「帰ってください」よりも丁寧な言い換え敬語

「帰ってください」は上司・目上に失礼?

ビジネスメールに使えるもっと丁寧な敬語ってなに?

とご心配のあなたへ。

「帰ってください」はそもそもかなり強い口調であり、目上や上司・取引先へのビジネスメールにつかうと失礼に感じられます…

ということで本当にうざい相手に帰ってほしいときだけ使いましょう。

相手との関係性を考えるのであれば、もう少しやんわりとした表現が好まれます。

より丁寧な言い換えにはたとえば、

  • 例文①今すぐお引き取りください
  • 例文②申し訳ありませんが、お引き取りくださいませ
  • 例文③お引き取りをお願い致します
  • 例文④お引き取りいただきたく存じます
  • 例文⑤お引き取りのほどお願い申し上げます
  • 例文⑥お引き取りいただきますようお願い申し上げます
  • 例文⑦お引き取りくださいますようお願い申し上げます
  • 例文⑧お引き取りいただけますか?お引き取りいただけますでしょうか?
  • 例文⑨お引き取りいただければ幸いです

というように、

ビジネスシーンでは「帰る」よりも「引き取る」をつかうのが一般的。

「引き取る」は「立ち去る・退く」の意味であるため言い換えることができます。

これらの言い換えの丁寧レベルとしては「お引き取りください」がもっとも低く「例文⑨お引き取りいただければ幸いです」がもっとも丁寧。

あとはどれも似たようなものです。

もちろん「お帰りくださる・お帰りいただく」をつかった言い換えもできますが…

くわしくは本文にて。

※長文になりますので「見出し」より目的部分へどうぞ

この記事の目次

強い口調となる敬語「帰ってください」

まずはひとつ注意点を。

「帰ってください」だけでなく「~してください」という敬語は、つよい口調に感じられることがあります。

なぜなら「〜してください」は敬語ではあるものの結局のところ命令形であるから。

極端なたとえですが、よく母親が子供に

「はやく片付けなさい!!」
「静かにしなさい!!」

といっているのを耳にします。

「~なさい」は”する”の尊敬語”なさる”の命令形。

尊敬語”〜してくださる”の命令形「~してください」と似たような成り立ちです。

どちらかというと「~してください」のほうが丁寧ではありますが…どちらも結局のところ命令形であり、上から目線に感じられることがあります。

もちろん人それぞれ、感じ方はことなります。

私のようにまったく気にしない人もいれば気分を損ねる上司・目上もいます。

だからといって敬語は丁寧であればよいというわけでもなく、バカ丁寧だとそれはそれで問題あり(”慇懃無礼”-“いんぎんぶれい”といいます)。

で、

シンプルな敬語をつかいすぎると失礼だと言われたり…

本当にむずかしいのですよね。

したがってどんな敬語を使うかは状況や相手を考えてあなたの判断にゆだねられます。

いろんな敬語を知っておくことが重要

もっとも重要なことは、

いろんな敬語フレーズを知っておくこと。

そうすればビジネスシーンに応じてふさわしい敬語を選ぶことができるようになります。

社内の上司にメールするときは”お引き取りください”をつかい、取引先にメールするときは「お引き取りいただければ幸いです」をつかい…

というような感じ。

引き出しを多くもっておくと臨機応変に使い分けすることができます。

そういう意味でこれから紹介する言い換え敬語はどれも本当によくつかいます。

覚えておくと必ず役に立つことでしょう。

言い換え”お引き取り”の意味と敬語

冒頭でも解説したとおり「帰ってください」と言いたいときには「お引き取り」をつかった敬語フレーズをよくつかいます。

「お引き取りください」は「帰ってほしい」という意味。

なぜこのような意味になるのか?

