「ご愛顧いただきますようお願い致します」の意味、敬語の種類、ビジネスシーンにふさわしい使い方、注意点について。
ビジネスメールの例文つきで誰よりも正しく解説する記事。
※長文になりますので「見出し」より目的部分へどうぞ
この記事の目次
意味
「ご愛顧いただきますようお願い致します」は直訳すると「ひいきにしてもらうようお願いします」という意味。
ようは「ひいきにしてほしい!」「ひいきにしてください!」と言いたいわけなのですが…
なぜこのような意味になるのか?
そもそもの意味と敬語について順をおって解説していきます。
ご愛顧の意味は「ひいきにすること」「お引き立て」
「ご愛顧」の意味は「ひいきにすること」「引き立てること」「お引き立て」
「ご愛顧」のもととなる単語は「愛顧」であり尊敬語or謙譲語「お(ご)」をつかって敬語にしています。
「顧」は「顧客」などで使われるように「ひいきにすること」という意味をふくみます。
「ひいきにする」はたとえば、あなたがトヨタ車の大ファンであるときに「私はトヨタ車をひいきしています」などのように使いますね。
“ご愛顧頂きますよう”の意味は「ひいきにしてもらうように」
「ご愛顧いただきますよう~」の意味は直訳すると「ひいきにしてもらうように」
「~してもらう」の敬語(謙譲語)「お(ご)~いただく」をつかい、
さらに丁寧語「ます」+「よう(様)」を組み合わせると「お(ご)~いただきますよう」という敬語になります。
「ますよう」ってどんな意味?
“ご愛顧いただきますよう”の「ますよう」は「(〜する)ように」の意味。
なぜこのような意味になるのでしょうか?
先ほども示しましたが「ますよう」は「①ます+②よう(様)」という2つの単語からなります。
まず前半部分の「ます」はシンプルに丁寧語の「ます」
つづいて後半の「よう(様)」の意味はいろいろありますが…
ここでは「婉曲 (えんきょく) な命令・希望の意を表す」言葉として使われます。
希望をあらわす「よう(様)」にはたとえば、
- 【例文】時間に遅れないよう、ご留意ください
- 【例文】部長に怒られないように気をつける
- 【例文】風邪などお召しになりませんように
などあり。
ちなみに「ように」でも「よう」でも正しい日本語ですが、「ご愛顧いただきますようにお願い致します」はあまり一般的ではありません。
※ なお表記は漢字「ます様に」でも平仮名「ますように」でも、どちらも正しい日本語です。
お願い致します は「お願いする」よりも丁寧な敬語
「お願い致します」の意味は「お願いする」
ただしよりカチッとした敬語「お(ご)~致します」をつかっているため実際にはもっと丁寧なニュアンス。
もととなる単語は「願う」であり、
謙譲語「お(ご)〜致す」を使い「お願い致す」とし、さらに丁寧語「ます」を使って敬語にしています。
「お願い致します」は「よろしくお願い致します」としてもOK。
さらに「どうか」という意味の「何卒(なにとぞ)」を使い「何卒よろしくお願い致します」としても丁寧。
あるいは「お願い申し上げます」に言い換えるとなお丁寧です。
※ なお表記は漢字表記「お願い致します」& ひらがな表記「お願いいたします」のどちらでも構いません。
あわせると意味は「ひいきにしてもらうよう、お願いします」
- ご愛顧いただく =「ひいきにしてもらう」の意味の敬語(謙譲語)
- ますよう =「(〜する)ように」の意味の敬語(丁寧語)
- お願い致します = 「お願いする」よりもかしこまった敬語
これらの単語を合体させて意味を考えます。
すると「ご愛顧いただきますようお願い致します」の意味は…
「ひいきにしてもらうように、お願いします」
のように解釈できます。
ようするに「ひいきにしてほしい!」「ひいきにしてください!」というあなたの希望をあらわしているのですが、このままではあまりにストレート過ぎて目上や上司に使うにはイマイチです。
そこで遠まわりに「~してもらうようにお願い!」として、とてもやわらか~いお願いの敬語フレーズにしています。
そんなに丁寧にお願いする必要あるの?って思うくらい。
目上・上司にはもちろんのこと社外取引先にもつかえる丁寧な敬語フレーズですね。
敬語の解説
「ご愛顧いただきますようお願い致します」の敬語の種類についても整理しておきます。
ややこしいので敬語について学ぶ必要のない方はスキップしてください。
- もとになる単語「愛顧」
- 「〜してもらう」の謙譲語”お(ご)〜いただく”で「ご愛顧いただく」
- 丁寧語”ます”をくっつけて「ご愛顧いただきます」
- 希望を表す”よう(様)”で「ご愛顧いただきますよう」
- 「お願いする」よりもかしこまった敬語「お願い致します」
→ あわせると「ご愛顧いただきますようお願い致します」という敬語の完成
上記のようにして元になる語「愛顧」を敬語にしています。つまり敬語としては何もおかしいところはありません。間違いではなく正しい敬語です。
補足
※ 漢字表記「頂きますよう」vs ひらがな表記「いただきますよう」はどちらも正しい
※ 漢字表記「ます様」vs ひらがな表記「ますよう」はどちらも正しい
※ 漢字表記「お願い致します」& ひらがな表記「お願いいたします」のどちらも正しい
ちなみに敬語「お(ご)」は…
- 「自分がごひいきにする」「相手にご愛顧いただく」のであれば謙譲語としての使い方。
- 上司・目上・取引先などの「相手がご愛顧くださる」のであれば尊敬語としての使い方。
というように2パターンあります。
“ご愛顧頂きますよう vs 頂けますよう”の違い
“ご愛顧いただきますようお願い致します”と似たような敬語には…
“ご愛顧いただけますようお願い致します”もあります。
これって何が違うのでしょうか?
