「かしこまりました」意味と敬語の使い方、ビジネスメール例文

畏まりました(読み:かしこまりました)の意味と敬語の使い方、注意点についてビジネスメールの例文つきで誰よりも正しく解説していく記事。

まずは結論として、

「かしこまりました」の意味は「わかった・了解した」の丁寧な敬語表現です。

もっと堅苦しくすると「目上のヒトの指示・命令などをうけたまわる」という意味。

使い方としてはたとえば、

上司:
「2017年の販売実績データ、まとめといて」
部下の返事:
「かしこまりました。明日までにまとめて提出いたします」

などのようにして使うと目上の方(上司)へはもちろんのこと、社外の取引先(就活・転職メールもふくむ)にも使えるすばらしい敬語表現になります。

とくに上司や取引先から依頼・指示をうけたとき返事として使える敬語です。

「OK、わかったよ!」の敬語バージョンだとお考えください。

ほかにも使える言い換えとしては

「承知しました・承知いたしました・承りました」などがあります。これらの表現は「かしこまりました」とほぼ同じ意味とお考えください。

くわしい敬語の使い方については本文にて。

ここで注意点をひとつ。

「かしこまりました」は「Yes, Sir (イエッサー)」ということですので、これだけでは少しさびしい返事です。

つづけてなにか一言を添えると、なおさら素晴らしい表現となり好感がもてます。

続く言葉にはたとえば
「かしこまりました。いついつまでにやります」
「かしこまりました。それでは明日に伺います」などあり。

ざっくりとした解説はこれにて終了ですが、本文中ではメール例文をまじえながらくわしく進めていきます。

目上の方や取引先などへ「OK、わかったよ!」と返事をしたいときに使える「かしこまりました」ですので、この機会にマスターしておきましょう。

※長文になりますので時間の無い方は「パッと読むための見出し」より目的部分へどうぞ。

「かしこまりました」意味は「了解・わかりました」

冒頭でも解説したとおり「かしこまりました」の意味は「わかりました・了解しました」です。

「OK、わかったよ、了解!」の丁寧な敬語としてビジネスシーンでよく使います。

畏まる(かしこまる)の意味はおおきく4つ

ところで「かしこまりました」の語源について少し。

「かしこまりました」という言葉は以下のように成り立っています。

・畏まる(かしこまる)という動詞の連用形「かしこまり」

・丁寧語「ます」

・過去形「た」

ここで「かしこまる」の意味はざっくり以下4つ。

  1. おそれ慎むこと、恐縮、遠慮
  2. 命令・依頼などを謹んで承る意を表す
  3.  堅苦しい感じがする、窮屈である
  4. 恐縮して感謝する

畏れ多い(恐れ多い)に使われる「畏」と同じ言葉です。

恐れ多くも…うけたまわりました。

と、こちらの立場を低くして相手をうやまっていることがわかります。これを謙譲表現と言います。

ビジネスシーンでは低姿勢であることが好まれますから「かしこまりました」というフレーズはとても素晴らしい敬語です。

【補足】
1) 謙譲表現=自分をへりくだる(下げる)ことで相手を敬う丁寧な表現。謙譲語も同じ。ホントはもっとややこしいけど…

「かしこまりました」の使い方

「かしこまりました」を使うビジネスシーンは、目上の人(上司)や取引先にたいして「了解!」と返事をするとき。

とてもシンプルな使い方なのであまり解説する必要がないかもしれませんね…

いちおうビジネスシーンごとにメール例文をまとめておきます。

【使い方】了解メール

「了解メール」のなかには、上司からの指示にたいする了解、取引先の提案にたいする了解、アポをOKする・・・などがあります。

このようなビジネスメールで「かしこまりました」としてあなたの意思を表明する好感がもてます。

▼「かしこまりました」の例文

  • 例文「かしこまりました。それでは頂いた案で社内確認をとります」
  • 例文「かしこまりました。それでは8月13日10時に伺います」
  • 例文「かしこまりました。すぐ電話で確認いたします」

【補足】
1) 了解するときのビジネスメール・ビジネス会社に使うことを想定しています。いずれもメール冒頭に使うと好感度UPします。
2) 伺う=訪問する、の謙譲語
3) 「かしこまりました」は「承知いたしました・承知しました」で言い換えできます。「了解しました」はNGではないものの、相手によっては地雷をふむリスクあり

「かしこまりました・承知しました」は違い無し、どちらも同じように使える

つづいて「かしこまりました」と同じようなビジネスシーンで使われる「承知しました・承知いたしました」「了解しました」との違いについて。

間違った解説をしているウェブサイトも多いのですが、結論としては以下のような使い分けができます。

  • かしこまりました=承知しました
  • 目上の人に使うときは「かしこまりました・承知しました」
  • 目下に使うのであれば「了解しました」でOK

ここで「かしこまりました・承知しました」は敬語としての丁寧レベルもほとんど同じであり、ことビジネスシーンに限っていうのでしたら使い分けする必要のない言葉です。

念のためその根拠を復習しておきましょう。

「承知しました」の意味はおおきく3つ

「かしこまりました」との違いがないことを確認するために「承知しました・致しました」の意味について考えると…

おおきく以下3つの意味があります。

  1. 目上の人の命令などをうけたまわること
  2. 相手の願い、要求などを聞き入れること
  3. わかること、知ること

承知=知る+承る(うけたまわる)でなりたちます。

「知って受けましたよ=わかりました!」みたいな意味になるのでしょう。

受けるの謙譲語が「承る」なので「承知」にはもともと謙譲表現をふくむと考えることもできます。

ほかには承諾(しょうだく)、承認(しょうにん)、承服(しょうふく)といった言葉に組み込まれていますね。

これらはいずれも、目上のひとに敬意をはらって使うフレーズです。

以上のことから、
「かしこまりました」との違いを見出せないことがわかります。

【補足】
1) 謙譲語=自分の行為にたいして使う敬語。自分をへりくだる(下げる)ことで、相手を敬っている。ホントはもっとややこしいけど…
2)「承知=謙譲表現をふくむ説」はいろんなことを言う人がいて、正解は正直わかりません。とにかく「了解」よりも丁寧な表現であり「かしこまりました」と同じ意味で使えることだけは確か。
3) 承る(うけたまわる)の意味は①つつしんで聞く、②「受ける」の謙譲語