そもそもの意味と敬語について順をおって解説していきます。

お引き取りの意味は”立ち去ること・退くこと”

お引き取りのそもそもの意味は…

  1. 立ち去ること。退くこと
  2. 引き受けて手もとに置くこと

たとえば、

【例文】この場は私に任せてお引き取りください →「立ち去る」の意味

【例文】まったく興味がありません。今すぐお引き取りください →「立ち去る」の意味

【例文】粗大ゴミの引き取り →「引き受けて手元に置くこと」の意味

のようにして使います。

ちなみに敬語は「引き取る」に尊敬語or謙譲語「お(ご)」で「お引き取り」というようになります。

「自分がお引き取りする」のであれば謙譲語としての使い方。

上司・目上・取引先などの「相手がお引き取りくださる」のであれば尊敬語としての使い方。

というように2パターンあります。

“お引き取りください”の意味は「帰ってくれ・立ち去ってくれ」

「お引き取りください」としたときの意味は…

「帰ってほしい」
「帰ってくれ」

引き取るするは「①帰る」「②引き受けて手元に置く」のどちらかの意味であるためシンプルに要約すると、

①帰ってほしい

②手元においてほしい

のどちらかの意味に解釈できます。

なお「お引き取りしてください」は間違い敬語であるためご注意を。

「お引き取りください」の敬語の種類

「お引き取りください」を敬語としてみていくと…以下のようになりたちます。

  • もとになる単語「引き取る」に尊敬語”お(ご)”で「お引き取り」
  • さらに「くれる」の尊敬語”くださる”で「お引き取りくださる」
  • さらに命令形にして「お引き取りください」

※ 漢字表記「下さい」vs ひらがな表記「ください」はどちらもOK

このようにして元になる語「引き取る」を敬語にしています。つまり敬語としては何もおかしいところはありません。間違いではなく正しい敬語です。

なお「お引き取りしてください」は間違い敬語となるのでご注意を

“お引き取りください”の使い方

ここまでの解説で、ビジネスでは「帰ってください」ではなく「お引き取りください」に言い換えればよいことが分かりました。

ここからは、

「お引き取りください」だけじゃなく使える敬語フレーズを例文で紹介します。

①お引き取りください

目上・ビジネスメールにもつかえる丁寧な「帰ってください」の言い換え敬語

  • 例文「お引き取りください」

意味は『帰ってください・立ち去ってください』

「帰って」というフレーズを尊敬語「お引き取り」に言い換えているため丁寧レベルとしては「帰ってください」よりもだいぶマトモ。

ただやはり「〜ください」という命令形である点において、強い口調に感じられてしまうケースあり。

さきほどの繰り返しにはなりますが、時と場合によっては目上・上司・取引先に不快感をあたえてしまいます。

気になるかたは言い換え例文②以降をつかいましょう。

ちなみに”お引き取りください”の敬語は以下のようになりたちます。

  • もとになる単語「引き取る」に尊敬語”お(ご)”で「お引き取り
  • さらに「くれる」の尊敬語”くださる”で「お引き取りくださる
  • さらに命令形にして”お引き取りください”

