所存です(読み:しょぞんです)の意味、ビジネスシーン(メール・手紙・文書・社内上司・社外・目上・就活・転職)にふさわしい使い方、注意点について。
ビジネスメールの例文つきで誰よりも正しく解説する記事。
所存ですの意味は「つもりです」「考えです」
所存です(読み:しょぞんです)の意味は「つもりです」「考えです」
「所存」の意味は「思うところ、考え」であり、丁寧語「です」をくっつけて敬語にしています。
「所=ところ」「存=思う」ということですから「思うところ、考え、つもり」の意味として考えるのが妥当となります。
ちなみに「存」は「思う、知る」の謙譲語「存じる」としてよくビジネスメールで登場します。
たとえば「伺いたく存じます=訪問したいと思う」「訪問いたしたく存じます=訪問したいと思う」などが代表的な使い方です。
所存ですの使い方
つづいて「所存です」の使い方について。
使い方「自分の意思をしめすときに使う」
「~するつもりです、~する考えです」のように自分の意思をしめすときに使います。
たとえば以下のように使うとよいでしょう。
- 例「精進してまいる所存です」
意味は「目標に向かって突き進んでいくつもりです」 - 例「まい進してまいる所存です」
意味は「目標に向かって突き進んでいくつもりです」 - 例「より一層のサービス向上に努めてまいる所存です」
意味は「努力していくつもりです」 - 例「貴社のご発展に微力を尽くしてまいる所存です」
意味は「あなたの会社の発展にささやかながら力を尽くしていくつもりです」 - 例「~する所存です」
意味は「~するつもりです」
使えるビジネスシーンは本当にたくさんあり上記はほんの一例です。
挨拶メールの結び・締めに使われたり、履歴書において自分の意思をしめすときに使われたりします。
より丁寧なフレーズ「所存でございます」
ところで「所存です」はこれだけでも丁寧ではありますが、
堅苦しい表現がこのまれるビジネスシーン(たとえば履歴書や挨拶メール・文書)においては「所存でございます」を使うとよいでしょう。
「ございます」は「です」とおなじく丁寧語ですが、よりかしこまった敬語となります。
頭の片隅にいれておきましょう。
「次第です」と「所存です」は意味が違う
「所存です」は「次第です」と混同しやすいので、それぞれの意味と違いを解説しておきます。
「次第です=理由」「所存です=意思表示」
「次第です」はものごとの理由をあらわし、「所存です」はあなたの意思をあらわします。
つまり、
- ものごとの理由を語るときには「理由+次第です・次第でございます」
- あなたの意思を示すときには「あなたの意思+所存です・所存でございます」
この点においてまったく違いますのでご注意ください。
履歴書では「次第です・所存です」どっちを使う?
ここでクイズです。
もし履歴書や面接で以下のように質問されたら…
あなたは「所存です」「次第です」のどちらを使いますか?
- 当社の志望動機はなんですか?
- 入社の意気込みを語ってください
志望動機=理由+次第です
質問①当社の志望動機はなんですか?
◎正しい回答例文
土日祝休み・残業なしの条件で転職先を探しており、転職エージェントに相談しましたところ、貴社をご紹介にあずかった次第でございます。
これをひっくり返して使ってしまうとヘンテコな文章になりますのでご注意を。
×NG例文
土日祝休み・残業なしの条件で転職先を探しており、転職エージェントに相談しましたところ、貴社をご紹介にあずかった所存でございます。
※ これは志望動機をかたるときのほんの一例にすぎません。「志望する理由は3つあります。①~~、②~~、③~~」のようにしたほうが履歴書においては好まれます。
意気込みを語る=あなたの意思+所存です
質問②入社の意気込みを語ってください
◎正しい回答例文
(前中略)これまでの化学メーカー海外営業における経験を生かし、貴社●●事業のご発展に寄与できるよう誠心誠意、努めてまいる所存でございます。宜しくお願いいたします。
これをひっくり返して使ってしまうとヘンテコな文章になりますのでご注意を。
×NG例文
(前中略)これまでの化学メーカー海外営業における経験を生かし、貴社●●事業のご発展に寄与できるよう誠心誠意、努めてまいる次第でございます。
ざっくりとした解説はこれにて終了。
ここからはよく使う例文とその意味を紹介しておきます。
所存ですを使ったビジネスメール・文書の例文
「所存です」のビジネスシーン(メール/手紙/文書/社内上司/社外取引先/目上/就活/転職)にふさわしい使い方と、敬語フレーズを使った例文。
例文「お詫びのビジネスメール」
メール件名:商品欠陥のお詫び
株式会社転職
○○ 様
いつもお世話になっております。
