【2018年版】食品メーカー(調味料・乳製品・菓子・飲料・ビール・酒類メーカーなど)売上ランキング国内TOP30。
2018年3月期あるいは同等の決算報告書から最新の売上ランキングを紹介します。複数の分野にまたがるため、分野ごとのランキングも記事の最後にて別途作成しています。
就職・転職のご参考にどうぞ。
※「ホールディングス=HD」「グループ=G」と省略しています。
食品メーカーの現状と、今後の動向
ランキングにはいる前にまず食品業界全体のはなしをザックリと。
食品メーカーは景気によってあまり左右されない業種のひとつ。多少の凸凹はあるものの、安定した業績を上げている。
そして売上はほとんど横ばい状態。
日本の人口がほぼ横ばいから、2016年にはついに減少に転じたのだから仕方ない。口の数が減れば国内市場メインの食品メーカーはなかなかツライものがある。
ただし食品メーカー各社、そのことは十分に承知しているハズで海外展開や、海外M&Aを積極的にすすめてきた。結果「味の素」「ミツカン」「キッコーマン」など一部の食品メーカーで海外売上比率50%を超える会社も出てきている。また世界的に日本食ブームとなっていることも追い風。
とにかく国内市場は頭打ちであることから、今後も海外市場を開拓していくことが見込まれる。
ご参考までに。
食品メーカー全体の現状・動向をいろいろな数字で確認しておく。
1. 売上推移~2017年度
2017年度の食品メーカーの売上は全企業あわせて45兆円ほど。金融業をのぞく全業種の売上が約1,544兆円だったので、おおよそ3%が食品業界にあたる。
ほとんどの食品メーカーが国内市場をメインにしていることから、全体の売上は横ばい傾向がつづいている。
2. 経常利益推移~2017年度
2017年度の食品メーカーの経常利益は全企業あわせて2兆円ほど。金融業をのぞく全業種の売上が約83兆5千億円だったので、おおよそ2.4%が輸送機器業界にあたります。
業界全体の経常利益で見ると、直近は2016年・2017年ともに好業績。売上が変わっていないことを考えると原料安の恩恵か、あるいは為替による一時的な影響とも考えられる。
あるいは経常利益は国内外へ投資している持分法適用会社からのリターンも含まれるため、ひょっとしたらそれが増えているのかもしれない。
いかんせん詳細はあまり分析できていない…すみません…
3. 利益率推移~2017年度
2017年度の食品メーカーの売上にたいする経常利益率は平均3.5%ほど。金融業をのぞく全業種の経常利益率が約4.4%だったので、おおよそ8割強の水準にとどまる。
食品業界はライバルがひしめく業界であり、どうしても利益率は低くなりがち。圧倒的な競争優位をもつ企業はホントに限られる。
【データ出所:財務省 】
ランキング第30位-21位
【2018年版】食品メーカー(調味料・乳製品・菓子・飲料・ビール・酒類メーカーなど)の国内売上ランキング。
まずはランキング30位~21位。各分野で知名度のそれなりに高い企業がこのランクに登場します。
- 30位 カルビー・・売上2515億円、純利173億円
▼ポテトチップス、シリアル食品(グラノーラ)などを製造・販売するスナック菓子メーカー。2009年に会長兼CEOに松本晃をむかえて以来、コストカットなど様々な改革をほどこし、売上と利益の両面で急成長を遂げた。なお同氏は2018年6月をもって退任しライザップのCOOとなっている。平均年収746万円。→公式HP - 29位 宝HD・・2681億円、純利110億円
▼傘下に酒類製造の「宝酒造」、バイオテクノロジーの「タカラバイオ」などをおく持株会社。CMでは「タカラ」「TaKaRa」と表記される。清酒「松竹梅」や、みりん、焼酎などを製造・販売している。初めて缶チューハイを発売したことでもその名を知られている。平均年収723万円。 - 28位 ハウス食品G本社・・2918億円、純利93億円
▼ハウス食品グループの持株会社。即席カレールーやレトルト食品、香辛料、調味料などの製造・販売を手がけている。食品メーカー大手。平均年収791万円。→公式HP - 27位 不二製油G本社・・3076億円、純利137億円
▼不二製油グループの持株会社。油脂や製菓・製パン素材、大豆などの
製造・販売を手がけている。消費者むけの製品で豆乳クリームやチョコなども取り扱っているが、おおくは法人に食品材料の油脂などを販売している。平均年収965万円。→公式HP - 26位 エスフーズ・・3164億円、純利77億円