※ 漢字表記「下さい」vs ひらがな表記「ください」はどちらもOK

このようにして元になる語「引き取る」を敬語にしています。つまり敬語としては何もおかしいところはありません。間違いではなく正しい敬語です。

ちなみに敬語「お(ご)」は…

「自分がお引き取りする」のであれば謙譲語としての使い方。

上司・目上・取引先などの「相手がお引き取りくださる」のであれば尊敬語としての使い方。

というように2パターンあります。

なお「お引き取りしてください」は間違い敬語となりますのでご注意を。

②お引き取りくださいませ

目上・ビジネスメールにもつかえる丁寧な「帰ってください」の言い換え敬語

  • 例文「お引き取りくださいませ」

意味は『帰ってください・立ち去ってください』

尊敬語「お引き取りくださる」に丁寧語”ます”の命令形「ませ」をつかい丁寧な敬語フレーズにしています。

命令形である点において「帰ってください」とたいして違いはありませんが、丁寧語「ませ」を添えることで、よりやわらかい印象となりますね。

「〜くださいませ」は女性がよくつかうフレーズであるため、女性敬語だと言われることもあります。

ただ実際には男性であろうと女性であろうと違和感なくつかえます。

なお「お引き取りしてくださいませ」は間違い敬語となりますのでご注意を。

③お引き取りいただきたく、お願い致します

目上・ビジネスメールにもつかえる丁寧な「帰ってください」の言い換え敬語

  • 例文「お引き取りいただきたく、お願い致します」
    →意味は『立ち去ってもらいたい、お願いします』

あるいは単に、

  • 例文「お引き取りをお願い致します」
    →意味は『お帰りをお願いします』

としてもOKです。

※「お願い申し上げます」としても丁寧

※「よろしくお願い致します」というようにしても丁寧

いずれもシンプルかつ丁寧な敬語フレーズであり、ビジネスメールや電話対応でよくつかうフレーズです。

目上・上司にはもちろんのこと社外取引先にもつかえる丁寧な敬語フレーズですね。

「いただきたく」は「〜してもらう」の謙譲語「お(ご)〜いただく」+希望「~したい」

④お引き取りいただければと存じます

目上・ビジネスメールにもつかえる丁寧な「帰ってください」の言い換え敬語

  • 例文「お引き取りいただければと存じます」

意味は『立ち去ってもらえたらと思います』

「~してもらえたらと思う」としているため相手に強制しない、とてもやわらか~いお願いの敬語フレーズになります。

目上・上司にはもちろんのこと社外取引先にもつかえる丁寧な敬語フレーズですね。

「いただければ」は「〜してもらう」の謙譲語「お(ご)〜いただく」+仮定の「れば」

「存じます」は「思う」の謙譲語「存じる」+丁寧語「ます」

⑤お引き取りいただきたく存じます

目上・ビジネスメールにもつかえる丁寧な「帰ってください」の言い換え敬語

  • 例文「お引き取りいただきたく存じます」

意味は『立ち去ってもらいたいと思います』

「~してもらいたいと思う」としているため相手に強制しない、とてもやわらか~いお願いの敬語フレーズになります。

「いただきたく」は「〜してもらう」の謙譲語「お(ご)〜いただく」+願望の「~たい」

「存じます」は「思う」の謙譲語「存じる」+丁寧語「ます」

というように敬語にしており、目上のひとや上司・社外取引先につかえるとても丁寧なビジネスフレーズです。

⑥お引き取りいただければ幸いです

目上・ビジネスメールにもつかえる丁寧な「帰ってください」の言い換え敬語

  • 例文「お引き取りいただければ幸いです」

意味は『帰ってもらえたら嬉しいなぁ、幸せだなぁ』

つまり『帰ってもらえたら嬉しいです』

相手に強制しない、とてもやわらか~いお願いの敬語フレーズですね。

「いただければ」は「〜してもらう」の謙譲語「お(ご)〜いただく」+仮定の「~れば」

「幸いです」は「幸い」+丁寧語「です」

というように敬語にしており、目上のひとや上司・社外取引先につかえるとても丁寧なビジネスフレーズです。

「~いただければ幸いです」という敬語フレーズはお願い・依頼のビジネスメールでよく使います。以下の例文もご参考にどうぞ。

ほかにも似たような敬語には以下のようなフレーズもあります。

  • 例文「お引き取りいただけますと幸いです」
  • 例文「お引き取りいただけましたら幸いです」
  • 例文「お引き取りいただけますと幸甚に存じます」
  • 例文「お引き取りいただけましたら幸甚に存じます」
  • 例文「お引き取りいただければ幸甚に存じます」
  • 例文「お引き取りいただけますと幸いです」
  • 例文「お引き取りいただけますと幸甚に存じます」

