「ご集合いただけますと幸いです」は「集合してもらえると嬉しいです」という意味。
ようは「集合してほしい!」「集合してください!」と言いたいわけですが・・・丁寧な敬語にするとこんな風にややこしい表現になります。
使い方は何かしら集合してほしいときのお願い・依頼ビジネスメール。社内上司や目上にかぎらず社外取引先にもつかえる丁寧なフレーズです。
くわしくは本文にて意味や敬語の種類、ビジネスシーンにふさわしい使い方、ビジネスメール例文、注意点を解説していきます。
※長文になりますので「見出し」より目的部分へどうぞ
意味
まずは「ご集合いただけますと幸いです」の意味と敬語について順をおって解説します。
“集合”の意味
- 1か所に集まること。また、集めること。「ホテルロビーに18時集合でお願いします」⇔解散。
- 数学の基本概念の一。物の集まりで、個々の物がその集まりの中に属するかどうか、かつ、その集まりの中の二つの物が等しいかどうかが明確に判定できるものをいう。個々の物を元 (げん) または要素という。
“ご集合いただけますと”の意味は「集合してもらえると」
まずは前半部分。
「ご集合いただけますと〜」の意味は…
「集合してもらえると〜」
このように解釈できます。
「お(ご)〜いただけますと」は「〜してもらえると」という意味の敬語(謙譲語+丁寧語)
「〜いただける」は謙譲語「いただく」の可能表現。可能の表現をつかっているので意味としては「〜してもらえる」となります。
おなじような可能の表現にはたとえば、
「泳ぐ → 泳げる」
「書く → 書ける」
「聞く → 聞ける」
などあり。どれも「〜できる」という意味になりますね。
こまかい敬語の解説は長くなるため次項にて。
なお表記は、
漢字表記「ご集合頂けますと」vs. ひらがな表記「ご集合いただけますと」の両方ともOK。どちらをつかっても正しい敬語です。
“幸いです”の意味は「嬉しいです、幸せです」
つづいて後半部分。
「幸いです」の意味は…
「嬉しいです」
「幸せです」
このように解釈できます。
もととなる単語は「幸い(さいわい)」であり、丁寧語「です」を使って敬語にしています。
あわせると意味は「集合してもらえると嬉しいです」
- ご集合 = 集合すること
- ご・お~いただけますと = 「〜してもらえると」の意味の敬語
- 幸いです= 「幸せです、嬉しいです」の意味
これらの単語を合体させて意味を考えます。
すると「ご集合いただけますと幸いです」の意味は…
「集合してもらえると嬉しいです」
のように解釈できます。
ようは「集合してほしい!」「集合してください!」ということなのですが、このままではあまりにストレートすぎて目上や上司・取引先につかうにはイマイチです。
そこで「~してもらえると嬉しいです」というように遠回しにして、とてもやわらか~いお願いの敬語フレーズにしています。
そんなに丁寧にお願いする必要あるの?って思うくらい。
目上・上司にはもちろんのこと社外取引先にもつかえる丁寧な敬語フレーズですね。
敬語の解説
「ご集合いただけますと幸いです」を敬語としてみていくと以下のとおりに成り立ちます。
難しいので敬語についてくわしく学ぶ必要のない方はスキップしてください。
- もとになる単語「集合」
- “〜してもらう”の謙譲語”お(ご)〜いただく”で「ご集合いただく」
- 可能形にして「ご集合いただける」
- 丁寧語”ます”をくっつけて「ご集合いただけます」
- 接続助詞”と”をくっつけて「ご集合いただけますと」
- “嬉しい”の意味である”幸い”に丁寧語”です”をくっつけて「幸いです」
→ すべてあわせると「ご集合いただけますと幸いです」という敬語の完成
このようにして元になる語「集合」を敬語にしています。つまり敬語としては何もおかしいところはありません。間違いではなく正しい敬語です。
相手に強制しない、とてもやわらか~いお願いの敬語フレーズになります。
なお「ご集合していただけますと幸いです」は間違い敬語となりますのでご注意を。「集合していただけますと幸いです」とすれば正しい敬語ではありますが…長くなるため理由は省略。
補足
- 漢字表記「ご集合頂けますと」vs. ひらがな表記「ご集合いただけますと」の両方ともOK。
- 「〜いただける」は謙譲語「いただく」の可能表現。可能の表現をつかっているので意味としては「〜してもらえる」となります。