念のため「ご愛顧いただきますよう vs ご愛顧いただけますよう」の違いについて簡単に説明しておきます。
意味と敬語の違い
どちらも結局のところ「ひいきにしてほしい!」「ひいきにしてください!」という意味になるのですが…こまかくは以下のとおり意味と敬語の違いあり。
- 「ご愛顧いただきますよう」だと意味は「ひいきにしてもらうよう」
→ 敬語は”お(ご)~いただく”+丁寧語”ます”+希望”よう”
いっぽうで、
- 「ご愛顧いただけますよう」だと意味は「ひいきにしてもらえるよう」
→ 敬語は”お(ご)~いただく”+可能形+丁寧語”ます”+希望”よう”
となります。
謙譲語「いただく」に可能表現をつけくわえると「いただける」。
ということなので可能表現をつかうのか、そうでないかという点において違いますね。
可能の表現をつかうと意味としては「〜してもらえるよう」となります。
おなじような可能の表現にはたとえば、
「泳ぐ → 泳げる」
「書く → 書ける」
「聞く → 聞ける」
などあり。どれも「〜できる」という意味になりますね。
“ご愛顧頂けますよう~”のほうが丁寧
「ご愛顧いただきますよう vs ご愛顧いただけますよう」の違い
で結局どちらがより丁寧かというと…
「ご愛顧いただけますよう~」のほうがより丁寧な敬語になります。
可能の表現をつけくわえることによって「もしよかったらひいきにしてもらえますか?」というようなニュアンスになるからですね。
よりやわらか~いお願い・依頼のフレーズと解釈できます。
本当に些細なことなので誰も気にしないとは思いますが…
ただ結論としては、
とにかくどちらも上司・社内の目上にかぎらず社外取引先にもつかえる丁寧な敬語です。
ご安心ください。
【使い方】ビジネスメールの結びetc…
つづいて「ご愛顧いただきますようお願い致します」の使い方について。
意味のとおりで何かしら「ひいきにしてほしい!」「ひいきにしてください!」と言いたいビジネスシーンに使います。
ただしビジネス会話や電話対応でつかわれることはほとんどなく、ほとんどの場合ビジネスメールで、とくに結び・締め・文末につかいます。
ビジネスメール結び・締め・文末につかう特有のフレーズとお考えください。
※もちろん結びでなくても使えないことはありませんが…
使い方①例文
「ご愛顧いただきますようお願い致します」はたとえば、
- 【例文】どうかご愛顧いただきますようお願い致します
- 【例文】何卒ご愛顧いただきますようお願い致します
- 【例文】大変恐れ入りますが、どうかご愛顧いただきますようお願い致します
のようにして使います。
ほとんどの場合ビジネスメールで、とくに結び・締め・文末としてつかいますね。
まぁようするに「ひいきにしてほしい!」「ひいきにしてください!」という意味なのですが丁寧な敬語にすると、こんな風にややこしい文章になります。
使い方②”ご愛顧頂きますようお願い申し上げます”だとなお丁寧
ところでビジネスシーンでは、
「ご愛顧いただきますようお願い致します」としても丁寧ではありますが…
「お願い致します」とおなじ意味の「お願い申し上げます」をつかい、
- 【例文】ご愛顧いただきますようお願い申し上げます
としても丁寧です。
「お願い申し上げます vs. お願い致します」の違いはというと・・・
「お願い申し上げます」は「お願い致します」よりも堅苦しい敬語フレーズとなりますので、とくにカチッとした敬語がもとめられるシーンでよく使います。
- 上司など社内の相手であれば「お願い致します」で十分。
- 社外の相手にはシーンにおうじて「お願い申し上げます」とすると丁寧度UP。
使い方③”どうか・何卒・宜しく”などを添えるとなお丁寧
すでに例文にはしましたが・・・
ビジネスメールを丁寧にするコツとして「どうか・何卒・宜しく」などの語を添えるとより丁寧というか、やわらかい印象のフレーズになります。
どれも深い意味はありませんが、お願い・依頼の際に添える語としてよくつかいますね。
たとえば、
- +どうか
「どうかご愛顧頂きますようお願い致します」
「どうかご愛顧くださいますようお願い致します」
「どうかご愛顧の程お願い申し上げます」 - +何卒(なにとぞ)=どうか
「何卒ご愛顧頂きますようお願い致します」
「何卒ご愛顧くださいますようお願い致します」
「ご愛顧のほど何卒お願い申し上げます」 - +宜しく・よろしく
