敬語「お気遣い」の意味とビジネスにおける全使い方

「お気遣い」の意味と敬語の種類、ビジネスシーンに最適な使い方のすべてについて。

① 依頼「気遣ってください」は敬語でなんて言う?

② お礼「気遣ってくれてありがとう」を丁寧な敬語にすると?

③ 断り「お断りします!お気遣いできません」と言いたいのだけど…

④ 催促「気遣ってくれた?」を丁寧な敬語にすると?

⑤ 自分の行為「気遣います!」の敬語は?

⑥ 禁止「気遣ってはダメです!」と言いたいときは?

メール・手紙・文書・社内上司・社外・目上・就活・転職にはどんな敬語が好ましい?

…などなど。

ここでは敬語「お気遣い」にまつわる疑問のすべてに答えを示していきます。

※長文になりますので「見出し」より目的部分へどうぞ。

“お気遣い”の意味と敬語の種類

まずは「お気遣い」のそもそもの意味と敬語の種類について。

“気遣う”の意味

気遣う(きづかう)の意味は・・・

  • あれこれと気にかけて心配する。案じる
    【例文】お気遣いありがとう!
    【例文】顧客の安全を気遣う
    【例文】部下の家族を気遣う

“お気遣い”の敬語の種類

「お気遣い」の敬語の種類は・・・

「気遣う」という元の語に①尊敬語あるいは②謙譲語の「お(ご)」をつかって敬語にしています。

  1. 上司/目上などの相手が「お気遣いくださる」→①尊敬語“お(ご)”
  2. 「自分がお気遣いする」「相手にお気遣いいただく」→②謙譲語“お(ご)”

というように2パターンあります。

敬語”お(ご)”の使い方

ややこしいので基本的な敬語の使い方についてくわしく解説を。

じつは尊敬語と謙譲語にはどちらも「お(ご)」の使い方があります。

謙譲語としての「お(ご)」の使い方はたとえば、

  • 会議日程のご連絡
  • 会食のお誘い
  • 販売状況のご報告
  • 転勤のご挨拶
  • 貴社ご訪問のお願い

こんな感じのフレーズがあります。よくビジネスメールの件名で目にする表現ですね。

ところが例文は自分が「ご連絡・お誘い・ご報告・ご挨拶」するため「お(ご)」をつかうのはおかしいと感じるかたもいらっしゃることでしょう。

これは、

謙譲語「お(ご)」の使い方を知らないためにくる勘違いです。

尊敬語の「お(ご)」だと勘違いしているために間違い敬語と感じるのですが、実際にはどれも正しい敬語をつかっています。

いっぽうで尊敬語の「お(ご)」は「部長がお戻りになりました」などのようにして、相手の行為をうやまって使う敬語です。

“気遣う”の敬語①謙譲語

「気遣う」とのセットで謙譲語となる形をまとめておきます。

①そもそも謙譲語とは…

敬語の一種であり、

謙譲語Ⅰ:自分側から相手側又は第三者に向かう行為・ものごとなどについて、その向かう先の人物を立てて述べるもの。

謙譲語Ⅱ:自分側の行為・ものごとなどを、話や文章の相手に対して丁重に述べるもの。

の2種類あり。

  1. お気遣いする
    お気遣いします
    ※意味は(自分が)気遣う
  2. お気遣いいたす
    お気遣いいたします
    ※意味は(自分が)気遣う
  3. お気遣い申し上げる
    お気遣い申し上げます
    ※意味は(自分が)気遣う
  4. 気遣っていただく
    気遣っていただきます
    ※意味は(自分が相手に)気遣ってもらう
  5. お気遣いいただく
    お気遣いいただきます
    ※意味は(自分が相手に)気遣ってもらう
  6. お気遣いさせていただく
    お気遣いさせていただきます
    ※意味は「気遣いさせてもらう」

※「させていただく」は日本語としておかしい表現になる時もあり、何でもかんでも使える訳ではありません。

※丁寧語「ます」とくみあわせて「〜します」「〜いたします」とするのが丁寧な使い方です。ご留意ください。

ちなみに、これは文化庁の「敬語の指針」においても解説されています。私のような頭の悪い人には難しいのですが、ご興味ありましたら以下のリンクよりどうぞ。

“気遣う”の敬語②尊敬語

「気遣う」の尊敬語をまとめておきます。

②そもそも尊敬語とは…

敬語の一種であり、相手側又は第三者の行為・ものごと・状態などについて、その人物を立てて述べるもの。

  1. お気遣いだ
    お気遣いです
    ※意味は(目上なり上司が)気遣う
  2. お気遣いになる
    お気遣いになります
    ※意味は(目上なり上司が)気遣う
  3. 気遣われる
    気遣われます
    ※意味は(目上なり上司が)気遣う
  4. 気遣いなさる
    気遣いなさいます
    ※意味は(目上なり上司が)気遣う
  5. お気遣いなさる
    お気遣いなさいます
    ※意味は(目上なり上司が)気遣う
  6. お気遣いくださる
    お気遣いくださいます
    ※意味は(目上なり上司が)気遣ってくれる

※丁寧語「ます」とくみあわせて「〜します」「〜いたします」とするのが丁寧な使い方ですのでご留意ください。

※尊敬語「〜れる・られる」は受け身の用法とごっちゃになる可能性があり、注意が必要。

“気遣う”の敬語③丁寧語

つづいて「気遣う」の丁寧語について。

③そもそも丁寧語とは…

敬語の一種であり、話や文章の相手に対して丁寧に述べるもの。いわゆる「です・ます」口調のこと。

  • 気遣います
    ※意味は(自分が)気遣う

以上で基本事項のおさらいは終わり。

あとはビジネスシーンごとに使える敬語フレーズをまとめておきます。

使い方①依頼「気遣ってください」と言いたい時は「ご配慮」に言い換え

「お気遣い」の使い方。

依頼・お願いの敬語フレーズとして、目上や社内上司・取引先に「気遣ってください」「気遣ってほしい」と言いたいときには・・・

じつは「お気遣い」ではなく「ご配慮=心配り」に言い換えするのが一般的。

そこで「ご配慮」をつかった例文を紹介します。

『ご配慮ください』

依頼・お願い「気遣ってください」と言いたいときの敬語フレーズ

  • 例文「ご配慮ください」

意味は『配慮してください』

「配慮して」というフレーズを尊敬語「ご配慮」に言い換えているため丁寧レベルとしては「配慮してください」よりもだいぶマトモ。

ただやはり「〜ください」という命令形である点において、強い口調に感じられてしまうケースあり。

時と場合によっては目上・上司・取引先に不快感をあたえてしまいます。

気になるかたは以降の例文をつかいましょう。

ちなみに”ご配慮ください”の敬語は以下のようになりたちます。

  • もとになる単語「配慮」に尊敬語”お(ご)”で「ご配慮
  • さらに「くれる」の尊敬語”くださる”で「ご配慮くださる
  • さらに命令形にして”ご配慮ください”

