「ご相談させてください」の代わりにビジネスメールに使える敬語

「ご相談させてください」は目上に失礼？
ビジネスメールに使えるもっと丁寧な敬語ってなに？

とご心配のあなたへ。

「ご相談させてください」は目上に失礼とまでは言わないものの、親しい取引先や上司につかえる程度の丁寧レベル。

つかっても失礼ということでは無いのですが…ビジネス文書・メールや初対面の相手など気をつかうべきシーンではより丁寧な敬語に言い換えすると好感度UPします。

そもそもの意味や理由など細かな解説は本文中にて。

それでは、

「ご相談させてください」の意味、目上につかえるより丁寧な言い換え敬語、ビジネスシーンでの使い方（電話・メール・手紙・文書・社内上司・社外取引先・目上・就活・転職）、メール例文を紹介します。

「ご相談させてください」の意味と敬語の解説

「ご相談させてください」は「相談させてくれ」という意味。

なぜこのような意味になるのか？そもそもの意味と敬語について順をおって解説していきます。

ご相談の意味は「相談すること」

ご相談のもとになる単語は「相談」であり、意味は「相談すること」

「相談」に謙譲語「お・ご」を使うと「ご相談」という敬語の完成。

「ご相談させてください」だと意味は「相談させてくれ」

「ご相談」に「ください」をつなげて「ご相談させてください」としたときの意味は…

「相談させてくれ」
「相談させほしい」

このように解釈できます。尊敬語をつかっているため自分の行為ではなく、相手に「相談させてくれ」という意味になります。

使い方は文字どおり、上司や取引先になにかしら相談したいときのビジネスシーンで使われます。

「ご相談させてください」の敬語の種類

「ご相談させてください」を敬語としてみていくと…以下のようになりたちます。

もとになる単語「相談」に謙譲語「お・ご」で「ご相談」とし、
さらに「くれる」の尊敬語「くださる」とし、
さらに命令形にして「ください」

このようにして元になる語「相談」を敬語にしています。つまり敬語としては何もおかしいところはありません。間違いではなく正しい敬語です。

【補足】謙譲語にも「お・ご＋名詞」という使い方がある

ややこしいので基本的な敬語の使い方についてくわしく解説を。

じつは尊敬語と謙譲語にはどちらも「お・ご」の使い方があります。

謙譲語としての「お・ご」の使い方はたとえば、

「会議日程のご連絡」
「忘年会開催のお知らせ」
「販売状況のご報告」
「転勤のご挨拶」
「貴社ご訪問のお願い」

こんな感じのフレーズがあります。よくビジネスメールの件名で目にする表現ですね。

ところが例文は自分が「ご連絡・お知らせ・ご報告・ご挨拶」するため「お・ご」をつかうのはおかしいと感じるかたもいらっしゃることでしょう。

これは、

謙譲語「お・ご」の使い方を知らないためにくる勘違いです。実際にはどれも正しい敬語をつかっています。

いっぽうで尊敬語の「お・ご」は、「●●部長からご連絡がありました」などのようにして、相手の行為をうやまって使う敬語です。

ただし謙譲語にも「お・ご」を使い始めると文章が「お・ご」だらけになって読みにくくなります。文章のバランスを考えて使い分けしましょう。

なぜ目上に敬語「ご相談させてください」はイマイチなの？

ここまでの解説で「ご相談させてください」が正しい敬語であることがわかりました。

つづいて、

なぜ目上に敬語「ご相談させてください」はイマイチなのか？という点について簡単に解説しておきます。

「ご相談させてください」の「ください」という敬語が問題

「ご相談」というフレーズ自体はビジネスシーンで使える日本語です。

ところが問題は「ご相談させてください」の「ください」の部分にあり。

なぜなら「ください」は敬語ではあるものの、結局のところ命令形であるために強い口調となるから。

ビジネスシーンにおいては社内メールや親しい取引先への社外メール、あるいは会話シーンに使える丁寧レベル。

ただし使っても失礼にはあたりません。もっと丁寧な敬語フレーズがあるよ、ということです。

ビジネスメールには堅苦しい敬語がオススメ

ビジネス会話であれば「ご相談させてください」としてもよいでしょう。

が、ビジネスメールにおいてはより堅苦しい敬語フレーズが好まれます。

なぜならメールは会話と違い、態度で敬意をしめすことができないから。メールにおいては丁寧な敬語フレーズを使うことが上司や目上のひとにたいする最大限の配慮なのです。

とくに、

あまり親睦のない取引先への社外メールや、きびしい上司・目上へのビジネスメールには言い換えするほうが無難です。

相手に「相談させてほしい」、つまり何かしらのお願い・依頼ビジネスメールに使うフレーズですので、より丁寧な文章を心がけたいものです

目上に使える「ご相談させてください」の丁寧な言い換え敬語

ここまでの解説で「ご相談させてください」が敬語として正しいこと、正しいにもかかわらず目上に使うにはちょっとイマイチだということが分かりました。

ここからは、

じゃあどういう風に言い換えすれば丁寧な敬語になるの？という点についてみていきます。

ご相談いたしたく存じます

目上にもつかえる丁寧な「ご相談させてください」の言い換え敬語

例文「ご相談いたしたく存じます」

意味は『相談したいと思います』

敬語としては以下のように成り立ちます。

もとになる単語「相談」に謙譲語「お・ご」で「ご相談」とし、
さらに「する」の謙譲語「いたす」＋願望「〜したい」で「〜したく」
さらに「思う」の謙譲語「存じる」＋丁寧語「ます」で「存じます」