「ご愛顧頂きますよう宜しくお願い致します」
「ご愛顧くださいますよう宜しくお願い致します」
「ご愛顧のほど宜しくお願い申し上げます」 - +何卒/どうか & 宜しく・よろしく
「ご愛顧頂きますよう何卒よろしくお願い致します」
「ご愛顧くださいますよう何卒よろしくお願い致します」
「どうかご愛顧のほど宜しくお願い申し上げます」
のようにすると丁寧です。
なお「何卒・どうか・宜しく」は「何卒お願い致します」のようにお願いの部分にかけても、「何卒ご愛顧〜」のようにご愛顧の部分にかけても、どちらも丁寧です。
また表記は漢字・ひらがなのどちらでも構いませんが、文章のバランスを考えて読みやすいようにしましょう。
ほかにも添えるフレーズには以下もよくつかわれます。ご参考にどうぞ。
- 末永いご愛顧〜
「末永いご愛顧のほどお願い申し上げます」
「末永くご愛顧くださいますようお願い致します」
「末永くご愛顧いただきますようお願い申し上げます」
「末永くご愛顧賜りますようお願い申し上げます」 - 今後ともお引き立て〜
「今後ともご愛顧のほどお願い申し上げます」
「今後ともご愛顧くださいますようお願い致します」
「今後ともご愛顧いただきますようお願い申し上げます」
「今後ともご愛顧賜りますようお願い申し上げます」 - 今後とも変わらぬお引き立て〜
「今後とも変わらぬご愛顧のほどお願い申し上げます」 - 今後とも倍旧の = より一層の
「今後とも倍旧のご愛顧を賜りますようお願い申し上げます」
「今後ともより一層のご愛顧を頂きますようお願い申し上げます」
“ご愛顧くださいますようお願い致します”でも丁寧
「ご愛顧いただきますようお願い致します」の他にもビジネスメール結び・締め・文末によく使う敬語には、
- 【例文】ご愛顧くださいますようお願い致します
- 【例文】ご愛顧くださいますよう宜しくお願い致します
※意味はどちらも「ひいきにしてくれるようお願いします」
もあります。
「ひいきにしてください!」とストレートに言うのではなく遠回しに自分の意思や気持ちをつたえる、とても丁寧なフレーズですね。
ニュアンスとしては「ひいきにしてください、お願いします」みたいなイメージ。
意味と違い
「ご愛顧いただきますよう」vs「ご愛顧くださいますよう」の意味と違い。
どちらも言いたいことは結局のところ「ひいきにしてほしい」なのですが…
意味と敬語の使い方に違いあり。以下のような違いがあります。
- 「ご愛顧いただきますよう」だと意味は「ひいきにしてもらうよう」
→ 敬語は謙譲語”お(ご)~いただく”+丁寧語”ます”+希望”よう”
いっぽうで、
- 「ご愛顧くださいますよう」だと意味は「ひいきにしてくれるよう」
→ 敬語は尊敬語”お(ご)~くださる”+丁寧語”ます”+希望”よう”
※ 尊敬語「お(ご)~くださる」の意味は「~してくれる」
となります。
「ください」単体としての意味は「〜してくれ」「〜して欲しい」の丁寧な言いまわしと考えることができます。
が、
「ください」は敬語ではあるものの、結局のところ命令形であるために強い口調となります。
そこで「ますようにお願い」と続けることで「お願い」とすり替え、やんわ〜りとした表現にしています。とても丁寧な敬語フレーズと言えますね。
どちらも丁寧であり使い分けの必要なし
で、どちらが丁寧かという話。
結論としてはどちらも丁寧であり使い分けする必要はありません。
どちらかというとビジネスメールの結びには「~くださいますよう」をつかうことが多いのですが…
これは年代によって違いますし地域によっても差があるかと。
若い世代は「いただきますよう」を好み、私のようなおっさんは「くださいますよう」を好む傾向にあり。
ということで心底どちらをつかっても差し支えありません。
シンプルに”ご愛顧のほどお願い致します”でも丁寧
他にもビジネスメール結び・締め・文末によく使う敬語には「ご愛顧のほどお願い致します」もあります。
ビジネスメールではとかく「いただく」「くださる」ばかりになってしまい、文章が気持ち悪くなってしまうのですよね。
そこで活躍するのが「ご愛顧のほどお願い致します」です。
使い方にはたとえば
- 例文「ご愛顧のほどお願い致します」
- 例文「ご愛顧のほど宜しくお願い致します」
などあり。
“ご愛顧のほど”の「ほど」ってどんな意味?