- 接続助詞「と」は助詞の一類。用言・助動詞について、それよりまえの語句をあとの語句に接続し、前後の語句の意味上の関係をしめすはたらきをする。
ちなみに敬語「お(ご)」は…
- 「自分がご集合する」「相手にご集合いただく」のであれば謙譲語としての使い方。
- 上司・目上・取引先などの「相手がご集合くださる・ご集合になる」のであれば尊敬語としての使い方。
というように2パターンあります。
難しく感じるかたは「お(ご)〜いただく」のセットで謙譲語とおぼえておきましょう。
【使い方】集合の依頼・お願いビジネスメール
つづいて「ご集合いただけますと幸いです」の使い方について。
ようは「集合してほしい!」「集合してください!」という意味なので、そのような依頼・お願いビジネスメールに使います。
取引先など社外あてに限らず、上司や目上など社内あてのメールにも使える丁寧なフレーズですね。
例文
たとえば、
- 【例文】ご集合いただけますと幸いです。何卒よろしくお願い申し上げます。
- 【例文】ご集合いただけますと幸いです。よろしくお願い致します。
※ 意味は「集合してもらえると嬉しいです。よろしく」
のようにして何かの依頼・お願いをともなうビジネス文書やビジネスメールで結び・締めくくりとして使われます。
もちろん結びでなく文章の途中でつかっても丁寧です。
なお「ご了承をいただけますと幸いです」というように「を」を入れるケースもあります。どちらを使っても正しい敬語です。
ビジネスメール例文(全文)
こうして長々と読んでいてもイメージがつかみにくいかと思いますので、より実践的に。
ここでは「ご集合いただけますと幸いです」の使い方をビジネスメール例文でご紹介。
どれも目上・上司・取引先にふさわしい丁寧な敬語にしています。ご参考にどうぞ。
なおビジネスメールにおいては以下の敬語もオススメです。
① それなりに丁寧「ご集合くださいませ」
② 丁寧「ご集合いただければと存じます」
③ かなり丁寧「ご集合いただけますと幸いです」など
④ ↓とくにビジネスメール結び/文末につかう↓
「ご集合頂きますようお願い申し上げます」
「ご集合くださいますようお願い致します」
「ご集合のほど宜しくお願い致します」
ビジネスメール例文①集合のお願い(社内)
メール件名:8/1 懇親会のご案内集合のお願い
営業部 各位(社内上司・目上など)
お疲れ様です。
さて首記の件、日頃のご慰労をかねて下記のとおりに懇親会を開催いたします。
ご多忙の折ではございますが、日ごろの業務を離れて楽しいひと時にしたいと考えており、ぜひご参加いただければと存じます。
なお準備の都合により、今週中にご出欠の返事をいただければ幸いです。
よろしくお願いいたします。
記
①日時
②場所
③移動
・18:00に本社ビル1階にご集合くださいませ。
・会場へ直接お越しの方は事前に幹事までお申し付けください。
④会費
⑤その他
以上
************
メール署名
************
ビジネスメール例文②集合のお願い(社外)
メール件名:【10月20日】懇親会のご案内(転職・ノマド)
皆様 (社外ビジネス)
お世話になっております。
(株)転職・ノマドでございます。
さて、●●研修にご参加いただいた皆様の親睦を深める目的で、下記のとおり懇親会を開催いたします。
いろいろな業界・業種の方々でざっくばらんにお話できる場といたしたく、ぜひご参加いただければと存じます。
なお誠に勝手を申し上げますが、ご参加される皆様におかれましては●月▲日までに幹事(ノマド)までご連絡をいただければ幸いです。
何卒よろしくお願い申し上げます。
記
①日時:1月20日(木)18:30~
※現地18:20にご集合いただきますようお願い致します
②会場:●●●
※ビュッフェスタイル・会場貨し切り
※交通のご案内を添付いたします
③会費:3000円/人(当日徴収)
④緊急連絡先:
・xxx(幹事・ノマド)
・xxx(副幹事・野間子)
以上
************
メール署名
************
“ご集合いただけましたら幸いです”としても丁寧
「ご集合いただけますと幸いです」と似たような敬語には・・・
- 【例文】ご集合いただけましたら幸いです
- 【例文】ご集合いただければ幸いです
もあります。言いたいことは「集合してほしい」であり、どれも丁寧な敬語なので使い分ける必要はありませんが…
いちおう意味と違いについて考えてみます。
