「ありがたい」の代わりに使える敬語10選、ビジネスメール電話の例文

「ありがたい」「ありがたいです」をビジネスシーンで使うと失礼?

とご心配のあなたへ。

「ありがたい」「ありがたいです」の代わりにビジネスシーン(電話・メール・手紙・文書・社内上司・社外取引先・目上・就活・転職)で使える敬語を紹介。

まずは要点のまとめから。

「ありがたい」「ありがたいです」は失礼?

→ まったく失礼ではないが、誤用すると不快感をあたえる。

感謝の気持ち「ありがたい」は丁寧語「です」と組み合わせて「ありがたいです」とすれば敬語として成り立ちます。

また形容詞であるため「ありがたいお言葉」「ありがたい○○」などのようにも使います。

「ありがたい」という言葉自体は失礼に当たるような言葉ではありません。感謝や嬉しい気持ちを示すときのフレーズとしてはGood。これがビジネスで不適切というのなら「素晴らしい」といった形容詞もNGとなってしまいますね。

とくにビジネス会話ではサラッと使えるフレーズなので重宝します。

ただ、誤用乱用すると相手に不快感をあたえるためご注意を。

とくに、

ビジネスメール・手紙などかしこまった敬語が好まれるシーンで、なぜあえて「ありがたいです」という敬語フレーズを使うのか、意味がわかりません。

ほかにもっと素晴らしい敬語フレーズがあります。くわしくは本文にて。

ざっくりとした解説はこれにて終了ですが、本文では失礼に感じられる「ありがたい」の使い方と、そんなときどう言い換えするかを中心に解説していきます。

「ありがたい」「ありがたいです」意味と使い方

言い換え敬語についてみていく前に、
そもそもの「ありがたい」「ありがたいです」の意味と使い方について少し。

意味

「ありがたい(有り難い)」「ありがたいです(有り難いです)」の意味は…

  1. 人の好意などに対してめったにないことと感謝するさま
    例文「お気持ち、ありがたく頂戴します」
  2. 都合よく事が進んでうれしく思うさま
    例文「ありがたいことに雨がやんだ」
    例文「弊社にとってはありがたくない状況だ」
  3. またとないくらい尊い。もったいない
    例文「ありがたいお言葉」

もともとは、

「有り難い=こんなことめったに無い」という意味の言葉だったのですが、現代では感謝の気持ちを表したり、うれしく思う気持ちをあらわすのに使います。

「ありがたい」を丁寧語「です」とくっつけると「ありがたいです」という敬語になりますね。

「ありがたい」は形容詞なので、「です」をくっつけても差し支えありません。敬語として成り立ちます。

使い方

「ありがたい」「ありがたいです」の使い方は…

  1. 感謝の気持ちをあらわす
    例文「ありがたく頂戴します」
  2. 嬉しい気持ちをあらわす
    例文「とてもありがたいです」
    例文「とてもありがたく存じます」
  3. 恐れ入る気持ちをあらわす
    例文「ありがたいお言葉」
    例文「ありがたい○○」

のようなビジネスシーンで使えます。

ありがたい は正しく使えばまったく失礼じゃない

ここでひとつ注意点を。

「ありがたい」「ありがたいです」は正しく使えばビジネスシーン(電話・メール・手紙・文書・社内上司・社外取引先・目上・就活・転職)にふさわしい敬語フレーズとなります。

「ありがたい」は目上のヒトに失礼だ!!

みたいな勘違いしたウェブサイトがおおいので念のため。

間違っている敬語解説サイトにあえてツッコミを入れるようなことはしませんが、もし「ありがたい」がビジネスシーンにふさわしくないフレーズであるのなら、その根拠を示してほしいのですよね。