さて、このたびは納入品のうち 一部に汚損商品があったとのこと、深くお詫び申し上げます。
このたびのご連絡を受け原因を調査すると共に、万全な発送システムを構築するべく力を尽くして参る所存でございます。何卒ご容赦くださいますようお願いいたします。
また本日、代替品を発送いたし ましたのでご検収いただければ幸いです。
甚だ略儀ではございますが、まずはメールをもちましてお詫び申し上げます。
メール署名
例文「年賀状」
謹んで新春のご祝詞を申し上げます
昨年中は格別のご厚情にあずかり心より御礼申し上げます
本年もより一層のサービス向上を目指し社員一同 誠心誠意努めて参る所存です
なにとぞ本年も倍旧のご支援を賜りますようお願い申し上げます
~~~~~~
謹賀新年旧年中はひとかたならぬご愛顧にあずかり厚くお礼申し上げます
本年も一層のサービス向上を目指し社員一同 誠心誠意まい進して参る所存でございます
なにとぞ倍旧のご厚誼を賜りますようお願い申し上げます
※年賀状では通常、句読点は使わない
例文「異動の挨拶ビジネスメール・社内」
メール件名:異動のご挨拶
■■グループ
山下 課長 (社内上司)
お疲れ様です。
このたび、4月1日付で東京本社xx部■■課への異動を命ぜられました、▲▲xxと申します。
入社以来、大阪支社●●営業部で3年、▲▲営業部で3年と営業職に従事し、東京本社勤務は初めてとなります。
初めてのことばかりで何かとお手間をお掛けすることと存じますが、一刻も早く■■事業の発展に貢献できるよう、尽力して参る所存でございます。
ご指導ご鞭撻のほど何卒よろしくお願い申し上げます。
甚だ略儀ではございますが、
まずはメールにてご挨拶申し上げます。
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リテール営業部 国内営業課
のまど サラリーマン
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赴任・着任後の異動挨拶メール
メール件名:着任のご挨拶
拝啓 春暖の候、皆様におかれましては益々ご健勝のこととお慶び申し上げます。
さて私こと、4月1日付でxx支社■■営業部勤務を命ぜられ、過日着任いたしました。zz支社▲▲営業部在任期間中は、多大なご厚情とご指導を賜り、心より御礼を申し上げます。
これまでの経験を活かし、今後は■■営業部において●●事業の発展に力を尽くしてまいる所存でございます。
今後とも一層のご指導、ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。
甚だ略儀ではございますが、
まずはメールをもちましてご挨拶申し上げます。 敬具
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xx支社■■営業部 ノマド
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退職の挨拶ビジネスメール・社内
皆様 (社内BCCメール)
このたび、一身上の都合により3月末で退職することになり、本日が最終出勤日となりました。本来であれば直接伺いご挨拶すべきところ、メールでのご連絡となりましたことをお詫び申し上げます。
入社以来、●●営業部で3年、▲▲営業部で3年、資材部で3年と、多岐に渡る業務に携わることができ、多くのことを学ばせて頂きました。
在職中はたくさんの方にお世話になり、この場をお借りして御礼申し上げます。
また、退職に際しましては、温かい惜別や励ましのお言葉を頂きまして、本当にありがとうございました。
■■■■で学んだことを今後も活かし、さらに成長できるよう努めてまいる所存です。
なお、今後の連絡先は下記のとおりとなります。
何かの折にご連絡いただければ幸いです。
・メール:xxx
・携帯:xxx
末筆ではございますが、
皆様のご健勝とご多幸、さらなるご活躍をお祈り申し上げます。
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リテール営業部 国内営業課
のまど サラリーマン
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産休挨拶メールに返信の返信
メール件名:返信Re:産休のご挨拶
●● さん (社内返信)
ご丁寧にありがとうございます。
また、温かい励ましのお言葉をいただき大変恐れ入ります。
しばらく●● さんにお会いすることができないと思うと寂しい限りですが、復職する所存ですので、その際にはまたお仕事ご一緒できれば幸いです。
今後ともよろしくお願い申し上げます。
