- 「第一生命の総合職の年収は高い?低い?」
- 「30歳でだいたいどれくらいもらえる?」
- 「会社の福利厚生はどんな感じ?」
などの疑問に答えるために、第一生命の総合職の年収や福利厚生に関する情報を紹介する記事。
初任給(学部卒)〜20歳代・30歳代・40歳代・50歳代での目安年収やそれぞれのステージでの勤務実態などを記載しており、主な福利厚生制度についてもまとめています。
就活・転職活動のご参考にどうぞ。
第一生命の平均年齢・平均勤続年数・平均年収
第一生命では、総合職と一般職に該当する職種をそれぞれ、①基幹職(グローバルコース)、②基幹職(エリアコース)と呼んでいます。
- 基幹職(グローバルコース)
勤務地は国内および海外の事業所(本社・支社・グループ会社)で、転居を伴う異動がある。いわゆる総合職で、通称「グローバル社員」。 - 基幹職(エリアコース)
勤務地は国内の事業所で、自宅から通える範囲で勤務し、多様な職務経験を積む。原則として転居を伴う異動はなし。いわゆる一般職で、通称「エリア社員」。
そして、第一生命の平均年齢・平均勤続年数・平均給与のデータは以下のとおりです(「第一生命アニュアルレポート2018」を参照)。
- 平均年齢 グローバル社員:43歳11ヵ月
- 平均勤続年数 グローバル社員:20年2ヵ月
- 内勤職員の平均給与(月額) 内勤職合計:301千円
- 過去の内勤職の平均給与(月額)
2016年度『297千円』
2015年度『304千円』
2014年度『301千円』
2013年度『297千円』
2012年度『292千円』
2011年度『288千円』
2017年の平均給与(月額)301千円をベースに、賞与が夏・冬合計4ヵ月分であると仮定して計算すると年収は(301千円×16)≒ 482万円となります。
総合職の年収は実際、もっともっと高い
国税庁による平成28年分の「民間給与実態統計調査」によると、日本人の男女の平均年収は422万円。
こうしてみると「あれっ?大手生保なのに平均年収よるも少ないの?!」と思われる方が多いのではないでしょうか。
しかし、これにはカラクリがあります。
- まず上記の「平均給与(月額)」には、賞与および時間外手当は含まれていません。
- そしてこのデータが「グローバル社員の平均給与」や「エリア社員の平均給与」ではなく、「内勤職の平均給与」という表現になっていることがポイントです。
第一生命のディスクロージャー資料では、以下のような記載が注書きで小さく書かれています。
“内勤には、常勤嘱託従業員とスタッフ社員を含んでいます。”
世の中、本当に重要なことって実は小さく書かれるのですよね…(苦笑)
つまり。
簡単にいえば、給与が相当高い総合職から、派遣社員や、役職定年して継続雇用されている嘱託のおじさん、バイトに毛が生えたようなスタッフの給与水準をひとまとめにして、「内勤職」としているのです。
なぜ生保会社は本当の年収をゴマかすのか?
なぜそのようなことをしているのかというと、元々、どこの生命保険会社の社員も高給取りであると世間に非難されがちだからです。
また、全国に営業拠点を構えて、たくさんの生保レディを雇って営業を行う国内大手生保は、それらを抱えない外資系生保やネット生保と比べてコストがたくさんかかります。
その高い経費を保険料に反映させるため、取り扱う生命保険商品の保険料が高くなってしまいます。
そうしたことから、契約者から「そんなに社員に高い給料を支払っているくらいなら保険料を安くしろ!」という圧力がかけられるおそれがあります。
もし実際にそのような状況になって、保険料を安くせざるを得なくなってしまうと、会社全体の収益が下がってしまいます。
会社としてはそれを恐れているため、給与水準の低い職種との合算で平均給与を算出することで、内勤職の給与水準の高さが目立たないようにしているのです。
総合職の平均年収は1000万円ほどと推測
平均年収をグローバル社員単体で見たとき。
平均年齢が43歳なので総合職の平均年収は1000万円、あるいはそれ以上と考えるのが妥当です。
詳しくは次の項目で見ていきましょう。
第一生命のグローバル社員(総合職)の年収まとめ
それでは、以下に学部卒で入社した場合の各年次での給与水準をご紹介します。
新入社員『年収340~360万円』
- 月給25万円(実際の勤務時間にかかわらず、30時間の残業に相当する手当として支給される勤務手当45,880円を含む)
- 賞与は、夏10万円+冬50万円=計60万円
- 1年目は試験を受けることが仕事と言われるほど、生命保険に関する資格試験をたくさん受けなければならない。
