「承知」「了解」「了承」の意味と違い、正しい使い方についてビジネスメールの例文つきで誰よりもわかりやすく解説していく記事。
まずは
「承知」「了解」「了承」の基本となる意味をまとめると以下のとおり。
- 「承知」の意味:命令・指示・依頼などを聞き入れること
- 「了解」の意味:わかった上で認めること
- 「了承」の意味:わかった上で認めること、承認の意味がつよい
【補足】
*「承知」には「事情などを知ること」の意味もあり
はい、
このままだとまったく意味不明なので、わかりやすく違いを説明すると
「承知」「了解」「了承」の違いは…
- 何かをわかった、OK!とするなら「承知」
- 許可を得たいときに使うのが「了承」
- 「了解」は「承知・了承」どちらの意味でも使えるけど違いは丁寧レベル
・丁寧レベル「承知 >> 了解」
・丁寧レベル「了承 >> 了解」
こんな感じで使い分けすればいい、ということがわかります。
ビジネスシーン別に使い分けするとたとえば、
- 上司(目上)からの指示に「OK」と返事したいときは?
例文:承知しました(いたしました)
例文:かしこまりました
例文:承りました(うけたまわる) - 上司(目上)から「OK」をもらいたいときは?
例文:ご了承のほどお願いいたします
例文:ご了承いただければ幸いです - 後輩(目下)からのお願いに「OK」と返事したいときは?
例文:了解です
例文:承知しました
例文:了承しました
※ どれでもOK
こんな感じで使い分けると好感がもてます。
ここで重大な注意点をすこし。
「承知」と「了承」を入れ替えたり、「了解」を「承知」に入れ替えてしまうとヘンテコな意味になるか、丁寧レベルが変わってきます。
たとえば
①上司(目上)からの指示にOKと返事したいとき「了承しました」は使いません。なぜなら了承は「認める・許可する・承認する」の意味合いが強いから。
目上の人にたいして「了承しました」を使うと「キミの指示を認めよう」みたいなニュアンスとなります。これではとても失礼。
②上司(目上)からOKをもらいたいとき「ご承知おきください」も使いません。なぜなら承知は「1. 何かを引き受ける」「2. 知っておく」の意味合いが強く「認める」という意味にはならないから。
目上の人にたいして「〜につき、ご承知おきください」を使うと「〜について、あらかじめ知っておいてね」みたいなニュアンスとなります。これでは失礼。「認めてください」の意味で「ご了承ください」を使うべきです。
ざっくりとした解説はこれにて終了ですが、
もっと詳しく例文つきで、意味、違い、使い分け、敬語の正しい使い方について解説していきます。
※長文になりますので時間の無い方は「パッと読むための見出し」より目的部分へどうぞ。
この記事の目次
「承知」の意味と使い方
「承知」の読みは「しょうち」
「承知」の意味はおおきく以下2つ
- 命令や指示などを引き受けること
例文:承知いたしました - 事情などを知ること
例文:その件については承知しております
「承知」は知る+承る(うけたまわる)でなりたちます。したがってこのような意味になるのかと。
「承知しました」だと「知って受けましたよ = 引き受けました、承りました」みたいな意味になります。
【補足】
1) 受けるの謙譲語が「承る」なので「承知」にはもともと謙譲表現をふくむと考えることもできます。ほかには承諾(しょうだく)、承認(しょうにん)、承服(しょうふく)といった言葉に組み込まれています。
2) 「承」が使われる言葉はいずれも、目上のひとに敬意をはらって使います。
「承知」の使い方・例文
ビジネスメール・会話で目上の人(上司)や取引先にたいして「了解!」と返事をしたいときに使うのが「承知」。
このようなビジネスメールで「承知いたしました」としてあなたの意思を表明する好感がもてます。
▼「承知」を使った例文
- 例文「承知いたしました。それでは頂いた案で社内確認をとります」
- 例文「承知いたしました。それでは8月13日10時に伺います」
- 例文「承知しました。すぐ電話で確認いたします」
- 例文「ご承知のこととは存じますが…」
- 例文「ご承知おきください」
【補足】
1) 了解するときのビジネスメール・ビジネス会社に使うことを想定しています。いずれもメール冒頭に使うと好感度UPします。「ご承知おきください」はあまり使わない特殊な表現。
2) 伺う=訪問する、の謙譲語