「～いたしたく存じます」という敬語フレーズはお願い・依頼のビジネスメールでよく使います。以下の例文もご参考にどうぞ。

▼「～いたしたく存じます」の例文

例文『（ご）訪問いたしたく存じます』
例文『お願い致したく存じます』
例文『（ご）確認いたしたく存じます』
例文『（ご）検討いたしたく存じます』

※注意）（ご）としたのは、謙譲語の「お・ご」はあってもなくても丁寧な敬語だからです。

ご相談させていただきたく存じます

目上にもつかえる丁寧な「ご相談させてください」の言い換え敬語

例文「ご相談させていただきたく存じます」

意味は『相談させてもらいたいと思います』

敬語としては以下のように成り立ちます。

もとになる単語「相談」に謙譲語「お・ご」で「ご相談」とし、
「いただきたく」は「もらう」の謙譲語「いただく」＋願望の「～したい」
さらに「思う」の謙譲語「存じる」＋丁寧語「ます」で「存じます」

というように敬語にしており、目上のひとや上司・社外取引先につかえるとても丁寧なビジネスフレーズです。

「～いただきたく存じます」という敬語フレーズはお願い・依頼のビジネスメールでよく使います。以下の例文もご参考にどうぞ。

▼「～いただきたく存じます」の例文

例文『ご連絡いただきたく存じます』
例文『ご確認いただきたく存じます』
例文『ご相談いただきたく存じます』
例文『ご意見いただきたく存じます』
例文『ご指示いただきたく存じます』
例文『お力添えいただきたく存じます』

ご相談させていただきます

目上にもつかえる丁寧な「ご相談させてください」の言い換え敬語

例文「ご相談させていただきます」

意味は『相談させてもらいます』

敬語としては以下のように成り立ちます。

もとになる単語「相談」に謙譲語「お・ご」で「ご相談」とし、
「いただきます」は「もらう」の謙譲語「いただく」＋願望の「～したい」

というように敬語にしており、目上のひとや上司・社外取引先につかえるとても丁寧なビジネスフレーズです。

「ご相談させていただく vs ご相談させてください」違い

ところで「ご相談させてください」と似たようなフレーズには「ご相談させていただく」があります。これって何が違うのでしょうか？

それぞれの基本となる意味をまとめると、

「●●させてください」の意味：●●させてくれ
「●●させていただく」の意味：●●させてもらう、させてほしい

このように相手に「〜させてくれ」とお願いするニュアンスになるのが「〜させてください」であり、自分が「〜させてもらう、〜させてほしい」とお願いするニュアンスになるのが「〜させていただく」という敬語フレーズです。

より丁寧な「ご相談させていただく」

どちらがより丁寧な印象になるでしょうか？

言うまでもなく「〜させていただく」のほうですね！？

些細な違いではありますがビジネスシーンにおいては重要な点です。

「ご相談させてください」だと相手に「相談させてくれ！」という強い口調になります。

「ご相談させていただく」だと自分が「相談させてもらう」という、よりやんわ〜りとした表現になります。

ご留意ください。

誤解のないように…敬語としてはどちらも正しく、どちらを用いても丁寧な敬語であることは確かです。

ご相談の使い方

ここまで紹介した「ご相談」の使い方をまとめておきます。

使い方「何かしらの相談ビジネスメール」

「ご相談」の使い方

おもに仕事やビジネスの相談をともなうビジネスメールとして使います。取引先など社外あてに限らず、上司や目上など社内あてのメールにも使えます。

これまで見てきたようにたとえば、

例文「ご相談いたしたく存じます」願望
例文「ご相談させていただきます」現在形
例文「ご相談させていただきました」過去形
例文「ご相談させてください」命令形の敬語

のような使い方をします。

もっと具体的にはたとえば、上司に仕事の相談をしたいとき。

「さて首記の件、東レにたいする値上交渉を進めておりますが、交渉が難航しております。
つきまして再度、交渉の進め方につきご相談いたしたく存じます。

（中略）

お忙しいところ大変恐れ入りますが、どうぞ宜しくお願いいたします。」

みたいに使えます。

前置きに気づかいのフレーズを入れてもGood

「ご相談」の前置きに気づかいのフレーズを使うとより丁寧な印象のメールとなります。

たとえば以下のようなフレーズがあります。

恐縮＝申し訳なく思うこと
「お忙しいところ恐縮ではございますがご相談〜」
「お忙しいところ大変恐縮ではございますがご相談〜」
「たびたび恐縮ではございますがご相談〜」
恐れ入る＝申し訳なく思う
「お忙しいところ恐れ入りますがご相談〜」
「お忙しいところ大変恐れ入りますがご相談〜」
「たびたび恐れ入りますがご相談〜」
お手数＝お手間
「お忙しいところお手数お掛けしますがご相談〜」
「お忙しいところ大変お手数ではございますがご相談〜」
勝手を申し上げる＝自分勝手を言う
「誠に勝手を申し上げますがご相談〜」