「与える」の謙譲語と尊敬語は?正しい敬語、NGとなる使い方

「与える」の敬語変換(謙譲語・尊敬語・丁寧語)と、

ビジネスシーン(メール・手紙・文書・社内上司・社外・目上・就活・転職)にふさわしい使い方、注意点について。ビジネスメールの例文つきで誰よりも正しく解説する記事。

まずは要点のまとめから。

与える の謙譲語は…

① 差し上げる
② 献上する・献呈する・献じる・進呈する

過去形は「差し上げた」

※ただしビジネスシーンでは使わない(本文にて)。また②だと違う意味になってしまうため「与える」の謙譲語というよりも厳密には丁寧な「言い換え」。

与える の尊敬語は…

① お与えになる
② 与えられる

過去形は「お与えになった」「与えられた」

謙譲語は自分の行為につかうことが基本となるため、

  • (自分が)あなたにコーラを差し上げる
  • (自分が)上司にコーラを差し上げる

として使えるには使えますが…あまりよい表現とはいえません。「コーラをおひとつどうぞ」などのシンプルな表現のほうが素晴らしいですね(理由については本文にて)。

いっぽうで尊敬語は相手の行為につかうことが基本となるため、

  • (上司が)コーラを私にお与えになる
  • (上司が)コーラを私に与えられる

として使います。

ただし、

尊敬語の「~れる・られる」は受身や可能の「~れる・られる」と間違われることもおおいため、「~なる」を使うほうが無難。そうすると会うの尊敬語は「お伝えになる」「お伝えなさる」を使うのがベター。

ここでひとつ注意点を。

「与える」という言葉はそもそもなんとな~く上から目線に感じるため、以下の表現をつかうことがビジネスシーンでは一般的。

  • もらう の謙譲語「いただく」
    例文「上司からコーラをいただいた」
  • くれる の尊敬語「くださる」
    例文「上司がコーラをくださった」

このように、

おなじく「上司からコーラをもらう・上司がコーラをくれる」という事象であっても「くださる・いただく」を使って、より丁寧な敬語フレーズで表現できます。

ざっくりとした解説はこれにて終了ですが、本文中ではいろいろな例文を紹介しながら使い方、注意点について説明していきます。

与える の謙譲語「差し上げる」使い方と例文

まずは「与える」の謙譲語「差し上げる」のビジネスシーン(メール・手紙・文書・社内上司・社外・目上・就活・転職)にふさわしい例文と使い方を紹介します。

そもそも謙譲語とは?

念のため基本となる謙譲語とはなにか?について簡単に復習しておきます。

  • 謙譲語Ⅰ=自分を低めることで行為のおよぶ先を高めて敬意を表す敬語のこと。
  • 謙譲語Ⅱ=聞き手に敬意を表す敬語のことで「もうす」「おる」「まいる」「いたす」などがある。

【出典】文化庁「敬語の指針」

使い方

「与える」の謙譲語「差し上げる」の使い方は先にのべたとおり、

「自分が誰か対象となる目上のヒトに与える」のようにして自分の行為・行動に使う謙譲語です。

自分を低くすることで対象を立てる・うやまう・高める敬語が謙譲語であるため、決して対象の行為にたいして謙譲語を使ってはいけません。

たとえば、

  • NG例文「部長が私にお土産を差し上げた」
  • NG例文「総理が私にお土産を差し上げた」

のような例文はダメ。

目上のヒトが目下に「与える」としたいときには謙譲語ではなく尊敬語を使い「部長がわたしにお与えになりました」とします。

丁寧語「です・ます」を組み合わせると、より丁寧な敬語になる

「与える」の謙譲語「差し上げる」を使うときには、丁寧語「です・ます」を組み合わせるとより素晴らしい敬語になります。

すでに例文にはしていますが…

ビジネスシーンにおいては
「差し上げます」として使うとより丁寧です。というより、ほぼ100%こういった使い方をします。

差し上げます は間違いじゃないけど目上のヒトに使わない

ここで重要な注意点を。

「差し上げる・差し上げます」をビジネスシーン(メール・手紙・文書・社内上司・社外・目上・就活・転職)に使うのはオススメしません。

なぜなら、

「与える・やる」という言葉がそもそも目上のヒトに使うにはふさわしくないから。

たとえば、

「部長にお土産を差し上げます」

とすると敬語の使い方としては正しいものの「部長にお土産やるわ、ホレッ!」みたいなニュアンスに聞こえてしまいます。

おなじように、

  • NG例文「ご連絡差し上げます」
  • NG例文「ご報告差し上げます」
  • NG例文「ご挨拶差し上げます」

といった敬語も好まれません。

  • 正しい例文「ご連絡いたします」
  • 正しい例文「ご報告いたします・申し上げます」
  • 正しい例文「ご挨拶申し上げます」

のように使いましょう。

【敬語の補足】
・いたす は「する」の謙譲語
・「お~する」「お~いたす」は謙譲語
・申し上げる は「言う」の謙譲語

ほぼ100%、丁寧なフレーズで言い換えできる

「与える」の謙譲語「差し上げる」はほぼ100%、ほかのもっと丁寧な敬語フレーズに言い換えできます。

さきほど少し触れましたが、

  • イマイチな例文「部長にお土産を差し上げます」

は敬語の使い方としては正しいものの「差し上げる=与える・やる の謙譲語」という表現がマズイために相手に失礼だと思われるリスクあり。

そこで、

  • 言い換え例文「部長、お土産をどうぞ」
  • 言い換え例文「つまらないものですが、おひとつどうぞ」
  • 言い換え例文「お礼の品をお送りいたしました。どうかご笑納ください」

と言い換えすると丁寧です。

【敬語の補足】
・どうぞ はビジネス会話ではOK。文書で使うとカジュアルすぎるため注意
・ご笑納 は「つまらないものですが笑って受け取って下さい」という意味。謙譲表現。

