「保管いただけますでしょうか?」意味と使い方・メール例文

ビジネスメールに「保管いただけますでしょうか」は使える?

そもそも二重敬語/間違い敬語じゃないの?

もっと丁寧な敬語ってなに?

とご心配のあなたへ。

ビジネスにおける「保管いただけますでしょうか?」はとくに商談や電話対応で使われる敬語。

二重敬語ではありませんし、間違い敬語でもありません。

100%正しい敬語です。

もちろん、

ビジネスメールに使ってもまったく差し支えありません。

そもそもの意味や正しい敬語であるという根拠、よりビジネスメールにふさわしいカチッとした言い換え敬語など、くわしくは本文にて。

※長文になりますので「見出し」より目的部分へどうぞ

この記事の目次

意味

「保管いただけますでしょうか」は「保管してもらえますか?」という意味。

なぜこのような意味になるのか?
そもそもの意味と敬語について順をおって解説していきます。

“保管の意味は「保存・管理すること」

保管(ほかん)の意味は・・・

「物品を預かって、傷つけたり失ったりしないように保存・管理すること」

【例文】この資料は10年間保管しなければならない

【例文】保管していた忘れ物を廃棄する

“保管いただける”の意味は「保管してもらえる」

まずは前半部分。

「保管いただける」の意味は…

「保管してもらえる」と解釈できます。

“保管”のもとになる単語は”保管”であり、「〜してもらう」の謙譲語「お(ご)~いただく」をつかって敬語にしています。

「いただける」の部分は謙譲語「いただく」の可能表現をつかっています。可能の表現をつかっているので意味としては「〜してもらえる」となります。

おなじような可能の表現にはたとえば、

「泳ぐ → 泳げる」
「書く → 書ける」
「聞く → 聞ける」

などあり。どれも「〜できる」という意味になりますね。

ちなみに”保管”の「お(ご)」の部分は向かう先を立てるためにつかう敬語であり謙譲語の「お(ご)」です。余談ですが尊敬語にも「お(ご)」の使い方があり混同しがち。

むずかしく感じるかたは「お(ご)●●いただく」のセットで謙譲語とおぼえておきましょう。

ただし「ご保管いただく」だと気持ちわるいので、ここでは「お(ご)」を省きました。

「ますでしょうか」ってどんな意味?

“保管いただけますでしょうか?”の「ますでしょうか」ってどんな意味でしょうか?

「ますでしょうか」は”①ます”+”②でしょうか“という2つの単語からなります。

  • “①ます”はシンプルに丁寧語の「ます」であり深い意味はなく、
  • “②でしょうか”は「〜だろうか?」の丁寧語

これらをあわせると「〜ますでしょうか?」の意味は「〜だろうか?」と解釈できます。

この「②でしょうか」は「不明・不確かなことを問い掛ける意を表す」の意味でつかいます。

たとえば、

  • 【例文】このカツラは部長のものでしょうか?→「部長のものだろうか?」の意味
  • 【例文】今日のオカズは何でしょうか?→「何だろうか?」の意味
  • 【例文】つまり、私をクビにするということでしょうか
  • 【例文】本日はお休みでしょうか?→「休みだろうか?」の意味

などあり。

ちなみに、

「保管いただけましたでしょうか?」と過去形にすると「すでに保管してもらえただろうか?」という催促・確認のフレーズになります。

あわせると意味は「保管してもらえるだろうか?」

  1. 保管 = 保管すること
  2. お(ご)~いただける = 「〜してもらえる」の意味の敬語(謙譲語)
  3. ます = 丁寧語であり深い意味はない
  4. でしょうか =「〜だろうか?」という意味の敬語(丁寧語)

これらの単語を合体させて意味を考えます。

すると「保管いただけますでしょうか」の意味は…

「保管してもらえるだろうか」

「保管してもらえるでしょうか」

のように解釈できます。

ようするに「保管してほしい!」「保管してください!」というあなたの希望をあらわしているのですが、このままではあまりにストレート過ぎて目上や上司に使うにはイマイチです。

そこで遠まわしに「~してもらえますでしょうか?」として、とてもやわらか~いお願いの敬語フレーズにしています。

そんなに丁寧にお願いする必要あるの?って思うくらい。

目上・上司にはもちろんのこと社外取引先にもつかえる丁寧な敬語フレーズですね。

ただし「ご保管いただく」だと気持ちわるいので、ここでは「お(ご)」を省きました。以降はすべて省略します。

丁寧語「ますでしょうか」は二重敬語ではない

ところで「ますでしょうか」って二重敬語なのでしょうか?

