「ご無理のない範囲で」意味と使い方・ビジネスメール例文

「ご無理のない範囲で」について、意味と上司や目上への正しい使い方、注意点をビジネスメールの例文つきで誰よりもくわしく解説していく記事。

まず簡単にまとめを。

「ご無理のない範囲で」の意味は直訳すると「無理のない範囲で」。

かみくだくと「やれる範囲で」のような意味になります。

使い方はとくに上司なり社内目上・取引先に何かしらお願いをするとき。

ご無理のない範囲で●●をお願いします!」のように相手への気づかいフレーズとしてつかいます。

「●●」にはなにかしらの依頼事項をいれます。

たとえば。

「ご無理のない範囲で宜しくお願い致します」とシンプルにお願いする使い方のほかにも、

  • 【例文】ご無理のない範囲で体を動かしてください。
  • 【例文】ご無理のない範囲でご対応いただければ幸いです。
  • 【例文】ご無理のない範囲でご対応をお願い致します。
  • 【例文】ご無理のない範囲で、お早めに納入いただけますと幸いです。
  • 【例文】ご無理のない範囲で価格対応をお願いしたく存じます。
  • 【例文】ご無理のない範囲でご利用ください。
  • 【例文】どうしても本日中に片付けなければいけない仕事があり、ご無理のない範囲で残業をお願いします。

といように具体的にお願いしたい内容をあらわす語とくみあわせても丁寧。

どの例文も社内メールで目上(上司や先輩)につかっても、社外のビジネスメールにつかってもよい丁寧な敬語表現です。

ざっくりとした解説はこれにて終了。

くわしくは本文中にて意味と使い方、注意点を述べていきます。

※長文になりますので、時間の無い方は「見出し」より目的部分へどうぞ。

意味

「ご無理のない範囲で」の意味は直訳すると「無理のない範囲で」となります。

上司なり目上・取引先に「やれる範囲で…●●をお願いします!」というようにつかわれます。

たとえば「ご無理のない範囲で情報収集をお願いします」とすれば、「無理のない範囲で情報を集めてほしい」となります。

  1. ご無理 =「強いて行うこと」の意味
  2. のない範囲で=「のない範囲で」の意味

これらの言葉をあわせているだけなのですが念のため、それぞれの語についてくわしく解説しておきます。

【補足】”無理”の意味

無理(読み:むり)の意味は・・・

  1. 物事の筋道が立たず道理に合わないこと。また、そのさま。理不尽。「客が怒るのも無理はない」
  2. 実現するのがむずかしいこと。行いにくいこと。また、そのさま。「無理を承知で仕事を引き受けた」「下請企業に無理な要求をする」「1000億円調達するのはそもそも無理がある」
  3. しいて行うこと。押しきってすること。また、そのさま。「お腹いっぱいなのにデザートを無理に詰め込んだ」

使い方

つづいて「ご無理のない範囲で」の使い方について。

無理のない範囲で」という意味ですので、何かしらお願いをするとき。

上司なり目上・取引先に「やれる範囲で…●●をお願いします!」というニュアンスで相手を気づかうフレーズに使われます。

使えるシーンはたくさんありますが代表的なものを箇条書きにしてまとめます。

使い方①仕事のお願いビジネスメール他

「ご無理のない範囲で」の使い方、まずは基本。

上司なり社内目上・社外取引先に何かしら仕事の依頼・お願いをしたり対応してほしいとき。

やれる範囲で…●●をお願いします!」というニュアンスでビジネスメールにつかうと丁寧です。

たとえば、

  • 【例文】ご無理のない範囲で宜しくお願い致します。

とすれば「無理のない範囲でよろしく!」の意味となります。

ビジネスパーソンは何かと忙しいので、あなたの依頼をすぐに100%こなせる訳ではありません。

そんなとき。

やれる範囲でお願いします!」のようなニュアンスでつかうと、依頼にたいするプレッシャーが多少は弱まります。

実際には相手の仕事をふやしていることに変わりないのですが…

まぁ気づかいフレーズなので細かいことはどうでもよいでしょう。

使い方②ご無理のない範囲で+何かしらのお願い

「ご無理のない範囲で」の使い方、つづいて応用。

「ご無理のない範囲で宜しくお願い致します」とシンプルにお願いする使い方のほかにも、「ご無理のない範囲で+何かしらのお願い」の形でつかうと丁寧です。

たとえば、

  • ご無理のない範囲で体を動かしてください」とすれば「無理のない範囲で体を動かしてください」の意味。
  • ご無理のない範囲でご対応の程よろしくお願い致します」とすれば「無理のない範囲で対応してくれるようお願いします」の意味。
  • ご無理のない範囲でお取り計らいの程よろしくお願い致します」とすれば「無理のない範囲でうまく進めてくれるようお願いします」の意味。
  • ご無理のない範囲でご検討いただけますと幸いです」とすれば「無理のない範囲で検討してもらえると嬉しいです」の意味。

といように具体的にお願いしたい内容をあらわす語とくみあわせても丁寧。

あとは後半部分をシーンごとにいろんなフレーズに置き換えて応用しましょう。

【例文】ビジネスメール全文

こうして長々と読んでいてもイメージがつかみにくいかと思いますので、より実践的に。

ここでは「ご無理のない範囲で」の使い方をビジネスメール例文とともにご紹介。

どれも目上・上司・取引先にふさわしい丁寧な敬語にしています。ご参考にどうぞ。

ビジネスメール例文①仕事の依頼をする(to社内)

メール件名: 取引概要作成のお願い

○○ 課長(社内上司・目上など)

