「ご支持いただけましたか?」は直訳すると「支持してもらえましたか?」という意味。
ようは「すでに支持したか?」「支持したのか?」と言いたいわけですが・・・丁寧な敬語にするとこんな風にややこしい表現になります。
使い方は何かしら支持したかを確認・催促するときのビジネスシーン。
どちらかというと商談や電話などの会話シーンでよくつかわれる敬語ではありますが、ビジネスメールにつかっても丁寧です。
社内上司や目上にかぎらず社外取引先にもつかえる丁寧なフレーズですね。
くわしくは本文にて意味や敬語の種類、ビジネスシーンにふさわしい使い方、ビジネスメール例文、注意点を解説していきます。
※長文になりますので「見出し」より目的部分へどうぞ
この記事の目次
意味と敬語
「ご支持いただけましたか?」は「支持してもらえましたか」という意味。
なぜこのような意味になるのか?
そもそもの意味と敬語について順をおって解説していきます。
“支持”の意味
支持(しじ)の意味は・・・
- ささえもつこと。ささえてもちこたえること。「地震がきたらまず、家の柱をなんとか支持すること」
- ある意見・主張などに賛成して、その後押しをすること。「自民党を支持する。」「内閣支持率」
“ご支持いただける”の意味は「支持してもらえる」
まずは前半部分。
「ご支持いただける」の意味は…
「支持してもらえる」と解釈できます。
“ご支持”のもとになる単語は”支持”であり、「〜してもらう」の謙譲語「お(ご)~いただく」をつかって敬語にしています。
「いただける」の部分は謙譲語「いただく」の可能表現をつかっています。可能の表現をつかっているので意味としては「〜してもらえる」となります。
おなじような可能の表現にはたとえば、
「泳ぐ → 泳げる」
「書く → 書ける」
「聞く → 聞ける」
などあり。どれも「〜できる」という意味になりますね。
ちなみに”ご支持”の「お(ご)」の部分は向かう先を立てるために使う敬語であり謙譲語の「お(ご)」です。余談ですが尊敬語にも「お(ご)」の使い方があり混同しがち。
むずかしく感じるかたは「お(ご)●●いただく」のセットで謙譲語とおぼえておきましょう。
“ましたか?”は丁寧語の疑問形+過去形
つづいて後半部分。
「〜ましたか?」は丁寧語「ます」の疑問形を過去形にしたもの。
意味としてはシンプルに「〜したか?」というような質問・疑問の形になります。
目上・上司や取引先に質問するときにはたとえば、
「泳げたか? → 泳げましたか?」
「書けたか? → 書けましたか?」
「聞けたか? → 聞けましたか?」
このように丁寧語の疑問形をつかうと丁寧です(例文を使うかどうかは別として…)。
ちなみに、
「ご支持いただけますか?」と現在形をつかうと「支持してもらえますか?」というお願い・依頼のフレーズになります。
あわせると意味は「支持してもらえましたか」
- ご支持 = 支持すること
- お(ご)~いただける = 「〜してもらえる」の意味の敬語(謙譲語)
- ますか = 「〜か?」という意味の敬語(丁寧語)
これらの単語を合体させて意味を考えます。
すると「ご支持いただけましたか?」の意味は…
「支持してもらえましたか?」
のように解釈できます。
ようするに「すでに支持したのか?」「もう支持したのか?」という催促や確認の意味をあらわしているのですが、このままではあまりにストレート過ぎて目上や上司・取引先に使うにはイマイチです。
そこで遠まわりに「~してもらえましたか?」として、とてもやわらか~い確認・催促の敬語フレーズにしています。
そんなに丁寧に催促する必要あるの?って思うくらい。
目上・上司にはもちろんのこと社外取引先にもつかえる丁寧な敬語フレーズですね。
敬語の解説
ややこしいので、これまでの敬語の解説をまとめておきます。
「ご支持いただけましたか」を敬語としてみていくと以下のとおりに成り立ちます。
- もとになる単語「支持」
- “〜してもらう”の謙譲語「お(ご)〜いただく」で「ご支持いただく」
- 可能形にして「ご支持いただける」
- 丁寧語”ます”の疑問形「ますか」を過去形にして「ましたか?」
→ すべてあわせると「ご支持いただけましたか?」という敬語の完成
※「お(ご)」を省いて「支持いただけましたか?」でも正しい敬語です。
このようにして元になる語「支持」を敬語にしています。つまり敬語としては何もおかしいところはありません。間違いではなく正しい敬語です。
相手に強制しない、とてもやわらか~い確認・催促の敬語フレーズになります。
なお「ご支持していただけましたか?」は間違い敬語となりますのでご注意を。
この場合、謙譲語「お(ご)」をなくして「支持していただけましたか?」とすれば正しい敬語になります。
理由は長くなるので省きますが、あくまでも「ご支持いただけましたか?」をつかうことをオススメします。
それでは次項より使い方についても見ておきましょう。
使い方
つづいて「ご支持いただけましたか」の使い方について。
①基本:支持してもらえたか?と催促・確認するビジネスシーン
「ご支持いただけましたか」の使い方
意味のとおりで何かしら「すでに支持してもらえたか?」と催促したい、あるいは確認したいときのビジネスシーンで使います。
「ご支持いただけましたか」にかぎらず「〜いただけましたか?」という表現はビジネスメールよりも、どちらかというと電話対応や商談・会話シーンで多くつかいますね。
だからと言ってメールにつかったら失礼とかではなく、ビジネスメールにつかっても違和感はありません。
②例文
たとえば、
- 【例文】事前の約束どおり自民党をご支持いただけましたか。
- 【例文】どの政党をご支持いただけましたか?