※ 漢字表記「下さい」vs ひらがな表記「ください」はどちらもOK

このようにして元になる語「配慮する」を敬語にしています。つまり敬語としては何もおかしいところはありません。間違いではなく正しい敬語です。

『ご配慮くださいませ』

依頼・お願い「気遣ってください」と言いたいときの敬語フレーズ

  • 例文「ご配慮くださいませ」

意味は『配慮してください』

尊敬語「ご配慮くださる」に丁寧語”ます”の命令形「ませ」をつかい丁寧な敬語フレーズにしています。

命令形である点において「配慮してください」とたいして違いはありませんが、丁寧語「ませ」を添えることで、よりやわらかい印象となりますね。

「〜くださいませ」は女性がよくつかうフレーズであるため、女性敬語だと言われることもあります。

ただ実際には男性であろうと女性であろうと違和感なくつかえます。

『ご配慮いただければと存じます』

依頼・お願い「気遣ってください」と言いたいときの敬語フレーズ

  • 例文「ご配慮いただければと存じます」

意味は『配慮してもらえたらと思います』

「~してもらえたらと思う」としているため相手に強制しない、とてもやわらか~いお願いの敬語フレーズになります。

目上・上司にはもちろんのこと社外取引先にもつかえる丁寧な敬語フレーズですね。

「いただければ」は「〜してもらう」の謙譲語「お(ご)〜いただく」を可能形にして「お(ご)~いただける」とし、さらに仮定の「たら・れば」をくっつけています。

「存じます」は「思う」の謙譲語「存じる」+丁寧語「ます」

『ご配慮いただきたく存じます』

依頼・お願い「気遣ってください」と言いたいときの敬語フレーズ

  • 例文「ご配慮いただきたく存じます」
    意味は『配慮してもらいたいと思います』

あるいはシンプルに、

  • 例文「ご配慮いただきたく、お願い致します」
  • 例文「ご配慮をお願い致します」

としても丁寧です。

「~してもらいたいと思う」としているため相手に強制しない、とてもやわらか~いお願いの敬語フレーズになります。

「いただきたく」は「〜してもらう」の謙譲語「お(ご)〜いただく」+願望の「~たい」

「存じます」は「思う」の謙譲語「存じる」+丁寧語「ます」

というように敬語にしており、目上のひとや上司・社外取引先につかえるとても丁寧なビジネスフレーズです。

『ご配慮いただければ幸いです』

依頼・お願い「気遣ってください」と言いたいときの敬語フレーズ

  • 例文「ご配慮いただければ幸いです」

意味は『配慮してもらえたら嬉しいです』

「~いただければ幸いです」の意味は「~してもらえたら嬉しいです・幸せです」

ようするに「配慮してほしい!」「配慮してください!」という依頼・お願いをあらわしているのですが、このままではあまりにストレート過ぎて目上や上司に使うにはイマイチです。

そこで遠まわしに「配慮してもらえたら嬉しいです」として、とてもやわらか~いお願いの敬語フレーズにしています。

「~いただければ幸いです」という敬語フレーズはお願い・依頼のビジネスメールでよく使います。以下のフレーズもご参考にどうぞ。

  • 例文「ご配慮いただけますと幸いです」
  • 例文「ご配慮いただけましたら幸いです」
  • 例文「ご配慮いただければ幸甚に存じます」
  • 例文「ご配慮いただけますと幸甚に存じます」
  • 例文「ご配慮いただけましたら幸甚に存じます」

補)幸甚(こうじん)の意味は「この上もない幸せ。大変ありがたいこと。また、そのさま」

補)”幸いです”の意味は「嬉しいです、幸せです」

【敬語の補足】

※「お(ご)〜いただければ」は「〜してもらう」の謙譲語「お(ご)~いただく」を可能形にし「いただける」として、さらに仮定「たら・れば」をくっつけた敬語

※「お(ご)〜いただけますと」は「〜してもらう」の謙譲語「お(ご)~いただく」を可能形にし「いただける」として、さらに丁寧語”ます”をくっつけた敬語

※「お(ご)〜いただけましたら」は「〜してもらう」の謙譲語「お(ご)~いただく」を可能形にし「いただける」として、さらに丁寧語”ます”をくっつけ、さらに仮定「たら・れば」をくっつけた敬語

『ご配慮くださいますようお願い申し上げます』

依頼・お願い「気遣ってください」と言いたいときの敬語フレーズ

  • 例文「ご配慮くださいますようお願い申し上げます」
  • 例文「ご配慮くださいますようお願い致します」

意味は『配慮してくれるようお願いします』

とくにビジネスメール結び・締めにつかわれる敬語です。

※「お願い申し上げます = お願い致します」に言い換えOK

ようするに「配慮してほしい!」「配慮してください!」という依頼・お願いをあらわしているのですが、このままではあまりにストレート過ぎて目上や上司に使うにはイマイチです。

そこで遠まわしに「配慮してくれるようにお願い!」として、とてもやわらか~いお願いの敬語フレーズにしています。

ちなみに「ますよう」は「①ます+②よう(様)」という2つの単語からなります。

まず前半部分の「ます」はシンプルに丁寧語の「ます」

つづいて後半の「よう(様)」の意味はいろいろありますが…

ここでは「婉曲 (えんきょく) な命令・希望の意を表す」言葉として使われます。

希望をあらわす「よう(様)」にはたとえば、

  • 【例文】時間に遅れないよう、ご留意ください
  • 【例文】部長に怒られないように気をつける
  • 【例文】風邪などお召しになりませんように

などあり。

ちなみに「ように」でも「よう」でも正しい日本語ですが、「ご配慮くださいますようにお願い申し上げます」はあまり一般的ではありません。

また表記は漢字「ます様に」でも平仮名「ますように」でも、どちらも正しい日本語です。

『ご配慮いただきますよう・賜りますよう〜』

依頼・お願い「気遣ってください」と言いたいときの敬語フレーズ

  • 【例文】ご配慮いただきますようお願い申し上げます
  • 【例文】ご配慮賜りますようお願い申し上げます
    → 意味は『配慮してもらうようお願いします』

あるいは可能形「いただける」をつかい、

  • 【例文】ご配慮いただけますようお願い申し上げます
    → 意味は『配慮してもらえるようお願いします』

としても丁寧。

とくにビジネスメール結び・締めにつかわれる敬語です。

※「お願い申し上げます」は「お願い致します」に言い換えOK

「~いただきますよう」「~賜りますよう」の意味はどちらも「〜してもらうように」

ようするに「配慮してほしい!」「配慮してください!」という依頼・お願いをあらわしているのですが、このままではあまりにストレート過ぎて目上や上司に使うにはイマイチです。

