「ご講演いただきたく存じます」意味と使い方・ビジネスメール例文

「ご講演いただきたく存じます」は「講演してもらいたいと思います」という意味。

ようは「講演してほしい!」「講演してください!」と言いたいわけですが・・・丁寧な敬語にするとこんな風にややこしい表現になります。

使い方は何かしら講演してほしいときのお願い・依頼ビジネスメール。社内上司や目上にかぎらず社外取引先にもつかえる丁寧なフレーズです。

くわしくは本文にて意味や敬語の種類、ビジネスシーンにふさわしい使い方、ビジネスメール例文、注意点を解説していきます。

※長文になりますので「見出し」より目的部分へどうぞ

意味と敬語

「ご講演いただきたく存じます」は「講演してもらいたいと思います」という意味。

なぜこのような意味になるのか?

そもそもの意味と敬語について順をおって解説していきます。

“講演”の意味

講演(こうえん)の意味は・・・

  1. 大ぜいの人に向かって、ある題目に従って話をすること。また、その話。「教授の講演会に出席する」「地球温暖化に関する講演をした」
  2. 経典を講じ仏法を説くこと。説法。

“ご講演いただきたく”の意味は「講演してもらいたい」

まずは前半部分。

“ご講演いただきたく〜”の意味は、

講演してもらいたい

講演してもらいたく

のように解釈できます。

「ご講演」のもととなる単語は「講演」であり、「〜してもらう」の謙譲語「お(ご)~いただく」をつかって敬語にしています。

「いただきたく」の部分は謙譲語「いただく」に意思・希望「〜したい」をつかっています。

ここで「ご講演」の「お(ご)」の部分は向かう先を立てるために使う敬語であり謙譲語の「お(ご)」です。

余談ですが尊敬語にも「お(ご)」の使い方があり混同しがち。

難しく感じるかたは「お(ご)●●いただく」のセットで謙譲語とおぼえておきましょう。

なお表記は、

漢字表記「ご講演頂きたく」vs. ひらがな表記「ご講演いただきたく」の両方ともOK。どちらをつかっても正しい敬語です。

“存じます”の意味は「思います」

つづいて後半部分。

“存じます”の意味は「思います」

“思う”の敬語(謙譲語)「存じる」に丁寧語”ます”をつかって敬語にしています。

あわせると意味は「講演してもらいたいと思います」

  1. ご講演 = 講演すること
  2. お(ご)~いただきたく = 「〜してもらいたい」の意味の敬語(謙譲語)
  3. 存じます = 「思います」の意味の敬語(謙譲語)

※漢字表記「ご講演頂きたく」vs. ひらがな表記「ご講演いただきたく」の両方ともOK。

これらの単語を合体させて意味を考えます。

すると「ご講演いただきたく存じます」の意味は…

「講演してもらいたいと思います」

であり、とてもやわらか~いお願いの敬語フレーズになります。

「講演してください!」とストレートに言うのではなく遠回しに自分の意思や気持ちをつたえる、とても丁寧なフレーズですね。

ニュアンスとしては「講演してもらいたいと思うのだけど…」みたいなイメージ。

あまりに堅苦しくて大げさかもしれませんが、とにかく目上・上司にはもちろんのこと社外取引先にもつかえる丁寧な敬語フレーズになります。

敬語の解説

ややこしいので、これまでの敬語の解説をまとめておきます。

「ご講演いただきたく存じます」を敬語としてみていくと以下のとおりに成り立ちます。

  • もとになる単語「講演」
  • “〜してもらう”の謙譲語”お(ご)〜いただく”で「ご講演いただく
  • 意思・希望”〜したい”で「ご講演いただきたい
  • “思う”の謙譲語「存じる」に丁寧語”ます”をくっつけて「存じます

→ すべてあわせると「ご講演いただきたく存じます」という敬語の完成

このようにして元になる語「講演」を敬語にしています。つまり敬語としては何もおかしいところはありません。間違いではなく正しい敬語です。

相手に強制しない、とてもやわらか~いお願いの敬語フレーズになります。

なお「ご講演していただきたく存じます」は間違い敬語となりますのでご注意を。

この場合、謙譲語「お(ご)」をなくして「講演していただきたく存じます」とすれば正しい敬語になります。

理由は長くなるので省きますが、あくまでも「ご講演いただきたく存じます」をつかうことをオススメします。

それでは次項より使い方についても見ておきましょう。

【使い方】講演してほしい!と伝えるビジネスシーン

「ご講演いただきたく存じます」の使い方は…

意味のとおりで何かしら「講演してほしい!」と言いたいビジネスシーンに使います。

①おもにビジネスメールに使われる

「ご講演いただきたく存じます」の使い方その1

「ご講演いただきたく存じます」にかぎらず「〜いただきたく存じます」という表現は電話対応や商談よりも、どちらかというとビジネスメールで多くつかいますね。

会話でつかうにはあまりに堅苦しいフレーズだからです。

だからと言って電話対応などにつかったら失礼とかではなく、堅苦しいというだけ。

ようするにビジネスメールで上司や目上・社外取引先に「講演してほしい!」と言いたいシーンであれば使えます。

②電話対応・会話では”ご講演いただけますか?”など推奨

「ご講演いただきたく存じます」の使い方その2

わたし個人としては電話対応や会話シーンに「ご講演いただきたく存じます」のような堅苦しいフレーズをつかうのがあまり好きではありません。

そこで、

  • 【例文】ご講演ください
  • 【例文】ご講演くださいませ
  • 【例文】ご講演いただけますか?
  • 【例文】ご講演いただけますでしょうか?

