① お引き立て(読み:おひきたて)
② ご愛顧(読み:ごあいこ)
③ ご高配(読み:ごこうはい)
の意味、違い、使い分け、ビジネスシーン(メール・手紙・文書・社内上司・社外・目上・就活・転職)にふさわしい使い方について。
ビジネスメールの例文つきで誰よりも正しく解説する記事。
この記事の目次
お引き立て/ご愛顧/ご高配の意味
まずは意味のまとめから。
「お引き立て」の意味は「ひいきにすること」「ご愛顧」
お引き立て(読み:おひきたて)の意味は「ひいきにすること」「引き立てること」「ご愛顧」
「お引き立て」のもととなる単語は「引き立て」であり尊敬語or謙譲語の「お(ご)」をつかって敬語にしています。
「引き立てる」という動詞が元になる語となっており、「自分は引いて」「相手を立てる」つまり、「ひいきにすること」のような意味として考えるのが妥当となります。
「ご愛顧」の意味は「ひいきにすること」「お引き立て」
ご愛顧(読み:ごあいこ)の意味は「ひいきにすること」「お引き立て」
「ご愛顧」のもととなる単語は「愛顧」であり尊敬語or謙譲語の「お(ご)」をつかって敬語にしています。
「顧」には「目をかける、ひいきにする」という意味があり、「顧客=ひいきにする客」のように使われる語です。
「愛をもって」「顧=ひいきにする」の組み合わせなので上記のように解釈できます。
「ご高配」の意味は「お心配り」
ご高配(読み:ごこうはい)の意味は「お心配り」「お心遣い」
「ご高配」のもととなる単語は「高配」であり尊敬語「ご」をつかって敬語にしています。
「高配」の「高」は「高察=察することを敬って言う表現」で使われるように、相手を高める、つまり尊敬の意をこめて使われます。
「配慮・心配り」などで使われる「配」をつけ加え「高配」としています。
したがって「お心配り・ご配慮・お心遣い」のような意味として考えるのが妥当となります。
お引き立て/ご愛顧/ご高配の違いと使い分け
お引き立て/ご愛顧/ご高配の違いと使い分けについても整理しておきましょう。
意味の違い
すでに登場しましたが、それぞれの意味の違いを簡単に。
- お引き立て = ひいきにすること
- ご愛顧 = ひいきにすること
- ご高配 = お心遣い、お心配り
「ご愛顧=お引き立て」と考えることができ、「ご高配」はちょっと違った意味を持ちます。
ただし結局のところ使い方としては同じ。
そこで使い分けについても少し考えてみましょう。
お引き立て/ご愛顧/ご高配はどれを使っても丁寧
「お引き立て/ご愛顧/ご高配」はどれを使っても丁寧です。
なぜなら先に述べたとおり、尊敬語「お・ご」を使って敬語にしていますし、言葉の意味としても失礼にあたる要素はまったく見当たらないから。
ますます使い分けが難しく感じてしまいますね…
お引き立て/ご愛顧/ご高配は被らないように使い分け!
使い分けとして行き着くところは、最低限、「お引き立て」「ご愛顧」「ご高配」を被らないようにしましょう、という程度です。
これはどんな文章においても共通のルールです(英語でもおなじ)。
悪い例にはたとえば以下のような文章があります。
- 悪い例「本年中に賜りましたお引き立てを深謝いたしますとともに 明年も変わらぬお引き立てのほどお願い申し上げます」
- 悪い例「今年○月 ○○○○が○○歳で永眠いたしました 本年中に賜りましたご高配を深謝いたしますと共に 明年も変わらぬご高配のほどお願い申し上げます」
- 悪い例「拝啓 平素は格別のご高配を賜り厚くお礼申し上げます。
(中略)今後とも変わらぬご高配を賜りますようお願い申し上げます。 敬具」
なぜ似たような意味なのにこうも色々なフレーズがあるのかというと…言葉の重複をさけるためなのですよね。
「お引き立て」「ご愛顧」「ご高配」を絶妙にかぶらないように使い分けすると綺麗な文章になります。
念のため悪い例を修正しておきましょう。
- 良い例「本年中に賜りましたご高配を深謝いたしますとともに 明年も変わらぬご愛顧のほどお願い申し上げます」
- 良い例「今年○月 ○○○○が○○歳で永眠いたしました 本年中に賜りましたご厚情を深謝いたしますと共に 明年も変わらぬご厚誼のほどお願い申し上げます」
- 良い例「拝啓 平素は格別のご高配を賜り厚くお礼申し上げます。
(中略)今後とも変わらぬご愛顧を賜りますようお願い申し上げます。 敬具」
➡︎「ご厚誼」は「親しいお付き合い」の意味
➡︎「ご厚情」は「厚いお情け、心からの思いやり」の意味
書き出しの挨拶でよく使う「ご高配」「お引き立て」+結びによく使う「ご厚誼」「ご厚情」「ご愛顧」
これだけいろいろな言い換えがあると、一体どれを使ったらいいものか悩んでしまいますね…
そこでビジネス挨拶によく使われる順にならべておきましょう。
