「痛み入ります」「恐れ入ります」意味と違い、使い方、例文

痛み入ります(読み:いたみいります)
恐れ入ります(読み:おそれいります)

の意味、違い、ビジネスシーン(メール・手紙・文書・社内上司・社外・目上・就活・転職)にふさわしい使い方、注意点について。

ビジネスメールの例文つきで誰よりも正しく解説する記事。

「痛み入ります」「恐れ入ります」の意味

まずは意味のまとめから。

「痛み入ります」の意味は「恐縮です・恐れ入ります」

「痛み入ります」の意味は「恐縮です」

相手から何らかのほどこしを受けたときに「ありがたく思う気持ち」「感動する気持ち」「恐れ多い気持ち」をあらわすフレーズです。

「痛み入る」に丁寧語「ます」を組み合わせて「痛み入ります」という敬語にしています。

もっと言うと…

ありがたいと思う反面、自分にはもったいない・恐縮だと思う気持ちをあらわすフレーズ。

「痛み」が「入る」と書きますので「相手の痛みが自分に入ってきます」ということで、このような意味となります。

使い方にはたとえば、

  1. ご忠告痛み入ります
    意味「忠告ありがとう」
  2. お力添え頂き、痛み入ります
    意味「手助けしてもらってありがとう/恐れ入ります」
  3. お心遣い、痛み入ります
    意味「心遣いありがとう/恐れ入ります」

のようにして使いますね。ただし使い方によっては皮肉っぽく聞こえてしまう場合もありますので、十分にご注意ください。

「恐れ入ります」の意味は「ありがたく思います・申し訳なく思います」

「恐れ入ります」の意味は「ありがたく思います・申し訳なく思います」

相手から何らかのほどこしを受けたときに「ありがたく思う気持ち」「感謝する気持ち」をあらわすだけでなく「恐れ多い気持ち」も同時にあらわすフレーズです。

「恐れ入る」に丁寧語「ます」を組み合わせて「恐れ入ります」という敬語にしています。

もっと言うと…

ありがたいと思う反面、自分にはもったいない・恐縮だ・申し訳ないと思う気持ちをあらわすフレーズ。

「痛み入ります」とは同じようにつかえますが、「恐れ入ります」「恐縮です」のほうが一般的によくビジネスメールで目にする表現です。

使い方にはたとえば、

  1. お忙しいところ恐れ入りますが、ご対応のほどお願い申し上げます
    意味「忙しいところ申し訳ないのだけど、対応してほしい。よろしく」
  2. お心遣いをいただき大変恐れ入ります
    意味「心遣いありがとう/申し訳ない…」

のようにして使いますね。

どちらかというと例文①恐れ入りますが〜というように接続詞「が」を使ってあとに何かお願いを続けるのが一般的です。

「イロイロとありがとう、恐れ多いよ…」の意味だと覚えておけばよい

「痛み入ります」「恐れ入ります」はどちらも似たような意味の言葉です。

これまでの例文は直訳したときの意味。

ビジネスシーンに使われるときはもっとシンプルに意訳して

「イロイロとありがとう、恐れ多いよ…」の意味だと考えればOKです。

ようはお礼するときのひとつの表現の方法。

(ただし「恐れ入りますが〜」はお願いのシーンで使います)

ビジネスメールで毎度のように「ありがとう」ばかり使っていたのでは、敬語ビギナー。お礼の表現にはじつはイロイロとあって、「痛み入ります」「恐れ入ります」「恐縮です」もその一部ですね。

他にオーソドックスなお礼には「お礼申し上げます」「感謝申し上げます」「深謝いたしております」などあり。

併せて覚えておきたいフレーズです。

「痛み入ります」「恐れ入ります」の使い方

つづいて「痛み入ります」「恐れ入ります」の使い方について。

使い方①何かほどこしを受けた時のお礼メール

「痛み入ります」「恐れ入ります」は相手からなんらかのほどこしを受けた時、お礼のビジネスメールで使います。

たとえば、お土産をもらったり、ご祝儀をもらったり、祝電をもらったり…ビジネスシーンでは何らかのもらい物をするときが多くありますね。

そんなときにお礼メールで、

  • 例文「ご厚情痛み入ります」「ご厚情恐れ入ります」
  • 例文「このたびのお心遣い、痛み入ります」「このたびのお心遣い、大変恐れ入ります」
  • 例文「ご厚情を賜り、痛み入ります」「ご厚情を賜り、恐れ入ります」
  • 例文「ご厚情にあずかり痛み入ります」「ご厚情にあずかり恐れ入ります」