- 生保募集人一般過程試験、生保専門課程試験、変額保険販売資格試験、生命保険講座、損保募集人試験など、すぐに保険の営業をするわけでもないのに色々と受けさせられる。
- 職場の飲み会などでは、先輩にビールを注ぎに回ったり、料理を注文したり、一発芸をしたり、二次会会場を手配したりと、まさに下僕の様な働きをしなければならない。
- 全国の支社に配属され、雑用業務を多くやらされることに嫌気がさし辞める新人も一定程度いる。当然この給与水準では、もっと待遇の良い会社は山ほどあるため、辞める人は躊躇なく辞める。
入社2年目『年収430~450万円』
- 月給29万円(実際の勤務時間にかかわらず、30時間の残業に相当する手当として支給される勤務手当を含む)
- 賞与は夏冬合計で94万円
- 1年間耐えて仕事をがんばったことのご褒美の様な形で、年収の増え幅が大きくなる。会社から求められる資格試験に合格し、配属先での勤務態度に特段の問題が無ければ誰もがこれくらいの年収を達成する。
- 2年目にもなると残業が増えるものの、30時間の残業に相当する手当として勤務手当が固定で支給される。
- 会社の規定では30時間を超える時間外勤務を行ったときは別に手当を支給するとされている。が、実際に30時間を超える残業をしたとしても、空気を読んでそれを申請しないこともある。
- 一気に昇給するため、転職を考えていた人もこの給与水準を味わって思いとどまることがある。
入社3~5年目25~27歳『年収520~650万円』
- 月給34~42万円(30時間の残業に相当する手当として支給される勤務手当を含む)
- 賞与は夏冬合計で110~140万円
- この間の昇給幅は小さいが、次の昇格に向けた人事によるランク付け、選別が行われることから非常に重要な時期になる。
- 5年目終了までにAFP資格試験、証券外務員、マーケティング・ファイナンス関連の資格試験やTOEICなどの要件を満たさなければならない。
- 給与水準は高いものの、第二新卒の枠で転職をしたり、責任が重くなる次の役職に上がる前に辞める人も多い。
- 女性のグローバル社員が結婚・出産を機に退職するのもここがピーク。
入社6年目28歳『年収800~820万円』
- 月給52万円(残業代に相当する勤務手当込み)
- 賞与は夏冬合計で173万円
- 入社5年目からの昇給幅は極めて大きい。
- といっても前述の通り必要な資格を取得し、人事研修や、職場での評価が著しく悪くなければこの年収に達するため、同期の9割くらいはこのレンジに入る。
- ストレート大卒かつ最速で昇格した場合、28歳にしてこの水準に到達するため、同年代と比べて高い給与水準となる。結婚をしていなければ独身貴族を謳歌できる状態。
- ここからは退職する人は少なくなってくる。
入社10年目32歳『年収820~850万円』
- 月給55万円(残業代に相当する勤務手当込み)
- 賞与は夏冬合計で180万円
- この年次からは人事評価による給与格差と将来に向けたランク付けが明確につき始める。
- 中堅社員とみなされるため、組織のマネジメントを行うことが多く責任も重くなる。また、自身の業務の量の多さや重さはピークを迎える。
- 部署にもよるが、平均的な出社時間は7:30~8:30頃、日中は目が回るほど忙しくなり、ようやく落ち着いて仕事ができるようになるのが17:00頃から。欧米とのやり取りがある部署の場合は22:00からミーティングなんていうこともざらにある。
- 一方で休暇を取ることに対する理解がある会社ではあるので、比較的休みはとりやすい。
- ここから14年目までの間の昇給幅はわずかなもの。
入社15年目37歳『年収980~1,300万円』
- 最速で課長級に昇格した場合の年収。
- 月給65万円(年収990万円の場合)
- 賞与は夏冬合計で214万円(年収990万円の場合)
- 以前は必要な要件さえ満たしていれば自動的に課長級に昇格する人ばかりであったが、それによって課長級の層だけが異常に厚くなった。
- それによって若手・中堅の実務部隊の割合が少なくなってきたため、最近ではストレートで課長級に昇格できる人は少なくなっている。
- この年次に昇格できるのは、同期トップのグループ(全体の5%程度)であり、第2グループ(同20%程度)が入社16年目、第3グループ(同40%程度)が入社17年目に課長級に昇格する。それまでに課長級に昇格できなかった場合、よほどのことが無い限り課長級への昇格は難しい。
- 課長級に昇格できなかった場合は実務部隊として居続けるか、40代後半からグループ会社に出向してキャリアを終える。
