「謙譲語 x 謙譲語」だから二重敬語??
このようなロジックで二重敬語だという意見がでてくるのかと。
ただし答えは「二重敬語ではない」です。
二重敬語とは「ひとつの語におなじ敬語を二回つかうこと」であり敬語のマナー違反です。
たとえば「お伺いいたします」「お伺いする」などが二重敬語の例。「行く」の謙譲語「伺う」をつかっているのに、さらに「お〜いたす」「お〜する」という謙譲語をつかっているためです。
ところが、
「ご確認いたします」は「確認」+「する」という2つの単語から成り立ちます。「確認」を謙譲語には変換せず「お・ご〜いたす」という謙譲語を適用しているため、謙譲語は一回しかつかっていません。
したがって二重敬語ではありません。
よくよく考えてみると…
「ご確認いたします」が二重敬語になるのでしたら、ビジネスメールの結びで必ずといっていいほど使う「お願いいたします」も二重敬語になるはずですよね。
ただし「確認いたします」で十分に丁寧な敬語
じつは「ご確認いたします」という謙譲語は「ご」を省いて「確認いたします」としても謙譲語として成り立ちます。
なぜなら「確認いたします」は、
もとになる単語「確認」に「する」の謙譲語「いたす」をつかい丁寧語「ます」をくっつけた敬語だから。
ビジネスメールでは「(お・ご)〜いたします」といった謙譲語をほんとうによく使います。さらには尊敬語の「お・ご」もたくさん使います。
でこれの何が問題かというと、
「お・ご」だらけのビジネスメールになって読みにくくなってしまうこと。
気持ち悪いメールになってしまいます。
尊敬語「お・ご」とも混同しやすいため「確認いたします」推奨
そもそも「お・ご〜いたします」という謙譲語は尊敬語の「お・ご」と混同しやすいです。間違い敬語と思われても仕方ないのですね。
で、
「ご確認いたします」「確認いたします」どっちを使うべきかの結論としては、文章のバランスを考えて「確認いたします」をメインに使うことをオススメします。
ちなみに私はビジネスメールであろうと電話であろうと「確認いたします」しか使いません。理由は上述したとおり。
謙譲語「お・ご〜します」「(お・ご)〜いたします」
「お・ご〜します」あるいは「(お・ご)〜いたします」はそれぞれセットで覚えておくとよいでしょう。
正確には「お・ご〜する」「(お・ご)〜いたす」が謙譲語なのですが、フツーは丁寧語「ます」をくっつけてさらに丁寧な敬語にします。
結果として
「お・ご〜します」
「(お・ご)〜いたします」
というように謙譲語として使います。(お・ご)と( )にしたのは、あってもなくてもどちらでも敬語としてOKだからです。
※ 二重敬語になる語もありますので十分にご注意ください。
➡︎「お伺いいたします」が間違い敬語である理由、正しい使い方
➡︎「お伺い致します/お伺いします/お伺いさせて頂きます」すべて間違い敬語!
“ご確認させていただきます”使い方は合ってるけど…
「(ご)確認させていただきます」という表現を使うビジネスパーソンをよく見かけます。「〜させていただく」は「させてもらう」の謙譲語なので、敬語の使い方としては合っています。
でも「確認させてもらう」って、あまりにもへりくだり過ぎているような…。
シンプルに「確認する」を謙譲語「いたします」を使って「確認いたします」とすればいいものを。他にも丁寧な表現があるので、私は「確認させていただきます」を使いません。
ですが実際によく使われているのは事実。使うかどうかは、あなたの考えにお任せいたします。
➡︎ 誤用の多い「させていただく」症候群には「いたします」が効く!
➡︎「ご連絡差し上げます」は間違い敬語?意味と正しい使いかた
これにて全ての疑問を解決しました。
あとは「ご確認いたします」のビジネスシーンにおける使い方について、メール例文とともにくわしく見ていきます。
使い方「何かしらの確認をする」
「ご確認いたします」は目上や取引先に、あなたがなにかしらの「確認します!」と言いたいきに使います。
ビジネスシーンではとくに返信メールで「承知しました。ご依頼の件、至急確認いたします」などとして使います。
以下の例文もご参考にどうぞ。
「確認いたします」を使った例文
- ご指摘の件、至急確認いたします(メール冒頭)
- ご迷惑をお掛けしておりまして誠に申し訳ございません。ご指摘の件につき状況を確認の上、報告いたします(メール文中)
- 顧客に確認いたします(メール文中)
ご確認いたします を使ったビジネスメール例文(全文)
つづいて「ご確認いたします」を使ったビジネスメールの例文を挙げていきます。文字通り、何かの報告をするビジネスメールにおいて活躍する表現です。目上の方や取引先に対して使える文章にしていますので、ご参にどうぞ。
※ さきに解説したとおり「ご確認いたします」「確認いたします」のどちらを用いても丁寧です
「アポイント日程調整の返事を催促する」to社外取引先
【to 社外ビジネス取引先】
日程調整メールで社外ビジネス取引先に「返事を催促する」ときのビジネスメール例文。新たにメールを作る必要はなく、もとのメールを転送して作る。
メール件名:転送Fw: 【再送】貴社訪問のお願い(転職・ノマド)
ビジネス 株式会社
研究部 〇〇 様(社外ビジネス取引先)
いつもお世話になっております。転職・ノマドでございます。
さて、先日メールにて送付しておりました貴社訪問お願いの件、その後いかがでしょうか。お忙しいところ大変失礼とは存じますが、確認のため連絡いたしました。
先日のメールを転送いたしますので、ご確認いただければ幸いです。たびたび申し訳ありませんが、ご検討のほど何卒よろしくお願い申し上げます。
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株式会社転職
法人営業部 国内営業課
のまど サラリーマン
〒xxx-xxxx
●●県●●市●●Δ-Δ-Δ
電話:xxxx
FAX:xxxx
E-mail:xxx@xxx
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・過日 は「過ぎ去った日」つまり過去のこと。「先般」「先日」でも言い換えできる。
・おりました は「いる」の謙譲語「おる」に丁寧語の過去形「ました」を組み合わせて敬語にしている。
参考記事
➡︎「お伺いいたします」が間違い敬語である理由、正しい使い方
➡︎「お伺い致します/お伺いします/お伺いさせて頂きます」すべて間違い敬語!
➡︎ 誤用の多い「させていただく」症候群には「いたします」が効く!
➡︎「ご連絡差し上げます」は間違い敬語?意味と正しい使いかた