※「ご厚情」は「心からの思いやり、厚いお情け」の意味
※「賜る(たまわる)」は「もらう」の謙譲語

のようにしてビジネスメールで冒頭の挨拶文として使うとよいでしょう。

「ありがとうございます」とだけ伝えてもそれはそれでいいのですが…

何かしらの施しを受けたのであれば、「痛み入ります」や「恐縮です」「恐れ入ります」を使い「自分にはもったいない」「お情けをかけてもらって恐れ多い」のようなニュアンスを込めると低姿勢で好感がもてますね。

使い方②何かほどこしを受けた時にサラッと言う

ビジネスメールだけでなく、会話シーンでも当然つかえます。

繰り返しにはなりますが、何かをもらったとき「ご厚情痛み入ります・恐れ入ります」「お心遣い痛み入ります・恐れ入ります」と相手にサラッとお礼もかねて伝えると好感度UPです。

※ ただし会話だと年配の方にしか意味が伝わらない恐れあり。

使い方③恐れ入りますが〜としてお願いのビジネスシーンで使う

最後に「恐れ入ります」だけの独特な使い方として、接続詞「が」を使い「恐れ入りますが〜」としてお願いのビジネスシーンに登場します。

意味としては「申し訳ないのだけど…」であり、相手への気遣いをあらわすためのフレーズとしてメール結びに使われます。

たとえば、

  1. お忙しいところ恐れ入りますが、ご対応のほどお願い申し上げます
    意味「忙しいところ申し訳ないのだけど、対応してほしい。よろしく」
  2. お忙しいところ恐れ入りますが、ご検討いただければ幸いです
    意味「忙しいところ申し訳ないのだけど、検討してほしい。よろしく」
  3. ご多忙のところ大変恐れ入りますが、ご連絡くださいますようお願い申し上げます
    意味「忙しいところ申し訳ないのだけど、連絡してほしい。よろしく」

こんな風にビジネスメール結び・締めくくりに使うと、相手への配慮が感じられて好感がもてますね。

「痛み入ります」「恐れ入ります」の違いと使い分け

すでに「痛み入ります」「恐れ入ります」の違いはお分かりかとは思いますが、簡単にまとめておきます。

この2つは意味としてはほとんど同じ。

ただ、使われ方がすこし違いますので以下の点にご留意ください。

「痛み入ります」は皮肉を込めて使われることもある

ところで「痛み入ります」は皮肉っぽく聞こえる場合がありますので注意が必要です。

たとえば、

「ご忠告痛み入ります」とした場合、「そんな忠告、言われなくてもわかってるよ」みたいに聞こえてしまうことがあります。

また、

「ご丁寧な解説、痛み入ります」とした場合もおなじく「そんな丁寧に解説してくれなくても、わかってるよ」みたいに聞こえてしまうことがあります。

つまり、明らかに感謝の気持ちをあらわしているとき以外には「恐れ入ります」を使うのが無難ということですね。

とくに目上の人から失礼だと思われてしまうリスクがあります。

「ご厚情痛み入ります」「お心遣い痛み入ります」といったビジネスシーンだとOK。

「恐れ入ります」は「恐れ入りますが〜」として使える

すでに使い方のところで解説していますので、くわしくは語りません。

「恐れ入ります」だけの独特な使い方として、接続詞「が」を使い「恐れ入りますが〜」としてお願いのビジネスシーンに登場します。

意味としては「申し訳ないのだけど…」であり、相手への気遣いをあらわすためのフレーズとしてメール結びに使われます。

万能なのは「恐れ入ります」

結局どっちを使うべきか?

どう使い分けするべきか?

ということになりますが…

私の結論としては迷ったら「恐れ入ります」を使うべきと考えます。

理由は先にも述べたとおり、「痛み入ります」はシーンによって皮肉っぽく聞こえてしまうから。ビジネスシーンにおいては相手へ不快感を与えないことを第一優先させるべきです。

「痛み入ります」「恐れ入ります」類語と言い換え

「痛み入ります」「恐れ入ります」の類語と言い換えについて。

ビジネスシーンでも使える言い換え表現をざっくりまとめておきます。

「恐縮です」「恐縮でございます」

ビジネスシーンで使える「痛み入ります」「恐れ入ります」の言い換え・類語

すでに登場しましたが「痛み入ります」「恐れ入ります」は「恐縮です・恐縮でございます」に言い換えできます。まったく同じ意味ですので、どれを使っても構いません。

また「ございます」は丁寧語「です」のよりかしこまった敬語。

すると以下のようなフレーズも同じように使えますね。

  • 例文「ご厚情を賜り恐縮です・恐縮でございます」
  • 例文「お心遣いを頂き恐縮です・恐縮でございます」
  • 例文「ご厚情にあずかり恐縮です・恐縮でございます」