お疲れ様です。
財務部・ノマドです。

標記の件、このたび顧客への信用調査を実施する目的で、貴部署における主要顧客に関しまして取引概要の資料作成をお願いしております。

つきましてご多忙のところ大変恐縮ではございますが、以下の要領で添付エクセルフォーマットの空白部分にご記入いただけますと幸いです。

①資料作成をお願いしたい顧客:エクセルシート名”顧客リスト”にて記載あり。

②記入内容:シート名”調査内容”の空白部分にご記入をお願い致します。

③記入見本:シート名”見本”にてご用意いたしております。ご参考にどうぞ。

④ご回答期日:x月z日まで

なおフォーマットは詳細なものとなっておりますが、全てをご記載いただく必要はありません。ご無理のない範囲でお願いできればと存じます。

以上

ご不明な点等ございましたらお申し付けください。

何卒ご対応の程お願い申し上げます。

************
メール署名
************

ビジネスメール例文②仕事の依頼をする(to社内)

メール件名: xx開発プロジェクト売上計画作成のお願い

営業部 ○○ 課長(社内上司・目上など)

お疲れ様です。
研究開発部・ノマドです。

さて標記の件、現在私のほうでxx開発プロジェクトのさらなる予算確保のため、役員への報告資料を作成しております。

報告資料作成にあたり売上・利益計画もあわせて折り込みたく、以下の数字をいただけますと幸いです。

①xx開発プロジェクトにおける2020年までの年間売上予定(個数および金額)

②数字の根拠

③ご回答期日:x月z日まで
※ご多忙のところ大変恐れ入りますがx月c日に報告を予定しておりますので、x月z日までに作成いただけると大変助かります。

なお売上計画に関しましては不確実な部分も多いかと存じますので、細かなご報告をいただく必要はありません。ご無理のない範囲でお願い致します。

以上

ご不明な点等ございましたらお申し付けください。

何卒よろしくお願い致します。

************
メール署名
************

ビジネスメール例文③履歴書の作成をお願いする(to社外)

メール件名: 履歴書・職務経歴書作成のお願い(転職・ノマド)

○○ 様

いつもお世話になっております。
本日はお忙しいところご面談のお時間をいただき、誠にありがとうございました。

さて、ご面談の際にお願いしておりましたが、履歴書ならびに職務経歴書を作成いただければと存じます。ご依頼の営業職用のテンプレートを添付にて送付いたしますので、よろしければご参考にどうぞ。

なお作成いただいた書類はこちらで体裁を整えますので、まずはご無理のない範囲でご記入くださいませ。

ご多忙のところ大変恐縮ではございますが、
何卒よろしくお願い申し上げます。

************
メール署名
************

【注意点】”ご無理のない範囲で”はこう使う

つづいて「ご無理のない範囲で、~」を使うときの注意点をすこし。

①他にもあるお願いするときの気づかいフレーズ

ところで。

注意点とはすこし違いますが…

「ご無理のない範囲で」だけじゃなく、お願いするときにつかう気づかいの敬語フレーズというのは他にもたくさんあります。

たとえば。

  • ご多忙のところ恐縮ですが(=とても忙しい最中に申し訳ないと思いますが)
    【例文】ご多忙のところ恐縮ですが、何卒ご対応いただければ幸いです。
    【例文】ご多忙のところ恐縮ですが、ご確認いただきますようお願い致します。
  • お忙しいところ恐れ入りますが(=忙しい最中に申し訳ないと思いますが)
    【例文】お忙しいところ恐れ入りますが、ご参加(ご出席)くださいますようお願い申し上げます。
    【例文】お忙しいところ恐れ入りますが、ご連絡(ご返信・お返事)いただければ幸いです。
    【例文】お忙しいところ恐れ入りますが、ご確認いただきますようお願い致します。
  • お手数+お願い(=手間をかけますが)
    【例文】お手数お掛けしますが、ご確認いただけましたら幸いです。
    【例文】お手数ではございますが、ご教示いただければ幸いです。
    【例文】お手数お掛け致しますが、ご査収の程よろしくお願い致します。
  • 勝手を申し上げますが+お願い(=勝手を言いますが)
    【例文】誠に勝手を申し上げますが、ご対応いただけましたら幸いです。
    【例文】誠に勝手を申し上げますが、お取り計らいいただければ幸いです。
    【例文】勝手を申し上げますが、ご対応の程よろしくお願い致します。

などの敬語フレーズもビジネスメールではよくつかいます。

シーンに応じて使い分けできるようになるとビジネス敬語マスターに近づきますね。

他にもいろいろありますので、記事の最後にまとめて紹介しておきます。

②仕事のプレッシャーを和らげるが…無理してでもやってほしい時には不適切

これまで見てきたように。

「ご無理のない範囲で」の意味は「無理のない範囲で」「やれる範囲で」です。

ビジネスパーソンは何かと忙しいので、あなたの依頼をすぐに100%こなせる訳ではありません。

そんなとき。

やれる範囲でお願いします!」のようなニュアンスでつかうと、依頼にたいするプレッシャーが多少は弱まります。

ところが。

本当に無理してでもやってもらいたい仕事において「ご無理のない範囲で」とはしません。

比較的どうでもよい仕事にたいして「ご無理のない範囲で」をつかい、本当にしっかりとやってもらいたい時にはふさわしくない敬語フレーズです。

そんなときには。

  • 例文「ご無理申し上げますがよろしくお願い致します
    →意味は「無理を言いますがよろしく!」

あるいは先ほど紹介した例文に言い換えしましょう。

【言い換えOK】”ご無理のない範囲で”の類語