補)幸甚(こうじん)の意味は「この上もない幸せ。大変ありがたいこと。また、そのさま」

⑦お引き取りくださいますようお願い申し上げます

目上・ビジネスメールにもつかえる丁寧な「帰ってください」の言い換え敬語

  • 例文「お引き取りくださいますようお願い申し上げます」
  • 例文「お引き取りくださいますようお願い致します」

意味は『立ち去ってくれるようお願いします』

※「お願い申し上げます = お願い致します」に言い換えOK

「ください」単体としての意味は「〜してくれ」「〜して欲しい」の丁寧な言いまわしと考えることができます。

が、

「ください」は敬語ではあるものの、結局のところ命令形であるために強い口調となります。

そこで「ますようにお願い」と続けることで「お願い」とすり替え、やんわ〜りとした表現にしています。とても丁寧な敬語フレーズと言えますね。

たとえば、

  1. ご査収くださいますようお願い申し上げます
    意味「よく中身を確認して受け取ってくれるようお願い!」
  2. ご検討くださいますようお願い申し上げます
    意味「検討してくれるようお願い!」
  3. ご確認くださいますようお願い申し上げます
    意味「確認してくれるようお願い!」
  4. ご了承くださいますようお願い申し上げます
    意味「納得してくれるようお願い!」

などのようにして使います。

これらはもともと「●●してください」という命令形なのですが、「●●くださいますようお願い〜」を使うことによって相手に強制しないやんわ〜りとした表現となっています。

ビジネスでは下手(したて)に出ることが基本ですので、強い口調を避けるためにこのような使い方をするようになったのだと推測します。

⑧お引き取りいただきますよう・賜りますよう〜

目上・ビジネスメールにもつかえる丁寧な「帰ってください」の言い換え敬語

  • 例文「お引き取りいただきますようお願い申し上げます」
  • 例文「お引き取りいただけますようお願い申し上げます」
  • 例文「お引き取り賜りますようお願い申し上げます」

意味はどちらも『帰ってもらうようお願いします』

※「お願い申し上げます」は「お願い致します」に言い換えOK

「いただきますよう」は”〜してもらう”の謙譲語「お(ご)〜いただく」+丁寧語”ます”+”ように”

「いただけますよう」は”〜してもらう”の謙譲語「お(ご)〜いただく」+可能形+丁寧語”ます”+”ように”

「賜りますよう」は”〜してもらう”の謙譲語「お(ご)〜賜る」+丁寧語”ます”+”ように”

というように敬語にしており、目上のひとや上司・社外取引先につかえるとても丁寧なビジネスフレーズです。

賜る(たまわる)という敬語のほうがよりカチッとした表現になりますので、文書など公式なビジネスシーンではかならず「賜る」を使います。

普段のメールであれば「いただきますよう」でOK。

「くださいますよう」「いただきますよう・いただけますよう・賜りますよう」はニュアンスが違うものの、どれも結局のところ「~してほしい」と言いたいので同じです。

なお「お引き取り賜りますよう~」というように「」を入れるケースもあります。どちらを使っても正しい敬語です。

⑨お引き取りのほどお願い申し上げます

目上・ビジネスメールにもつかえる丁寧な「帰ってください」の言い換え敬語

  • 例文「お引き取りのほどお願い申し上げます」
  • 例文「お引き取りのほどお願い致します」

意味は「帰ってくれるようお願いします」となります。

※「お願い申し上げます」は「お願い致します」に言い換えOK

ここで「お引き取りのほど」の「のほど」は限定を避ける言い方で、意味としては「〜してもらうよう」「〜してくれるよう」と考えることができます。

断定をさけて表現をやわらげるのに用いる語です。

たとえば、

  1. ご査収のほどお願い申し上げます
    意味「よく中身を確認して受け取るよう、お願い」
  2. お取り計らいのほどお願い申し上げます
    意味「物事をうまく進めてくれるよう、お願い」
  3. ご検討のほどお願い申し上げます
    意味「検討してくれるよう、お願い」
  4. ご了承のほどお願い申し上げます
    意味「納得してくれるよう、お願い」

