「ご無理申し上げますが vs. ご無理を申し上げますが」はどっちが正しい?という点について完璧な解答をだしていく記事。
まずは結論を。
- 日本語として正しいのは「ご無理を申し上げますが」
- でも実際のビジネスメールには「ご無理申し上げますが」もよく使われる
したがって「どちらを用いてもOK」です。
ざっくりとした解説はこれにて終了。
くわしくは本文中にて導いた結論の理由をくわしく解説していきます。
この記事の目次
なぜ「ご無理を申し上げますが」が正しいのか?
なぜ「ご無理を申し上げますが」が正しいかというと…
「ご無理」の意味を考えるとすぐにわかります。
この「ご無理」は「無理」という意味でつかいます。
そうすると。
- 「ご無理を申し上げますが」の意味は「無理を言いますが」
- 「ご無理申し上げますが」の意味は「無理言いますが」
というように解釈できます。
「無理を言う」なのか「無理言う」のか、どっちが正しい!?
ということを問うているわけですね。
で。
日本語ネイティブの皆さまはすでにお分かりかと思います。
正しいのは「無理を言う=ご無理を言う」のほうなのですね。
でもビジネスメールでは「ご無理申し上げますが」もよく使われる
じゃあ日本語として正しい「ご無理を申し上げますが」をつかおう!!
というように平和的に終わればよかったのですが…
じつは。
実際のビジネスメールでは助詞「を」をぬいた「ご無理申し上げますが」もよく使われます。
なぜかというと助詞「を」をぬいたほうが発音しやすいし、文章的にも見やすいからです。
※これを助詞の脱落といいます。
例文
たとえば…以下の例文1と2で見比べてみましょう。
- 例文①お忙しいところご無理を申し上げますが、お返事の程お願い致します
- 例文②ご多忙のところご無理申し上げますが、ご返信の程お願い致します
さてどちらが読みやすいでしょうか?
例文①は「お・を」ばかり使っていてなんだか気持ち悪い文章ではないでしょうか?
人によって差があるとは思いますが…
もしお気にならないようでしたら正しい日本語「ご無理を申し上げますが」をつかうとよいでしょう。
いっぽうで多少なりとも読みにくいと感じるようでしたら「ご無理申し上げますが」としましょう。
似たような助詞「を」の脱落
さて。
これでもまだ納得いただけない方のために。
すこし別の角度から助詞「を」の脱落の例をみていきます。
まずは例文をご覧ください。
- お酒おつぎしましょうか?
※意味は「酒をつぎましょうか」 - 荷物お持ちしましょうか?
※意味は「荷物を持ちましょうか」 - 明日お時間いただけますか?
※意味は「明日に時間をもらえますか?」
これらはとくにビジネスシーンでつかう敬語で助詞「を」が脱落されている例です。
どれもまぁビジネスメールや電話対応で違和感なくつかわれていますね。
ところが正しい日本語としてはそれぞれ、
- お酒をおつぎしましょうか?
- 荷物をお持ちしましょうか?
- 明日にお時間をいただけますか?
となるハズ。
ただし。
とくに話し言葉において助詞「を」を省略してしまうことが多いように感じます。
なぜならそっちの方が圧倒的に発音しやすいからです。
敬語は「お」ばかり使うから助詞「を」は脱落しがち
とくに敬語においては「お願い」や「お知らせ」「ご無理」「お酒」といった風に…
「お」ばかり使うことになるのですよね。
したがって「お酒をおつぎしましょうか」「お忙しいところご無理を申し上げますが」などとするともう収集がつかないというか、舌がまわらないのです。
実際に発音していると「お」と「を」が重なってとても難しい発音になるのですよね。
結果として助詞「を」が脱落しがちになるのです。
結論としてはどちらを使ってもOK
で。
これまで見てきたとおり…
日本語として正しいのは「ご無理を申し上げますが」のほうですが…
「ご無理申し上げますが」でも何ら問題はないということが言えます。
結論としてはどっちでもいいや、ということですね。
言語というのは多くのヒトがつかっていればたとえ間違っていても、それが許容されるのです。
「ご無理申し上げますが」意味と使い方のすべて
あとは次ページより「ご無理申し上げますが」について、意味と上司や目上への正しい使い方、注意点をビジネスメールの例文つきで誰よりもくわしく解説していきます。
ご興味ある方のみどうぞ。