そこで遠まわしに「配慮してもらうようにお願い!」として、とてもやわらか~いお願いの敬語フレーズにしています。

目上のひとや上司・社外取引先につかえるとても丁寧なフレーズですね。

ちなみに、

賜る(たまわる)という敬語のほうがよりカチッとした表現になりますので、文書など公式なビジネスシーンではかならず「賜る」を使います。

普段のメールであれば「いただきますよう」でOK。

「くださいますよう」「いただきますよう・いただけますよう・賜りますよう」はニュアンスが違うものの、どれも結局のところ「~してほしい」と言いたいので同じです。

なお「ご了承賜りますよう~」というように「」を入れるケースもあります。どちらを使っても正しい敬語です。

【敬語の補足】

※「お(ご)〜いただきますよう」は「〜してもらう」の謙譲語「お(ご)~いただく」+丁寧語”ます”+”ように(様に)”

※「お(ご)〜賜りますよう」は「〜してもらう」の謙譲語「お(ご)~賜る」+丁寧語”ます”+”ように(様に)”

『ご配慮のほどお願い申し上げます』

依頼・お願い「気遣ってください」と言いたいときの敬語フレーズ

  • 例文「ご配慮のほどお願い申し上げます」
  • 例文「ご配慮のほどお願い致します」

意味は「配慮してくれるようお願いします」

とくにビジネスメール結び・締めにつかわれる敬語です。

※「お願い申し上げます」は「お願い致します」に言い換えOK

ここで「ご配慮のほど」の「のほど」は限定を避ける言い方で、意味としては「〜してもらうよう」「〜してくれるよう」と考えることができます。

断定をさけて表現をやわらげるのに用いる語です。

たとえば、

  1. ご査収のほどお願い申し上げます
    意味「よく中身を確認して受け取るよう、お願い」
  2. お取り計らいのほどお願い申し上げます
    意味「物事をうまく進めてくれるよう、お願い」
  3. ご連絡のほどお願い申し上げます
    意味「連絡してくれるよう、お願い」
  4. ご了承のほどお願い申し上げます
    意味「納得してくれるよう、お願い」

などのようにして使います。

これらはもともと「●●してください」という命令形なのですが、「〜のほど」を使うことによって相手に強制しないやんわ〜りとした表現となっています。

ビジネスでは下手(したて)に出ることが基本ですので、強い口調を避けるためにこのような使い方をするようになったのだと推測します。

先ほどとおなじく「お願い申し上げます」は「お願いいたします」「お願い致します」と言い換えできます。

その他いろいろな言い換え敬語

敬語の種類というのは本当にいろいろあります。

ほんの一例ですが他にもある使い方を例文にまとめておきます。

  • 例文「ご配慮をお願い致します
    ※意味は「配慮をお願いする」
  • 例文「ご配慮いただきたく、お願い致します
    意味は「配慮してほしい、お願いします」
  • 例文「ご配慮いただけましたら幸いです
    ※意味は「配慮してもらえたら嬉しいです」
  • 例文「ご配慮いただけましたら幸甚に存じます
    ※意味は「配慮してもらえれば嬉しく思います」
  • 例文「ご配慮いただければ幸甚に存じます
    ※意味は「配慮してもらえれば嬉しく思います」
  • 例文「ご配慮いただけますと幸いです
  • 例文「ご配慮いただけますと幸甚に存じます
  • 例文「ご配慮賜りますと幸いです
  • 例文「ご配慮賜りますと幸甚に存じます
  • 例文「ご配慮賜れましたら幸いです
  • 例文「ご配慮賜れましたら幸甚に存じます
・「存じる」は「思う」の謙譲語
・「いただきたく」は謙譲語「いただく」+願望「~たい」
・「いただければ」は謙譲語「いただく」+可能形+仮定「たら・れば」
・幸甚(こうじん)の意味は「この上もない幸せ。大変ありがたいこと。また、そのさま」

会話・電話での依頼は”ご配慮いただけますか?”

ビジネスメールではなく会話や電話対応シーンで「配慮してほしい!」と言いたいときには…

「ご配慮くださいますようお願い申し上げます」などは絶対につかいません。

長いうえに丁寧すぎて気持ち悪いですからね。

そこでビジネス会話・電話対応では…

  • 【例文】ご配慮いただけますか?
  • 【例文】ご配慮いただけますでしょうか?
  • 【例文】ご配慮願えますでしょうか?

あるいはシンプルに、

  • 【例文】配慮していただけますか?
  • 【例文】配慮していただけますでしょうか?

としても丁寧です。

※もちろん「ご配慮ください」「ご配慮くださいませ」としても丁寧

といった質問フレーズをつかいましょう。

意味としては「配慮してもらえますか?」であり、敬語をつかって丁寧な表現にしています。

一般的に、会話や商談でカチッとした敬語をつかいすぎると、相手とのあいだに壁をつくってしまいます。ようは会話がスムーズに進まなくなってしまうのですよね。

そこで会話シーンではすこしカジュアルな敬語をつかうことをオススメします。

とくに「〜いただけますか?」サラッと言えるためビジネスシーンで重宝するフレーズです。

※「すでに配慮してもらえましたか?」と催促・確認するときは過去形「ご配慮いただけましたか?」「ご配慮いただけましたでしょうか?」とすると丁寧。

敬語の解説

「ご配慮いただけますか?」「ご配慮いただけますでしょうか?