などのようにして使います。

これらはもともと「●●してください」という命令形なのですが、「〜のほど」を使うことによって相手に強制しないやんわ〜りとした表現となっています。

ビジネスでは下手(したて)に出ることが基本ですので、強い口調を避けるためにこのような使い方をするようになったのだと推測します。

先ほどとおなじく「お願い申し上げます」は「お願いいたします」「お願い致します」と言い換えできます。

⑩~その他いろいろな言い換え敬語

敬語の種類というのは本当にいろいろあります。

ほんの一例ですが他にもある使い方を例文にまとめておきます。

  • 例文「お引き取りをお願い致します
    ※意味は「引き取りをお願いする」
  • 例文「お引き取りいただきたく、お願い致します
    意味は「帰ってほしい、お願いします」
  • 例文「お引き取りいただけましたら幸いです
    ※意味は「帰ってもらえたら嬉しいです」
  • 例文「お引き取りいただけましたら幸甚に存じます
    ※意味は「帰ってもらえれば嬉しく思います」
  • 例文「お引き取りいただければ幸甚に存じます
    ※意味は「帰ってもらえれば嬉しく思います」
  • 例文「お引き取りいただけますか?
    ※意味は「帰ってもらえるか?」でとくに会話シーンで使われるフレーズ
  • 例文「お引き取りいただけますでしょうか?
    ※意味は「帰ってもらえるだろうか?」でとくに会話シーンで使われるフレーズ
  • 例文「お引き取りいただけますと幸いです
  • 例文「お引き取りいただけますと幸甚に存じます
  • 例文「お引き取り賜りますと幸いです
  • 例文「お引き取り賜りますと幸甚に存じます
  • 例文「お引き取り賜れましたら幸いです
  • 例文「お引き取り賜れましたら幸甚に存じます

※すべて「お帰りいただく・お帰りくださる」を使ったフレーズに言い換えOK

・「存じる」は「思う」の謙譲語
・「いただきたく」は謙譲語「いただく」+願望「~たい」
・「いただければ」は謙譲語「いただく」+可能形+仮定「たら・れば」
・幸甚(こうじん)の意味は「この上もない幸せ。大変ありがたいこと。また、そのさま」

ビジネス会話・電話対応では”お引き取りください”で十分

ビジネスメールではなく会話や電話対応シーンであれば…

「お引き取りくださいますようお願い申し上げます」などは絶対につかいません。

長いうえに丁寧すぎて気持ち悪いですからね。

ビジネス会話・電話対応では「お引き取りください」でも十分に丁寧です。

ほかには、

  • 【例文】お引き取りいただけますか?
  • 【例文】お引き取りいただけますでしょうか?
  • 【例文】お引き取り願えますでしょうか?
  • 【例文】お引き取り願えますか?

といった質問フレーズをつかっても丁寧。

意味としては「立ち去ってもらえますか?」であり、敬語をつかって丁寧な表現にしています。

「〜いただけますか?」サラッと言えるためビジネスシーンで重宝するフレーズです。

 敬語の解説

お引き取りいただけますか?」「お引き取りいただけますでしょうか?

の敬語の成り立ちとしては…

  • “引き取る”に「〜してもらう」の謙譲語「お(ご)〜いただく」で「お引き取りいただく」
  • 可能形にして「お引き取りいただける」
  • さらに丁寧語”ます”で「お引き取りいただけます」
  • 疑問形にして「お引き取りいただけますか?」

“〜だろうか”の丁寧語「〜でしょうか」を使うと「お引き取りいただけますでしょうか?」

どちらの表現も謙譲語をうまくつかい、このうえなく丁寧な敬語フレーズとなっていることがわかります。

したがって上司・目上・社外取引先につかえる素晴らしい敬語、と言えるでしょう。

どちらかというと「〜いただけますでしょうか?」のほうが丁寧なのですが…バカ丁寧だという意見もあるため「〜いただけますか?」を使うのをオススメします。

ビジネスメール結びをより丁寧にするコツ

あまり関係ないのかもしれませんが重要なので念のため。

ビジネスメールの文末・結び・締めとして使うことのおおい「お引き取り」

ここでは、

ビジネスメール結びをより丁寧にするためのコツをご紹介します。

+前置きに添えるフレーズを!