“こ集合頂ければ vs. 頂けますと vs. 頂けましたら”の意味と違い
どちらも結局のところ「集合してほしい!」「集合してください!」という意味になるのですが…こまかくは以下のとおり意味と敬語の違いあり。
- 「ご集合いただけますと」だと意味は「集合してもらえると」
→ 敬語は”お(ご)~いただく”+可能形+丁寧語”ます”+接続助詞”と”
いっぽうで、
- 「ご集合いただけましたら」だと意味は「集合してもらえたら」
→ 敬語は”お(ご)~いただく”+可能形+丁寧語”ます”+仮定”たら” - 「ご集合いただければ」だと意味は「集合してもらえたら」
→ 敬語は”お(ご)~いただく”+可能形+仮定”れば”
となります。
まとめると・・・
謙譲語「いただく」を可能形にすると「いただける」になり、
「いただける」に丁寧語”ます”+接続助詞”と”をくっつけると「いただけますと」になり、
「いただける」に仮定の「れば」をくっつけると「いただければ」になり、
「いただけますと」に仮定の「たら」をくっつけると「いただけましたら」になります。
なお「ご集合をいただけましたら幸いです」というように「を」を入れるケースもあります。どちらを使っても正しい敬語です。
どれも丁寧であり使い分けの必要はない
これまで見てきたように、どの敬語もこのうえなく丁寧なフレーズです。したがって上司など社内の目上はもちろんのこと、社外取引先にもつかえますね。
お好きなフレーズを使えばよく、使い分けする必要はありません。
“ご集合いただけますと幸甚に存じます”だとなお丁寧
さらに死ぬほど丁寧なメールや文書にしたいときには・・・
「幸い」ではなく「幸甚(こうじん)」をつかい、
- 【例文】ご集合いただけますと幸甚に存じます
→ 意味は「集合してもらえると、この上なく嬉しく思います」 - 【例文】ご集合いただけますと幸甚です
→ 意味は「集合してもらえると、この上なく嬉しいです」
とするともう、本当に死ぬほど丁寧になります。
※ 幸甚(こうじん)の意味は「この上もない幸せ。大変ありがたいこと。また、そのさま」
※ 存じる(ぞんじる)は「思う」の敬語(謙譲語)
これまで紹介した敬語と言いたいことはおなじ。
ただ、幸甚(こうじん)というフレーズのほうがよりカチッとした表現になりますので、文書や手紙・公式なビジネスメールなど本当に堅苦しい文章にしたいときにオススメです。
普段づかいのメールであれば「幸い」で十分に丁寧です。
いちおう意味と違いについて簡単に解説しておきます。
“幸いです vs. 幸甚です”の意味と違い
どちらも結局のところ「嬉しいです!」「幸せです!」という意味になるのですが…
幸甚(こうじん)のほうがより、嬉しさや幸福度合いを強調したフレーズになります。
つまり「幸甚です」とすると意味は・・・
「とてつもなく嬉しいです!」「大変ありがたいです!」「この上なく幸せです!」という感じになりますね。
手紙や公式なビジネスメールにおすすめ
これまで見てきたように、どちらの敬語もこのうえなく丁寧なフレーズです。上司など社内の目上はもちろんのこと、社外取引先にもつかえる素晴らしく丁寧な敬語です。
ただ、より堅苦しいというかビジネス文書や手紙むけというか・・・
カチッとした表現は「幸甚(こうじん)」のほうです。
本当に死ぬほど丁寧なメールや文書にしたいときに使いましょう。
ほかにも使える丁寧な敬語
これまで紹介した例文のほかにも・・・
似たような言い換え敬語で、おなじように丁寧なフレーズをまとめておきます。
どれも「集合してほしい!」「集合してください!」と依頼・お願いしたいときのビジネスメールに使えます。
『ご集合いただければ幸いです』
「ご集合頂けますと幸いです」だけじゃない丁寧なビジネス敬語
- 例文「ご集合いただければ幸いです」
意味は『集合してもらえたら嬉しいなぁ、幸せだなぁ』
つまり『集合してもらえたら嬉しいです』
相手に強制しない、とてもやわらか~いお願いの敬語フレーズですね。
「いただければ」は「〜してもらう」の謙譲語「お(ご)〜いただく」+可能形+仮定の「~れば」
「幸いです」は「幸い」+丁寧語「です」
というように敬語にしており、目上のひとや上司・社外取引先につかえるとても丁寧なビジネスフレーズです。
『ご集合賜れますと幸いです』など
「ご集合頂けますと幸いです」だけじゃない丁寧なビジネス敬語
「いただく」よりもカチッとした敬語「賜る(たまわる)」をつかい、