根拠も無く「使わないほうがいい!」としている人々ってホント頭悪いなぁって思います。

「ありがたい」がビジネスで不適切というのなら「素晴らしい」といった形容詞もNGとなってしまいますね(笑)。

そういうわたしも言語学者でもなんでもなくって、ただのおっさん営業マンなのですけが…偉そうなコメントすみません…

ということなので、失礼に感じられる「ありがたい」の使い方と、そんなときどう言い換えする?を中心に解説していきます。

ビジネスシーンで「~してくれたら ありがたい」としたい時の言い換え敬語

①感謝・②嬉しい気持ち・③恐れ入る気持ちをあらわす「ありがたい」「ありがたいです」

まずはよくある、

「ありがたい」のビジネスシーンにふさわしくない使い方として、

「~してくれたらありがたいです」というのがあります。

ビジネスシーンで「~してくれたらありがたいです」のようにお願いするのは上から目線に感じられてしまうため、言い換え敬語を使いましょう。これが失礼に感じる理由は冒頭でも述べたとおり、もっと丁寧な言い換え敬語があるからです。

それでは言い換えを紹介していきます。

①~いただければ幸いです

お願い・依頼「~してくれたらありがたいです」の代わりにビジネスシーン(電話・メール・手紙・文書・社内上司・社外取引先・目上・就活・転職)で使える敬語フレーズ。

  • 言い換え例文①~いただければ幸いです
意味は『~してもらえたら嬉しいなぁ、幸せだなぁ』で、「~」のところに依頼や頼み事がはいります。

敬語は以下のように成り立ちます。

  • 「いただければ」は「もらう」の謙譲語「いただく」+可能形+仮定の「~れば」
  • 「幸いです」は「幸い」+丁寧語「です」

使い方はたとえば、

「ご承認いただければ幸いです」とすれば「承認してもらえれば嬉しいなぁ」の意味になりますし、「ご連絡いただければ幸いです」とすれば「連絡してもらえれば嬉しいなぁ」の意味になります。

お願いに使うフレーズとしてはもっとも丁寧な敬語です。「ありがたい気持ち」もちゃんと「幸いです」と言い換えることによって再現していますね。

他にもビジネスシーンで使える例文は以下のとおり。

– 使い方・例文 –

  • 何かを頼むときのビジネスメール結び
    例文『ご連絡いただければ幸いです』
    例文『ご確認いただければ幸いです』
    例文『ご教示いただければ幸いです』
    例文『ご意見いただければ幸いです』
    例文『ご指示いただければ幸いです』
    例文『お力添えいただければ幸いです』
  • 電話で取引先・上司に伝言を頼むときのビジネスシーン
    例文『○○様に外出から戻った旨、お伝えいただければ幸いです』
    例文『○○様に転職会社・ノマドから電話があった旨、お伝えいただければ幸いです』
    例文『○○様に~~とお伝えいただければ幸いです』

「いただければと存じます」「いただきたく存じます」との違いは、「幸いです」をつかうかどうかにあります。「いただければ幸いです」がもっとも丁寧な敬語となりますが、上司に使うにはちょっと大げさな表現かもしれません。

いずれにせよ、何を使っても丁寧な敬語です。

その他の言い換え敬語3つ

お願い・依頼「~してくれたらありがたいです」の代わりにビジネスシーン(電話・メール・手紙・文書・社内上司・社外取引先・目上・就活・転職)で使える敬語フレーズ。

あとは、以下のような言い換えがあります。

  • 言い換え例文②~いただければと存じます
    意味は『~してもらえたらと思います』で、「~」のところに依頼やお願いがくる
    「いただければ」は「もらう」の謙譲語「いただく」+仮定の「れば」
    「存じます」は「思う」の謙譲語「存じる」+丁寧語「ます」
  • 言い換え例文③~いただきたく存じます
    意味は『~してほしいと思います』で、「~」のところに依頼やお願いがくる
    「いただきたく」は「もらう」の謙譲語「いただく」+願望の「~たい」
    「存じます」は「思う」の謙譲語「存じる」+丁寧語「ます」
  • 言い換え例文④~いただきますよう/~くださいますよう
    意味は『~してもらえるよう/~してくれるよう』で、「~」のところに依頼やお願いがくる
    「いただく」の意味は「(自分が)もらう」であり、「もらう」の謙譲語
    「くださる」の意味は「(相手が)与える・くれる」であり、「くれる」の尊敬語
    ※ビジネス敬語としては謙譲語「いただく」をつかうのが一般的。ただしホントは尊敬語「くださいますよう」が正しい使い方。