の敬語の成り立ちとしては…

  • “配慮”に「〜してもらう」の謙譲語「お(ご)〜いただく」で「ご配慮いただく」
  • 可能形にして「ご配慮いただける」
  • さらに丁寧語”ます”で「ご配慮いただけます」
  • 疑問形にして「ご配慮いただけますか?」

“〜だろうか”の丁寧語「〜でしょうか」を使うと「ご配慮いただけますでしょうか?」

どちらも謙譲語をうまくつかい、このうえなく丁寧な敬語フレーズとなっていることがわかります。

したがって上司・目上・社外取引先につかえる素晴らしい敬語、と言えるでしょう。

どちらかというと「〜いただけますでしょうか?」のほうが丁寧なのですが…

バカ丁寧だという意見もあるため「〜いただけますか?」でも構いません。

使い方③お礼「気遣ってくれてありがとう」の敬語

「お気遣い」の使い方。

つづいてお礼の敬語フレーズ。

目上や社内上司・社外取引先に「気遣ってくれてありがとう」「お気遣いありがとう」と言いたいときにも「お気遣い」をつかいます。

ビジネスシーン(メール・電話・上司・社内目上・社外など)につかえる丁寧な例文は以降よりご紹介。

『お気遣いいただきありがとうございます』

「お気遣い」の使い方。

お礼・感謝「気遣ってくれてありがとう」と言いたいときの敬語フレーズ。

  • 例文『お気遣いいただきありがとうございます』
  • 例文『お気遣いいただきまして、ありがとうございます』

あるいはシンプルに、

  • 例文『お気遣いありがとうございます』

としてもまぁOKです。

意味はどれも『気遣ってもらいありがとう』

お礼・感謝の意をあらあわすフレーズとしてはもっともオーソドックスな敬語です。

会話シーンではもちろんのことビジネスメールにもつかえる丁寧なフレーズであり、社内上司・目上・取引先にも丁寧ですね。

【敬語の補足】

※「お(ご)〜いただく」は「〜してもらう」の敬語(謙譲語)

『お気遣いくださいましてありがとうございます』

「お気遣い」の使い方。

お礼・感謝「気遣ってくれてありがとう」と言いたいときの敬語フレーズ。

  • 例文『お気遣いくださいましてありがとうございます』

あるいはシンプルに、

  • 例文『お気遣いくださり、ありがとうございます』

としても丁寧です。

意味はどれも『気遣ってくれてありがとう』

こちらもビジネスメールでよく目にする敬語フレーズですね。目上や上司・取引先にふさわしい丁寧な敬語です。

ちなみに「お気遣いくださいましてありがとう」よりも先ほどの例文「お気遣いいただき〜」をつかう方が、よりやわらかい印象の敬語になります。

丁寧な対応を心がけたいときには「お気遣いいただく」をオススメします。

【敬語の補足】

※「お(ご)〜くださる」は「〜してくれる」の敬語(尊敬語)

“ありがとう”だけじゃないお礼の敬語フレーズ

ここまではビジネスシーン(メール・手紙・文書・社内上司・社外・目上・就活・転職)でオーソドックスに使えるお礼・感謝の敬語フレーズを紹介しました。

ただ、

お礼するときにいつも「ありがとうございます」を使っていてはビジネス敬語ビギナー。

ここからは「ありがとう」だけじゃないお礼・感謝の敬語フレーズを紹介します。

『感謝申し上げます』など

「ありがとう」だけじゃないお礼・感謝の敬語フレーズ

「感謝」をつかった例文を。

  • 【例文】お気遣いいただき感謝申し上げます
  • 【例文】お気遣いいただき感謝いたしております
  • 【例文】お気遣いいただき感謝いたします

※「お気遣いくださり感謝〜」「お気遣いくださいまして感謝〜」に言い換えても丁寧

※「お気遣い賜り感謝〜」「お気遣い賜りまして感謝〜」だとより丁寧

意味はどれも似たようなもの。

ようは「気遣ってもらいありがとう!」「気遣ってくれてありがとう!」と言いたいのですが…

丁寧な敬語をつかうとこんな風にややこしい表現になります。

【敬語の補足】

※「お(ご)~いただく」は「~してもらう」の敬語(謙譲語)

※「いたします」は「する」の謙譲語”いたす”+丁寧語”ます”

※「いたしております」は「する」の謙譲語”いたす”+「いる」の謙譲語”おる”+丁寧語”ます”

『深謝いたします』など

「ありがとう」だけじゃないお礼・感謝の敬語フレーズ

「深謝=深く感謝すること」をつかった例文を。

  • 例文「お気遣いいただき深謝いたしております」
  • 例文「お気遣いいただき深謝いたします」

※「お気遣いくださり深謝〜」「お気遣いくださいまして深謝〜」に言い換えても丁寧

※「お気遣い賜り深謝〜」「お気遣い賜りまして深謝〜」だとより丁寧

意味はどれも似たようなも。

ようは「気遣ってもらい本当にありがとう!」「気遣ってくれて本当にありがとう!」と言いたいのですが…

丁寧な敬語をつかうとこんな風にややこしい表現になります。

【敬語の補足】

※「いたします」は「する」の謙譲語”いたす”+丁寧語”ます”

※「いたしております」は「する」の謙譲語”いたす”+「いる」の謙譲語”おる”+丁寧語”ます”

『お礼申し上げます』など

「ありがとう」だけじゃないお礼・感謝の敬語フレーズ

「お礼申し上げます」をつかった例文を。

  • 【例文】お気遣いいただきお礼申し上げます
  • 【例文】お気遣いいただき厚くお礼申し上げます

※「お気遣いくださり・お気遣いくださいましてお礼〜」に言い換えても丁寧

※「お気遣い賜り・お気遣い賜りましてお礼〜」だとより丁寧

意味はどれも似たようなもの。

ようは「気遣ってもらいお礼します!」「気遣ってくれてお礼します!」と言いたいのですが…丁寧な敬語をつかうとこんな風にややこしい表現になります。

お礼フレーズ参考記事

使い方④断り「気遣うことはできません」の丁寧な敬語

「お気遣い」の使い方。

断りのシーン、つまり目上や社内上司・社外取引先に「気遣うことはできません!」「気遣うのは無理です!」「お断りします!」と言いたいときにも使います。

ビジネスシーン(メール・電話・上司・社内目上・社外など)につかえる丁寧な例文は以降でご紹介。

『お気遣いいたしかねます』

「お気遣い」の使い方。

断り「お断りします!気遣うことはできません」と言いたいときにも使えます。

  • 【例文】お気遣いいたしかねます

意味は「気遣うことができません」

ようは「お断りします!」「気遣うことはできません!」ということなのですが、このままではあまりにストレートすぎて強い口調に感じられてしまいます。上司や目上・取引先につかうにはイマイチですね。

そこで、

「~いたしかねます」という敬語をつかうことで、より丁寧な断りのフレーズにしています

ここで「〜いたしかねる(兼ねる)」は「~することができない」という意味の敬語。否定語であり「〜しかねる」の謙譲語です。

たとえば、

  • 【例文】お受けいたしかねます
    意味は「引き受けることができません」
  • 【例文】ご要望にはお応えいたしかねます
    意味は「要望に応えることができません」
  • 【例文】ご対応いたしかねます
    意味は「対応することができません」