▼牛もつ肉の「こてっちゃん」をはじめとしたブランドを展開する食品メーカー。同シリーズをコアブランドとし、野菜炒めレトルト、もつ鍋レトルト食品などを手がけている。平均年収487万円。→公式HP - 25位 日本製粉・・3234億円、純利76億円
▼小麦やそば粉のの製粉メーカー。製粉分野では日清製粉についで日本国内シェア2位。「ニップン」「オーマイ」ブランドで知られる。三井物産が大株主の一社となり4%ほど株を保有しているが、同社との関係は希薄である(過去に経営不振で援助を受けた名残)。平均年収712万円。→公式HP - 24位 日清オイリオグループ・・3379億円、純利69億円
▼製油メーカーであり、家庭むけ食用油において国内No.1のシェアを持つ。総合商社・丸紅が筆頭株主となってはいるが同社の子会社ではない。平均年収729万円。→公式HP - 23位 江崎グリコ・・3534億円、純利152億円
▼菓子・食品・乳製品・健康食品などを製造・販売する総合食品メーカー。平均年収835万円。「ポッキー」「プリッツ」「ビスコ」などのブランドで知られる。菓子類の競合メーカーとしては明治・ロッテ・森永製菓・不二家・ブルボンなどが挙げられ、食品類での競合メーカーには、ハウス食品・明治・エスビー食品などがあげられる。→公式HP - 22位 東洋水産・・3887億円、純利184億円
▼カップ麺・即席めんなどをコアとする大手食品メーカー。「マルちゃん」のブランドで親しまれている。商品としては「赤いきつね」「緑のたぬき」など多数あり。三井物産の子会社だった時期もあるが現在、同社との資本関係はほぼ無い。平均年収569万円。→公式HP - 21位 プリマハム・・3945億円、純利104億円
▼食肉加工メーカー。ハムやソーセージを主力商品とし、日本ハム、伊藤ハム、丸大食品と共に大手4社の一角をなす。食肉加工分野においては業界3位。「香薫(こうくん)」などのブランドで知られる。伊藤忠商事が約40%の株を保有し、同社のグループに属している。平均年収712万円。→公式HP - 20位 ヤクルト本社・・4015億円、純利340億円
▼乳酸菌飲料「ヤクルト」シリーズを主力商品としつつも、食品・化粧品・医薬品など多方面に展開する総合食品メーカー。乳酸菌飲料メーカーとしては国内No.1。また日本だけでなくグローバル展開の歴史もながく、ブラジルなど一部の地域では他の追随をゆるさない圧倒的なブランド力をほこる。平均年収783万円。→公式HP
ランキング第20位-11位
【2018年版】食品メーカー(調味料・乳製品・菓子・飲料・ビール・酒類メーカーなど)の国内売上ランキング。
つづいてランキング20位~11位。
- 19位 キッコーマン・・売上4306億円、純利238億円
▼醤油をコアビジネスとする食品メーカー。醤油をベースとしたタレ、つゆ、ポン酢などの和風調味料にもつよみを持つ。平均年収808万円。→公式HP - 18位 伊藤園・・4947億円、純利125億円
▼茶製品、野菜飲料、コーヒー飲料等を扱う飲料メーカー。「お〜い お茶」シリーズなどで知られる。平均年収563万円。→公式HP - 17位 日清食品HD・・5164億円、純利291億円
▼インスタントラーメンを中心とした食品加工メーカー。「チキンラーメン」「カップヌードル」シリーズはもはや国民的ブランドであり、同社のユニークなCM広告戦略も注目をあつめている。平均年収796万円。→公式HP - 16位 日清製粉G本社・・5400億円、純利213億円
▼最大手の製粉メーカー。日清製粉としては消費者むけの製品は販売しておらず、企業むけがほとんど(BtoB)。家庭用製品は日清フーズから販売されている。なお似たような社名の「日清食品」とは一切の関係がない。平均年収861万円。→公式HP - 15位 サッポロHD・・5515億円、純利109億円
▼大手ビールメーカー「サッポロビール」、飲料メーカー「ポッカサッポロフード&ビバレッジ」などを傘下におく持株会社。平均年収858万円。→公式HP - 14位 キユーピー・・5616億円、純利180億円
▼マヨネーズなどの調味料を主力としている食品メーカー。平均年収596万円。→公式HP - 13位 ニチレイ・・5680億円、純利190億円
▼日本で初めて冷凍食品を作った企業であり、冷凍食品分野において国内最大手の食品メーカー。平均年収703万円。→公式HP - 12位 森永乳業・・5920億円、純利157億円
▼大手乳製品メーカー。菓子メーカーの森永製菓とは兄弟会社の関係である。チルドコーヒー飲料「マウントレーニア」、乳製品「アロエヨーグルト」などのシリーズで知られる。平均年収741万円。→公式HP - 11位 雪印メグミルク・・5961億円、純利133億円