のようにして催促や確認をともなうビジネスシーン(会話・電話対応・メール)に使われます。
ようするに「すでに支持してもらえたか?」という意味なのですが丁寧な敬語にすると、こんな風にややこしい文章になります。
③支持してもらえるか?と依頼する時は”ご支持頂けますか?”
これまで見てきたように「ご支持いただけましたか?」は「すでに支持したのか?」という催促や確認の意味をあらわしています。
で、
支持してもらえるか?と依頼・お願いしたいときには…
- 【例文】ご支持いただけますか?
- 【例文】ご支持いただけますでしょうか?
のように現在形「〜いただけますか?」をつかうと丁寧です。
あるいは尊敬語「お(ご)〜くださる」をつかい…
- 【例文】ご支持くださいますか?
- 【例文】ご支持くださいますでしょうか?
のように「〜くださいますか?」をつかっても丁寧。
こうすると意味は「支持してくれるか?」となります。
ニュアンスと敬語の使い方は違いますが、言いたいことは同じでありどちらも丁寧です。
“ご支持頂けましたか vs 頂けますか?”の違い
ここで「ご支持いただけましたか? vs ご支持いただけますか?」の違いについて簡単にまとめ。
「確認・催促 vs 依頼・お願い」の違いあり
これまで解説したとおり、
- 「ご支持いただけましたか?」は過去形であるため「すでに支持したのか?」「もう支持したのか?」という催促や確認の意味でつかわれます。
いっぽうで、
- 「ご支持いただけますか?」と現在形をつかうと「支持してもらえますか?」というお願い・依頼のフレーズになります。
まったく違う意味になりますのでご留意ください。
ご支持頂けましたでしょうか?とするとなお丁寧
「支持してもらえましたか?」と催促・確認したいときに使える敬語。
「ご支持いただけましたか」でも十分に丁寧ではありますが…
「ご支持いただけましたでしょうか」とすると、よりやわらか〜い感じの敬語フレーズになります。
推測「〜だろうか?」の丁寧語「〜でしょうか?」を「ご支持いただけましたか」に加えるとこうなります。
意味と使い方
「ご支持いただけましたでしょうか」の意味は「支持してもらえただろうか?」
つまり「すでに支持しただろうか?」と言いたい訳ですね。
使い方は「ご支持いただけましたか」とおなじく確認・催促のビジネスシーン(電話・会話・ビジネスメール)。
例文は重複するため省略します。
いただけましたでしょうか?の方が丁寧
いずれも上司・目上・社外取引先につかえる素晴らしい敬語です。
が、どちらかというと「〜いただけましたでしょうか?」のほうが丁寧です。
ただしバカ丁寧だという意見もあるため「〜いただけましたか?」で差し支えありません。
私の場合・・・
ビジネスメールでは「~いただけましたでしょうか?」をつかうことが多く、会話シーンであれば「ご支持いただけましたか?」とします。
会話は多少カジュアルに、メールは堅苦しく、というのが私のポリシーです。
でも結局のところあなたの好みです。あまりお気になさらないように。
ちなみに、
「ご支持いただけますでしょうか?」と現在形をつかうと「支持してもらえるだろうか?」というお願い・依頼のフレーズになります。
敬語の解説
「ご支持いただけましたでしょうか?」
の敬語の成り立ちとしては…
- “支持”に「〜してもらう」の謙譲語「お(ご)〜いただく」で「ご支持いただく」
- 可能形にして「ご支持いただける」
- 丁寧語”ます”の過去形”ました”をくっつけて「ご支持いただけました」
- 疑問形にして「ご支持いただけましたか?」
- さらに”〜だろうか”の丁寧語「〜でしょうか」をくっつけると「ご支持いただけましたでしょうか?」
どちらの表現も謙譲語をうまくつかい、このうえなく丁寧な敬語フレーズとなっていることがわかります。
したがって上司・目上・社外取引先につかえる素晴らしい敬語、と言えるでしょう。
どちらかというと「〜いただけましたでしょうか?」のほうが丁寧なのですが…バカ丁寧だという意見もあるため「〜いただけましたか?」でオッケー。
ご支持くださいましたか?としても丁寧
「支持してもらえましたか?」と催促・確認したいときにつかえる敬語。
「ご支持いただけましたか?」「ご支持いただけましたでしょうか?」だけでなく…
- 【例文】ご支持くださいましたか?