3) 「しました・いたしました」だと丁寧レベルは「いたしました」が上。「する」の謙譲語「いたす」+丁寧語「ます」としているため。
「了承」の意味と使い方
「了承」の読みは「りょうしょう」
「了承」の意味は「わかった上で認めること」
「了承」は了(おわる・わかる)+承る(うけたまわる)でなりたちます。したがってこのような意味になるのかと。
「ご了承ください」だと「わかって受けてください = わかった上で認めてください・お許しください」みたいな意味になります。
許可を求めるときに使うことの多いフレーズですね。
「了承」の使い方・例文
ビジネスメール・会話で目上の人(上司)や取引先にたいして「お願い・許可をえたいとき・承認をえたいとき」に使うのが「了承」。
このようなビジネスメールで「ご了承のほどお願いいたします」などとして、丁寧にお願いをすると好感がもてます。
▼「了承」を使った例文
- ご了承のほど何卒よろしくお願い致します(メール文末・締め)
- ご了承くださいますよう何卒よろしくお願い致します(〃同上)
- ご了承いただければ幸いです(〃同上)
- ご了承いただき、誠にありがとうございます(メール冒頭)
- ご了承いただけますでしょうか?(ビジネス会話)
- ご了承願います
- ご了承ください
【補足】
1) 「〜願います」「〜ください」という表現は社内で上司に使うくらいの丁寧レベルであり取引先など社外の人に使うには「?」が残る表現です。
2) 尊敬語「〜してくださる」の命令形が「〜してください」
参考となる記事:
「了解」の意味と使い方
「了解」の読みは「りょうかい」
「了解」の意味は「わかった上で認めること」
意味は「了承」に近いのですが、「了承」はより「認める」の意味合いが強くなります。
わかった!だけだと「了解!」でいいのですが、より「認める」に重点をおく場合には「了承」を使うとよいでしょう。
「了解」は了(おわる・わかる)+解る(わかる)でなりたちます。したがってこのような意味になるのかと。
「了解しました」だと「わかりました」という意味になります。
「了解」の使い方・例文
ビジネスメール・会話で目下のヒトにたいして「OK、わかった」の代わりに使うのが「了解」。
このようなビジネスメールで「了解しました」としてあなたの意思を表明するのが一般的な使い方です。
▼「了解」を使った例文
- 了解しました
- 了解です
「承知」「了解」「了承」の違いと使い分け
冒頭でも述べたとおり、
「承知・了解・了承」は「認めること」にどこまで重きをおく表現か?
という点で違います。
- 「認める・許可する」の意味よりも
「引き受ける・承る」を重視した表現が「承知」 - 「認める・許可する」ことを重視した表現が「了承」
- どちらの意味でも使える「了解」。
ただし丁寧レベルが違い「了承・承知 >> 了解」となる
まぁなんかイロイロ考えると深みにはまるので、例文で考えましょう。
- 例文①「上司の指示には承知できない」
意味は…
・上司の意見を引き受けることができない - 例文②「上司の指示には了解できない」
意味は…
・上司の意見を認める、許可することができない - 例文③「上司の意見は了承できない」
意味は…
・上司の意見を認める、許可することができない
「承知」は「うけたまわること」重視
「認める」よりも「引き受ける・承る」を重視した表現が「承知」
- 例文「上司の考えは理解できます。ただ承知はできません」
【補足】
1) 承る(うけたまわる)は「受ける」の謙譲語
「了承」は「認める、許可する、承認すること」重視
「承る=引き受ける」ことよりも「認める・許可する」ことを重視した表現が「了承」。
「ご了承ください」とすれば「許してください・許可をください」のような意味となり、
「了承しました」とすれば「許可しました」の意味となります。
- 例文「キミの提案はすばらしいものだったけど、了承はできない」
「了解」は「了承・承知」と同じような意味だが丁寧レベル「了承・承知 >> 了解」
了承・承知のどちらの意味にも取れるのが「了解」。
「了解しました」とすれば「わかりました、引き受けました」のような意味となります。
ただし丁寧レベルが「承知・了承>>了解」という点において違います。目上の人が目下に使うことのおおい表現。目上の人(上司など)には使わない方が無難です。
- 例文「キミの提案には了解できない」
【注意点】「承知・了承・了解」はこう使う!
