「至らない点も多々あるかと思いますが」意味と敬語での正しい使い方

【使い方】挨拶(新任・着任・年賀状)

まずよく使うのは、新任の挨拶、新卒の配属挨拶、年賀状の挨拶など。

新しい仕事をスタートするわけなので、相手が目上(上司)であろうと目下(部下)であろうと、全員があなたにとっての先輩になります。

そこで「至らない点も多々あるかと思いますが」で「(新しい仕事に対して)未熟の部分が多い私ですが…」と自分を謙遜して使います。これは自分のポジションが役員であろうと、部長であろうと、新卒の社員であろうと使えます。

ここでの「至らぬ・至らない」は「人生において未熟」という意味ではなく「仕事において未熟」との意味です。

◎「至らない点も多々あるかと思いますが」の例文:

  • 例文「至らぬ点も多々あることと存じますが、今後ともよろしくお願い申し上げます」新任挨拶スピーチ・メール結び
  • 例文「至らない点も多々あるかと思いますが、今後ともご指導ご鞭撻のほど、何卒よろしくお願い申し上げます」上司への年賀状、結び
    ▼「思います」より「存じます」の方が丁寧。

【使い方】挨拶(結婚式)

結婚式など、お祝いのシーンでもよく使われるのが「至らない点も多々あるかと思いますが」。

ここで使われる時の意味は、「世間的にまだまだ未熟者であり、〜」として自分を謙遜(けんそん)し、そのあとに「指導をお願いしたい、支援をお願いしたい」または「お許しください」と続きます。

自分を謙遜する目的で使うため、相手が目上・目下どちらであろうと関係ありません。

◎「至らない点も多々あるかと思いますが」の例文:

  • 例文「至らぬ点が多々あったかと存じますが、めでたい席に免じて何卒ご容赦いただければ幸いです」結婚式の両親スピーチ
  • 例文「至らない私どもですが、今後ともご指導を賜りますようお願い申し上げます」結婚式の新郎スピーチ

【使い方】お詫び・謝罪文

「至らない点も多々あるかと思いますが」とは違うのですが、もとになる「至らない・至らぬ」は謝罪やお詫びのビジネスシーンでも使われます。

ここでは相手に迷惑をかけたことに対して「自分が至らなかったばっかりに…」つまり、「自分が未熟者であったばっかりに…相手に迷惑をかけてしまった、申し訳ない」という意味で使います。

自分が「至らなかった」結果、相手に迷惑をかけてしまった。

自分が「至らなかった」ことを詫びる。

のようにして使うとよいでしょう。例文でご確認ください。

◎「至らない・至らぬ」の例文:

  • 例文「至らぬ点が多くご迷惑をおかけし、誠に申し訳ございません」メール
  • 例文「至らぬ結果となりましたこと、深くお詫びを申し上げます」メール
  • 例文「至らないばかりに大変失礼いたしました。心よりお詫びを申し上げます」会話・電話
  • 例文「至らない点ばかりで申し訳ございません」会話・電話
  • 例文「至らない点が多々あり、皆様にご心配やご迷惑をおかけしたこと、この場をお借りしてお詫び申し上げます」謝罪会見

【使い方】その他

  • 例文「至らぬ点がありましたら、ご指摘いただければ幸いです」(メールの結び)
    ▼「ありましたら」より「ございましたら」の方が丁寧です。

使うときの注意点

  • 注意①「至らぬ」「至らない」はどちらを用いても構いません。
  • 注意②「至らぬ点も」「至らぬ点が」はどちらを用いても構いません。文章のバランスを考え、声に出して読み易い方を使いましょう。
  • 注意③丁寧度は相手の立場と自分の立場を比べ、よく考えて使いましょう。

【言い換え】「至らない点」の類語

つづいて「至らない点・至らぬ点」の類語や言い換えについてまとめます。

  • まだまだ未熟者ではございますが、
    ▼「未熟な点」は一般的な使い方ではない
  • 配慮に欠ける点
  • 思慮不足であったこと、
  • 配慮不足であったこと、
  • 配慮が足りず、
  • 気が利かず、
  • 気の利かない点があり、
  • 気配りが十分でなく、
  • 気配りが不十分で、
  • 気配りが足りず、
  • 配慮が十分でなかったこと、
  • 配慮が不十分であったこと、

ビジネスシーンではNG!使えない類語

「至らない点・至らぬ点」の類語ではありますが、ビジネスシーンでは使わない類語をまとめておきます。

  • 幼稚な
  • 下手な
  • 見劣りする
  • アマチュア
  • 安っぽい
  • 低レベルの
  • 拙い
  • マズい
  • 下手くそな
  • 出来が悪い
  • 不出来な
  • 素人っぽい

【例文】「至らない点も多々あるかと思いますが」ビジネスメール

最後に「至らない点も多々あるかと思いますが」を使ったビジネスメールの例文を挙げていきます。

先にも述べた通り「思いますが」の部分は謙譲語「存じる」+丁寧語「ます」を使って、「存じますが」とした方が丁寧な敬語です。

そこで例文でも「至らない点も多々あるかと存じますが」としています。

【例文】新しい配属先へ異動の挨拶

メール件名:異動のご挨拶

人事部
転職 部長

突然の連絡にて大変失礼いたします。

この度、人事部・人材育成課・課長へ
人事異動を命ぜられました就活太郎です。

4月1日よりお世話になる予定ですので、
何卒よろしくお願い致します。

これまで東京本社・営業部で10年勤務しており、
人事部への勤務は初めての経験となります。

至らない点も多々あるかと存じますが、
ご指導・ご鞭撻、ならびにご協力のほどお願い申し上げます。

メール署名

【例文】新卒・配属の挨拶(関係する部署へメール)

メール件名:配属のご挨拶(営業部・就活太郎)

資材課
転職 課長

突然の連絡にて大変失礼いたします。

この度、4月1日付にて営業部・営業課へ配属を命ぜられました
就活太郎と申します。

営業課では生産管理を担当することとなりましたので、
ご挨拶申し上げます。

大学を卒業したばかりではありますが、
一日も早く事業に貢献できるよう、仕事に邁進して参ります。

至らぬ点も多々あるかと存じますが、
ご指導・ご鞭撻、ならびにご協力のほどお願い申し上げます。

メール署名

まとめ

今回はこれでもかというくらい「至らない点も多々あるかと思いますが(存じますが)」について語ってみました。

これはとても便利な表現で、さまざまなビジネスシーンで活躍します。

ぜひ、ありとあらゆる場面を経験し、使い倒してください。頭でどうこうなるものではないので、ビジネスシーンで場数を踏んでくださいね。ではでは~~。

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『「至らない点も多々あるかと思いますが」意味と敬語での正しい使い方』へのコメント

  1. 名前:カルロ 投稿日:2018/09/27(木) 00:05:16 ID:e5ddf731c 返信

    言い訳をされて、よろしくと言われても違和感しか感じないのですが、如何でしょうか。「至らぬ点があると思いますが、よろしくお願いします。」に違和感を感じます。「至らぬ点があるかと存じますが、精いっぱい頑張りますので、よろしくお願いします。」が正確な言葉ではないでしょうか?如何なのでしょう。前の文章では、至らぬ点があって当たり前でしょ?という上から目線な気がして仕方ないのです。文面のプロとしてご指導ください。