頂く(いただく)は間違い敬語?おかしい謙譲語に感じる理由、使い方

ただし、
これらの例文は「ありがたい」気持ちを表していないためご注意を。

他にもビジネスシーンで使える例文は以下のとおり。

– 使い方・例文 –

  1. 何かを頼むときのビジネスメール結び
    ・例文『ご連絡(を)いただければと存じます』
    ・例文『ご確認(を)いただきたく存じます』
    ・例文『ご教示(を)いただきますようお願い申し上げます』
    ・例文『ご意見(を)くださいますようお願い申し上げます』
    ・例文『ご指示(を)いただければと存じます』
    ・例文『お力添え頂ければと存じます』
  2. 電話で取引先・上司に伝言を頼むときのビジネスシーン
    ・例文『○○様に外出から戻った旨、お伝えいただければと存じます』
    ・例文『○○様に転職会社・ノマドから電話があった旨、お伝えいただきたく存じます』
    ・例文『○○様に~~とお伝えいくださいますようお願いします』
(を)としたのは、日本語としては「連絡をもらう=ご連絡をいただく」という使い方をしても問題ないから。でもビジネス敬語としては「ご連絡いただく」という使い方をするのが一般的です。以降はすべて省略します。

ビジネス電話で「~してくれたら ありがたいです」と言いたい時に使える敬語フレーズ

ここまではビジネスメール・文書でよく使う依頼の敬語フレーズを紹介してきました。ただ、これをそのまま会話や電話で使うと堅苦しい敬語となってしまいます。

そこで、社内外のビジネス会話や電話で「~してくれたらありがたいです」とお願いするときのフレーズもまとめておきます。

~していただけますか?~していただきますでしょうか?

ビジネス会話や電話で何かを「~してくれたらありがたいです」とするときの敬語。

  • 言い換え例文「~していただけますか?」
  • 言い換え例文「~していただけますでしょうか?」
意味は「~してもらえますか?」。「もらう」の謙譲語「いただく」を使って敬語にしています。

使い方はたとえば、上司に何かをしてもらいたいとき。「顧客Aにご同行いただけますか?」とすれば「顧客Aの訪問に同行してほしい」という意味の丁寧な敬語となります。

ほかにもたとえば、以下のような使い方をします。

– 使い方・例文 –

  1. 商談で取引先に「〜してもらえますか?」と質問する
    例文「よろしければ、価格改定を打ち出す背景につきご教示いただけますか?」
    例文「よろしければ、お手元の資料をいただけますか?」
    例文「○○様に~~の旨お伝えいただけますか?」
  2. 電話で取引先・上司に伝言を頼むときのビジネスシーン
    例文『○○様に外出から戻った旨、お伝えいただけますか?』
    例文『○○様に転職会社・ノマドから電話があった旨、お伝えいただけますか?』
    例文『○○様に~~とお伝えいただけますか?』
【敬語の補足】
・いただけますか? は「いただけますでしょうか?」とするとより丁寧。ただしバカ丁寧となるリスクあり。
・お伝え願えますか? も伝言する際によく使われる。

ありがたいと思う の言い換え敬語

①感謝・②嬉しい気持ち・③恐れ入る気持ちをあらわす「ありがたい」「ありがたいです」

つづいて、

「ありがたい」のビジネスシーンにふさわしくない使い方として、

「ありがたいと思う」というのがあります。

ビジネスシーンで感謝の気持ちをあらわすには、もう少し丁寧な敬語にしましょう。「ありがたいと思う」でも失礼ではありませんが、もっと素晴らしい敬語があります。

それでは紹介していきます。

ありがたく存じます

感謝「ありがたいと思う」の代わりにビジネスシーン(電話・メール・手紙・文書・社内上司・社外取引先・目上・就活・転職)で使える敬語フレーズ。

  • 言い換え例文「ありがたく存じます」
意味は『ありがたいと思う』で、「思う」の謙譲語「存じる」+丁寧語「ます」をつかって敬語にしています。

使い方はたとえば、

「もったいないお言葉、ありがたく存じます」とすれば「もったいない言葉をもらいありがたいと思う」の意味になります。

ありがたく頂戴します(頂きます)