つづいて「承知・了承・了解」を使うときの注意点と正しい使い方について解説。
「了解」は目上の人に使わない方が無難
これはよく言われていることなので、多くの方がご存知とは思いますが…
「了解です」「了解しました」
という表現は上司など目上の人には使わない方が無難。
なぜなら、もっと丁寧なフレーズ「承知」「了承」があるから。
「了解」を使ったら失礼か?というとなんとも言えません。本来の意味を考えれば失礼には当たらないものの…
「了解=丁寧じゃない」というのが定着しているのですよね。
敬語というのは受け手側の気持ちの問題でもあり、何が正解というのはありません。すこしでも失礼に感じられてしまう表現はすべて、使わない方が無難なのです。
ということで
「わかった!」と伝えたいなら「承知しました・承知いたしました」を使い、
「ご了解ください!」と伝えたいなら「ご了承のほどお願いいたします」「ご了承ください」を使います。
「了承」は許可を得るときだけ使う
「了承」を使えるビジネスシーンというのは限られます。
それは、
- あらかじめ何かしらの許可をえたいとき
- 許しを得たいとき
これ以外で使われるメールを見たことがありません。
ですから必然的に使われるフレーズには限りがあります。
- ご了承のほどお願い申し上げます
- ご了承くださいますようお願いいたします
- ご了承いただければ幸いです
意味はいずれも「許可をお願いします、許してください」であり、たとえば謝罪文の終わりとか、相手の期待に添えないことが発生したとき、などのビジネスシーンにつかわれますね。
【丁寧度UP】「ご了承ください」の代わりに使えるお願い・許可・依頼の敬語
上司からの許可を得るときに使うことの多い「ご了承ください」。
尊敬語「くださる」の命令形「ください」を使っていますが、このままでは失礼だと感じてしまう目上の人もいるでしょう。
そこでより丁寧な敬語をまとめます。
ただし敬語が難しいのは上司にはこれを使い、取引先にはこれを使う、というような決まりごとがない点。
使う相手が「失礼だ」と感じたらダメだしそうでなければOKという、わけのわからない世界なのです…
結局はあなた自身で上司の性格を考え丁寧レベルを使い分けるしか方法はありません。
それでも丁寧レベルごとに、なんとな〜くですが基準を設けました。ご参考にどうぞ。
丁寧レベルMax|ご了承いただければ幸いです
丁寧すぎて逆にNGだという人もいるくらいの表現です。
意味は「許可・了解をもらえたら嬉しいなぁ、幸せだなぁ」。
「~をもらえたら嬉しいなぁ」というとても回りくどい表現なので、社内の目上(上司・先輩)に使うには丁寧すぎます。
重要な取引先にたいするビジネスメールや、バカ丁寧にメールをしたいときに使いましょう。
▼「ご了承いただければ幸いです」の例文
- ご了承いただければ幸いです。何卒よろしくお願い申し上げます(メール文末・締め)
【補足】
1) 「もらう」の謙譲語「いただく」+仮定「〜れば」+「幸い」+丁寧語「です」
2) 「ご了承ください」という強い言い方をやわらげるために「お願い」にすりかえ、「幸い=嬉しい・幸せ」を使ってかなりマイルドなお願いの表現にしています。
3) ビジネスメールでは命令形の使用を極力さけることから、目上の人にも使える素晴らしい敬語表現といえます。
4) 何かの許可を得たいときに「承知」は使わない
丁寧レベル高|ご了承のほど・くださいますよう・頂きますよう
つづいてこれらの表現は社外の取引先に使える丁寧レベル。もちろん上司に使っても構いません。
目上の人へのメールはもちろん、目下の人へのメールでも、取引先に対してはこれらの表現を使うのが無難です。
▼「ご教示のほど・くださいますよう・頂きますよう」の例文
- ご了承のほど何卒よろしくお願い致します(メール文末・締め)
- ご了承くださいますようお願い致します(〃同上)
- ご了承いただき誠にありがとうございます(メール冒頭)
- ご了承いただけますでしょうか?(ビジネス会話)
◎「〜のほど」の敬語解説:
尊敬語「くださる」の命令形「ください」の代わりに「~のほど」を使い、さらに「お願い」として使っています。ビジネスメールでは命令形の使用を極力さけることから、目上の人にも使える素晴らしい敬語表現と言えます。
◎「〜くださいますよう」の解説:
尊敬語「くださる」の命令形「ください」でつなげ、「お願い」で結んでいます。命令形ではあるものの「お願い」とすることで、丁寧な表現にしています。こちらも、目上の人にも使える素晴らしい敬語表現と言えます。
◎「〜いただきますよう」の解説:
尊敬語「くださる」の命令形「ください」を自分が「~してもらう」の意味である謙譲語「いただきますよう」に言い換え、「お願い」にすりかえています。ビジネスメールでは命令形の使用を極力さけることから、目上の人にも使える素晴らしい敬語表現と言えます。
丁寧レベル中〜低|ご了承ください・願います
社内メールに使えるくらいの丁寧レベル。
社内であれば、目下から目上(先輩・上司)へメールを送るときには、この敬語表現で十分です。ただし役員クラスにメールするときには、もっと丁寧な表現が必要な会社もあります。
これは業界や企業の文化によりますので、何ともいえません。
※必ずどのくらいの丁寧レベルを使うのか先輩に確認しましょう。
▼許可をえるときの例文
- ご了承願います(メール文末・締め)
- ご了承ください(メール文末・締め)
△「〜願います」の解説:
「願います」という表現には問題があります。これは「願う」に丁寧語「ます」を使っているのですが、丁寧語は社内で使うくらいの丁寧レベルであって社外のコミュニケーションでは通常、できるかぎり尊敬語や謙譲語を使います。
△「〜してください」の解説:
尊敬語「くださる」の命令形「ください」使っています。ビジネスメールで使うには一般的ではありません(ただし社内メールや会話であればOK)。