▼大手乳製品メーカー。2009年に雪印乳業(雪印)と日本ミルクコミュニティ(メグミルク)の経営統合により発足した。「雪印メグミルク牛乳」「雪印コーヒー」「ナチュレ恵megumi」などの製品を手がけている。平均年収704万円。→公式HP
ランキングTOP10
【2018年版】食品メーカー(調味料・乳製品・菓子・飲料・ビール・酒類メーカーなど)の国内売上ランキング。
つづいてランキングTOP10。
10位 伊藤ハム米久HD・・売上8318億円
2016年4月1日に当時業界No.2の伊藤ハムと、同No.7の米久(よねきゅう)が経営統合し発足した持株会社。
この統合により食肉加工分野において業界No.3のプリマハムをおおきく引き離し、No.1日本ハムグループにつぐ国内No.2のポジションを強固なものにした。
総合商社の三菱商事が39%の株を保有し、同グループ会社となっている。
平均年収778万円。純利157億円。→公式HP
9位 コカ・コーラボトラーズジャパンHD・・売上8726億円
日本国内のコカ・コーラ製品の9割を担う巨大ボトラー。
もともとは各地に散らばっていたコカ・コーラボトラーを次々と経営統合し、今の形となった。
日本コカ・コーラが13%超の株を保有しているが、米コカコーラ本体とはそれ以外の資本関係はない。
平均年収885万円。純利252億円。→公式HP
8位 山崎製パン・・売上1兆円
国内最大かつ世界No.2の規模をほこる製パンメーカー。
略称は「ヤマザキパン」、「山パン」など。
あまり表には出てこないが、普段コンビニやスーパーで買うパンの多くはヤマザキパンが手がけている。
平均年収567万円。純利251億円。→公式HP
7位 味の素・・売上1.1兆円
調味料をコアビジネスとする食品メーカーであり、調味料メーカーとしては国内最大手。
「味の素」「ほんだし」「Cook Do」といったブランドのほか、冷凍食品なども手がけている。
日本食だけでなく料理全般に欠かせない調味料ということもあり、グローバルに展開。安定成長をつづけている。
なお食品分野だけでなく医療事業にも参入しており、経営の多角化をおこなっている。
平均年収944万円。純利607億円。→公式HP
6位 サントリー食品インターナショナル・・売上1.2兆円
洋酒・ビールメーカーであるサントリーHD(非上場企業)傘下の清涼飲料事業子会社。
サントリー食品インターナショナルにおいては、サントリーグループ内のソフトドリンク部門を受け持ち、傘下のサントリーフーズを主軸に国内外に清涼飲料事業を展開している。
海外では1980年にアメリカで清涼飲料事業に進出し、ペプシブランドを製造販売するペプシ・ボトリング・ベンチャーズ社の経営を手がける他、2009年にはオランジーナ・シュウェップス・グループの経営権を取得している。
平均年収1084万円。純利781億円。→公式HP
5位 明治HD・・売上1.2兆円
食品および乳製品メーカー「明治」、製薬会社「Meiji Seika ファルマ」などを傘下におく持株会社。
チョコレート菓子「アポロ」「きのこの山」「メルティーキス」、乳製品「ブルガリアヨーグルト」「おいしい牛乳」、清涼飲料「ミニッツメイド」などで知られる。
平均年収967万円。純利612億円。→公式HP
4位 日本ハム・・売上1.2兆円
食肉加工分野では国内No.1の規模をほこる。ハム・ソーセージ大手(伊藤ハム・プリマハム・丸大食品)の一角で業界首位。
「シャウエッセン」「豊潤」「石窯工房シリーズ」「中華名菜シリーズ」などの製品で知られる。
なお長らく、商号としてカタカナ表記のニッポンハムを用いる場合も多かったが、2014年にコーポレートロゴを日本ハムの発足から51年目にして初めて改定され、英字表記のNipponhamに改められた。
平均年収869万円。純利371億円。→公式HP
3位 キリンHD・・売上1.8兆円
飲料メーカーのキリン株式会社を中核とする、キリングループの持株会社。傘下に「キリンビール」、清涼飲料「キリンビバレッジ」、医薬「協和発酵キリン」などの企業をおく。
三菱グループの一員。
なおビールだけの国内市場シェアをみると、
- アサヒ・・・40%弱
- キリン・・・35%弱
- サントリー・・15%程度
- サッポロ・・・10%強
ザックリこのようになっている(2018年度)。
国内のビール市場が縮小するなか、海外展開に力を入れており海外メーカーの大型買収を繰り返してきたが、お世辞にも上手くいっているとは言えない。「ビール離れ」で減る分をどう補うのか、今後どうビジネスを拡大していくのか、なかなか方向性を示せずにいる。
