「お手配のほど」意味・使い方のすべて「お願い申し上げます」他

ところで「手配くださいますよう〜」と「手配〜」ってどちらが正しいのでしょうか?

せっかくの機会ですので簡単に。

訓読みは「お」vs 音読みは「ご」

一般的に訓読みの語(和語)には「お●●」で音読みの語(漢語)には「ご●●」と決まっています。

具体的にはたとえば以下のとおり。

▼お+訓読み(和語)

  • ◎お知らせ ×ご知らせ
  • ◎お願い ×ご願い
  • ◎お送りする ×ご送りする
  • ◎お召しになる ×ご召しになる

▼ご+音読み(漢語)

  • ◎ご挨拶 ×お挨拶
  • ◎ご連絡 ×お連絡
  • ◎ご確認 ×お確認
  • ◎ご利用 ×お利用
  • ◎ご査収 ×お査収
  • ◎ご検討 ×お検討

漢語/和語ハッキリしない熟語は?

で…

じつは漢語なのか和語なのかハッキリとしない熟語もあります。

たとえば、

「手本」は訓読み”て”+音読み”ホン”というように混合していますね。

あるいは…

「台所」も訓読み”ダイ”+音読み”どころ”というように混合しています。

これらは基本、和語として考えるため「お」をつかいます。

「お手本」とは言っても「ご手本」は見たことがありません。

※ちなみに「音+訓=湯桶読み」「訓+音=重箱読み」と言います。

▼訓読み+音読み(湯桶読み)

  • ◎お湯桶 ×ご湯桶(ゆトウ)
  • ◎お手数 ×ご手数(てスウ)
  • ◎お手帳 ×ご手帳(てチョウ)
  • ◎お手本 ×ご手本(てホン)
  • ◎お手配 ×ご手配(てハイ)
  • ◎お見本 ×ご見本(みホン)

▼音読み+訓読み(重箱読み)

  • ◎お重箱 ×ご重箱(ジュウばこ)
  • ◎お台所 ×ご台所(ダイどころ)
  • ◎お雑木 ×ご雑木(ゾウき)
  • ◎お番組 ×ご番組(バンぐみ)
  • ◎お派手 ×ご派手(ハで)
  • ◎お馬鹿 ×ご馬鹿(バか)

ただし、

「音読み+訓読み」で成り立つ重箱読みは、最初の1文字が音読みのため「ご」をつけるべきとの説もあります。

正しいのは”お手配”だけど”ご手配”でもOK

で話はもどって「手配」について考えます。

「手配」は音読み”て”+訓読み”ハイ”から成り立ちます。

つまりルールに従うのであれば「お+和語」をつかい「手配」とするのが正しいとわかります。

ただ日本語には気持ち悪いルールがあり、どんな間違った言葉であってもフツーに使われていれば正しいと認識されます。

たとえば「全然OK」とか。もともと「全然」は「全然ダメ」のように否定的なことに使われていましたが、いつの頃からか肯定的な語にも使われるようになりました。

その意味では「手配」という言葉もよく使われるのでまぁ問題はないでしょう。

例外あり

また例外として敬語のひとつである「美化語」にする場合には「お」をつかいます。

そのほかにもイロイロと例外あり。長くなるため省略します。

まぁ結局のところ、結構どちらでもよいのですよね…

(明らかにおかしい使い方をしなければ…)

“お手配”のいろいろな使い方・例文

あとは「お手配の程よろしくお願い致します」だけでなく、いろいろ使える「お手配」の例文を紹介しておきます。

どの例文も上司や目上・取引先などのビジネスメールに使える丁寧な敬語フレーズにしています。ご参考にどうぞ。

すでに登場した例文もありますが、いちおう全てをまとめておきます。

依頼・お願いビジネスメールに使う「お手配」

ビジネスシーンにふさわしい「お手配」の使い方

何かしら目上や上司・取引先に「手配してほしい」とお願い・依頼をするときのビジネスメール結び締めとして使います。

たとえば、

  • 例文「お手配くださいませ
  • 例文「お手配をお願い致します
  • 例文「お手配いただきたく、お願い致します
    意味は「手配してもらいたい、お願いします」
  • 例文「お手配いただきたく存じます。何卒よろしくお願い致します」
    意味は「手配してもらいたいと思います」
  • 例文「お手配いただければと存じます。何卒よろしくお願い致します」
    意味は「手配してもらえたらと思います」
  • 例文「お手配の程お願い申し上げます
    意味は「手配してくれるよう、お願いします」
  • 例文「お手配くださいますようお願い申し上げます
    意味は「手配してくれるようお願いします」
  • 例文「お手配いただきますようお願い申し上げます
    意味は「手配してもらうようお願いします」
  • 例文「お手配いただければ幸いです」「お手配いただけましたら幸いです
    意味は「手配してもらえたら嬉しいです」
  • 例文「お手配いただければ幸甚に存じます」「お手配いただけましたら幸甚に存じます
    意味は「手配してもらえたら、とても嬉しいです」
  • 例文「お手配賜りますようお願い申し上げます
    意味は「手配してもらうようお願いします」
  • 例文「お手配賜れますと幸甚に存じます
    意味は「手配してもらえたら、とても嬉しいです」

