「お断りいただきたく存じます」意味と使い方・ビジネスメール例文

「お断りいただきたく存じます」の意味、ビジネスシーン(メール・手紙・文書・社内上司・社外・目上・就活・転職)にふさわしい使い方、注意点について。

ビジネスメールの例文つきで誰よりも正しく解説する記事。

なお…

自分が誘いなどを断りたいときのフレーズについては、以下のリンクをご参照ください。

【完全版】断りの丁寧な敬語フレーズ100選(誘い・都合が悪いetc)

ビジネスメールにおける断り方のすべて

※長文になりますので「見出し」より目的部分へどうぞ

意味と敬語

「お断りいただきたく存じます」は「断ってもらいたいと思います」という意味。

なぜこのような意味になるのか?

そもそもの意味と敬語について順をおって解説していきます。

“お断りいただきたく”の意味は「断ってもらいたい」

まずは前半部分。

“お断りいただきたく”の意味は、

断ってもらいたい

断ってもらいたく

のように解釈できます。

お断りのもとになる単語は”断る”であり、”〜してもらう”の謙譲語「お(ご)~いただく」をつかって敬語にしています。

“いただきたく”の部分は謙譲語”いただく”に意思・希望「〜したい」をつかっています。

ちなみに”お断り”の「お(ご)」の部分は向かう先を立てるために使う敬語であり謙譲語の「お(ご)」です。

余談ですが尊敬語にも「お(ご)」の使い方があり混同しがち。

難しく感じるかたは「お(ご)●●いただく」のセットで謙譲語とおぼえておきましょう。

なお表記は、

漢字表記「お断り頂きたく」vs. ひらがな表記「お断りいただきたく」の両方ともOK。どちらをつかっても正しい敬語です。

“存じます”の意味は「思います」

つづいて後半部分。

“存じます”の意味は「思います」

“思う”の敬語(謙譲語)「存じる」に丁寧語”ます”をつかって敬語にしています。

あわせると意味は「断ってもらいたいと思います」

  1. お断り = 断ること
  2. お(ご)~いただきたく = 「〜してもらいたい」の意味の敬語(謙譲語)
  3. 存じます = 「思います」の意味の敬語(謙譲語+丁寧語)

※漢字表記「お断り頂きたく」vs. ひらがな表記「お断りいただきたく」の両方ともOK。

これらの単語を合体させて意味を考えます。

すると「お断りいただきたく存じます」の意味は…

「断ってもらいたいと思います」

であり、とてもやわらか~いお願いの敬語フレーズになります。

「断ってください!」とストレートに言うのではなく遠回しに自分の意思や気持ちをつたえる、とても丁寧なフレーズですね。

ニュアンスとしては「断ってもらいたいと思うのだけど…」みたいなイメージ。

あまりに堅苦しくて大げさかもしれませんが、とにかく目上・上司にはもちろんのこと社外取引先にもつかえる丁寧な敬語フレーズになります。

敬語の解説

ややこしいので、これまでの敬語の解説をまとめておきます。

「お断りいただきたく存じます」を敬語としてみていくと以下のとおりに成り立ちます。

  • もとになる単語「断る」
  • “〜してもらう”の謙譲語”お(ご)〜いただく”で「お断りいただく」
  • 意思・希望”〜したい”で「お断りいただきたい」
  • “思う”の謙譲語「存じる」に丁寧語”ます”をくっつけて「存じます」

