電機(電気)大手8社の違いとは?それぞれの企業の強み・弱みって何?という就活・転職の疑問を解消する記事。
- 総合電機3社・電機大手8社とは?他大手との違いは?
- 総合電機メーカー3社・電機大手8社の企業研究(強み・弱み・課題)
- 総合電機メーカー3社・電機大手8社の年収
今回は「2. 総合電機メーカー3社・電機大手8社の企業研究(強み・弱み・課題)」について解説していきます。
「電機メーカーの志望動機」に役立つかは不明ですが、企業の違いをざっくりと把握しておくことには意味があります。
それでは進めていきましょう。
電機大手8社の違い比較①売上ランキング(2015年度実績)
日立製作所が10兆円越えで売上ランキングNo.1。Sony、Panasonic、東芝、富士通、三菱電機、NEC、Sharpと続きます。
営業利益率では、BtoB産業用分野で好調の三菱電機がNo.1。インフラ事業で安定している日立製作所が同じくらい。
続いて利益率の高い金融業(保険)を持つSONY。テレビなどの不採算事業を整理して最悪期は脱出したPanasonic。
続いてBtoBのITシステム関連で低位安定の富士通、日本電気(NEC)が同じくらい。
最後に営業赤字の東芝とSHARPは論外。今後の経営建て直しに期待するしかない状況です。
利益を出しているメーカーも2012年~の円安による輸出利益改善と、2015年~の原料安で助かっている感がある…営業利益率が5%を下回るようだと、いつ赤字に転落してもおかしくない。
ただし富士通やNECはITシステムをメインのビジネスにしているため、為替などの影響はほぼ受けない。これからもずっと低位安定で推移するでしょう。
電機大手8社の違い比較①純利益ランキング
念のため当期純利益ベースのランキングも掲載しておきます。
電機大手8社の違い比較③特徴(強み・弱み)
ビジネスの違いを細かく語っても無意味なので各社、稼いでいる事業を強みとして課題を考えます。このように分析する理由は以下2つ。
- 大きく稼いでいる商品・分野 = 会社が今後も力を入れる
- 大きく稼いでいる商品・分野 = 新人が配属される可能性高い
もっと具体的にすると、SONYの志望動機で「テレビ事業やりたいです!」と言うのは的外れ…テレビ事業なんて稼いでもいないし、今後縮小していくことが目に見えているからです。
日立製作所
- 強み:
- 弱み、課題:
- ITの強化、競合に比べて劣る。
- 海外展開強化。
海外売上比率は高いが国内製造・輸出であるため、真にグローバル化していない。そのため為替に大きく影響される。
海外展開を加速したいなら現地製造が基本。
- その他:
- 海外売上比率48%
- 今後の展望:
- 人工知能やIOT分野で存在感を増す予定。でも具体策なし(苦笑)。
- リスク:
- 儲からない事業からの撤退が早いため、そのような事業に配属となった場合にはリストラや配置転換される覚悟が必要である。
- 技術的に優れているわけではない。
ブランド力と総合力でなんとかしている感じがある。それでも国内インフラ系は売れてしまうので問題ないが…
東芝
- 強み:
- 原子力発電所
- 半導体フラッシュメモリ分野
のはずだが技術、コスト共に韓国サムスンもしくは他新興メーカーに負けるのは目に見えている。
- 弱み、課題:
- 稼いでいない事業の早期撤退…
肝心のコアである重電事業、半導体事業とも景気に左右されやすい。
加えて東芝が何か特別に優れているわけではない。
- 稼いでいない事業の早期撤退…
- その他:
- 海外売上比率59%
- 今後の展望:
- あと10年くらいは不正会計の後処理、構造改革リストラに追われるでしょう。東芝は大したことをやっていないので会社自体が無くなったとしても、誰も困らないと思われます。
- リスク:
- 構造改革による突然のリストラ。
三菱電機
- 強み:
- 弱み、課題:
- 選択と集中に成功したが、どの分野も突き抜けた実力はない。
どれもNo.2~No.3というパターン。
- 選択と集中に成功したが、どの分野も突き抜けた実力はない。
- その他:
- 海外売上比率43%
- 今後の展望:
- 儲からない事業をますます切っていく。
- リスク:
- 事業整理に伴うリストラ。
Panasonic(松下電器)
- 強み:
- いくつか世界No.1製品を持つこと
- 車載カメラモジュール(世界No.1)
- 超音波センサー自動車分野(世界No.1)
- 車載用電池(世界No.2)
世界No.1サムスンの爆発事故で追い風?
