敬語「ご臨席いただきありがとうございます」の意味と使い方・例文

「ご臨席いただきありがとうございます」の意味、敬語の種類、ビジネスシーンにふさわしい使い方（メール・手紙・文書・社内上司・社外・目上・就活・転職）、注意点について。

ビジネスメールの例文つきで誰よりも正しく解説する記事。

意味

「ご臨席いただきありがとうございます」は「臨席してもらいありがとう」という意味。

なぜこのような意味になるのか？

そもそもの意味と敬語について順をおって解説していきます。

ご臨席の意味は「式典などに出席すること」

 

たとえば、

【例文】知人の結婚式に臨席する
【例文】会社の100周年記念式典に臨席する

のようにして使います。

もとになる語「臨席」に尊敬語or謙譲語「お（ご）」で「ご臨席」という敬語にしています。

「自分がご臨席する」のであれば謙譲語としての使い方。

上司・目上・取引先などの「相手がご臨席くださる」のであれば尊敬語としての使い方。

ご臨席いただき～の意味は「臨席してもらい～」

すると意味は「臨席してもらい～」と解釈できます。

「ご連絡いただく＝連絡してもらう」「ご指導いただく＝指導してもらう」などのようにして使われる語とおなじ意味。

上司・目上・ビジネスメールに使うフレーズとしてはとても丁寧で好感がもてますね。

ここで「ご臨席」の「お（ご）」の部分は向かう先を立てるために使う敬語であり謙譲語の「お（ご）」です。

あわせると意味は「臨席してもらい、ありがとう」

1. 臨席
2. お（ご）●●いただく ＝ 「●●してもらう」の謙譲語
3. ありがとうございます = お礼

これらの単語を合体させて意味を考えます。

すると「ご臨席いただきありがとうございます」の意味は…

「臨席してもらい、ありがとう」

のように解釈できます。

敬語の種類

つづいて「ご臨席いただきありがとうございます」の敬語の種類について。

この項目は少しマニアックな敬語の解説になります。敬語について細かく学ぶ必要のないかたは読み飛ばしてください。

「ご臨席いただきありがとうございます」の敬語

繰り返しにはなりますが「ご臨席いただきありがとうございます」を敬語としてみると、以下のように成り立ちます。

▼敬語の解釈 ①

1. もとになる単語「臨席」
2. 「〜してもらう」の謙譲語「お（ご）〜いただく」で「ご臨席いただく」
3. 「ありがとうございます」をくっつけた敬語

あるいはもっと細かくすると以下のような敬語の解釈もできます。

▼敬語の解釈 ②

1. もとになる単語「臨席」に謙譲語「お・ご」で「ご臨席」
2. さらに「〜してもらう」の謙譲語「〜いただく」で「ご臨席いただく」
3. 「ありがとうございます」をくっつけた敬語