→ すべてあわせると「お断りいただきたく存じます」という敬語の完成

このようにして元になる語「断る」を敬語にしています。つまり敬語としては何もおかしいところはありません。間違いではなく正しい敬語です。

相手に強制しない、とてもやわらか~いお願いの敬語フレーズになります。

なお「お断りしていただきたく存じます」は間違い敬語となりますのでご注意を。

この場合、謙譲語「お(ご)」をなくして「断っていただきたく存じます」とすれば正しい敬語になります。

理由は長くなるので省きますが、あくまでも「お断りいただきたく存じます」をつかうことをオススメします。

それでは次項より使い方についても見ておきましょう。

【使い方】断ってほしい!と伝えるビジネスシーン

「お断りいただきたく存じます」の使い方は…

意味のとおりで何かしら「断ってほしい!」と言いたいビジネスシーンに使います。

①おもにビジネスメールに使われる

「お断りいただきたく存じます」の使い方その1

「お断りいただきたく存じます」にかぎらず「〜いただきたく存じます」という表現は電話対応や商談よりも、どちらかというとビジネスメールで多くつかいますね。

会話でつかうにはあまりに堅苦しいフレーズだからです。

だからと言って電話対応などにつかったら失礼とかではなく、堅苦しいというだけ。

ようするにビジネスメールで上司や目上・社外取引先に「断ってほしい!」と言いたいシーンであれば使えます。

②電話対応・会話では”お断りいただけますか?”など推奨

「お断りいただきたく存じます」の使い方その2

わたし個人としては電話対応や会話シーンに「お断りいただきたく存じます」のような堅苦しいフレーズをつかうのがあまり好きではありません。

そこで、

  • 【例文】お断りください
  • 【例文】お断りくださいませ
  • 【例文】お断りいただけますか?
  • 【例文】お断りいただけますでしょうか?

など会話シーンにふさわしい、ちょっとカジュアルな敬語をつかって意思や希望をつたえますね(下の例文ほど丁寧な敬語になります)。

とくに「〜いただけますか?」サラッと言えるためビジネスシーンで重宝するフレーズです。

※「~いただけますか?」の意味は「~してもらえますか?」

※「~いただけますでしょうか?」の意味は「~してもらえますでしょうか?」

ビジネス会話の例文:xxを断ってもらえますか?

  • 【例文】取引先から提案のあったxxの件、今回はお断りいただけますでしょうか?
  • 【例文】葬儀への出席はお断りいただけますでしょうか?
  • 【例文】先日提案のあった生命保険ですが、今回はお断りいただけますでしょうか?

※「すでに断ってもらえたか?」と催促・確認するときは過去形「お断りいただけましたか?」「お断りいただけましたでしょうか?」とすると丁寧。

敬語の補足

念のため「お断りいただけますか?」「お断りいただけますでしょうか?」の敬語について少し。

  • “断る”に「〜してもらう」の謙譲語「お(ご)〜いただく」で「お断りいただく」
  • 可能形にして「お断りいただける」
  • さらに丁寧語”ます”で「お断りいただけます」
  • 疑問形にして「お断りいただけますか?」

“〜だろうか”の丁寧語「〜でしょうか」を使うと「お断りいただけますでしょうか?」

どちらの表現も謙譲語をうまくつかい、このうえなく丁寧な敬語フレーズとなっていることがわかります。

したがって上司・目上・社外取引先につかえる素晴らしい敬語、と言えるでしょう。

どちらかというと「〜いただけますでしょうか?」のほうが丁寧なのですが…

バカ丁寧だという意見もあるため「〜いただけますか?」でも十分に丁寧です。

“お断りいただければと存じます”だとなお丁寧

“断ってほしい!”と言いたいときに使える敬語。

「お断りいただきたく存じます」でも十分に丁寧ではありますが…

「お断りいただければと存じます」とすると、より丁寧な敬語になります。

意味と敬語

どちらも言いたいことは結局のところ「断ってほしい」なのですが…

「お断りいただければと存じます」の意味は…

「断ってもらえたらと思います」と解釈できます。

謙譲語「お断りいただく」を可能形にして「お断りいただける」とし、

さらに仮定の「たら・れば」をくっつけると「お断りいただければ」という敬語の完成。

かな〜り遠回しにお願いをしているわけで、目上・上司・取引先への言葉づかいとしてはこの上なく丁寧ですね。

そんなに丁寧にする必要あるの?って思うくらい。

違いと使い分け

「お断りいただきたく存じます」vs.「お断りいただければと存じます」の違いと使い分けについて簡単に。

  • 「お断りいただきたく存じます」だと意味は「断ってもらいたいと思います」
    → 敬語は”お(ご)~いただく”+希望”~したい”+謙譲語”存じる”+丁寧語”ます”

いっぽうで、

  • 「お断りいただければと存じます」の意味は「断ってもらえたらと思います」
    → 敬語は”お(ご)~いただく”+可能形”いただける”仮定”たら・れば”+謙譲語”存じる”+丁寧語”ます”