などのようにして使います。ビジネスメールでは例文のように丁寧語「ます」をくっつけて「〜いたしかねます」として使うのが一般的。

【敬語の補足】

※「お(ご)~いたしかねます」は「~する」の謙譲語「お(ご)~いたす」に否定語”~かねる”をくっつけ、さらに丁寧語”ます”をくっつけた敬語

『ご対応いたしかねます』

断り「お断りします!気遣うことはできません」と言いたいときに使える敬語フレーズ

  • 【例文】ご対応いたしかねます

意味は「対応することができません」

ようは「お断りします!」「対応できません!」ということなのですが、このままではあまりにストレートすぎて強い口調に感じられてしまいます。上司や目上・取引先につかうにはイマイチですね。

そこで、

「~いたしかねます」という敬語をつかうことで、より丁寧な断りのフレーズにしています

【敬語の補足】

※「お(ご)~いたしかねます」は「~する」の謙譲語「お(ご)~いたす」に否定語”~かねる”をくっつけ、さらに丁寧語”ます”をくっつけた敬語

『ご要望にお応えすることが叶いません』

断り「お断りします!気遣うことはできません」と言いたいときに使える敬語フレーズ

  • 【例文】xxにより、ご要望にお応えすることが叶いません
  • 【例文】xxのため、ご要望にお応えすることが大変困難な状況でございます
    → 意味は「要望に応えることができない or 難しい」

あるいは、

  • 【例文】xxにより、お気遣いすることが叶いません
  • 【例文】xxのため、お気遣いすることが大変困難な状況でございます
    → 意味は「気遣うことができない or 難しい」

※「叶いません」は「したいけどできない」のようなニュアンス

使い方は「お気遣いいたしかねます」と似たようなもの。

ようは「お断りします!!」ということなのですが、このままだと上司や目上・取引先につかうにはあまりにストレートすぎます。「お断りします」は確実に失礼にあたりますので、二度と付き合いたくない相手にだけつかいましょう。

そこで、

「叶いません=したいけどできない」「大変困難な状況です=難しい」といった、遠まわしに断るフレーズをつかっています。

『ご要望に添いかねます』

断り「お断りします!気遣うことはできません」と言いたいときに使える敬語フレーズ

  • 【例文】ご要望に添いかねます

意味は「要望に添うことができません」

使い方は「お気遣いいたしかねます」と似たようなもの。

ようは「あなたの気遣ってほしいという要望には応えることができません!」ということなのですが、このままだと上司や目上・取引先につかうにはイマイチ。

そこで、

「~しかねます=~することができません」というフレーズをつかうことで、より丁寧な断りのフレーズにしています

丁寧な断りのフレーズいろいろ

上司や目上・取引先につかえる丁寧な断りの敬語フレーズは他にもいろいろあり。

飲み会の誘いを断るのであれば「~は遠慮させていただきます

仕事の依頼を断るのであれば「~を見送らせていただきます

内定を辞退するのであれば「内定を辞退いたします

・・・などなど

ビジネスシーンごとにふさわしいフレーズがあります。

以下の記事もご参考にどうぞ。

使い方⑤催促「気遣ってくれた?」の丁寧な敬語

「お気遣い」の使い方。

つづいて催促・確認の敬語フレーズ。

目上や社内上司・社外取引先に「すでに気遣ってくれた?」「気遣ってもらった?」と言いたいとき。

ビジネスシーン(メール・電話・上司・社内目上・社外など)につかえる丁寧な例文を紹介します。

※かならずしも「お気遣い」をつかう必要はなく、例文のように言い換えても丁寧

『その後いかがでしょうか?』

催促・確認「気遣ってくれたの?」と言いたいときに使える敬語フレーズ

「いかがでしょうか?」をつかって、

  • 【例文】その後いかがでしょうか?
    → 意味は「その後どうでしょうか」

としても丁寧。

わざわざ「お気遣い」という言葉を入れずとも「いかがでしょうか?」をつかって確認・催促できます。

「①いかが=どう」+「②でしょうか=だろうか」という2つの語からなるため「どうだろうか?」という意味になりますね。

ちなみに「いかがでしょうか?」はどんな状況であれ確認・催促するのにつかえる丁寧な敬語フレーズ。

目上・社内上司にかぎらず取引先にも丁寧ですし、ビジネスメール・会話シーンをとわず活躍します。

覚えておくとかならず役に立ちます。

【敬語の補足】

※ “でしょうか?”は「だろうか?」の丁寧語(敬語)

『ご状況いかがでしょうか?』

催促・確認「気遣ってくれたの?」と言いたいときに使える敬語フレーズ

わざわざ「お気遣い」という言葉を入れずとも「いかがでしょうか?」をつかって確認・催促できます。

  • 【例文】ご状況いかがでしょうか?
    → 意味は「状況はどうでしょうか」

使い方や敬語の種類は「その後いかがでしょうか」とおなじため省略。

催促・確認するとき、便利かつ丁寧なフレーズですので覚えておくと必ず役に立ちます。

『お気遣い頂けましたか?/頂けましたでしょうか?』

「お気遣い」の使い方。

催促・確認「気遣ってくれたの?」と言いたいときにも「お気遣い」をつかいます。

  • 【例文】お気遣いいただけましたか?
    → 意味は「気遣ってもらえましたか」

あるいは「~でしょうか?」を付け足して、

  • 【例文】お気遣いいただけましたでしょうか?
    → 意味は「気遣ってもらえたでしょうか」

としても丁寧です。

ようするに「すでに気遣ってもらえたのか?」「もう気遣ってもらえたのか?」という催促や確認の意味をあらわしているのですが、このままではあまりにストレート過ぎて目上や上司・取引先に使うにはイマイチです。

そこで遠まわりに「~していただけましたか?=~してもらえましたか?」として、とてもやわらか~いお願いの敬語フレーズにしています。

そんなに丁寧に催促する必要あるの?って思うくらい。

目上・上司にはもちろんのこと社外取引先にもつかえる丁寧な敬語フレーズですね。

敬語について解説していると日がくれるため…

わかりやすく以下の例文をそれぞれ見比べてみましょう。

  • 【例文】すでに返事したのか? vs. お返事いただけましたか?
  • 【例文】すでに対応したのか? vs. ご対応いただけましたか?
  • 【例文】すでに予約したのか? vs. ご予約いただけましたか?