「ます」は丁寧語であり、さらに「でしょうか」という丁寧語をくみあわせるから二重敬語だ、という意見があります。

答えは「二重敬語ではない」です。

「~いただけますでしょうか」は「①いただける」「②~だろうか?」という2つの単語にそれぞれ丁寧語をつかっています。

  • “①いただける”に丁寧語”ます”で「いただけます」
  • “②〜だろうか?”の丁寧語「〜でしょうか?」
  • すべてをあわせると「いただけますでしょうか」という敬語となる

→ 2つの単語にそれぞれ丁寧語をつかっているため二重敬語ではない。

(二重敬語とはひとつの語におなじ種類の敬語を二回つかうこと

よくよく考えてみると…

「保管いただけますでしょうか」が二重敬語になるのでしたら、ビジネスメールの結びで必ずといっていいほど使う「お願い致します」や「お願い申し上げます」も二重敬語になるはずですよね。

「保管してもらえるだろうか?」を敬語にしているため正しい

二重敬語かどうかをチェックする時はもともとの文章を考えるとすぐにわかります。

「保管いただけますでしょうか?」

のもとになる文章は…

「保管してもらえるだろうか?」です。

これまで見てきたように、それぞれの単語に敬語をつかっているため二重敬語にはならないのです。

そもそも二重敬語とは?よくある間違い敬語

で先ほど、

よくある二重敬語のたとえとして「お伺いする」「お伺いいたす」があるとしました。

なぜ二重敬語といえるのか?これらのもとになる文章を考えてみましょう。

「伺う」は「行く・聞く・たずねる」の謙譲語ですので、これらが原文となります。

  • 「お伺いする」の元になる文章は「行く・聞く・たずねる」
  • 謙譲語「伺う」
  • さらに謙譲語「お~する」「お~いたす」

もとになる語「行く・聞く・たずねる」に謙譲語を2回つかっていますね。ひとつの語に同じ種類の敬語を2回つかうことが二重敬語であり、敬語のマナー違反になります。

【使い方】保管してほしい!と伝えるビジネスシーン

「保管いただけますでしょうか」の使い方は…

意味のとおりで何かしら「保管してほしい!と言いたいビジネスシーンに使います。

①おもに会話・電話対応シーンで使われる

「保管いただけますでしょうか」の使い方その1

「保管いただけますでしょうか」にかぎらず「〜いただけますでしょうか?」という表現はビジネスメールよりも、どちらかというと電話対応や商談・会話シーンで多くつかいますね。

だからと言ってメールにつかったら失礼とかではなく、ビジネスメールでもまぁ違和感はありません。

ようするに上司や目上・社外取引先に「保管してほしい!」と言いたいビジネスシーンであればたいていは使えます。

②ビジネスメールにも使えるけど…

「保管いただけますでしょうか」の使い方その2

わたし個人としてはビジネスメールに「保管いただけますでしょうか?」のような疑問文をつかうのがあまり好きではありません。

そこで、

  • 【例文】保管をお願い致します
  • 【例文】保管いただきたく存じます
  • 【例文】保管いただきたく、お願い致します
  • 【例文】保管いただければと存じます
  • 【例文】保管いただければ幸いです

など、自分の意思や願望をつたえる敬語を代わりにえらびます(下の例文ほど丁寧な敬語になります)