もっとも簡単に使い分けする方法は…
- 書き出しの挨拶では「ご高配」「お引き立て」を使うこと
※よく目にするのは「ご高配>お引き立て」の順 - 結び・締めくくりには「ご厚誼」「ご厚情」「ご愛顧」を使うこと
※よく目にするのは「ご厚誼>ご厚情 >ご愛顧」の順
こんな風に使い分けしていればどんなビジネス文書・ビジネスメールにも対応できますね。
すると…
「拝啓 時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。平素は格別のご高配を賜り厚く御礼申し上げます。(本文)今後とも倍旧のご厚誼(ご厚情・ご愛顧)を賜りますようお願い申し上げます 敬具」
上記をテンプレート化してしまえばOKです。
➡︎「ご厚誼」は「親しいお付き合い」の意味
➡︎「ご厚情」は「厚いお情け、心からの思いやり」の意味
お引き立て/ご愛顧/ご高配の使い方
ざっくりとした解説はこれにて終了。
あとはお引き立て/ご愛顧/ご高配の使い方について見ていきます。3つの使い方をおさえておけば完璧です。
使い方①ビジネス文書の冒頭挨拶
「お引き立て/ご愛顧/ご高配」の使い方その1
ビジネス文書で「平素は格別の●●●を賜り厚くお礼申し上げます」などのようにし、社外のメール挨拶「お世話になっております」と同じような意味で使われます。
ビジネスメールではあまり使われることのない表現であり、ビジネス文書など公式なシーンでよく使います。
どれも同じように●●●の部分に当てはめて使うことができます。
挨拶でよく使う順にならべると「ご高配 > お引き立て > ご厚情 > ご愛顧」となります。ただし、おっさんの経験からくる感覚値ですので悪しからず。
ビジネス文書の中には「添え状」「見積書」などから「年賀状」「暑中見舞い・寒中見舞い」といった公式なものまですべてを含みます。
ほぼ以下のような例文で使われますね(意味などくわしくは本文にて)
- 例文①平素は格別なお引き立て/ご愛顧/ご厚情/ご高配を賜り誠にありがとうございます
- 例文②平素は格別なお引き立て/ご愛顧/ご厚情/ご高配を賜り厚くお礼申し上げます
使い方②何かしらの挨拶ビジネス文書の締め・結び
「お引き立て/ご愛顧/ご高配」の使い方その2
何かしらの挨拶ビジネス文書や挨拶メールの結び・締めで「今後とも●●●を賜りますよう何卒よろしくお願い申し上げます」として使います。
どれも同じように●●●の部分に当てはめて使うことができます。
結びによく使われる順にならべると「ご厚誼 > ご愛顧 > お引き立て > ご厚情 > ご高配 」となります。ただしおっさんの経験からくる感覚値ですので悪しからず。
- 例文「今後ともご厚誼/ご厚情/ご高配を賜りますようお願い申し上げます」
- 例文「今後ともご厚誼/ご厚情/ご高配を賜りますよう何卒よろしくお願い申し上げます」
- 例文「今後とも倍旧のご厚誼/ご厚情/ご高配を賜りますようお願い申し上げます」
「倍旧の」は「より一層の」という意味
のようにして、挨拶をともなうビジネス文書やビジネスメールで結び・締めくくりとして使われます。
挨拶の中には「就任の挨拶」「着任の挨拶」「退任の挨拶」「本社移転の挨拶(案内)」などがありますね。
具体的にはたとえば、社外にむけて就任の挨拶文書やメールをするとき。
「このたび、執行役員に就任いたしました。(中略)今後とも倍旧のご厚誼を賜りますようお願い申し上げます」
みたいにメール結びとして使えます。
まぁ、ようするに「今後もよろしくね!」という意味なのです。難しいようでしたら「今後もよろしくね!」のカッコつけた表現だということを覚えておけばよいでしょう。
おなじような表現としては、
「今後とも倍旧のご愛顧を賜りますようお願い申し上げます」
「今後とも倍旧のご指導を賜りますようお願い申し上げます」
「ご支援を賜りますよう〜」
「お引き立てを賜りますよう〜」
もあります。
※ それぞれ別の意味ですが言い換えたとしても違和感はありません
使い方③挨拶を伴うビジネスメールにも使える
「お引き立て/ご愛顧/ご高配」の使い方その3
これまではビジネス文書についての使い方を解説しました。これらは普段づかいのビジネスメールでは使う必要のないフレーズです。
ただ、公式な挨拶を伴うようなビジネスメールでは丁寧な印象となりますので、積極的に使っていきましょう。
具体的にはたとえば、
「就任の挨拶」「着任・赴任の挨拶」「異動の挨拶」をともなうビジネスメールで使うと酔いでしょう。
参考記事
➡︎「ご厚誼」の意味、目上・ビジネスにふさわしい使い方、例文
➡︎「ご高配」の意味とビジネスにふさわしい使い方・例文
➡︎「ご厚情」の意味とビジネスにふさわしい使い方・例文
➡︎「ご厚誼」「ご交誼」「ご高配」「ご厚情」の意味と違い、使い分け