ビジネスメールの文末・結び・締めをより丁寧にするためのコツ。

「お引き取り」の前置きに添える丁寧なお願いフレーズ「どうか」「何卒(なにとぞ)」を使うとより丁寧な印象のメールとなります。

たとえば以下のようなフレーズがあります。

  • どうか
    例文「どうかお引き取りくださいますようお願い申し上げます」
    例文「どうかお引き取りくださいますようお願い致します」
    例文「どうかお引き取りいただければ幸いです」
    例文「どうかお引き取りいただければと存じます。何卒よろしくお願い申し上げます」
  • 何卒=どうか
    例文「何卒お引き取りくださいますようお願い申し上げます」
    例文「何卒お引き取りくださいますようお願い致します」
    例文「何卒お引き取りいただければ幸いです」
    例文「何卒お引き取りいただければと存じます。よろしくお願い申し上げます」

結局どれがもっとも丁寧?

あまりにも言い換え敬語フレーズがおおいので、どれを使うべきか迷ってしまうというあなたのために。

ここまで紹介した言い換え例文の丁寧レベルを整理しておきます。

※ あくまでも目安としてお考えください。

①会話・電話対応につかえる丁寧レベル

下になればなるほど丁寧な敬語になります。また、おすすめの敬語フレーズは青文字にしておきます。

  1. お引き取りください
  2. お引き取りくださいませ
  3. お引き取りいただけますか?
  4. お引き取りいただけますでしょうか?

②ビジネスメール対上司・対社内につかえる丁寧レベル

おすすめの敬語フレーズは青文字にしておきます。

  1. お引き取りください
  2. お引き取りくださいませ
  3. お引き取りいただけますか
  4. お引き取りいただけますでしょうか
  5. お引き取りをお願い致します
  6. お引き取りいただきたく、お願い致します
  7. お引き取りいただきたく存じます
  8. お引き取りいただければと存じます
  9. お引き取りのほどお願い申し上げます
  10. お引き取りくださいますようお願い申し上げます
  11. お引き取りいただきますようお願い申し上げます
  12. お引き取りいただけますようお願い申し上げます

注)上下関係に厳しい上司や、社内でも相当のポジションにいる人にたいしては例文⑤以降あるいは次項のフレーズをつかいましょう。

補)「お願い申し上げます=お願い致します」に言い換えOK

③ビジネスメール対取引先・対顧客につかえる丁寧レベル

おすすめの敬語フレーズは青文字にしておきます。

  1. お引き取りくださいませ
  2. お引き取りをお願い致します
  3. お引き取りいただきたく、お願い致します
  4. お引き取りいただきたく存じます
  5. お引き取りいただければと存じます
  6. お引き取りいただきますようお願い申し上げます
  7. お引き取りいただけますようお願い申し上げます
  8. お引き取りくださいますようお願い申し上げます
  9. お引き取りいただければ幸いです
  10. お引き取りいただければ幸甚に存じます
  11. お引き取りいただけましたら幸いです
  12. お引き取りいただけますと幸いです
  13. お引き取りいただけますと幸甚に存じます
  14. お引き取りいただけましたら幸甚でございます
  15. お引き取りいただけましたら幸甚に存じます

補)「お願い申し上げます=お願い致します」に言い換えOK

補)幸甚(こうじん)の意味は「この上もない幸せ。大変ありがたいこと。また、そのさま」

④最上級の丁寧レベル

おすすめの敬語フレーズは青文字にしておきます。

  1. お引き取り賜りますようお願い申し上げます
  2. お引き取りいただければ幸いです
  3. お引き取りいただければ幸甚に存じます
  4. お引き取りいただけましたら幸いです
  5. お引き取りいただけましたら幸甚でございます
  6. お引き取りいただけましたら幸甚に存じます

