ご尽力(読み:ごじんりょく)の意味とビジネスシーン(メール・手紙・上司・目上など)にふさわしい使い方を、メール例文つきで解説する記事。
まずは要点のまとめから。
「ご尽力」の意味は
力を尽くすこと、力を出し尽くすこと
「ご尽力をいただきありがとうございました」とした場合、
力を尽くしてくれてありがとう の意味となります。
「ご尽力」の使い方は大きく3つ
①お礼、②お詫び、③自分が尽力する
具体的には以下のような例文で、
とくにビジネスメールの冒頭にあいさつ文として使います。
- お礼のビジネスメール
例文「ご尽力をいただきありがとうございました」
例文「ご尽力をいただき厚くお礼申し上げます」 - お詫び・謝罪のビジネスメール
例文「ご尽力を頂いたにも関わらずこのような結果となり、誠に申し訳ございません」
例文「ご尽力いただいておきながら、このような結果となりましたこと、深くお詫び申し上げます」 - 自分が尽力する
例文「尽力いたします」
例文「尽力して参ります」
※ いただき・いただく は「賜り・賜る」で言い換えできます
ざっくりとした解説はこれにて終了ですが、
本文中では、いろいろな例文を使いながら意味、使い方、注意点について説明していきます。
この記事の目次
ご尽力 の意味・使い方・例文
ご尽力 の意味は冒頭で解説したとおり
「力を尽くすこと」
「力」を「尽くす」と書きますので、そのままの意味でつかわれます。
これに尊敬語「お・ご」を使うと「ご尽力」という敬語の完成。
使い方も冒頭で解説しましたので省略し、例文でくわしくみていきます。
① 尊敬語とは?
相手をうやまって使う敬語の一種。
相手の行為にたいして使い、自分の行為には使わないことが基本。
敬語の種類はほかに②謙譲語、③丁寧語がある
② 謙譲語とは?
自分をへりくだって下にすることで、相手への敬意をあらわす敬語。
自分の行為に使い、相手の行為には使わないことが基本(例外あり)。
③ 丁寧語とは?
いわゆる「です・ます」口調のこと。
【例文】お礼
ビジネスシーン別「ご尽力」の使い方と例文。
まずは
「お礼」のビジネスシーン。
たとえば
仕事を手伝ってもらったことに対するお礼をする、何かのサポートをしてもらった時のお礼・・・などあり。
ようは
「力を尽くしてくれてありがとう」みたいな意味で使います。
このようなビジネスシーン(メール・目上・就活・転職ふくむ)では、メール冒頭のあいさつ文に使うと相手への配慮が感じられて好感がもてます。
それでは例文でみていきましょう。
【例文①】ご尽力をいただき、ありがとうございました
ご尽力 のビジネスシーン(メール・手紙・上司・目上)にふさわしい使い方と例文。
「ご尽力をいただき、ありがとうございました」
あるいは
「ご尽力を賜り、ありがとうございました」
意味はどちらも
「力を尽くしてくれてありがとう」
使い方はたとえば、
上司から仕事のサポートをしてもらった時。
会社を休んでいるあいだにサポートしてくれた人に対するお礼。
敬語としてみると
- 尊敬語「お・ご」をつけて「ご尽力」
- もらう の謙譲語「いただく」「賜る」
こんな感じで成り立ちますので、
ビジネスシーン(メール・手紙・目上・就活)で使えるすばらしい敬語になります。
「ご尽力」は他人の行為なのに謙譲語「いただく・賜る」ではおかしい!という人もいます。
ただし、
「尽力をしてもらう」のはあくまでも自分であることから、謙譲語を使っても間違いではありません。
もし納得できないようでしたら「ご尽力くださいまして、ありがとうございました」というように尊敬語「くださる」を使いましょう。
【例文②】ご尽力をいただき、厚くお礼申し上げます
ご尽力 のビジネスシーン(メール・手紙・上司・目上)にふさわしい使い方と例文。
「ご尽力をいただき、厚くお礼申し上げます」
あるいは
「ご尽力を賜り、厚くお礼申し上げます」
意味はどちらも
「力を尽くしてくれてホントにありがとう、礼を言うわ〜」
例文①ご尽力をいただきありがとうございました
と比べて、よりかしこまった敬語である点に違いあり。
「厚くお礼申し上げます」という敬語は「ありがとうございます」よりも、かしこまったお礼の表現。
ビジネス会話ではあまり使わず、文書でよくつかわれます。
また、
使い方は例文①に同じため省略。
敬語としてみると
- 尊敬語「お・ご」をつけて「お力添え」
- もらう の謙譲語「いただく」「賜る」
- お礼を言う の謙譲語「お礼申す」
+かしこまった表現「上げる」
+丁寧語「ます」
こんな感じで成り立ちますので、
ビジネスシーン(メール・手紙・目上・就活)に使えるすばらしい敬語になります。
【例文】お詫び・謝罪
ビジネスシーン別「ご尽力」の使い方と例文。
つづいては
「お詫び・謝罪」のビジネスシーン。
たとえば
仕事を手伝ってもらったのに上手くいかなかったとき・・・などあり。
ようは
「力を尽くしてもらったのに、すみません…」みたいな意味で使います。
このようなビジネスシーン(メール・目上・就活・転職ふくむ)では、メール冒頭のあいさつ文に使うと相手への配慮が感じられて好感がもてます。
それでは例文でみていきましょう。
【例文③】ご尽力を頂いたにも関わらずこのような結果となり、誠に申し訳ございません