どちらが丁寧に感じられるかは一目瞭然ですね。

ちなみに「お気遣いいただけましたか」よりも「お気遣いいただけましたでしょうか」のほうが丁寧

ただし結局のところどちらも上司・目上・社外取引先につかえる素晴らしい敬語です。

あまり気にせず、あなたのお好みでお使いください。

【敬語の補足】

※「お(ご)~いただけましたか?」は「~してもらう」の謙譲語「お(ご)~いただく」を可能形にして「いただける」とし、丁寧語の過去疑問形”ましたか?”をくっつけた敬語。

※ “でしょうか?”は「だろうか?」の丁寧語(敬語)

※現在形「お(ご)~いただけますか?」をつかうと「~してもらえますか?」というお願い・依頼の敬語フレーズとなる。

※現在形「お(ご)~いただけますでしょうか?」をつかうと「~してもらえるだろうか?」というお願い・依頼の敬語フレーズとなる。

『気遣って頂けましたか?/頂けましたでしょうか?』

催促・確認「気遣ってくれたの?」と言いたいときに使える敬語フレーズ

  • 【例文】気遣っていただけましたか?
    → 意味は「気遣ってもらえましたか」

あるいは、

  • 【例文】気遣っていただけましたか?
    → 意味は「気遣ってもらえたでしょうか」

としても丁寧。

とくに会話や電話対応シーンでつかわれる敬語ですね。

ようするに「すでに気遣ってもらえたのか?」「もう気遣ってもらえたのか?」という催促や確認の意味をあらわしているのですが、このままではあまりにストレート過ぎて目上や上司・取引先に使うにはイマイチです。

そこで遠まわりに「~していただけましたか?=~してもらえましたか?」として、とてもやわらか~いお願いの敬語フレーズにしています。

ただ、

丁寧レベルとしては「お気遣いいただけましたか?」「お気遣いいただけましたでしょうか?」のほうが上。

カチッとしたビジネス敬語がもとめられるシーンではお気をつけください。

【敬語の補足】

※「~していただけましたか?」は「~してもらう」の謙譲語「~していただく」を可能形にして「〜していただける」とし、丁寧語の過去疑問形”ましたか?”をくっつけた敬語。さらに推量”だろうか”の丁寧語「でしょうか?」をくっつけると「〜していただけましたでしょうか?」という敬語になる。

※現在形「~していただけますか?」をつかうと「~してもらえますか?」というお願い・依頼の敬語フレーズとなる。

その他『お気遣いくださいましたか』など

催促・確認「気遣ってくれたの?」と言いたいときに使える敬語フレーズ

他にはたとえば、

  • 【例文】お気遣いくださいましたか?
  • 【例文】お気遣いくださいましたでしょうか?
    → 意味は「気遣ってくれましたか?/気遣ってくれたでしょうか?」

あるいは、

  • 【例文】お気遣いいただましたか?
  • 【例文】お気遣いいただましたでしょうか?
    → 意味は「気遣ってもらいましたか?/気遣ってもらったでしょうか?」

としてもまぁOKです。

※ “でしょうか?”は「だろうか?」の丁寧語(敬語)

意味や使い方は「お気遣いいただけましたか?」と似たようなものなので省略。

どれもまぁ上司・目上・社外取引先につかえる敬語です。

が、あまり一般的ではなくおとなしく「お気遣いいただけましたか?」「お気遣いいただけましたでしょうか?」のいずれかを使うことをオススメします。

【敬語の補足】

※「お(ご)~くださいましたか?」は「~してくれる」の尊敬語「お(ご)~くださる」に丁寧語の過去疑問形”ましたか?”をくっつけた敬語。さらに「だろうか」の丁寧語”でしょうか”をくっつけると「お(ご)~くださいましたでしょうか?」という敬語となる。

※「お(ご)~いただきましたか?」は「~してもらう」の謙譲語「お(ご)~いただく」に丁寧語の過去疑問形”ましたか?”をくっつけた敬語。さらに「だろうか」の丁寧語”でしょうか”をくっつけると「お(ご)~いただきましたでしょうか?」という敬語となる。

使い方⑥自分の行為「気遣います!」の丁寧な敬語

「お気遣い」の使い方。

自分が「気遣います!」「気遣っています!」と言いたいビジネスシーンにも敬語「お気遣い」をつかいます。

ビジネスシーン(メール・電話・上司・社内目上・社外など)につかえる丁寧な例文は以降でご紹介。

『お気遣いします/お気遣いいたします』

「お気遣い」の使い方。

自分の行為「気遣います」と言いたいときにも「お気遣い」は使えます。

  • 【例文】お気遣いします
  • 【例文】お気遣いいたします

意味はどちらも「気遣います」

※ひらがな表記「いたします」vs.漢字表記「致します」はどちらもOK

謙譲語の基本形「お(ご)~する」「お(ご)~いたす」に丁寧語”ます”をくっつけて敬語にしています。

ようするに「気遣うよ!」という自分の行為をしめす敬語ですね。

どちらも目上・社内上司・社外取引先につかえるフレーズですが「お気遣いします」よりも「お気遣いいたします」のほうが丁寧な敬語となります。

【敬語の補足】

※「お(ご)~します」は謙譲語の基本形「お(ご)~する」に丁寧語”ます”をくっつけた敬語

※「お(ご)~いたします」は謙譲語の基本形「お(ご)~いたす」に丁寧語”ます”をくっつけた敬語。

『お気遣いしております/お気遣い致しております』

「お気遣い」の使い方。

自分の行為「気遣っています!」と言いたいときには、

  • 【例文】お気遣いしております
  • 【例文】お気遣いいたしております
    → 意味はどちらも「気遣っています」

とすると丁寧です。

「~しております・いたしております」はどちらも「~しています」の意味の敬語(謙譲語)

ようするに「すでに気遣っているよ!」「前々から気遣っているよ!」という自分の行為をしめす敬語ですね。

なお「お気遣いします!」との違いは進行形かそうでないかという点。

「~しております=~している」だと進行形

「~します=~する」だと現在形

というように違いあり。

どちらも目上・社内上司・社外取引先につかえるフレーズですが「お気遣いしております」よりも「お気遣いいたしております」のほうが丁寧な敬語となります。

【敬語の補足】

※「お(ご)~しております」は謙譲語の基本形「お(ご)~する」に「いる」の謙譲語”おる”をくっつけて「お(ご)~しておる」とし、丁寧語”ます”をくっつけた敬語

※「お(ご)~いたしております」は謙譲語の基本形「お(ご)~いたす」に「いる」の謙譲語”おる”をくっつけて「お(ご)~いたしておる」とし、丁寧語”ます”をくっつけた敬語

※ひらがな表記「いたします」vs.漢字表記「致します」はどちらもOK

『お気遣いしましょうか?/しますか?』

「お気遣い」の使い方。

自分の行為「気遣います」と言いたいときに使える敬語フレーズ

  • 【例文】お気遣いしましょうか?
    → 意味は「気遣いましょうか?」

あるいは、

  • 【例文】お気遣いしますか?
  • 【例文】気遣いましょうか?
  • 【例文】気遣いますか?