本来あるべきなのは解釈②なのですが…

ややこしくなるため「お（ご）〜いただく」のセットで謙譲語とし解釈①で考えたほうがシンプルでわかりやすくなります。

とにかく敬語としては全くおかしいところは見当たりません。間違い敬語でもなく二重敬語でもなく、正しい敬語です。

補足①敬語の種類（ざっくり復習）

謙譲語にも”お（ご）”という使い方がある

ややこしいので基本的な敬語の使い方についてくわしく解説を。

じつは尊敬語と謙譲語にはどちらも「お（ご）」の使い方があります。

謙譲語としての「お（ご）」の使い方はたとえば、

こんな感じのフレーズがあります。よくビジネスメールの件名で目にする表現ですね。

ところが例文は自分が「ご連絡・お知らせ・ご報告・ご挨拶」するため「お（ご）」をつかうのはおかしいと感じるかたもいらっしゃることでしょう。

これは、

謙譲語「お（ご）」の使い方を知らないためにくる勘違いです。

尊敬語の「お（ご）」だと勘違いしているために間違い敬語と感じるのですが、実際にはどれも正しい敬語をつかっています。

いっぽうで尊敬語の「お（ご）」は、「部長がお戻りになりました」などのようにして、相手の行為をうやまって使う敬語です。

ちなみに、これは文化庁の「敬語の指針」においても解説されています。私のような頭の悪い人には難しいのですが、ご興味ありましたら以下のリンクよりどうぞ。

• 文化庁より｜敬語の指針

使い方

つづいて「ご臨席いただきありがとうございます」の使い方について。

文字どおりご臨席してもらったときのお礼に使います。

取引先など社外あてに限らず、上司や目上など社内あてのメールにも使える丁寧な敬語フレーズです。

基本の使い方①お礼ビジネスメール

「ご臨席いただきありがとうございます」の使い方

とくに上司や目上・取引先から臨席してもらったとき。お礼ビジネスメール書き出しの挨拶に使います。

使い方②ご臨席くださいましてありがとう~としても丁寧

「ご臨席いただきありがとうございます」の使い方

ところで「ご臨席いただきありがとうございます」と似たようなフレーズには…

もあります。

あるいは単に「ご臨席ありがとうございます」としてもまぁ問題はありません。

結論としてはどれを使っても丁寧な敬語です。

使い方③ご臨席いただきまして~でも丁寧

「ご臨席いただきありがとうございます」の使い方

「ご臨席いただきありがとうございます」としても十分に丁寧ではありますが…

丁寧語の活用形「～まして」をくみあわせて、

とするとなお丁寧な敬語になります。

まぁ「ご臨席ありがとうございます」だけでも十分ではありますが…丁重なメールに仕上げたいときにどうぞ。

使い方④ご臨席賜り・賜りまして~がもっとも丁寧

さらにもう一つ。

謙譲語「いただく」ではなく「賜る（たまわる）」をもちいた例文を。

としてもなお丁寧な敬語になります。「いただく」「賜る」はどちらも「もらう」の謙譲語ですが、よりカチッとした言い回しは「賜る」のほうです。

とくにビジネス文書や手紙・公式な挨拶シーンで使われることの多い敬語フレーズ。

丁重なメールに仕上げたいときにどうぞ。

使い方⑤ご臨席いただき恐縮です なども丁寧

あるいは「ありがとう」ではなく…

相手に負担をかけて申し訳なくおもう気持ちや、相手を気づかうフレーズをもってきても丁寧です。

とくに上司・目上や取引先にいちじるしく負担をかけたときには以下の例文をつかうと好感度UP。

たとえば、

• ご臨席＋恐縮（申し訳なく思うこと）
  「ご臨席いただき誠に恐縮です」
  「ご臨席いただきまして誠に恐縮でございます」
  「ご臨席くださいまして誠に恐縮でございます」
• ご臨席＋恐れ入る（申し訳なく思う）
  「ご臨席いただき大変恐れ入ります」
  「ご臨席いただきまして誠に恐れ入ります」
  「ご臨席くださいまして誠に恐れ入ります」

こんな感じでつかうと丁寧なビジネスメールになります。

他にもある丁寧な「ご臨席」の例文

あとは「ありがとう」だけでなく「感謝申し上げます」「深謝いたしております」などとしても丁寧です。

お礼の敬語フレーズは本当にいろいろありますが、代表的な例文だけを紹介しておきます。

クッション言葉を添えるとなお丁寧

ビジネスメールのお礼をより丁寧にするためのコツ。

「ご臨席」の前置きにはそえるクッション言葉や、相手を気づかうフレーズをもってくるとなお丁寧です。

たとえば「ご多忙にも関わらず」などと組み合わせ、以下例文のようにすると好感がもてますね。上司や目上にはもちろんのこと、取引先のメールにも使える丁寧な例文にしています。

• ご多忙にも関わらず＝忙しいにも関わらず
  「ご多忙にも関わらずご臨席いただき誠にありがとうございます」
• ご多用にも関わらず＝忙しいにも関わらず
  「ご多用にも関わらずご臨席いただき誠にありがとうございます」
• 勝手を申し上げたにも関わらず＝自分勝手を言ったにも関わらず
  「勝手を申し上げたにも関わらずご臨席〜」
• ご無理申し上げたにも関わらず = 無理を言ったにも関わらず
  「ご無理申し上げたにも関わらずご臨席～」

【例文】ビジネスメール全文

つづいて「ご臨席頂きありがとうございます」を使ったビジネスメールの例文を紹介します。

目上・上司にかぎらず社外取引先にもつかえる丁寧な敬語フレーズにしています。ご参考にどうぞ。

ビジネスメール例文①結婚式・臨席のお礼

メール件名：お礼

●● 部長（社内上司）

お疲れさまです。

先日は私たちの結婚式にご臨席いただき誠にありがとうございました。

●● 部長の素晴らしいスピーチに大変感銘を受けました。

まだまだ未熟な私たちではございますが、今後ともご指導ご鞭撻のほどお願い申し上げます。

略儀ながらまずはメールにてご挨拶申し上げます。

 