→意味は「支持してくれたか?」 - 【例文】ご支持くださいましたでしょうか?
→意味は「支持してくれただろうか?」
※「~してくれる」の尊敬語「お(ご)~くださる」をつかって敬語にしています。
もあります。
目上・上司にはもちろんのこと社外取引先にもつかえる丁寧な敬語フレーズですね。
“いただけましたか vs くださいましたか”意味と違い・使い方
「ご支持いただけましたか?」vs「ご支持くださいましたか?」の意味と違い。
どちらも言いたいことは結局のところ「すでに支持したか?」なのですが…
敬語の使い方に違いあり。
- “ご支持いただけましたか?“だと意味は「支持してもらえたか?」
→敬語は謙譲語「お(ご)〜いただく」の可能形+丁寧語
vs.
- “ご支持くださいましたか?“だと意味は「支持してくれたか?」
→敬語は尊敬語「お(ご)〜くださる」+丁寧語
というように意味と敬語の使い方が違います。
が、
結局のところ言いたいことはどちらも全く同じなわけです。
いただけましたか?のほうが丁寧
「支持してくれたか?=ご支持くださいましたか?」
よりも”いただく+可能形”をつかって、
「支持してもらえたか?=ご支持いただけましたか?」
としたほうが丁寧な印象のフレーズとなります。
ただ、
敬語の使い方には違いはあれど、どちらもひとしく丁寧な敬語であり目上・上司・社外取引先につかえるフレーズです。
ただ少しニュアンスの違いというか敬語の使い方が違うよ、ということですね。
これは好みで分かれるところ。
どちらかというと「いただく」を使ったほうがやんわ~りとした表現になりますが、心底どちらでも差し支えありません。
まぁ、ひとつのオプションとしてお好みでお使いください。
ご支持いただきましたか?でも丁寧
「支持してもらえましたか?」と催促・確認したいときにつかえる敬語。
これまで紹介した例文のほかにも…
- 【例文】ご支持いただきましたか?
→意味は「支持してもらったか?」 - 【例文】ご支持いただきましたでしょうか?
→意味は「支持してもらっただろうか?」
※「~してもらう」の謙譲語「お(ご)~いただく」をつかって敬語にしています。
※「お(ご)」を省いて「支持いただきましたか?」でも正しい敬語です。
もあります。
目上・上司にはもちろんのこと社外取引先にもつかえる丁寧な敬語フレーズですね。
“いただけましたか vs いただきましたか”の意味と違い・使い方
「ご支持いただけましたか?」vs「ご支持いただきましたか?」の意味と違い。
どちらも言いたいことは結局のところ「すでに支持したか?」なのですが…
敬語の使い方に違いあり。
- “ご支持いただけましたか?“だと意味は「支持してもらえたか?」
→敬語は謙譲語「お(ご)〜いただく」の可能形+丁寧語
vs.
- “ご支持いただきましたか?“だと意味は「支持してもらったか?」
→敬語は謙譲語「お(ご)〜いただく」+丁寧語
というように、
可能形をいれるかどうかという点において違いますね。
が、結局のところ言いたいことはどちらも全く同じなわけです。
いただけましたか?のほうが丁寧
「支持してもらいましたか?=ご支持いただきましたか?」
よりも可能形をつかって、
「支持してもらえましたか?=ご支持いただけましたか?」
というほうが丁寧な印象のフレーズとなります。
ホントに些細なことなので誰も気にしないかもしれませんけど…。
まぁとにかく、これまで紹介した例文はどれを用いても丁寧ではあります。
シンプルに”ご支持になりましたか?”でもOK
「支持してもらえましたか?」と催促・確認したいときにつかえる敬語。
いい加減くどいのですが、まだまだあります…
とくに会話や電話対応はビジネスメールとちがって堅苦しい敬語は好まれません。
そこでシンプルに、
- 【例文】ご支持になりましたか?