というように疑問文をつかっても丁寧です。

返事するなら『承知しました』などが丁寧

あるいは…

目上や上司・取引先から「気遣ってくれますか?」と質問されたとき。

わかりました!」「了解しました!」と返事をする場合は、

  • 【例文】承知しました
  • 【例文】承知いたしました

あるいは、

  • 【例文】かしこまりました
  • 【例文】承りました(うけたまわりました)

としても丁寧です。

意味はどれも「わかりました・了解しました」

※ひらがな表記「いたします」vs.漢字表記「致します」はどちらもOK

ちなみに「承知」の意味は…

  1. 目上の人の命令などをうけたまわること
  2. 相手の願い、要求などを聞き入れること
  3. わかること、知ること

承知=知る+承る(うけたまわる)でなりたちます。

使い方⑦禁止「気遣ってはダメです」の丁寧な敬語

「お気遣い」の使い方。

つづいて禁止の敬語フレーズ。

つまり、

目上や社内上司・社外取引先に「気遣ってはいけません!」あるいは「気遣ってはダメです!」「気遣うは止めてください!」と言いたいとき。

こんなビジネスシーンにも「お気遣い」をつかいます。

『お気遣いいただけません』

「お気遣い」の使い方。

禁止「気遣ってはダメです!」と言いたいときにも「お気遣い」は使えます。

  • 【例文】お気遣いいただけません

意味は「気遣ってはダメです」「気遣ってはいけません」

「~いただけません」は直訳すると「~してもらってはいけません」ですが…

ようは禁止「~してはいけません」という意味。

気遣ってはいけません!」「気遣ってはダメだよ!」ということなのですが、このままではあまりにストレートすぎて強い口調に感じられてしまいます。

上司や目上・取引先につかうにはイマイチですね。

そこで「~いただけません」という敬語をつかうことで遠まわしに禁止の意味をあらわしているのです。

ビジネスシーンでは回りくどい敬語ほど丁寧にみられる傾向にあり。

そういう意味で丁寧といえます。

(本質的には間違っているのですが事実なので仕方ないです)

ちなみに「〜いただけません」はたとえば、

  • 【例文】この車両はご利用いただけません
    意味は「利用してはいけません」
  • 【例文】このトイレはご使用いただけません
    意味は「使用してはいけません」

などのようにして使います。

【敬語の補足】

※「お(ご)~いただけません」は「~してもらう」の謙譲語「お(ご)~いただく」を可能形にして「いただける」とし、丁寧語の否定形”ません”をくっつけた敬語

『お気遣いになれません』

「お気遣い」の使い方。

禁止「気遣ってはダメです!」と言いたいときにも「お気遣い」は使えます。

  • 【例文】お気遣いになれません

意味は「気遣ってはダメです」「気遣ってはいけません」

「お(ご)~になれません」の意味は「~してはいけません」

使い方はおなじく禁止の意味をあらわす敬語です。

どちらかというと「〜いただけません」のほうが丁寧というか、やわらかい印象になりますが、いずれも丁寧な敬語でありどちらを使っても構いません。

社内上司や目上・社外取引先にも丁寧な敬語です。

【敬語の補足】

※「お(ご)~になれません」は尊敬語「お(ご)〜になる」を可能形にして「お(ご)〜になれる」とし、さらに否定「お(ご)〜になれない」の意味にし、丁寧語の否定形”ません”をくっつけて敬語にしています。

『お気遣いいただくことはできません』

禁止「気遣ってはダメです!」と言いたいときに使える敬語フレーズ

  • 【例文】お気遣いいただくことはできません

意味は「気遣ってはダメです」

意味や使い方は「お気遣いいただけません」と似たようなもの。

こちらのほうがよりダイレクトに禁止の意味をあらわすフレーズになります。

ビジネスシーンでは回りくどい敬語ほど丁寧にみられる傾向にあり。

(本質的には間違っているのですが事実なので仕方ないです)

したがって「お気遣いいただけません」のほうが丁寧と言えます。

【敬語の補足】

※「お(ご)~いただく」は「~してもらう」の敬語(謙譲語)

『ご遠慮ください』

禁止「気遣ってはダメです!」と言いたいときに使える敬語フレーズ

以下のように「ご遠慮」をつかった敬語フレーズも丁寧です。

  • 【例文】xxはご遠慮ください(ませ)
  • 【例文】xxはご遠慮いただきたく存じます
  • 【例文】xxはご遠慮いただければと存じます
  • 【例文】xxはご遠慮いただけますと幸いです
  • 【例文】xxはご遠慮くださいますようお願い申し上げます

→ 要はすべて「xxはやめてください」と言いたい。

あるいは電話対応や会話シーンであれば「いただけますか?」をつかい、

  • 【例文】xxは遠慮していただけますか?
  • 【例文】xxは遠慮していただけますでしょうか?
  • 【例文】xxはご遠慮いただけますか?
  • 【例文】xxはご遠慮いただけますでしょうか?

→ 要はすべて「xxはやめてもらえますか?」と言いたい。

としても丁寧です。

ようは「xxしてはダメだよ!」「xxしてはいけません!」という意味なのですが、このままではあまりにストレートすぎて上司や目上・取引先につかうにはイマイチですね。

そこで、

「ご遠慮=控える・やめる」をつかって、遠まわしにやんわ〜りと禁止の意をしめしています。

ビジネスシーンでは回りくどい敬語ほど丁寧にみられる傾向にあり。

(本質的には間違っているのですが事実なので仕方ないです)

ちなみに遠慮(えんりょ)の意味は…

  1. 人に対して、言葉や行動を慎み控えること。

  2. 辞退すること。また、ある場所から引き下がること。

ここでは「①慎み控える」の意味でつかっています。

【敬語の補足】

※「お(ご)~ください」は「~してくれる」の尊敬語「お(ご)~くださる」を命令形にした敬語

※「お(ご)~いただきたく」は「~してもらう」の謙譲語「お(ご)~いただく」に願望・希望の「〜したい」をくっつけた敬語

※「お(ご)~いただければ」は「~してもらう」の謙譲語「お(ご)~いただく」を可能形にして「いただける」とし、仮定「たら・れば」をくっつけた敬語

※「お(ご)~いただけますか」は「~してもらう」の謙譲語「お(ご)~いただく」を可能形にして「いただける」とし、丁寧語の疑問形”ますか”をくっつけた敬語。さらに「〜だろうか」の丁寧語”でしょうか”をくっつけても丁寧。