************
メール署名
************

ビジネスメール例文②創立記念・臨席のお礼

メール件名：創立記念式典・ご臨席のお礼

株式会社ビジネス
営業部　●● 部長（社外取引先）

平素はお世話になっております。
（株）転職・ノマドでございます。

先日はご多忙の折、弊社グループの１００周年記念式典にご隣席賜りまして誠にありがとうございました。

お陰様で１００周年の節目を大盛況のもと開催することができました。改めましてご支援に感謝申し上げます。

製品品質・サービス向上のため社員一同、より一層の精進を重ねて参ります。今後ともご支援ご鞭撻賜りますようお願い致します。

略儀ながらまずはメールを持ちましてご挨拶申し上げます。

************
メール署名
************

“ご臨席+お礼”の敬語フレーズまとめ

いろいろ散らかってきたので、一旦まとめ。

これまで紹介した例文もつくめ”ご臨席+お礼”の敬語フレーズを表にまとめておきます。

使い方に迷ったときのご参考にどうぞ。

ご臨席+ありがとう

※漢字表記「頂く」「下さる」をもちいてもOK

※過去形にしたければ「ありがとうございました」に言い換えする

ご臨席+いろいろなお礼フレーズ

※漢字表記「頂く」「下さる」をもちいてもOK

※強調するフレーズ「誠に」「大変」などをくわえてもOK

ご臨席+申し訳なく思うフレーズ

※漢字表記「頂く」「下さる」をもちいてもOK

※強調するフレーズ「誠に」「大変」などをくわえてもOK

クッション言葉+ご臨席+お礼

ビジネスメールのお礼をより丁寧にするためのコツ。

「ご臨席」の前置きにはそえるクッション言葉や、相手を気づかうフレーズをもってきても丁寧です。

たとえば「ご多忙にも関わらず」などと組み合わせ、以下例文のようにすると好感がもてますね。上司や目上にはもちろんのこと、取引先のメールにも使える丁寧な例文にしています。

• ご多忙にも関わらず＝忙しいにも関わらず
  「ご多忙にも関わらずご臨席いただき誠にありがとうございます」
• ご多用にも関わらず＝忙しいにも関わらず
  「ご多用にも関わらずご臨席いただき誠にありがとうございます」
• 勝手を申し上げたにも関わらず＝自分勝手を言ったにも関わらず
  「勝手を申し上げたにも関わらずご臨席〜」
• ご無理申し上げたにも関わらず = 無理を言ったにも関わらず
  「ご無理申し上げたにも関わらずご臨席～」
• 早速／早々に
  「早速ご臨席いただきありがとうございます」
  「早々にご臨席〜」

“ご臨席いただき vs ご臨席くださいまして”の違い

ここで少し横道にそれます。

「ご臨席いただきありがとうございます」と似たような表現には

「ご臨席くださいましてありがとうございます」

これって何が違うのでしょうか？

結論としてはどちらも上司や目上・取引先などに使える丁寧な敬語フレーズです。ここではその根拠について順を追って解説していきます。

敬語・意味の違い

まずは敬語と意味の違いについて。とくに色づけした部分についてよくご確認。

• ご臨席いただきありがとうございます
  意味は「臨席してもらいありがとう」
  敬語は「～してもらう」の謙譲語「お（ご）～いただく」を使用。
  

• ご臨席くださいましてありがとうございます
  意味は「臨席してくれてありがとう」
  敬語は「～してくれる」の尊敬語「お（ご）～くださる」を使用。
  「まして」の部分は丁寧語「ます」の活用形

色づけしたところが主に違います。

どちらも同じように使える

ということで、

「ご臨席いただく＝臨席していただく」なのか「ご臨席くださる＝臨席してくださる」なのか、という点において違いますが丁寧さとしてはまったく同じです。

また、

「ご臨席いただきありがとうございます」「ご臨席くださいましてありがとうございます」はどちらも結局のところ、お礼を述べているわけであってどちらも同じように使います。

お礼を述べるときは「ご臨席いただき」が一般的

わたしの経験上ではお礼のビジネスシーンにおいては「お（ご）●●いただきありがとう」という敬語フレーズを使うことが多いです。

おっさん営業マンの経験値であり、本来でしたらどちらも同じように使えます。

「いただく」vs「くださる」の使い分け

せっかくですので「いただく」「くださる」の違いを例文で考えてみます。

たとえば結び・締めに使う「お願い」するときのシーンを考えましょう

すると…

「ご容赦くださいますようお願い致します」
「ご容赦いただきますようお願い致します」
「ご了承くださいますようお願い致します」
「ご了承いただきますようお願い致します」
「ご検討くださいますようお願い致します」
「ご検討いただきますようお願い致します」

こんな敬語フレーズをよく使います。

実はこれらは「くださる」を使うのが一般的です…
「いただく」としても丁寧ではありますが…

ところが、たとえば何かをもらった時のお礼のシーンを考えます。

「たいそうなお品をくださりありがとうございました」
「たいそうなお品をいただきありがとうございました」

もうひとつ、

「ご利用くださりありがとうございます」
「ご利用いただきありがとうございます」

上記の例文はどれも敬語としては正しい使い方。
ただ圧倒的に「いただき〜」とするほうが多いですね。

参考記事

➡︎ ビジネス挨拶文の例文50選（文書・メール・年賀状・時候ほか）
➡︎ ビジネスメールでの「拝啓・敬具」の書き方と位置
➡︎「ご厚誼」「ご交誼」「ご高配」「ご厚情」の意味と違い、使い分け
➡︎「教えてください」の代わりに使えるビジネス敬語、メール電話の例文
➡︎「ご教示」「ご教授」の意味と違い、使い方・メール例文
➡︎上司へお願いするときに使える敬語10の言葉と、例文50選
➡︎「いただくことは可能でしょうか？」の敬語、目上の人への使い方