など会話シーンにふさわしい、ちょっとカジュアルな敬語をつかって意思や希望をつたえますね(下の例文ほど丁寧な敬語になります)。

とくに「〜いただけますか?」サラッと言えるためビジネスシーンで重宝するフレーズです。

※「~いただけますか?」の意味は「~してもらえますか?」

※「~いただけますでしょうか?」の意味は「~してもらえますでしょうか?」

敬語の補足

念のため「ご講演いただけますか?」「ご講演いただけますでしょうか?」の敬語について少し。

  • “講演”に「〜してもらう」の謙譲語「お(ご)〜いただく」で「ご講演いただく」
  • 可能形にして「ご講演いただける」
  • さらに丁寧語”ます”で「ご講演いただけます」
  • 疑問形にして「ご講演いただけますか?」

“〜だろうか”の丁寧語「〜でしょうか」を使うと「ご講演いただけますでしょうか?」

どちらの表現も謙譲語をうまくつかい、このうえなく丁寧な敬語フレーズとなっていることがわかります。

したがって上司・目上・社外取引先につかえる素晴らしい敬語、と言えるでしょう。

どちらかというと「〜いただけますでしょうか?」のほうが丁寧なのですが…

バカ丁寧だという意見もあるため「〜いただけますか?」でも十分に丁寧です。

“ご講演いただければと存じます”だとなお丁寧

“講演してほしい!”と言いたいときに使える敬語。

「ご講演いただきたく存じます」でも十分に丁寧ではありますが…

「ご講演いただければと存じます」とすると、より丁寧な敬語になります。

意味と敬語

どちらも言いたいことは結局のところ「講演してほしい」なのですが…

「ご講演いただければと存じます」の意味は…「講演してもらえたらと思います」

謙譲語「ご講演いただく」を可能形にして「ご講演いただける」とし、

さらに仮定の「たら・れば」をくっつけると「ご講演いただければ」という敬語の完成。

かな〜り遠回しにお願いをしているわけで、目上・上司・取引先への言葉づかいとしてはこの上なく丁寧ですね。

そんなに丁寧にする必要あるの?って思うくらい。

違いと使い分け

「ご講演いただきたく存じます」vs.「ご講演いただければと存じます」の違いと使い分けについて簡単に。

  • 「ご講演いただきたく存じます」だと意味は「講演してもらいたいと思います」
    → 敬語は”お(ご)~いただく”+希望”~したい”+謙譲語”存じる”+丁寧語”ます”

いっぽうで、

  • 「ご講演いただければと存じます」の意味は「講演してもらえたらと思います」
    → 敬語は”お(ご)~いただく”+可能形”いただける”仮定”たら・れば”+謙譲語”存じる”+丁寧語”ます”

「ご講演いただきたく存じます」だと「~してもらいたい」と言いながらも「思います」として、遠回しにあなたの希望を伝える敬語にしています。

いっぽうで、

「ご講演いただければと存じます」だと「~してもらえたらと思います」というように、もっと遠まわしかつ大げさなお願いのフレーズになります。

まぁ、どちらも丁寧な敬語であり使い分けの必要はありませんが…

より丁寧なメールがもとめられるシーンでは「ご講演いただければと存じます」を使うとよいでしょう。

シンプルに”ご講演いただきたくお願い致します”でも丁寧

“講演してほしい!”と言いたいときに使える敬語。

「ご講演いただきたく存じます」「ご講演いただければと存じます」だけでなく、

「ご講演いただきたく、お願い致します」もあります。

言いたいことは結局のところ「講演してほしい」なのですが…

“存じます”ばかりのメールは気持ち悪い

ビジネスメールで「存じます」つまり「思います」を多用すると気持ち悪い文章になってしまいます。あなたの意思が伝わらずぼんや〜りとしたメールになって「結局なにが言いたいの?」ということになりかねません。

そんなときに活躍するのが「ご講演いただきたく、お願い致します」です。

「ご講演いただきたく存じます」だと「講演してもらいたいと思います」という意味であり、

「ご講演いただきたく、お願い致します」だと「講演してもらいたい、お願い!」というような意味になります。

敬語としてはどちらも、これでもかというくらい丁寧なので使い分けする必要はありません。

文章のバランスを考えてお好みでお使いください。

なお「ご講演いただきたく、お願い致します」というように「」を入れるケースもあります。どちらを使っても正しい敬語です。

敬語の解説

一応「ご講演いただきたく、お願い致します」の敬語の成り立ちをまとめておきます。

  • もとになる単語「講演」
  • “〜してもらう”の謙譲語”お(ご)〜いただく”で「ご講演いただく
  • 意思・希望”〜したい”で「ご講演いただきたい
  • “願う”に謙譲語”お(ご)〜いたす”で「お願いいたす
  • 丁寧語”ます”をくっつけて「お願いいたします