いっぽうで電話対応や会話では「〜いただけますでしょうか?」や「〜いただけますか?」を多用します。

これは好みで分かれるところ。

おっさん営業マンのたわ言だと思ってスルーしてもらっても構いません。

まぁとにかく、

「〜いただけますでしょうか?」はシーンをえらばずに使える、とても便利な敬語フレーズ。

上司や目上など社内に限らず、取引先など社外にも使える丁寧な敬語ですね。

【敬語の補足】

・「幸いです」は「嬉しいです」の意味

・「存じる」は「思う」の謙譲語

・「いただきたく」は謙譲語「いただく」+希望「~したい」

・「いただければ」は謙譲語「いただく」+可能形+仮定「たら・れば」

③保管いただきますでしょうか?とは言わない

「保管いただけますでしょうか」の使い方その3

きわめて初歩的なことですが…

「保管いただますでしょうか?」は使えません。

“〜してもらう”の敬語「お(ご)〜いただく」に丁寧語「ます」を組み合わせると「いただきます」というフレーズの完成。

そう考えると「保管してもらうだろうか?」という意味不明な敬語になってしまいます。

相手にお願いしたいのに「保管してもらう」ことを前提にして話を進めてしまっています…

敬語としては正しいのですが日本語としておかしなことになりますね。

そこで、

「保管いただますでしょうか?」というように「保管してもらえるだろうか」という意味の敬語にする必要があるのです。

ちなみに、

「お(ご)〜いただきます」をどうしても使いたいのでしたら「保管いただきますようお願い致します」とすれば正しい敬語になります。

④保管いただくことは可能でしょうか?でもいいけど…

「保管いただけますでしょうか」の使い方その4

あとはよく使われる敬語として「保管いただくことは可能でしょうか?」もあります。

これも好みの問題ですが…わたしはオススメしません。

「保管いただけますでしょうか?」は「保管してもらえるだろうか」つまり「保管してもらうことは可能でしょうか?」という意味です。

「保管いただくことは可能でしょうか?」とまったくおなじ意味なのですよね。

ということで、わざわざ長ったらしい文章にする必要などなく「保管いただけますでしょうか?」でいいのです。

常にシンプルな敬語をつかうことをオススメします。

ただし「保管いただくことは可能でしょうか?」を目上につかっても失礼にはあたりません。あなたの好みの問題です。

“頂けますでしょうか vs 頂けましたでしょうか?”の違い

ところで…

現在形「保管いただけますでしょうか?」だけでなく

過去形「保管いただけましたでしょうか?」という敬語もよくつかわれます。

ここでは過去形にしたときの意味の違いについて簡単に。

保管いただけますでしょうか?は依頼・お願いフレーズ

すでに見てきたとおり、

  • 「保管いただけますでしょうか?」は現在形であるため保管してもらえるだろうか?」というお願い・依頼のフレーズになります。

なんども説明しているとおりで要するに「保管してほしい」「保管してください」と言いたいときにつかう丁寧な敬語フレーズですね。

保管いただけましたでしょうか?は確認・催促フレーズ

いっぽうで、

  • 「保管いただけましたでしょうか?」と過去形をつかうと「すでに保管してもらえただろうか?」「もう保管しただろうか?」という催促や確認の意味でつかわれます。

過去形にすると「すでに保管したか?」「保管したのか?」と言いたいときにつかう丁寧な敬語フレーズになります。

ということで、それぞれまったく違う意味になりますのでご留意ください。

シンプルに”保管いただけますか?”でも丁寧

「保管してもらえますか?」とお願い・依頼したいときに使える丁寧な敬語。

「保管いただけますでしょうか」だけでなく…

保管いただけますか?」という敬語もよくつかいますね。

“いただけますか vs いただけますでしょうか”の違い

「保管いただけますか?」vs「保管いただけますでしょうか?」の意味と違い。

どちらも言いたいことは結局のところ「保管してほしい!」なのですが…

敬語と意味の違いあり。

  • “保管いただけますか?”だと意味は「保管してもらえるか?」
    →敬語は謙譲語「お(ご)〜いただく」の可能形+丁寧語”ます”

vs.

  • “保管いただけますでしょうか?”だと意味は「保管してもらえるだろうか?」
    →敬語は謙譲語「お(ご)〜いただく」の可能形+丁寧語”ます”+“だろうか”の丁寧語でしょうか

というように意味と敬語の使い方が違います。

が、

結局のところ言いたいことはどちらも全く同じなわけです。

で、どちらを使うかは結局のところあなたの好み。

「〜いただけますでしょうか?」のほうが丁寧な表現ではありますが、バカ丁寧だという意見もあるため「〜いただけますか?」でも差し支えありません。

保管いただけますでしょうか?のほうが丁寧

「保管してもらえるか?=保管いただけますか?」

よりも”だろうか?”をつかって、

「保管してもらえるだろうか?=保管いただけますでしょうか?」

としたほうが丁寧な印象のフレーズとなります。

理由は意味を考えるとよくわかるのですが、

  • ①保管いただけますか=保管してもらえるか?

だと相手の事情はおかまいなしに、より直接的に依頼していることになります。

いっぽうで、

  • ②保管いただけますでしょうか=保管してもらえるだろうか?