ご尽力 のビジネスシーン(メール・手紙・上司・目上)にふさわしい使い方と例文。
「ご尽力を頂いたにも関わらずこのような結果となり、誠に申し訳ございません」
あるいは
「ご尽力を頂いておきながらこのような結果となり、誠に申し訳ございません」
意味はどちらも
「力を尽くしてもらっておきながらこのような結果となって、すみません」
使い方はたとえば、
上司から仕事のサポートをしてもらったにも関わらず、よい結果がでなかったとき。
敬語としてみると
- 尊敬語「お・ご」をつけて「お力添え」
- もらう の謙譲語「いただく」「賜る」
こんな感じで成り立ちますので、
ビジネスシーン(メール・手紙・目上・就活)で使えるすばらしい敬語になります。
【例文】自分が尽力する
ビジネスシーン別「ご尽力」の使い方と例文。
つづいては
「自分が尽力する」のビジネスシーン。
ここまでは相手に尽力してもらう、という使い方をみてきました。
「尽力」はあたり前のことながら、自分の行為にも使えます。
たとえば
○○の案件がんばります、まい進して参りますの言い換え・・・などあり。
ようは
「全力でがんばります!」みたいな意味で使います。
このようなビジネスシーン(メール・目上・就活・転職ふくむ)では、メール冒頭のあいさつ文に使うと相手への配慮が感じられて好感がもてます。
それでは例文でみていきましょう。
【例文④】○○に尽力いたします
ご尽力 のビジネスシーン(メール・手紙・上司・目上)にふさわしい使い方と例文。
「○○に尽力いたします」
あるいは
「○○に尽力して参ります」
意味はどちらも
「○○に全力で取り組みます、力を尽くします」
使い方はたとえば、
予算達成に尽力いたします!
ホームランバッターになれるよう、筋トレに尽力して参ります!
石油採掘プロジェクト、私が尽力したいです。
など。
敬語としてみると
- 尊敬語「お・ご」をつけて「ご尽力」
- する の謙譲語「いたす」
- 丁寧語「ます」
- 行く・来る の謙譲語「参る」
こんな感じで成り立ちますので、
ビジネスシーン(メール・手紙・目上・就活)で使えるすばらしい敬語になります。
【注意点】ご尽力 はこう使う!
つづいて「ご尽力」を使うときの注意点を解説します。
なんでもかんでも使うのではなく、
ふさわしいビジネスシーンを考えて使いましょう。
自分が尽力する のであれば「ご尽力」はつかわない!
尽力 を自分の行為につかいたい時。
ご尽力します!
は敬語の使い方がまちがっているため、ご注意を。
尊敬語「お・ご」は相手の行為につかうのでしたよね?
お忘れのようでしたら、冒頭に書いた補足をご参照ください。
したがって
自分の行為につかうときは「尽力」「力添え」とするのが正しい使い方。
「ご尽力・お力添え」はどちらも尊敬語「お・ご」をつかって敬語にしています。
尊敬語は相手をうやまうために使う敬語で、
相手の行為につかうのが基本。
「尽力する」のが自分であれば、
尊敬語ではなく謙譲語にして以下のような例文でつかいます。
- 例文(私が)尽力して参ります
・参る は「行く・来る」の謙譲語 - 例文(私が)尽力いたします
・いたす は「する」の謙譲語
・丁寧語「ます」 - 例文(私が)尽力いたしましょうか?
ご尽力 と お力添え はそもそも意味が違う
ご尽力 の類語としてよく使われるフレーズに「お力添え」があります。
この2つの違いは意味。
「お力添え」の意味は
手を貸すこと、
他人を手助けすること
「お力添えいただきたく存じます」とした場合、
相手に手を貸してもらいたいと思う=手を貸してほしい の意味となる。
「ご尽力」の意味は
力を尽くすこと、
力を出し尽くすこと
「ご尽力いただき、ありがとうございました」とした場合、
力を尽くしてもらい、ありがとう の意味となる。
もともとの意味が違うため、使い方も若干ですが違います。
ポイントとなる使い方の違いをまとめておきます。
【注意①】ご尽力は お願い・要望には使わない
NG例文「ご尽力いただきますようお願い申し上げます」
→ このシーンでは「お力添え」が正しい
【注意②】ご尽力は お礼・お詫びのみ
正しい例文「ご尽力いただき、ありがとうございます」
正しい例文「ご尽力いただいたにも関わらず申し訳ありません」
ご尽力 を「お願い・要望」のビジネスシーン(手紙・メール・上司・目上)に使わない理由について。
たとえば
NG例文「ご尽力いただきますようお願い申し上げます」とつかった場合、
「力を尽くしてもらうよう、お願い!」
の意味となります。
もっというと
「力を尽くしてくれ!」
というニュアンス。
ところがビジネスシーンで「力を尽くしてくれ!」っておかしくない?
もし相手が目上のひとだったら、
「なんでオレがお前のために力を尽くさなきゃいけない?」
と思われることでしょう。
ということで、
お願いするときのふさわしいフレーズは「お力添え=力を貸すこと」が正しいと言えます。
【参考】「ご尽力」「お力添え」意味と違い、正しい使い方 – メール例文
ご尽力 の類語・例文
ご尽力 を言い換えできる類語を例文で紹介しておきます。
- 努めてまいります(自分の意思)
- 勤めてまいります(自分の意思)
- 務めてまいります(自分の意思)
う~~ん、どれも微妙な表現です…。
「ご尽力」に勝る言い回しはないですね。