- 【例文】ご集合賜れますと幸いです
※意味は「集合してもらえると嬉しいです」 - 【例文】ご集合賜れましたら幸いです
※意味は「集合してもらえると嬉しいです」
とするとより丁寧な敬語になります。
「お(ご)~いただく」と「お(ご)~賜る(たまわる)」はどちらも「~してもらう」の謙譲語ですが「賜る」のほうがよりかしこまった表現になります。
『ご集合賜れますと幸甚に存じます』など
「ご集合頂けますと幸いです」だけじゃない丁寧なビジネス敬語
「いただく」よりもカチッとした敬語「賜る(たまわる)」をつかい、さらに「幸い」よりも大げさな「幸甚(こうじん)」をつかって…
- 【例文】ご集合賜れますと幸甚に存じます/幸甚です
※意味は「集合してもらえると、この上なくありがたく思います/です」 - 【例文】ご集合賜れましたら幸甚に存じます/幸甚です
※意味は「集合してもらえたら、この上なくありがたく思います/です」
とするとより丁寧な敬語になります。
幸甚(こうじん)の意味は「この上もない幸せ。大変ありがたいこと。また、そのさま」
「存じる」は「思う」の謙譲語
「賜れますと」は謙譲語「賜る」+可能形+丁寧語「ます」+接続助詞”と”
「賜れましたら」は謙譲語「賜る」+可能形+丁寧語「ます」+仮定「たら・れば」
ビジネスメール結びをより丁寧にするコツ
あまり関係ないのかもしれませんが重要なので念のため。
ビジネスメールの文末・結び・締めとして使うことのおおい「ご集合」
ここでは、
ビジネスメール結びをより丁寧にするためのコツをご紹介します。
①メール結びに使うときは「よろしく!」を加えると丁寧
ビジネスメール結びをより丁寧にするためのコツ。
「ご集合いただけますと幸いです」はそれだけではビジネスメール結び締めとしてイマイチ。
そこで結びにつかう時にはうしろに「よろしく!」的なフレーズを組み合わせて、セットで使うとより丁寧なメール結びになります。
すでに例文にはしましたが…
- 【例文】ご集合いただけますと幸いです。何卒よろしくお願い申し上げます。
- 【例文】ご集合いただけますと幸いです。よろしくお願い致します。
- 【例文】ご集合いただけますと幸いです。よろしくお願い申し上げます。
ビジネスメールの結び締めに使うときにはこんな感じにするとよいでしょう。
②どうか・何卒+ご集合
ビジネスメールの文末・結び・締めをより丁寧にするためのコツ。
「ご集合」の前置きに添える丁寧なお願いフレーズ「どうか」「何卒(なにとぞ)」を使うとより丁寧な印象のメールとなります。
たとえば以下のようなフレーズがあります。
- どうか/どうぞ
例文「どうかご集合くださいますようお願い申し上げます」
例文「どうかご集合くださいますようお願い致します」
例文「どうかご集合いただけますと幸いです」
例文「どうかご集合いただければと存じます。何卒よろしくお願い申し上げます」 - 何卒(なにとぞ)
例文「何卒ご集合くださいますようお願い申し上げます」
例文「何卒ご集合くださいますようお願い致します」
例文「何卒ご集合いただけますと幸いです」
例文「何卒ご集合いただければと存じます。よろしくお願い申し上げます」
③恐縮・お手数+ご集合
ビジネスメールの文末・結び・締めをより丁寧にするためのコツ。
「ご集合」の前置きには強調するフレーズ「どうか」「何卒(なにとぞ)」だけでなく、申し訳なく思う気持ちや、相手を気づかうフレーズをもってきても丁寧です。
たとえば「誠に勝手を申し上げますが」などと組み合わせ、以下例文のようにすると好感がもてますね。上司や目上にはもちろんのこと、取引先のメールにも使える丁寧な例文にしています。
- 恐縮=申し訳なく思うこと
「お忙しいところ恐縮ではございますがご集合〜」
「大変恐縮ではございますがご集合〜」
「たびたび恐縮ではございますがご集合〜」 - 恐れ入る=申し訳なく思う
「お忙しいところ恐れ入りますがご集合〜」
「大変恐れ入りますがご集合〜」
「たびたび恐れ入りますがご集合〜」 - お手数=お手間
「お忙しいところお手数お掛けしますがご集合〜」
「大変お手数ではございますがご集合〜」 - 勝手を申し上げる=自分勝手を言う
「誠に勝手を申し上げますがご集合〜」 - ご無理申し上げる = 無理を言う
「ご無理申し上げますが、何卒ご集合のほどお願い申し上げます」 - ご多忙とは存じますが=忙しいとは思うけど
「ご多忙とは存じますがご集合〜」