与える の尊敬語「お与えになる」使い方と例文

つづいて「与える」の尊敬語「お与えになる」「与えられる」のビジネスシーン(メール・手紙・文書・社内上司・社外・目上・就活・転職)にふさわしい例文と使い方を紹介します。

使い方

「与える」の尊敬語「お与えになる」「与えられる」の使い方は先にのべたとおり、

「目上の相手が誰かに何かをお与えになる」のようにして相手の行為・行動に使う尊敬語です。

相手を立てる・うやまう・高める敬語が尊敬語であるため、決して自分の行為にたいして尊敬語を使ってはいけません。尊敬語を自分の行為に使うと、自分で自分をうやまうことになってしまいます。

たとえば、

  • NG例文(私が)部長にお土産をお与えになる」
  • NG例文(私が)総理大臣にお土産をお与えになる」

のような例文はダメ。

自分が目上のヒトに「言う」としたいときには尊敬語ではなく、自分の行為を低めて相手を高める敬語(謙譲語)を使い「私が部長に差し上げます」とします。

お与えになる・与えられる どっち使う?

ここでひとつ注意点というか、まぎらわしいので少し解説を。

「与える」の尊敬語には、

①お与えになる
②与えられる

と2パターンあります。どちらとも正しい敬語なのですが「与えられる」は受け身形の「れる・られる」との混同をまねいてしまうため①お伝えになる、①お与えになる をつかうのが無難。

たとえば

「上司が犬にエサを与えられました」

だと敬語なのかなんなのか、難しい表現になってしまいます。

そこで

「上司が犬にエサをお与えになりました」

のように「お・ご〜なる」という尊敬語を使うことをオススメします。

丁寧語「です・ます」を組み合わせると、より丁寧な敬語になる

「与える」の尊敬語「お与えになる」「与えられる」を使うときには、丁寧語「です・ます」を組み合わせるとより素晴らしい敬語になります。

すでに例文にはしていますが…

ビジネスシーンにおいては
「お与えになります」「お与えになりました」として使うとより丁寧です。

例文

「与える」の尊敬語「お与えになる」「与えられる」のビジネスシーン(メール・手紙・文書・社内上司・社外・目上・就活・転職)にふさわしい例文。

  1. 例文「雅子様が犬にエサをお与えになる姿はとても美しい」
    ・意味は「雅子様がいぬにエサを与える姿は~」

他にもよく使う敬語のまとめ表

「与える」の敬語変換(謙譲語・尊敬語・丁寧語)のほかにもビジネスシーンでよく使う敬語をまとめておきます。これを機にマスターしておきましょう。

謙譲語 尊敬語 丁寧語
言う  申す
申し上げる
 おっしゃる
言われる
 言います
会う  お会いする
お目にかかる
 お会いになる
会われる
 会います
する  致す
(いたす)
 なさる  します
伝える  お伝えする
申し伝える
 お伝えになる
伝えられる
 伝えます
思う  存じる  お思いになる
思われる
 思います
行く  伺う
参る
参上する
 いらっしゃる
おいでになる
お越しになる
 行きます
もらう  いただく  くださる  もらいます
「~れる」という尊敬語は受身形「れる・られる」と混同しやすいため「お~なる」を使うほうがベター。

与える の類語と言い換え

与える の類語と言い換えについて。

ビジネスシーンでも使える言い換え表現をざっくりまとめておきます。

(相手に)贈呈する・進呈する

与える の類語・言い換え。

贈呈する・進呈する の意味はどれも「物を差し上げること」。「呈」には「差し出す」という意味がありますのでこのような解釈ができますね。

謙譲語は「贈呈いたす・進呈いたす」をつかいます。「贈呈する」は自分側のだれかが贈呈するのですから相手の行為に使うことはなく、したがって尊敬語は「該当なし」となります。

また、

もっと丁寧な言い換えには「謹呈する(きんてい)」があります。「つつしんで差し上げる」という謙譲表現をふくむフレーズですね。

  • 例文「○○社長に花束を贈呈した」
  • 例文「○○社長に祝儀を進呈した」

(相手に)献上する・献呈する

与える の類語・言い換え。

献上する・献呈する・献じる の意味はどれも「主君や貴人に物を差し上げること。」

謙譲語は「献上いたす」をつかいます。「献上する」は自分側のだれかが献上するのですから相手の行為に使うことはなく、したがって尊敬語は該当なしとなります。

また、

これらの言い換えは丁寧な表現ではあるものの…ビジネスシーン(メール・手紙・文書・社内上司・社外・目上・就活・転職)で使うには大げさなフレーズかもしれません。まるでワイロを渡しているかのような気分になりますね。

  • 例文「取引先の○○社長に自社ビルを献上した」
  • 例文「取引先の○○社長に自社ビルを献呈した」

その他

与える の類語・言い換え。

ここからは使うシーンに限りのあるフレーズをご紹介。

  1. (相手が)くださる
    与える の言い換えではないものの、相手が「くれる」を尊敬語にするとこうなる。丁寧な敬語でありビジネスシーンにふさわしいフレーズ。
  2. (自分が)いただく・賜る
    与える の言い換えではないものの、自分が「もらう」を謙譲語にするとこうなる。丁寧な敬語でありビジネスシーンにふさわしいフレーズ。「いただく」よりも「賜る(たまわる)」のほうがかしこまった敬語であり、文書で使うときに好まれる。

与える の謙譲語・尊敬語はこう使う!

つづいて「与える」の敬語変換(謙譲語・尊敬語・丁寧語)を使うときの注意点を解説します。

敬語を正しく使うことはもちろん、
ふさわしいビジネスシーンを考えて使いましょう。