ここで「ご愛顧のほど」の「のほど」は限定を避ける言い方で、意味としては「〜してもらうよう」「〜してくれるよう」と考えることができます。
断定をさけて表現をやわらげるのに用いる語です。
もともと、とくに深い意味はありません。
ビジネスでは下手(したて)に出ることが基本ですので、強い口調を避けるためにこのような使い方をするようになったのだと推測します。
ちなみに「ご愛顧の程」というように漢字をもちいてもOK。あなたのお好みでお使いください。
ビジネスメール例文(全文)
こうして長々と読んでいてもイメージがつかみにくいかと思いますので、より実践的に。
ここでは「ご愛顧いただきますようお願い致します」の使い方をビジネスメール例文でご紹介。
どれも目上・上司・取引先にふさわしい丁寧な敬語にしています。ご参考にどうぞ。
なおビジネスメールにおいては以下の敬語もオススメです。
① それなりに丁寧「ご愛顧くださいませ」「ご愛顧をお願い致します」
② 丁寧「ご愛顧いただければと存じます」
③ かなり丁寧「ご愛顧いただければ幸いです」
④ とくにビジネスメール結び/文末につかう
「ご愛顧いただきますようお願い致します」
「ご愛顧くださいますようお願い申し上げます」
「ご愛顧のほどお願い致します」
社外あて退職報告・挨拶ビジネスメール例文
【to社外取引先・基本テンプレート】
・社外取引先に退職報告/挨拶をするビジネスメール例文
・営業や購買担当が取引先の商社マンに送るメール
・社外に報告するのは退職日や後任者などすべてのことが決まってからにする
・テンプレートとして使えるもっともシンプルな例文にしています
メール件名:退職のご挨拶(転職・ノマド)
のまど商事株式会社
営業部 国内営業課 ●● 様 (社外取引先)
大変ご無沙汰しております。
転職・ノマドでございます。
私事ではございますが、このたび、一身上の都合により×月▲日をもちまして(株)■■■■を退職いたします。
本来であれば直接伺いご挨拶すべきところメールでの連絡となりましたこと、深くお詫び申し上げます。
また、これまで何かとお力添えいただき心より感謝いたしております。今後、何かの縁でご一緒させていただく機会がございましたら、その際には宜しくお願い申し上げます。
なお、後任担当は下記のとおりとなります。
今後ともご愛顧頂きますようお願い申し上げます。
【後任営業担当】
・所属:(株)転職 リテール営業部 国内営業課
・氏名:野間子 オーエル(のまこ おーえる)
・Email:xxx
・電話:xxx
末筆ながら、貴社のますますのご発展と●● 様のご多幸をお祈り申し上げます。
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メール署名
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ビジネス文書例文:サービス終了のお知らせ
平成29年8月28日
株式会社ビジネス
ビジネス文書部 ビジネス太郎 様
〒123‐4567
東京都渋谷区○○1-1-1 渋谷ビル13F
株式会社レター文書
営業部
担当:転職 一郎
TEL/FAX:xxx-xxxx-xxxx/oooo
e-mail:shukatsu@shukatsu
●●サービス終了のお知らせ
拝啓 時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
平素は格別のご高配を賜り厚く御礼申し上げます。
さて、平成29年12月31日をもちまして下記のとおり●●のサービスを終了とさせて頂きます。お客様には大変ご不便をお掛け致しますが、何卒ご容赦くださいますようお願い申し上げます。
より一層のサービス向上を目指しスタッフ一同、尽力して参ります。今後とも変わらぬご愛顧の程お願い申し上げます。
敬具
記
・終了サービス : iPhone 5サポート(平成29年12月31日にて終了)
・代替サービス : iPhone 6以降のバージョンへ移行をお願いいたします
以上
取引先への年賀状・例文
謹賀新年
本年中に賜りましたご厚情を深謝いたしますとともに
明年も変わらぬご愛顧のほどお願い申し上げます