- 本社のライン課長や支社のオフィス長になると年収1,100~1,200万円に達する。
- しかし、本社や支社の管理職よりも、営業の管理職の方が待遇が良い。営業の管理職であれば一定程度のインセンティブが有り、さらに、色々な用途で使える経費もある。
- 以前は営業の方が何かと拘束時間が長いため、営業の管理職の方が待遇が良くても本社や支社の社員の納得感もあった。しかし、働き方改革の推進によって、営業現場でも勤務時間が短くなったため、この給与のアンバランスに対する不満が大きくなってきている。
- ここまで来ると人事の評価に加えて、役員からどう評価されるかということが、次のステージに進むうえで極めて重要なポイントになる。
- 部長級職は非常に狭き門であるため、上がるためには部長や担当役員の評価が必須。部長として組織をマネジメントする実力のあるヤツという評価を受けなければ昇進することはできない。
入社24年目46歳『年収1,400~1,800万円』
- 最速で部長級に昇格した場合の年収。
- 月給105万円(年収1,600万円の場合)
- 賞与は夏冬合計で345万円(年収1,600万円の場合)
- 本社部長であれば1400万円、営業部長であれば1500万円、支社長であれば1,800万円と同じ部長級の職種でも年収に大きな差がある。
- 同期トップのグループ(全体の3%程度)がこの年次に昇格でき、第2グループ(同5%程度)が25年目、第3グループ(同8%程度)が26年目に部長級に昇格する。
- それまでに部長級に昇格しなければ、その後はいくら成果を挙げても部長級に昇格することは難しいため、課長級として居続けるか、グループ会社の部長級として出向してキャリアを終える。
入社30年目52歳『年収1,900万円』
- 最速で執行役員に昇格した場合の年収。
- 月給124万円
- 賞与は夏冬合計で410万円
- 同期で2人~3人程度が昇格できるが、ここまで来ると実力に加え、上司である担当役員や社長からの評価(主にゴマすりによる)が高い部長級しか執行役員になることができない。
- 翌年度は下の年次の部長級が執行役員に昇格することが多いため、最速で執行役員に昇格しなかった場合はそのまま昇格できずに部長級として居続けるか、グループ会社の執行役員や常務級として出向してキャリアを終える。
- 執行役員に昇格すると一旦退職金が支払われるが、後述の通り、確定給付年金や確定拠出年金などの退職金制度が充実しているため、その額は高額になる。
- 社長を狙えるポストであるため、いかに上司である社長に取り入るかや、ミスをせず結果を出すか(または出しているように見せるか)ということが評価上の最優先事項となる。
- また、相互会社から株式会社に移行した2011年度以降は、仕事の中で株主対応が占める割合が極めて大きくなっており、株主総会などで株主からの質問に対する受け答えの内容などを社長から評価されるため、いくら役員になったからといってウカウカはしていられない。
その後は、常務、専務、副社長、社長と昇格していきますが、新入職員で入社したとしても、30年以上先の話になってしまい、今とは状況が大きく変わっている可能性もありますので、ここらへんまでにしておきたいと思います。
海外勤務・駐在は年収大幅UP
ちなみに、海外勤務の場合は、海外勤務手当や危険手当のようなものが上乗せされ、上記給与水準を上回る額が支給されます。
第一生命 総合職の年収まとめ
まとめると。
- 入社2年目24歳には日本人の平均年収を超え、
- 入社6年目28歳には上場企業の平均である800万円に到達する水準になり、
- 普通に仕事をしていれば15年目37歳で年収1,000万円近くまでいきます。
そこから先は出世レースに勝ち残れるかどうかで大きく違ってくるものの、たとえ敗れたとしても、ストレスの大きい中間管理職にならずに、出向するまでその水準を維持できるのは大きな魅力です。
そのため給与水準に不満を持って転職する人はほとんどいません。
出世に必要なこと
第一生命グローバル社員の評価基準は、主に以下の3つです。
- 入社後に必要となるいくつもの資格試験に合格しているかどうか
- 配属先でどれだけ結果を出しているか
- 階層別の人事研修でどの程度評価されているか
これらの基準で優秀な社員、標準的な社員、そうでない社員に選別されていきます。
①は入社10年目までの間には大事なのですが、それ以降の評価項目としての割合は小さくなってきます。
入社5年目くらいからは、②、③がめちゃくちゃ大事になってきます。
中でも昇給幅が大きくなる入社2年目、6年目、15年目、24年目では、③が一番大事です。