→ すべてあわせると「ご講演いただきたく、お願いいたします」という敬語の完成

※「お願い申し上げます=お願いいたします」言い換えOK

※「お願いいたします」の表記は漢字「お願い致します」としてもOK

謙譲語をうまくつかい、このうえなく丁寧な敬語フレーズとなっていることがわかります。

したがって上司・目上やビジネスメールで使うのにふさわしい表現、と言えるでしょう。

もっとシンプルに”ご講演をお願い致します”でもOK

“講演してほしい!”と言いたいときに使える敬語。

あとはシンプルに、

  • 【例文】ご講演をお願い致します/ご講演をお願い申し上げます
  • 【例文】ご講演をお願いします

としてもOKです。

意味としては「講演をお願いします!」であり、

言いたいことは結局のところ「講演してほしい」となります。

社内メールや懇意にしている取引先につかう

基本の使い方はこれまでとおなじ。

なにかしら「講演してほしい!」というときに使います。

とくに懇意にしている社外取引先や社内コミュニケーション(上司・目上)であれば、そこまで堅苦しい敬語をつかう必要はありません。

あまりに丁寧すぎる敬語は相手との間に壁をつくってしまいますからね。

ということで相手をみてシンプルに「ご講演をお願い致します」としてもなんら問題はありません。

※ ただし上下関係に厳しい上司・目上や初めての相手には丁寧すぎるくらいの敬語がオススメです。

ほかにも使える丁寧な敬語

これまで紹介した例文のほかにも…

  • 【例文】ご講演いただければ幸いです
    ※意味は「講演してもらえたら嬉しいです」
  • 【例文】ご講演いただけますと幸いです
    ※意味は「講演してもらえると嬉しいです」
  • 【例文】ご講演いただけましたら幸いです
    ※意味は「講演してもらえたら嬉しいです」
  • 【例文】ご講演いただければ幸甚に存じます
    ※意味は「講演してもらえたら、とても嬉しく思います」
  • 【例文】ご講演いただけますと幸甚に存じます
    ※意味は「講演してもらえると、とても嬉しく思います」
  • 【例文】ご講演いただけましたら幸甚に存じます
    ※意味は「講演してもらえたら、とても嬉しく思います」

なども似たような意味であり、とても丁寧な敬語です。

補足

※ 幸甚(こうじん)の意味は「この上もない幸せ。大変ありがたいこと。また、そのさま」

※ 「幸い」は「幸せであること、嬉しい気持ち」の意味

※ 「存じる」は「思う」の謙譲語

※ 「いただきたく」は謙譲語「いただく」+希望「~したい」

※ 「いただければ」は謙譲語「いただく」+可能形+仮定「たら・れば」

※ 「いただけましたら」は謙譲語「いただく」+丁寧語「ます」+仮定「たら・れば」

ビジネスメール例文

こうして長々と読んでいてもイメージがつかみにくいかと思いますので、より実践的に。

ここでは「ご講演いただきたく存じます」の使い方をビジネスメール例文とともにご紹介。

どれも目上・上司・取引先にふさわしい丁寧な敬語にしています。ご参考にどうぞ。

なおビジネスメールにおいては以下の敬語もオススメです。

① それなりに丁寧「ご講演くださいませ」

② 丁寧「ご講演いただければと存じます」

③ かなり丁寧「ご講演いただければ幸いです」など

④ ↓とくにビジネスメール結び/文末につかう↓

「ご講演頂きますようお願い申し上げます」

「ご講演くださいますようお願い致します」

「ご講演のほど宜しくお願い致します」

ビジネスメール例文①講演のお願い(社内)

メール件名:炭素繊維に関する講演のお願い

研究部 xx部長(社内上司・目上など)

お疲れ様です。
営業部・ノマドです。

さて首記の件、このたびトヨタ自動車より炭素繊維技術に関する講演会開催の依頼がございました。くわしい依頼内容は以下のとおりとなります。

①背景
②目的
③依頼内容

そこで大変お手数ではございますが、上記の依頼に即した内容で一度ご講演いただけますでしょうか。

ご不明な点等ございましたらお申し付けください。
ご検討のほどよろしくお願い致します。

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メール署名
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ビジネスメール例文②講演のお願い(社外)

メール件名:石油業界に関する講演のお願い

株式会社ビジネス
営業部 ●● 部長(社外取引先)

いつもお世話になっております。
(株)転職・ノマドです。

さて首記の件、このたび弊社の主催する「石油研究会」にて、石油討論会を実施する運びとなりました。

そこでご相談なのですが、石油業界に精通する●● 部長に「石油業界の現状と今後」というテーマでご講演いただきたく存じます。

なお本討論会の仔細は下記の通りとなります。

①日時
②場所
③アジェンダ

ご不明な点等ございましたらお申し付けください。

不躾なお願いにて大変恐れ入りますが、ご検討のほどよろしくお願い致します。

************
メール署名
************

結局どれがもっとも丁寧?