のようにお願いすると丁寧です。

下の例文ほど丁寧な(丁重な)敬語になります。

ざっくりとは「お手配いただければ幸いです・幸甚に存じます」「お手配(を)賜りますようお願い申し上げます」がもっとも丁寧な敬語であり、あとはほぼ等しいレベル。

まぁ、ようするにどれも「手配してね!よろしく」という意味なのですが…

・幸甚(こうじん)の意味は「この上もない幸せ。大変ありがたいこと。また、そのさま」

・「存じる」は「思う」の謙譲語

・「いただきたく」は謙譲語「いただく」+希望「~したい」

・「いただければ」は謙譲語「いただく」+可能形+仮定「たら・れば」

・「いただけましたら」は謙譲語「いただく」+丁寧語「ます」+仮定「たら」

お礼メールに使う「お手配」

ビジネスシーンにふさわしい「お手配」の使い方

あとは何かしらに手配してもらったときの、お礼ビジネスメールにも使えます。

たとえば、

  • 【例文】お手配ありがとうございます
  • 【例文】お手配いただけるとのこと、ありがとうございます
  • 【例文】お手配くださいましてありがとうございました
  • 【例文】お手配いただきましてありがとうございました
  • 【例文】お手配賜りましてありがとうございました

のようにビジネスメール書き出しの挨拶にお礼として使うと丁寧です。

まぁ、ようするに「手配してくれてありがとう!」という意味なのです。

お願い申し上げます = お願い致します

ところでビジネスシーンでは、

「お手配くださいますようお願い申し上げます」としても丁寧ではありますが…

「お手配くださいますようお願いいたします」「お手配くださいますようお願い致します」と言い換えすることもできます。

また「どうか」という意味の「何卒(なにとぞ)」をつかい、

「お手配くださいますよう何卒よろしくお願い申し上げます」

頭の片隅にいれておきましょう。

“お手配いただく vs お手配くださる”の使い方

ややこしいので「お手配いただく vs お手配くださる」の使い方について。

代表的なパターンを表にまとめておきます。

こまかく解説していくとそれだけで記事がおわってしまいますので、目的にあわせてお使いください。

“お手配いただく”の使い方まとめ(すべて敬語)

①基本 ②+丁寧語”ます” ③その他
現 在 お手配いただく お手配いただきます -頂くよう
-頂きますよう
過 去 お手配いただいた お手配いただきました ×
進行形 お手配いただいている お手配いただいています -頂いております
過去~現在 お手配いただいていた お手配いただいていました -頂いておりました
希 望
依 頼
お手配いただきたい
お手配いただきたく
お手配いただくよう
お手配いただきたいです
お手配いただきますよう
お手配いただけますよう
-頂きたく思います
-頂きたく存じます
-頂ければと存じます
可 能 お手配いただける お手配いただけます -頂けるよう
-頂けますよう
仮 定 お手配いただければ お手配いただけましたら ×
疑 問 お手配いただけるか? お手配いただけますか? -頂けますでしょうか
禁 止 お手配いただけない お手配いただけません ×
命 令 × × ×

※ ②+丁寧語”ます”をつかうとより丁寧な敬語になります。

※ 「頂く」「いただく」は漢字でも平仮名でもOK

※「×」としたのは一般的につかわない

“お手配くださる”の使い方まとめ(すべて敬語)

①基本 ②+丁寧語”ます” ③その他
現 在 お手配くださる お手配くださいます -くださるよう
-くださいますよう
過 去 お手配くださった お手配くださいました ×
進行形 お手配くださっている お手配くださっています -くださっております
過去~現在 お手配くださっていた お手配くださっていました -くださっておりました
希 望
お手配くださるよう お手配くださいますよう ×
可 能 × × ×
仮 定 × × ×
疑 問 お手配くださるか? お手配くださいますか? ×
否 定 お手配くださらない お手配くださいません ×
命 令 お手配ください お手配くださいませ ×

※ ②+丁寧語”ます”をつかうとより丁寧な敬語になります

※ 「下さる」「くださる」は漢字でも平仮名でもOK

※「×」としたのは一般的につかわない