※「ご厚情」は「心からの思いやり、厚いお情け」の意味
※「賜る(たまわる)」は「もらう」の謙譲語

➡︎「恐れ入ります」「恐縮です」意味と使い方【メール例文あり】

「お礼申し上げます」「感謝申し上げます」

ビジネスシーンで使える「痛み入ります」「恐れ入ります」言い換え・類語

とくにビジネスメールで使うときには、普通にお礼の表現をつかってもよいでしょう。

すると以下のようなフレーズも同じように使えますね。

  • 例文「ご厚情を賜り厚くお礼申し上げます/感謝申し上げます」
  • 例文「お心遣いを頂きお礼申し上げます/感謝申し上げます
  • 例文「お力添え頂きお礼申し上げます/感謝申し上げます」
  • 例文「●●に際して格別なご厚情を頂き、厚くお礼申し上げます」
  • 例文「平素は格別のご厚情を賜り、厚くお礼申し上げます」

「深謝いたします」「深謝いたしております」

ビジネスシーンで使える「痛み入ります」「恐れ入ります」言い換え・類語

お礼のフレーズ「深謝いたします」「深謝いたしております」を使っても丁寧です。

ここで「深謝」の意味は「深く感謝すること」ですので、かみ砕くと「本当にありがとう」の意味で使われます。

また、「いたします」「いたしております」の違いは「する」「している」の違いです。

「する」の謙譲語が「いたす」、「している」の謙譲語が「いたしておる」となります。どちらもかしこまった敬語ですので、現在形「する」なのか現在進行形「している」なのかで使い分けするとよいでしょう。

  • 例文「ご厚情を賜り深謝いたします/深謝いたしております」
  • 例文「賜りましたお心遣いに深謝いたします/深謝いたしております
  • 例文「お力添え頂き深謝いたします/深謝いたしております」
  • 例文「●●に際して賜りました格別なご厚情に深謝いたします/深謝いたしております」

【注意点】「痛み入ります・恐れ入ります」はこう使う!

つづいて「痛み入ります」「恐れ入ります」を使うときの注意点を解説します。

敬語を正しく使うことはもちろん、ふさわしいビジネスシーンを考えて使いましょう。

「痛み入ります」は目上の人には使わない方が無難

繰り返しにはなりますが「痛み入ります」は皮肉っぽく聞こえる場合がありますので注意が必要です。

たとえば、

「ご忠告痛み入ります」とした場合、「そんな忠告、言われなくてもわかってるよ」みたいに聞こえてしまうことがあります。

また、

「ご丁寧な解説、痛み入ります」とした場合もおなじく「そんな丁寧に解説してくれなくても、わかってるよ」みたいに聞こえてしまうことがあります。

つまり、明らかに感謝の気持ちをあらわしているとき以外には「恐れ入ります」を使うのが無難ということですね。

とくに目上の人から失礼だと思われてしまうリスクがあります。

「ご厚情痛み入ります」「お心遣い痛み入ります」といったビジネスシーンだとOK。

「ありがとう・申し訳ない」と併用しない!

「恐れ入ります」「痛み入ります」はそれ自体に「ありがとう・申し訳ない」という意味を含みます。

さらに「ありがとう・申し訳ない」を付け加えるとヘンテコな意味になりますのでご注意を。

NGとなる使い方にはたとえば、

NG「お忙しいところ恐れ入ります。申し訳ありません!」

NG「ご多忙のところ恐れ入りますが、申し訳ありません」

NG「ご厚情痛み入ります。申し訳ありません!」

こんなのがあります。さすがにこのような間違いは見たことありませんが、念のため。

ビジネスでは何かと「お願い」ばかり。だから「恐れ入りますが」をよく使う

ビジネスは一人では成り立ちません。

私たちは社内の先輩や上司、社外のパートナーなど、まわりの人々にいつも助けてもらいながら仕事をしているのです。

そういう意味でビジネスメールでは「お願い」ばかりすることになります。

そんなお願いをするときのちょっとした気づかい、心づかいに「お忙しいところ恐れ入りますが(恐縮ですが)、~」とすると好感がもてます。

たとえば、相手にアポイントをとるときには「○月○日に貴社へ伺いたく存じますが、ご都合いかがでしょうか。~中略~ お忙しいところ恐れ入りますが、ご検討のほど何卒よろしくお願い申し上げます」とします。

かしこまった言い方である

「恐れ入ります」「痛み入ります」は、かなりかしこまった表現であるため、電話や会話で使うときにはテンションを低めに設定しましょう。

「うわ~!!ありがとう!」
「本当に申し訳ない・・・」

というニュアンスではなく、

「私なんかのために・・・ありがとう」
「忙しい相手の貴重な時間をもらうのは、もったいない」

という思いをふくんでいます。

ということでややテンションを低めに設定し、かしこまった使い方をするのが正解です。

【参考】「取り急ぎお礼まで」を目上の人に使わない理由・丁寧な言い換え

【シーン別】違いと使い分け

「ご厚情」のビジネスシーン(メール・手紙・社内上司・社外・目上・就活・転職)にふさわしい使い方と、敬語フレーズを使った例文をみてきましたが…

こんなときにはどれを使う?