だと相手に保管してもらうことが決まっているわけでは無いため「保管してもらえるだろうか?」と確かめる意味で「〜でしょうか?」を入れて回りくどい言い方をしています。

ビジネスでは回りくどい敬語であればあるほど丁寧だとみられる傾向にあります。

(本質的には間違っているのですが事実なので仕方ないですね…)

ということでどちらが丁寧かは明白です。

ホントに些細なことなので誰も気にしないのでしょうけど…

まぁ結論としては、

敬語の使い方や意味に違いはあれど、どちらもひとしく丁寧な敬語であり目上・上司・社外取引先につかえるフレーズです。

ひとつのオプションとしてお好みでお使いください。

使い分けの例

ちなみに、おっさん営業マンのわたしは相手やシーンによってつかう敬語を変えます。

社外取引先には「保管いただけますでしょうか?」をつかい、

上司や社内の目上には「保管いただけますか?」をつかうといった感じ。

あるいは、

かなり頼みづらいようなことを依頼するときには相手が誰であろうと「保管いただけますでしょうか?」をつかいますね。

※おっさん営業マンのたわ言だと思って無視していただいて構いません。

敬語の解説

保管いただけますか?

の敬語の成り立ちとしては…

  • “保管”に「〜してもらう」の謙譲語「お(ご)〜いただく」で「保管いただく」
  • 可能形にして「保管いただける」
  • さらに丁寧語”ます”で「保管いただけます」
  • 疑問形にして「保管いただけますか?」

“〜だろうか”の丁寧語「〜でしょうか」を使うと「保管いただけますでしょうか?」

どちらの表現も謙譲語をうまくつかい、このうえなく丁寧な敬語フレーズとなっていることがわかります。

したがって上司・目上・社外取引先につかえる素晴らしい敬語、と言えるでしょう。

ビジネスメール・会話シーン例文

こうして長々と読んでいてもイメージがつかみにくいかと思いますので、より実践的に。

ここでは「保管いただけますでしょうか?」の使い方をビジネスメール例文でご紹介。

どれも目上・上司・取引先にふさわしい丁寧な敬語にしています。ご参考にどうぞ。

なお繰り返しにはなりますが…

とくにビジネスメールにおいては以下の敬語もオススメです。

① それなりに丁寧「保管くださいませ」「保管をお願い致します」

② 丁寧「保管いただければと存じます」

③ かなり丁寧「保管いただければ幸いです」

④ とくにビジネスメール結び/文末につかう

「保管いただきますようお願い申し上げます」

「保管くださいますようお願い致します」

「保管のほどお願い致します」

会話シーン例文①何かしら保管してほしい

  • 【例文】書類を保管いただけますでしょうか?
  • 【例文】資料を保管いただけますでしょうか?
  • 【例文】サンプルを保管いただけますでしょうか?

※「すでに保管しましたか?」と催促・確認するときは過去形「保管いただけましたか?」「保管いただけましたでしょうか?」とすると丁寧。

ビジネスメール例文①保管のお願い返信メール(社外)

メール件名:返信Re: 郵便物到着のご連絡

株式会社ビジネス
営業部 ●●様

いつもお世話になっております。

郵便物の件、承知いたしました。

出張で今週末まで不在にしており、8月18日の18時頃に引き取りに参ります。

大変申し訳ありませんが、それまで保管いただけましたら幸いです。

何卒よろしくお願い申し上げます。

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メール署名
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ビジネスメール例文②保管のお願い返信(社内)

メール件名:返信Re: 宛先間違い郵便物のご連絡

営業部 ●●さん (社内目上)

お疲れ様です。

郵便物の件、承知いたしました。

それでは明日オフィスに戻り次第に貴部署へ伺い、お引き取りいたします。

大変お手数ではございますが、しばし保管いただきますよう宜しくお願い致します。

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メール署名
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ビジネスメール例文③保管してもらう(社外)

メール件名:書類保管のお願い

ビジネス倉庫
業務部 xx部長 (社外取引先)

大変ご無沙汰しております。
(株)転職・ノマドでございます。

さて標記の件、ISO規定にて保管が義務付けられております書類を貴社xx倉庫へ発送いたしました。

つきまして従来と同様6年間保管いただきたく、お取り計らいの程お願い申し上げます。

以上

ご不明な点等ございましたら何なりとお申し付けください。
宜しくお願い致します。

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メール署名
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参考記事

他にもある丁寧な言い換え敬語