「お断りいただきたく存じます」だと「~してもらいたい」と言いながらも「思います」として、遠回しにあなたの希望を伝える敬語にしています。

いっぽうで、

「お断りいただければと存じます」だと「~してもらえたらと思います」というように、もっと遠まわしかつ大げさなお願いのフレーズになります。

まぁ、どちらも丁寧な敬語であり使い分けの必要はありませんが…

より丁寧なメールがもとめられるシーンでは「お断りいただければと存じます」を使うとよいでしょう。

シンプルに”お断り頂きたくお願い致します”でも丁寧

“断ってほしい!”と言いたいときに使える敬語。

「お断りいただきたく存じます」「お断りいただければと存じます」だけでなく、

「お断りいただきたく、お願い致します」もあります。

言いたいことは結局のところ「断ってほしい」なのですが…

“存じます”ばかりのメールは気持ち悪い

ビジネスメールで「存じます」つまり「思います」を多用すると気持ち悪い文章になってしまいます。

あなたの意思が伝わらずぼんや〜りとしたメールになって「結局なにが言いたいの?」ということになりかねません。

そんなときに活躍するのが「お断りいただきたく、お願い致します」です。

「お断りいただきたく存じます」だと「断ってもらいたいと思います」という意味であり、

「お断りいただきたく、お願い致します」だと「断ってもらいたい、お願い!」というような意味になります。

敬語としてはどちらも、これでもかというくらい丁寧なので使い分けする必要はありません。

文章のバランスを考えてお好みでお使いください。

敬語の解説

一応「お断りいただきたく、お願い致します」の敬語の成り立ちをまとめておきます。

  • もとになる単語「断る」
  • “〜してもらう”の謙譲語”お(ご)〜いただく”で「お断りいただく」
  • 意思・希望”〜したい”で「お断りいただきたい」
  • “願う”に謙譲語”お(ご)〜いたす”で「お願いいたす」
  • 丁寧語”ます”をくっつけて「お願いいたします」

→ すべてあわせると「お断りいただきたく、お願いいたします」という敬語の完成

※「お願い申し上げます=お願いいたします」言い換えOK

※「お願いいたします」の表記は漢字「お願い致します」としてもOK

謙譲語をうまくつかい、このうえなく丁寧な敬語フレーズとなっていることがわかります。

したがって上司・目上やビジネスメールで使うのにふさわしい表現、と言えるでしょう。

自分が誘いなどを断りたいときは?

なお…

「お断りくださいませ」はこれまで解説のとおり、相手に対して「断ってくれませんか?」と依頼するための敬語フレーズです。

自分が誘いなどを断りたいときのフレーズについては、以下のリンクをご参照ください。

【完全版】断りの丁寧な敬語フレーズ100選(誘い・都合が悪いetc)

ビジネスメールにおける断り方のすべて

【ビジネス】丁寧な断りのメール文例(仕事依頼・誘いなどシーン別)

ビジネスメール例文

こうして長々と読んでいてもイメージがつかみにくいかと思いますので、より実践的に。

ここでは「お断りいただきたく存じます」の使い方をビジネスメール例文とともにご紹介。

どれも目上・上司・取引先にふさわしい丁寧な敬語にしています。ご参考にどうぞ。

なおビジネスメールにおいては以下の敬語もオススメです。

① それなりに丁寧「お断りくださいませ」

② 丁寧「お断りいただければと存じます」

③ かなり丁寧「お断りいただければ幸いです」など

④ ↓とくにビジネスメール結び/文末につかう↓

「お断り頂きますようお願い申し上げます」

「お断りくださいますようお願い致します」

ビジネスメール例文①取引先の追加注文を断ってほしい

メール件名:返信Re:【在庫確認】三井化学むけ追加注文

xx課長(社内上司・目上)

お疲れ様です。

さて先日ご依頼いただいておりました三井化学むけ追加注文の件、現状、在庫がまったく足りておらず既存顧客への供給もままならない状況でございます。

つきまして大変心苦しい限りではございますが、このたびの依頼はお断りいただきたく存じます。

またとないチャンスでありながら、このようなお返事となりましたことをお詫び申し上げます。

どうか事情をご高察の上、ご了承いただければ幸いです。

よろしくお願い致します。

***************
メール署名
***************

ビジネスメール例文②商社マンに断りをいれる

メール件名:返信Re:【在庫確認】三井化学むけ追加注文

三井物産(株)
営業部 xx課長(社外取引先)

平素は大変お世話になっております。
(株)転職・のまどでございます。

さて先般ご依頼いただいておりました三井化学むけ追加注文の件、現状、在庫がまったく足りておらず既存顧客への供給もままならない状況が続いております。

つきまして大変心苦しい限りではございますが、このたびの依頼はお断りいただけますでしょうか。

またとないチャンスでありながら、このようなお返事となりましたことを深くお詫び申し上げます。

どうか事情をご高察の上、ご了承いただければ幸いです。

よろしくお願い申し上げます。

***************
メール署名
***************

結局どれがもっとも丁寧?