というビジネスシーンごとの使い分けを整理しておきます。

ビジネス会話なら…

  • 例文「お心遣い痛み入ります/恐れ入ります
  • 例文「ご厚情痛み入ります/恐れ入ります」
  • 例文「お心遣いありがとうございます」
  • 例文「ご配慮いただきありがとうございます」
  • 例文「お心遣いをいただきありがとうございます」

会話で「ご厚情」という表現はなかなか使いません。「お心遣い」あるいは「ご配慮」で十分です。使っても悪くはありませんが、年配の方にしか意味が通じない恐れあり。

ビジネスメールなら…

  • 例文「ご厚情を頂き痛み入ります」「ご厚情を賜り痛み入ります」
  • 例文「ご厚情を頂き恐れ入ります」「ご厚情を賜り恐縮でございます」
  • 例文「お心遣いをいただき大変恐縮でございます」
  • 例文「お力添えいをいただき大変恐縮でございます」

ビジネスメールの場合、シンプルなフレーズではなくよりかしこまった表現を使うと好感度UP。

ビジネス文書や手紙なら…

  • 拝啓 時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
    平素は格別のご高配を賜り厚くお礼申し上げます。 (本文) 敬具」
  • 「拝啓 時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
    平素は格別のご厚情を賜り厚くお礼申し上げます。 (本文) 敬具」
  • 拝啓 ●●の候 貴社におかれましては益々ご清栄のこととお慶び申し上げます。
    平素は格別のご高配を賜り厚くお礼申し上げます。 (本文) 敬具」

ビジネス文書や手紙ではほんとうに「ご厚情」や「ご高配」「お引き立て」をよく使います。送り状・添え状から見積もり書にいたるまで、ほとんどすべてのビジネス文書(社外むけのみ)に使われます。

また「ご厚情」の代わりに「ご高配」「お引き立て」をもちいてもよいでしょう。

ビジネス挨拶文の例文50選(文書・メール・年賀状・時候ほか)

「痛み入ります・恐れ入ります」のビジネスメール

さいごに「痛み入ります」「恐れ入ります」を使ったビジネスメールや文書の例文を紹介します。

例文①「結婚のお祝い お礼メール」for社外ビジネス

メール件名:お礼(転職・ノマド)

ビジネス株式会社
営業部の皆さま(社外ビジネス取引先)

お世話になっております。株式会社転職・ノマドでございます。
このたびは私ども二人の結婚にあたり、結構なお品を頂き誠にありがとうございました。

いつもながら、ご厚情痛み入ります。

さて私事ではございますが、先日入籍・引越しを終え、新居にて結婚生活をスタートいたしました。諸々の手続きが一段落し、ようやく落ち着いて参りました。皆さまのお心遣いに夫婦ともども大変嬉しく思っており、新生活を機に頂いたお品を大切に使わせて頂きます。

なお、ささやかながら、心ばかりの品をお送りいたしました。どうかご笑納くださいませ。

略儀ながら、まずはお礼かたがたメールにてご挨拶申し上げます。

——————————-
株式会社転職
法人営業部 国内営業課
ノマド サラリーマン
〒xxx-xxxx
●●県●●市●●Δ-Δ-Δ
電話:xxxx
FAX:xxxx
E-mail:xxx@xxx
——————————-

・いただく は「もらう」の謙譲語
・恐縮 は「恐れ入る、申し訳なく思う」の意味
・おります は「いる」の謙譲語「おる」に丁寧語「ます」

例文②アポイントメール(ビジネス)

件名: 貴社訪問のお願い(転職会社・転職太郎)

就活株式会社
就活 様

突然のご連絡、失礼いたします。
転職会社・営業部の転職太郎と申します。貴社○○様からのご紹介で連絡いたしました。

この度は、弊社サービス「スーパー転職」の紹介に伺いたく存じます。
よろしければ以下日程のいずれかで貴社へ伺いますが、
ご都合のほど如何でしょうか。

  • 12月21日9:00~12:00
  • 12月22日13:00~18:00

お忙しいところ大変恐れ入りますが(恐縮ですが)、
ご検討のほど何卒よろしくお願いいたします。

メール署名

➡︎「お伺い」「伺う」の意味とメールでの正しい使い方【例文あり】