電池は材料さえあれば誰でも作れるが車載用は安全性重視、ブランド力で当面は伸びる可能性あり。
- 弱み、課題:
- なんだかんだで組み立てるだけ、プログラミングするだけ、というパターンが多い。
- 過去の成功体験にしがみついており、BtoBにシフトしたところで根本的には変わってない。
でも電子部品メーカー、化学素材メーカーを儲けさせてくれるので、よし。
- その他:
- 海外売上比率54%
- 今後の展望:
- 2018年度、車載用だけで売上2兆円1000億円が目標。
- BtoCで稼いでいないテレビ、白物家電は縮小
- BtoB、特に車載用に力をいれる。
EVやFCV、自動運転など、電機・電子部品メーカーの出番は多いが競合も激しい。
完成車が開発途上であるため、どうなっていくか先が読めない。
- リスク:
- 事業整理に伴うリストラ。
SONY
- 強み:
- 利益率の高い金融(生命保険、損害保険、銀行)
- 音楽、映画は低位安定
- 弱み、課題:
- 家電中心に不採算事業を多く抱える。
- ゲームもスマホに押されて元気がない。
- その他:
- 海外売上比率71%
- 今後の展望:
- 迷走中。
ここ10年くらい経営層、特に外人が無能すぎる。
もっとマジメにやれ!と言いたい。
自分の給料を維持すること以外に何も考えていないのでは?
- 迷走中。
- リスク:
- 事業整理に伴うリストラ。
富士通
- 強み:
- ITシステムのことなら何でも揃う、総合力、ブランド力
- SI(システムインテグレーション)
- 官庁、大企業との信頼関係
- 弱み、課題:
- NECとの違いが分からない
- SI = 結局はSIerによる人海戦術
- その他:
- 海外売上比率40%
- 今後の展望:
- ハード(PCなど)からの完全撤退
- 既存ビジネスは需要がなくならない、ず〜っと低位安定
- クラウドサービス、IoT、AI分野で勝ち組になれるか?
- リスク:
- 人海戦術ビジネスの一員として消耗する。
大企業のため代えはいくらでもいる。
- 人海戦術ビジネスの一員として消耗する。
日本電気(NEC)
- 強み:
- 軍事システム
- SI(システムインテグレーション)
- 官庁、大企業との信頼関係
- 弱み、課題:
- 富士通との違いが分からない、強いて言うなら軍事システムに強み
- SI = 結局はSIerによる人海戦術
- その他:
- 海外売上比率21%
- 今後の展望:
- 富士通と同文
SHARP
- 強み:
- 中小型液晶ディスプレイ
と言われているが実際は誰でも作れる。
- 中小型液晶ディスプレイ
- 弱み、課題:
- 強みがないこと
- 今後の展望:
- 変に延命しないで早く潰れた方がよい。
- リスク:
- 事業整理に伴うリストラ。
【参考記事】シャープはなぜ潰れたのか?
まとめ & 筆者の小言
今のところ、潰れる心配がある企業は東芝とシャープだけです。
電機大手8社は総じて事業リストラ中。共通して言えることはBtoCの儲からない事業は縮小しBtoBへシフトしていく、ということ。
でもみんな同じことをやってる訳だから、どうなるかは容易に想像できる。
そもそも、BtoBへ移行しようとした先には元々の専業メーカー(京セラ、日本電産、ファナックなど)がいる。
- BtoCはダメだ、稼げない…
↓ - そうだ、BtoBへシフトしよう!
↓ - みんな同じようにBtoBへシフト
↓ - 電機大手8社による価格競争で消耗
+
もともとBtoB主体だった電機・電子部品メーカーもシェアを失い消耗
↓ - 液晶テレビでやらかしたように、BtoBのマーケットも価格崩壊
↓ - みんな赤字
図式化するとこんな感じ。20年後の未来が私には見える。
「BtoBへシフト」という方向性は正しいけど、その前に電機業界にはもっともっともっと根本的な課題がある。
それは、日本という小さい国に電機大手が8社もあることだ。
少なくともシャープと東芝は潰すべき。でもまだ残り6社もある…
グローバルで勝ち残ることを本気で考えるならば、総合電機メーカー2社体制が望ましい。電機メーカーはみんな好き勝手やって消耗することが大好きなようだ。
彼らには20年後の未来が全く見えていない…迷惑を被るのはこれから就職・転職する若い世代っていう、なんとも可哀想な構図。
電機大手8社に就職するあなたが未来を変えてください!!
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総合電機メーカー2社体制になるとしたらどこになるんでしょうか。
個人的には、残るとしたら日立とパナかなと思いますが。