それぞれの年次の前後で実施される階層別の人事研修では、昇進するための選別が行われるため、そこで評価されるか、されないかによって、その後のキャリアが大きく左右されます。
人事研修で高い評価を受ければ最速で出世をしていくことになりますが、低い評価を受けてしまうと、出世競争から外れ、そこからの挽回は余程のことがない限り難しくなります。
とはいえ、大きなミスなく、遅刻や欠勤、セクハラ、パワハラなどをせず、普通の勤務態度でソツなく仕事をこなしていれば給与は毎年ある程度上がっていきます。
そのため、上昇志向が強くモチベーションの高い人や、今の給与水準では満足できない人がどんどん昇進していきます。
第一生命の福利厚生
ここからは、第一生命の福利厚生についてまとめています。住宅関係以外の大半のメニューはグローバル社員・エリア社員のいずれにも適用されるものです。
○住宅補助
グローバル社員は家賃の85%くらいを会社が負担してくれるため、自己負担は15%程度で済む。家賃が7万円であれば自己負担は1万円台と破格な待遇である。
○世帯向け社宅
グローバル社員向けは首都圏や関西にあり。住宅補助を受ける場合と不公平が生じないよう家賃が設定されている。
○扶養手当
配偶者、子、親などの扶養家族に応じて扶養手当が数万円/月程度支払われる。
○残業手当
・実際の勤務時間にかかわらず、30時間の残業に相当する手当として勤務手当が支給される。(30時間を超える時間外勤務を行ったときは、別に手当が支給される。)
・課長級以上の管理職には残業手当は付かない。
○通勤手当
総合職に関しては原則全額支給される。
○社員食堂
東京、大阪にあり、いずれも破格で利用できる。
○レジャー関連
自社で保有するゴルフ場や保養所を特別価格で利用できるほか、提携するホテル、レジャー施設、レストランなどでも割引が適用される。一部のアトラクションに出資しているディズニーランドやディズニーシーの入場チケットや、ノベルティグッズを割引価格で購入できる。
○自己研鑽関連
実務に関する専門知識・スキルの取得に向けて、通信講座、語学学校、専門学校などの入会金が免除されたり、特別価格で授業を受講できる制度。
○ふぁみりぃ転勤制度
通常、転居を伴う異動のないエリア社員が、家庭の事情等で転居することになった場合、各拠点への転勤が可能になる制度。
○ウェルカムバック制度
結婚・出産・育児・介護や配偶者の転勤等により、やむを得ず退職した社員について、当社での経験・スキルがあれば、再び第一生命で働くことができる制度。
○孫誕生休暇
社員に孫が誕生した時に、3日間の特別休暇が付与される。長く働く社員が増えている中で誕生した制度。
○その他
退職金制度(確定給付年金・確定拠出年金)、総合福祉団体定期保険(死亡保障)など。
ご覧のように、第一生命のグローバル社員は年収が高いにもかかわらず、こんなにも福利厚生が充実しているのです。
福利厚生込みの年収を知りたい方は先述の年収に、福利厚生の金額(おおむね50-100万円/年くらい)を加算しましょう。
生保業界の中で高い?低い?
第一生命グローバル社員の給与水準は生保業界の中では「日本生命に次ぐ水準」でその生涯賃金ベースは、ざっと2.8億円程度です。
国内生保の中で比較すると「日本生命>第一生命≒明治安田生命>住友生命>その他」という順番です。
しかし、福利厚生は業界トップクラスですし、ディズニーランドやディズニーシー関連のものもあるので、給与水準と福利厚生を合わせた合計での満足度は高いと言えるでしょう。
世間一般で考えればとても恵まれている水準ですね。
まとめ
今回は、第一生命のグローバル社員の年収や福利厚生に関する情報をご紹介しました。
学生の皆さんにとっては「生命保険会社」と聞くと生保レディのイメージが強いため、総合職がここまで年収が高く福利厚生も充実しているとは思いもよらなかったのではないでしょうか。
同じ水準の給与をもらえる会社はいくらでもあるかもしれませんが、労力とのバランスを考えた場合、生命保険会社の総合職は非常に恵まれておりコスパが良いのです。
学生時代や若いときは、「給与はある程度もらえれば十分!」とか「やりがいが一番大事だ!」と考えることもあるかもしれません。
しかし。
社会人になって仕事をしてみて、やがて結婚して子供を持つようになると、お金の重要性が身に染みて分かってくるものです。ぜひ、給与水準も職探しをする上での基準の一つにしてみてください。
今回の記事が皆さんの就職活動・転職活動の参考になれば幸いです。
現役社員だが、細かい部分以外は概ね記事の通りである。(最短課長は14年目、扶養手当は無い)