感謝「ありがたいと思う」の代わりにビジネスシーン(電話・メール・手紙・文書・社内上司・社外取引先・目上・就活・転職)で使える敬語フレーズ。

  • 言い換え例文「ありがたく頂戴します」
  • 言い換え例文「ありがたく頂きます」
意味は『ありがたくもらいます』。ここで「いただきます」は「もらう」の謙譲語+丁寧語「ます」をつかって敬語にしています。

使い方は、

なにかをもらったときに感謝の気持ちを表すビジネスシーン。たとえばお土産をもらったときのお礼などいろいろありますね。

これを失礼だと解説する敬語サイトがあるのは意味不明。まったく失礼ではなく、むしろ丁寧な敬語フレーズですね。

恐れ入ります/恐縮です

感謝「ありがたいと思う」の代わりにビジネスシーン(電話・メール・手紙・文書・社内上司・社外取引先・目上・就活・転職)で使える敬語フレーズ。

  • 言い換え例文「恐れ入ります」
  • 言い換え例文「恐縮です」
意味は『申し訳なく思うのですが・恐れ多いのですが』で、依頼や頼み事の前につけてクッション言葉として使います。
「ありがたい」は「恐れ入る気持ち」を表すときにも使えるため、ビジネスシーンによっては「恐れ入る」をつかうほうがよいケースあり。

たとえば、

『お忙しいところ恐れ入りますが(恐縮ですが)』とすると意味は『忙しいところ申し訳なく思うのですが…』という相手を気づかうフレーズになります。

こんなときに、

「お忙しいところありがたく存じますが、~」とは決して使いませんね。

他にもビジネスシーンで使える例文は以下のとおり。

  • 例文『(お忙しいところ)恐れ入りますが、ご連絡いただければ幸いです。』
  • 例文『(お忙しいところ)恐縮ですが、同上』
  • 例文『(お忙しいところ)恐縮ではございますが、同上』
「誠に恐れ入りますが」「大変恐れ入りますが」とすると、より申し訳ない気持ちが表れる。

「お忙しいところ恐れ入りますが」意味と正しい使い方

光栄です

光栄の意味は「名誉に思うこと」

「ありがたい」とは少し違いますが類語というか言い換えできるケースもあり。

  • 例文「身に余るお言葉をいただき至極光栄に存じます・でございます」
  • 例文「このたびはノーベル賞をいただき至極光栄に存じます・でございます」
  • 例文「○○の賞をいただき至極光栄に存じます・でございます」

「至極光栄」意味と目上・ビジネスにふさわしい使い方、例文

その他の言い換え敬語

感謝「ありがたいと思う」の代わりにビジネスシーン(電話・メール・手紙・文書・社内上司・社外取引先・目上・就活・転職)で使える敬語フレーズ。

あとはフツーにお礼するときに使う敬語フレーズもありますね。

以下をご参照ください。

  1. 言い換え例文「ありがとうございます」
  2. 言い換え例文「深謝いたします」
  3. 言い換え例文「厚くお礼申し上げます」
  4. 言い換え例文「感謝申し上げます」

こんなときどうする?最適な敬語フレーズをシーンごとに

いろいろと情報が散らかってきたのでここで中間まとめ。

ビジネスシーンごとにどの敬語フレーズを使うべきか、という点につき整理しておきます。

  1. 電話や会話であれば…
    「恐れ入りますが、~していただけますか?」
    「よろしければ~していただけますでしょうか?」
    「大変申し訳ないのですが~していただけますでしょうか?」
  2. ビジネスメールであれば…
    「大変お手数おかけいたしますが、○○につきご対応いただければ幸いです」
    「大変お手数おかけいたしますが、○○につきご確認いただければ幸いです」
    「大変お手数おかけいたしますが、○○につきご連絡いただければ幸いです」
    「恐れ入りますが、○○につきご了承いただければ幸いです」
よろしければ は「よかったら」の意味。依頼をやわらげるクッションフレーズとして使える。
上記の使い分けはあくまでも目安としてお考えください。自分と相手のポジションによって使うべき敬語は変わります。

お願い・依頼 をより丁寧にするクッション敬語