また2009年にはサントリーHDとの経営統合について交渉を進めていることも報道された。が結局、両社の利害が一致せずに交渉は中止となった。
平均年収1105万円。純利2420億円。→公式HP
2位 アサヒG HD・・売上2兆円
アサヒビール、アサヒ飲料、アサヒグループ食品などを傘下におく持株会社。
ビールの国内市場シェアは先述のとおりNo.1である。アサヒ→キリン→サントリー→サッポロの順につづく。
「アサヒスーパードライ」などのブランドで知られる。
ビールだけでなく清涼飲料・食品分野に展開するなど、多角化をすすめて堅実にビジネスを拡大しているが、いかんせん食品飲料分野はライバルもつよく競争過多になっているため、ビールほど旨味のあるビジネスではない。今後の戦略が問われている。
平均年収1000万円。純利1410億円。→公式HP
1位 日本たばこ産業 (JT)・・売上2.1兆円
タバコの製造販売をコアとし、食品・飲料・医薬にも展開しているメーカー。1985年に旧・日本専売公社が民営化されて発足したが、今でも政府が約33.3%の株を保有している(法律で縛られている)。
食品メーカーというよりもタバコメーカーなので、ランキングに入れるのは気がひけるが…いちおう「食品業」となっているため入れておく。
国内で唯一、たばこの製造を行っており国内販売シェアはもちろんNo.1。輸入タバコもあるものの、JTが市場シェアの過半を占める。
日本国内は電子タバコへのシフト、人口減少、増税などでタバコ市場は縮小の方向ではあるが、途上国を中心に需要が拡大しグローバルでは成長が見込まれる。
海外事業はスイス本社の「JTインターナショナル」が展開しており、現在ではJTグループにおける全売上の50%ちかくを稼ぐほどに成長した。いわゆる親孝行会社である。
また多角化と称して食品・飲料・医薬にも展開しているが、依然としてタバコ事業への依存度が高い。
平均年収857万円。純利3924億円。→公式HP
分野ごとランキング
食品メーカーといっても製粉メーカーから乳製品メーカーまで色々とあります。そこで各分野における売上ランキングもざっくり整理しておきます。
※「ホールディングス=HD」「グループ=G」と省略しています。
食品・調味料・レトルト・冷凍食品・菓子メーカー
- 味の素(調味料)・・売上1.1兆円、純利607億円
- ニチレイ(冷凍食品)・・5680億円、190億円
- キユーピー(調味料)・・5616億円、純利180億円
- キッコーマン(醤油)・・4306億円、238億円
- 江崎グリコ(菓子)・・3534億円、152億円
- エスフーズ(牛もつ)・・3164億円、77億円
- ハウス食品G本社(カレー)・・2918億円、93億円
- カルビー(菓子)・・売上2515億円、純利173億円
製粉メーカーランキング
- 日清製粉G本社・・売上5400億円、純利213億円
- 日本製粉・・3234億円、76億円
- 日東富士製粉・・495億円、23億円
- 鳥越製粉・・219億円、11億円
ビールメーカー・飲料メーカーランキング
- アサヒG HD・・売上2兆円、純利1410億円
- キリンHD・・1.8兆円、2420億円
- サントリー食品インターナショナル・・1.2兆円、781億円
- コカ・コーラボトラーズジャパンHD・・8726億円、252億円
- サッポロHD・・5515億円、109億円
- 伊藤園・・4947億円、125億円
- ヤクルト本社・・4015億円、340億円
なおビールだけの国内市場シェアをみると、
アサヒ・・・40%弱
キリン・・・35%弱
サントリー・・15%程度
サッポロ・・・10%強
ザックリこのようになっている(2018年度)。
乳製品メーカーランキング
- 明治HD・・売上1.2兆円、純利612億円
- 雪印メグミルク・・5961億円、133億円
- 森永乳業・・5920億円、157億円
食肉加工メーカーランキング
- 日本ハム・・1.2兆円、371億円
- 伊藤ハム米久HD・・8318億円、157億円
- プリマハム・・3945億円、104億円
油脂メーカーランキング
- 日清オイリオグループ・・売上3379億円、純利69億円
- 不二製油G本社・・3076億円、137億円
- ミヨシ油脂・・462億円、7億円
- かどや製油・・306億円、34億円
カップ麺・即席めんメーカーランキング
- 日清食品HD・・売上5164億円、純利291億円
- 東洋水産・・3887億円、184億円
その他(たばこ、製パン、酒造など)
- 日本たばこ産業(JT)・・売上2.1兆円、純利3924億円
- 山崎製パン・・1兆円、251億円
- 宝HD・・2681億円、110億円