・「お願い申し上げます=お願い致します」に言い換えOK

・幸甚(こうじん)の意味は「この上もない幸せ。大変ありがたいこと。また、そのさま」

・賜る(たまわる)は公式なビジネス文書や手紙によくつかう

あくまでも”お帰り”を使うときの言い換え

さらに追記。

どうしても「帰る」というフレーズを使いたいというあなたのために。

「帰る」をつかった言い換えも紹介しておきます。

あくまでも「お引き取り」がオススメですが…

“お帰り”をつかった言い換え例文

下にいくほど丁寧なフレーズになります。

  • 例文「お帰りください」
  • 例文「お帰りくださいませ」
  • 例文「お帰りいただきたく、お願い致します」
  • 例文「お帰りいただきたく存じます」
  • 例文「お帰りいただければと存じます」
  • 例文「お帰りくださいますようお願い申し上げます」
  • 例文「お帰りいただきますようお願い申し上げます」
  • 例文「お帰りいただければ幸いです」
  • 例文「お帰り賜りますようお願い申し上げます」
  • 例文「お帰りいただけましたら幸甚に存じます」
  • 例文「お帰り賜れますと幸甚に存じます」
  • 例文「お帰り賜れましたら幸甚に存じます」

補)幸甚(こうじん)の意味は「この上もない幸せ。大変ありがたいこと。また、そのさま」

補)敬語の解説はこれまでと重複するため省きます

“お引き取りいただく vs お引き取りくださる”の使い方

ややこしいので「お引き取りいただく vs お引き取りくださる」の使い方について。

代表的なパターンを表にまとめておきます。

こまかく解説していくとそれだけで記事がおわってしまいますので、目的にあわせてお使いください。

▼「お引き取りいただく」の使い方まとめ(すべて敬語)

①基本 ②+丁寧語”ます” ③その他
現 在 お引き取りいただく お引き取りいただきます -頂くよう
-頂きますよう
過 去 お引き取りいただいた お引き取りいただきました ×
進行形 お引き取りいただいている お引き取りいただいています -頂いております
過去~現在 お引き取りいただいていた お引き取りいただいていました -頂いておりました
希 望
依 頼
お引き取りいただきたい
お引き取りいただきたく
お引き取りいただくよう
お引き取りいただきたいです
お引き取りいただきますよう
お引き取りいただけますよう
-頂きたく思います
-頂きたく存じます
-頂ければと存じます
可 能 お引き取りいただける お引き取りいただけます -頂けるよう
-頂けますよう
仮 定 お引き取りいただければ お引き取りいただけましたら ×
疑 問 お引き取りいただけるか? お引き取りいただけますか? -頂けますでしょうか
禁 止 お引き取りいただけない お引き取りいただけません ×
命 令 × × ×

※ ②+丁寧語”ます”をつかうとより丁寧な敬語になります。

※ 「頂く」「いただく」は漢字でも平仮名でもOK

※「×」としたのは一般的につかわない

▼「お引き取りくださる」の使い方まとめ(すべて敬語)

①基本 ②+丁寧語”ます” ③その他
現 在 お引き取りくださる お引き取りくださいます -くださるよう
-くださいますよう
過 去 お引き取りくださった お引き取りくださいました ×
進行形 お引き取りくださっている お引き取りくださっています -くださっております
過去~現在 お引き取りくださっていた お引き取りくださっていました -くださっておりました
希 望
お引き取りくださるよう お引き取りくださいますよう ×
可 能 × × ×
仮 定 × × ×
疑 問 お引き取りくださるか? お引き取りくださいますか? ×
否 定 お引き取りくださらない お引き取りくださいません ×
命 令 お引き取りください お引き取りくださいませ ×

※ ②+丁寧語”ます”をつかうとより丁寧な敬語になります

※ 「下さる」「くださる」は漢字でも平仮名でもOK

※「×」としたのは一般的につかわない