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メール署名
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⇒ 産休挨拶・報告メール例文(社内・社外ビジネス・友人などシーン別)
「所存です」の類語と言い換え
「所存です」の類語と言い換えについて。
ビジネスシーンでも使える言い換え表現をざっくりまとめておきます。
意向(読み:いこう)
ビジネスシーンで使える「所存です」の言い換え・類語
まずは「意向」
「意向」の意味は「どうするつもりかという考え。心の向かうところ。思わく。」
「意思」が「向かう」と書きますのでこのような意味となります。
ただし「総理のご意向を伺う=総理の考えをたずねる」のような場面で使います。
「意向です」「意向でございます」のような使い方はほとんどしませんが、いちおう「所存」の類語として紹介しておきます。
考え
ビジネスシーンで使える「所存です」の言い換え・類語
つづいて「考え」
解説するまでもなく「所存です」とまったく同じ意味ですね。ただし公式な文書やビジネスメールでは「所存」の代わりにはなりません。
挨拶メールで「尽力していく考えです」などと使っていると恥ずかしいので気をつけましょう。
思わく
ビジネスシーンで使える「所存です」の言い換え・類語
つづいて「思わく」
解説するまでもなく「所存です」とまったく同じ意味ですね。ただし公式な文書やビジネスメールでは「所存」の代わりにはなりません。
挨拶メールで「尽力していく思わくです」などと使っていると恥ずかしいので気をつけましょう。
存じます(読み:ぞんじます)
ビジネスシーンで使える「所存です」の言い換え・類語
つづいて「存じます」
「思う」の謙譲語「存じる」に丁寧語「ます」をくっつけた敬語です。そうすると意味は「思います」ということになります。
「所存です」の言い換えとしてはイマイチというより、ほとんど不可能ですが一応ご紹介まで。
ちなみに「存じます」には違う使い道があります。
たとえば、
「ご相談いたしたく存じます = 相談したいと思う」
「ご了承いただきたく存じます = 了解し、承諾してもらいたいと思う」
「訪問いたしたく存じます = 訪問したいと思う」
などのように使います。
これを「所存です」に置き換えると変な日本語になりますね。
また、挨拶メールで「精進していくと存じます = 一生懸命がんばると思います」などと使っていると、とても恥ずかしいので気をつけましょう。
【注意点】所存ですはこう使う!
つづいて「所存です」を使うときの注意点を解説します。
敬語を正しく使うことはもちろん、ふさわしいビジネスシーンを考えて使いましょう。
「所存です」よりもかしこまった「所存でございます」
繰り返しにはなりますが、
「力を尽くして参る所存です」
「精進して参る所存です」
「まい進して参る所存です」
よりも
「力を尽くして参る所存でございます」
「精進して参る所存でございます」
「まい進して参る所存でございます」
といった表現のほうが、よりかしこまった文章になります。
ただし何でもかんでも「~でございます」ばかり使っていると気持ち悪いので、文章のバランスを考えて使いましょう。
丁寧にすることは大事ですが、メールや文書を読みやすくすることもまた重要です。
かしこまった言い方であり、ビジネス文書や手紙でよく使う
「所存です」はかなりかしこまった表現であるため、普段のビジネスメールや会話ではあまり使いません。
公式な挨拶が必要となるシーン、
たとえば「ビジネス文書」「手紙」「暑中寒中見舞いハガキ」「年賀状」「転勤の挨拶メール」「異動の挨拶メール」といったビジネスシーンで使われます。
普段のビジネスメール結びや締めくくりに使ったらダメという訳ではないですが…
自分の意思を主張するケースでは「存じます」「思います」だけで十分に丁寧です。
【参考】「取り急ぎお礼まで」を目上の人に使わない理由・丁寧な言い換え
「総理のご所存です」とは言わない
きわめて初歩的な使い方なのですが…
「所存です=つもりです」はあくまでも自分の意思表示につかうため、相手の行為にたいしては使いません。
「総理のご所存です」ではおかしくて「総理のご意向です」をつかうのが一般的。
→「お取り計らい」意味と目上の方への正しい使い方【例文あり】
参考記事
➡︎「お引き立て」の意味とビジネスにふさわしい使い方・例文
➡︎「ご厚誼」の意味、目上・ビジネスにふさわしい使い方、例文
➡︎「ご高配」の意味とビジネスにふさわしい使い方・例文
➡︎「ご厚情」の意味とビジネスにふさわしい使い方・例文
➡︎「ご厚誼」「ご交誼」「ご高配」「ご厚情」の意味と違い、使い分け