→意味は「支持しましたか?」 - 【例文】ご支持になりましたでしょうか?
→意味は「支持しましたでしょうか?」
※「~する」の尊敬語「お(ご)~になる」をつかって敬語にしています。
でも十分に丁寧です。
「支持する」に尊敬語「お(ご)〜になる」をつかい、さらに丁寧語の疑問形をつけくわえると例文のような敬語になります。
こちらも目上・上司にはもちろんのこと社外取引先にもつかえる丁寧な敬語フレーズですね。
いただけましたか?のほうが丁寧
「支持しましたか?=ご支持になりましたか?」
よりも”いただく+可能形”をつかって、
「支持してもらえましたか?=ご支持いただけましたか?」
というほうが丁寧な印象のフレーズとなります。
結局どれがもっとも丁寧?
敬語の種類というのは本当にいろいろあります。
あまりにも言い換え敬語フレーズがおおいので、どれを使うべきか迷ってしまうというあなたのために。
ここまで紹介した言い換えだけでなく、思いつくかぎりの敬語フレーズを丁寧レベルごとに整理しておきます。
どれも「支持してもらえましたか?」「支持してくれましたか?」と催促・確認したいときにつかえる敬語です。
※ あくまでも目安としてお考えください。
①会話・電話対応につかえる丁寧レベル
「支持してもらえましたか?」「支持してくれましたか?」と催促・確認したいときの敬語。
まずは会話や電話対応シーンでよくつかう敬語フレーズから。
下にいくほど丁寧な敬語になります。また、おすすめの敬語フレーズは青文字にしておきます。
- 支持してくれましたか?
- 支持してもらえましたか?
- 支持していただきましたか?
- 支持していただけましたか?
- ご支持になりましたか?
- ご支持なさいましたか?
- ご支持されましたか?
- ご支持いただきましたか?
- ご支持くださいましたか?
- ご支持いただけましたか?
②ビジネスメール対上司・対社内につかえる丁寧レベル
「支持してもらえましたか?」「支持してくれましたか?」と催促・確認したいときの敬語。
つづいて、上司や社内目上のビジネスメールにふさわしい敬語フレーズをご紹介。
下にいくほど丁寧な敬語になります。おすすめの敬語フレーズは青文字にしておきます。
- ご支持になりましたか?
- ご支持なさいましたか?
- ご支持されましたか?
- ご支持いただきましたか?
- ご支持くださいましたか?
- ご支持いただけましたか?
- ご支持になりましたでしょうか?
- ご支持なさいましたでしょうか?
- ご支持されましたでしょうか?
- ご支持いただきましたでしょうか?
- ご支持くださいましたでしょうか?
- ご支持いただけましたでしょうか?
注)上下関係に厳しい上司や、社内でも相当のポジションにいる人にたいしては例文⑥以降をつかいましょう。
【敬語の補足】
・「なさる/される」は”〜する”の尊敬語
・「お(ご)〜になる」は”〜する”の尊敬語
・「お(ご)〜くださる」は”〜してくれる”の尊敬語
・「お(ご)〜いただく」は”〜してもらう”の謙譲語
・「〜でしょうか」は”〜だろうか”の丁寧語
③ビジネスメール対取引先・対顧客につかえる丁寧レベル
「支持してもらえましたか?」「支持してくれましたか?」と催促・確認したいときの敬語。
最後に、社外取引先や顧客のビジネスメールにふさわしい敬語フレーズをご紹介。
下にいくほど丁寧な敬語になります。おすすめの敬語フレーズは青文字にしておきます。
- ご支持いただきましたか?
- ご支持くださいましたか?
- ご支持いただけましたか?
- ご支持になりましたでしょうか?
- ご支持なさいましたでしょうか?
- ご支持されましたでしょうか?
- ご支持いただきましたでしょうか?
- ご支持くださいましたでしょうか?
- ご支持いただけましたでしょうか?
【敬語の補足】
・「なさる/される」は”〜する”の尊敬語
・「お(ご)〜になる」は”〜する”の尊敬語
・「お(ご)〜くださる」は”〜してくれる”の尊敬語
・「お(ご)〜いただく」は”〜してもらう”の謙譲語
・「〜でしょうか」は”〜だろうか”の丁寧語