その他『お控えください』など

禁止「気遣ってはダメです!」と言いたいときに使える敬語フレーズ

あとは「控える」をつかった言い換えもできます。

  • 【例文】xxはお控えください(ませ)
  • 【例文】xxはお控えいただきたく存じます
  • 【例文】xxはお控えいただければと存じます
  • 【例文】xxはお控えいただけますと幸いです
  • 【例文】xxはお控えくださいますようお願い申し上げます

言いたいことは「控えてください・やめてください」

控える(ひかえる)の意味は…

  1. 待つ・待機する
  2. そばにいる
  3. 空間・時間が迫っている、近くに位置する、近くに予定される
  4. 度を越さないように、分量・度数などを少なめにおさえる。節制する
  5. 自制や配慮をして、それをやめておく。見合わせる

ここでは「⑤やめておく」の意味でつかっています。

使い方⑧希望「気遣いたい!」の敬語

「お気遣い」の使い方。

つづいてあなたの希望や意思・願望をあらわしたい時につかえる敬語フレーズ。

つまり、

自分が「気遣いたい!」と言いたいとき。

こんなビジネスシーンにも「お気遣い」をつかいます。

『お気遣いしたく存じます』

「お気遣い」の使い方:希望・意思・願望「気遣いたい!」と言いたいときに使える敬語フレーズ

  • 【例文】お気遣いしたく存じます

あるいは、

  • 【例文】お気遣いしたく思います

としてもまぁOK。

意味はどれも「気遣いたいと思います」

謙譲語の基本形「お(ご)~する」に希望の「~したい」をくっつけると「お(ご)~したく」という敬語になります。

また「存じます」は「思います!」という意味の敬語(謙譲語)。

すべてあわせると、

気遣いたい!」という自分の意思や希望・願望をしめす敬語になりますね。

【敬語の補足】

※「お(ご)~したく」は謙譲語の基本形「お(ご)~する」に希望の”~したい”をくっつけた敬語

※「存じる」は「思う」という意味の敬語(謙譲語)。丁寧語”ます”をくっつけると「存じます」となる。

『お気遣いいたしたく存じます』

希望・意思・願望「気遣いたい!」と言いたいときに使える敬語フレーズ

  • 【例文】お気遣いいたしたく存じます

あるいは、

  • 【例文】お気遣いいたしたく思います

としてもまぁOK。

意味はどれも「気遣いたいと思います」

※ひらがな表記「いたしたく」vs.漢字表記「致したく」はどちらもOK

謙譲語の基本形「お(ご)~いたす」に希望の「~したい」をくっつけると「お(ご)~いたしたく」という敬語になります。

また「存じます」は「思います!」という意味の敬語(謙譲語)。

すべてあわせると、

気遣いたい!」という自分の意思や希望・願望をしめす敬語になりますね。

どれも目上・社内上司・社外取引先につかえるフレーズですが「お気遣いしたく存じます」よりも「お気遣いいたしたく存じます」のほうが丁寧な敬語となります。

【敬語の補足】

※「お(ご)~いたしたく」は謙譲語の基本形「お(ご)~いたす」に希望の”~したい”をくっつけた敬語。

※「存じる」は「思う」という意味の敬語(謙譲語)。丁寧語”ます”をくっつけると「存じます」となる。

お気遣いいただく vs お気遣いくださる”の使い方

ややこしいので「お気遣いいただく vs お気遣いくださる」の使い方について。

代表的なパターンを表にまとめておきます。

こまかく解説していくとそれだけで記事がおわってしまいますので、目的にあわせてお使いください。

“お気遣いいただく”の使い方まとめ(すべて敬語)

①基本 ②+丁寧語”ます” ③その他
現 在 お気遣いいただく お気遣い頂きます -頂くよう
-頂きますよう
過 去 お気遣いいただいた お気遣い頂きました ×
進行形 お気遣いいただいている お気遣い頂いています -頂いております
過去~現在 お気遣いいただいていた お気遣い頂いていました -頂いておりました
希 望
依 頼
お気遣いいただきたい
お気遣いいただきたく
お気遣いいただくよう
お気遣いいただけるよう
お気遣い頂きたいです
×
お気遣い頂きますよう
お気遣い頂けますよう
-頂きたく思います
-頂きたくお願いします
-頂きたく存じます
-頂ければと存じます
可 能 お気遣いいただける お気遣い頂けます -頂けるよう
-頂けますよう
①仮定
②仮定+可能
①お気遣いいただいたら
②お気遣いいただければ
お気遣い頂きましたら
お気遣い頂きましたら
×
①疑問+過去
②疑問+可能
③疑+
可+過
①お気遣いいただいたか?
②お気遣いいただけるか?
③お気遣いいただけたか?
お気遣い頂きましたか?
お気遣い頂けますか?
お気遣い頂けましたか?
-頂きましたでしょうか
-頂けますでしょうか
-頂けましたでしょうか
禁 止 お気遣いいただけない お気遣い頂けません ×
命 令 × × ×

※ ②+丁寧語”ます”をつかうとより丁寧な敬語になります。

※ 「頂く」「いただく」は漢字でも平仮名でもOK

※「×」としたのは一般的につかわない

“お気遣いくださる”の使い方まとめ(すべて敬語)

①基本 ②+丁寧語”ます” ③その他
現 在 お気遣いくださる お気遣いくださいます -くださるよう
-くださいますよう
過 去 お気遣いくださった お気遣いくださいました ×
進行形 お気遣いくださっている お気遣いくださっています -くださっております
過去~現在 お気遣いくださっていた お気遣いくださっていました -くださっておりました
希 望
お気遣いくださるよう お気遣いくださいますよう ×
可 能 × × ×
仮 定 × × ×
疑 問 お気遣いくださるか? お気遣いくださいますか? ×
否 定 お気遣いくださらない お気遣いくださいません ×
命 令 お気遣いください お気遣いくださいませ ×

※ ②+丁寧語”ます”をつかうとより丁寧な敬語になります

※ 「下さる」「くださる」は漢字でも平仮名でもOK

※「×」としたのは一般的につかわない