「承知」は「畏る」よりも使える幅がひろい

「承知しました」については「かしこまりました」と使い分けする必要はありません。

ただ、
こと「承知」にかんしていうと他に使える幅があります。

たとえば以下のような表現は「承知」だけの使い方になりますね。

▼「承知」だけの使い方

  • 例文「ご承知のこととは存じますが…」
    意味は「知っているとは思いますが」
  • 例文「ご承知おきください」
    意味は「知っておいてください、了解しておいてください」

「了解しました・かしこまりました」の違いは謙譲表現のあり/なし

「承知しました・かしこまりました」よりも丁寧度の低い「了解しました」

つづいて「承知しました・かしこまりました」と「了解しました」の違いについて少し。

日本語学者風にいうと…

「違いは謙譲表現が言葉にふくまれるか、そうでないか」

という点にあります。

  • 了解しました = 謙譲表現なし
  • かしこまりました・承知しました = 謙譲表現あり

もともとの意味としてはどれも大した違いはありません。

ただし謙譲表現をつかった言葉には
「目上の人にたいして自分をへりくだって使う言葉」というニュアンスを含みます。

つまり相手をうやまう表現のひとつです。

したがって
丁寧レベルとして「かしこまりました・承知しました >> 了解しました」

というようになります。

より丁寧な言葉づかいをするのでしたら「了解」ではなく「かしこまりました・承知しました」を使うとよいでしょう。

とくに目上の人(上司)や社外の取引先を相手にするビジネスメールではご注意ください。

【注意点】「かしこまりました」はこう使う!

つづいて「かしこまりました」を使うときの注意点を解説します。

十分にご注意ください。

「承知できますか?かしこまることはできますか?」とは使わない

きわめて初歩的なのですが…

「かしこまりました」「承知しました」は疑問形で使うのは止めましょう。

たとえば上司に「了解できますか?」と言いたいとき…

  • NG例文「この案件、かしこまれますか?」
  • NG例文「この案件、かしこまることはできますか?」
  • NG例文「承知できますか?」

こんな使い方は間違いです。

謙譲表現というのは自分の行為に使うのが基本。

疑問形でつかってしまうと上司が恐れ多くもあなたに「かしこまる・承知することができるのか?」みたいな意味になります。

上司が下にきてしまって立場が逆転していますね…はい。

とにかく疑問形として「承知・かしこまる」といった謙譲表現をふくむフレーズを使うと、ヘンテコな意味になりますのでご注意ください。

で上司からの許可をえたいとき、了解が欲しいときには…

こんな感じのフレーズを使います。

  • ご了承(承認・承諾)いただきたく存じます
  • ご了承(承認・承諾)いただきますようお願い申し上げます
  • ご了承(承認・承諾)のほどお願いいたします
  • ご了承(承認・承諾)いただければ幸いです

【補足】
1) 承諾・了承・承認は謙譲表現をふくむものの、自分が「もらう=いただく」とすれば問題なし。
2) 「いただきますよう」は「くださいますよう」で言い換えできます。この場合「ください」は尊敬語「くださる」の命令形。命令形には主語も述語もないため

わかってないことに「かしこまりました」を使ってもいいけど、ちゃんと質問する

上司からの指示や業務命令にたいして「かしこまりました」を条件反射的に使ってしまうことも多いかと。

「かしこまりました=引き受けました」

の意味ですが
上司の意図を理解していないのであれば普通に質問しましょう。

  • 例文「かしこまりました。
    ただこの部分が少しわかりにくいのですが、どういたしましょうか?」

みたいな感じ。
質問するのは全くわるくありません。

メールでは「かしこまりました」ではなく「承知いたしました」を使う

これはもはや理由が説明できません。

わたしの好みの問題で、
ビジネスメールでは「承知いたしました」をおおく使い、ビジネス会話では「かしこまりました」をメインで使います。

文章で「かしこまりました」を使うと、なんか見栄えしないというか、カッコ悪いというか…

イマイチなんですよねぇ〜。

記事の最後にメール例文を全文でのせていますので、お好みに応じて「かしこまりました」にするのか「承知いたしました」にするのかを使い分けしてください。

「承知いたしました」は二重敬語ではない

「かしこまりました」には関係しませんが…

似た意味のフレーズ「承知いたしました」を二重敬語だから間違い!
と解説するウェブサイトがあります。

「承知」という言葉のなかに「承る」という謙譲表現がはいっててかつ、謙譲語「いたす」もあるのだから「謙譲語+謙譲語=二重敬語」になる!

ということだと思います。

が、この解説は間違いであり「承知いたしました」は二重敬語ではありません。

なぜなら「承知」の原形はなに?

ときかれても誰も答えられないから。
二重敬語とは、おなじことばに対して二回おなじ敬語を使うこと。

たとえば「お伺いいたします」などが二重敬語の例。行く・聞くの謙譲語「伺う」に「する」の謙譲語「いたす」を使っていて、明らかにダメなやつ。

でも原形の無い「承知」にたいして二重敬語もクソもありません。

「かしこまりました」を使ったメール返信例文【全文】