「見る」の敬語は?謙譲語と尊敬語、使い方、ビジネスメール例文

「見る」の敬語変換(謙譲語・尊敬語・丁寧語)と、

ビジネスシーン(メール・手紙・文書・社内上司・社外・目上・就活・転職)にふさわしい使い方、注意点について。ビジネスメールの例文つきで誰よりも正しく解説する記事。

まずは要点のまとめから。

見る の謙譲語は「拝見する」

謙譲語は自分の行為につかうことが基本となるため、

  • (自分が)メールを拝見しました
  • (自分が)企業ホームページを拝見し、連絡いたしました

として使います。もっと丁寧にするため丁寧語「ます」と組み合わせて「拝見します・拝見しました」とするのが一般的。

見る の尊敬語は…

① ご覧になる
② 見られる

過去形は「ご覧になった」「見られた」

尊敬語は相手の行為につかうことが基本となるため、

  • 部長、本日の掲示板をご覧になりましたか?
  • 部長、津波のニュース見られましたか?

として使います。

ただし、

尊敬語の「~られる」は受身や可能の「~れる・られる」と間違われることもおおいため、「~なる」を使うほうが無難。そうすると尊敬語は「お聞きになる」を使うのがベター。

ざっくりとした解説はこれにて終了ですが、本文中ではいろいろな例文を紹介しながら使い方、注意点について説明していきます。

見る の謙譲語「拝見する」使い方と例文

まずは「見る」の謙譲語「拝見する」のビジネスシーン(メール・手紙・文書・社内上司・社外・目上・就活・転職)にふさわしい例文と使い方を紹介します。

そもそも謙譲語とは?

念のため基本となる謙譲語とはなにか?について簡単に復習しておきます。

  • 謙譲語Ⅰ = 自分を低めることで行為のおよぶ先を高めて敬意を表す敬語のこと。
    例文「お伝えします」「お土産をいただく」「貴社へ伺う」
  • 謙譲語Ⅱ = 聞き手に敬意を表す敬語のことで「もうす」「おる」「まいる」「いたす」などがある。
    例文「母に申します」「海へ参ります」

2種類ありややこしく感じるかもしれませんが「①自分側を低めて相手を高める」か「②話し手に敬意を示すために使う」だと理解しておきましょう。

【出典】文化庁「敬語の指針」

使い方

「見る」の謙譲語「拝見する」の使い方は先にのべたとおり、

「自分が誰か対象となる目上のヒトを拝見する」のようにして自分の行為・行動に使う謙譲語です。

自分を低くすることで対象を立てる・うやまう・高める敬語が謙譲語であるため、決して対象の行為にたいして謙譲語を使ってはいけません。

そうすると、

  • 正しい例文「貴社のCMを拝見しました」
  • 正しい例文「ニュースを拝見しました」

のような感じで「自分が見る」ときにつかいます。

一方でNGとなる使い方にはたとえば、

  • NG例文「部長がニュースを拝見する」

のような例文はダメ。

目上のヒトが「見る」としたいときには謙譲語ではなく尊敬語を使い「部長がニュースをご覧になる」とします。

拝見いたす は二重敬語だから間違い?

「見る」の謙譲語「拝見する」にさらに謙譲語「いたす」をつかうと「拝見いたす」という謙譲語になります。

ここでひとつ問題が…

拝見いたす は二重敬語にあたり間違いでは?という意見もあります。たしかに「拝見する」を謙譲語とすれば「拝見いたす」は謙譲語「拝見」に謙譲語「いたす」を使っていることになり二重敬語です。

ただ、

わたしは「拝見いたす」を使っても間違いではないと考えます。

なぜなら、

「拝見」は謙譲表現ではあるものの謙譲語とまでは言えないから。

「拝見いたす」を二重敬語で間違いだとするのであれば、おなじく謙譲表現をふくむ以下の表現もすべて二重敬語ですね…

  • 承知いたしました
  • 拝聴いたしました
  • 拝読いたしました
  • 拝受いたしました

でも、これらの敬語はビジネスシーンではどの表現もフツーに使われます。ビジネスパーソンのつかう敬語って実は、わたしも含めてBroken敬語なのです。

ということで、

「拝見いたします」を使うか使わないかはご自身でお考えください。無責任ですみません…

丁寧語「です・ます」を組み合わせると、より丁寧な敬語になる

「見る」の謙譲語「拝見する」を使うときには、丁寧語「です・ます」を組み合わせるとより素晴らしい敬語になります。

すでに例文にはしていますが…

ビジネスシーンにおいては
「拝見します」「拝見しました」として使うとより丁寧です。というより、ほぼ100%こういった使い方をします。

例文

「見る」の謙譲語「拝見する」のビジネスシーン(メール・手紙・文書・社内上司・社外・目上・就活・転職)にふさわしい例文まとめ。

ホントに色々と使えます。

  1. 例文「貴社のウェブサイトを拝見し、連絡いたしました」
    例文「CMで貴社製品を拝見し、パートナーシップを組みたいと思い連絡いたしました」
    例文「ニュースで拝見しました」

    ・使い方は問い合わせなどのビジネスメール
    ・意味はどれを使ってもおなじく「見ました」
    ・謙譲語を使うことで自分の行為を低くし話の受け手を高めている
  2. 例文「拝見してもよろしいでしょうか?」
    例文「一度、貴社製品を実際に拝見したく存じます」
    ・使い方は問い合わせなどのビジネスシーン
    ・存じる は「思う」の謙譲語
    ・謙譲語を使うことで自分の行為を低くし話の受け手を高めている

見る の尊敬語「ご覧になる」使い方と例文

つづいて「見る」の尊敬語「ご覧になる」「見られる」のビジネスシーン(メール・手紙・文書・社内上司・社外・目上・就活・転職)にふさわしい例文と使い方を紹介します。

そもそも尊敬語とは?

念のため基本となる尊敬語とはなにか?について簡単に復習しておきます。

尊敬語とは、相手を高めるときに使う敬語のことを言います。敬意を表したい相手の動作や行為を高めて使う敬語ですね。

注意点として、

社外のひとに社内のひとのことを話すときには尊敬語ではなく、謙譲語を使います。社外のひとの前で社内のひとに尊敬語を使うのは高めるべき対象を間違っています。

「社内のひと > 社外のひと」というようになってしまいますね。

社外の人の前で尊敬語「弊社の部長がおっしゃいました」ではおかしくって謙譲語「弊社の○○が申しておりました」とします。

使い方

「見る」の尊敬語「ご覧になる」「見られる」の使い方は先にのべたとおり、

「目上の相手が何かをご覧になる」のようにして相手の行為・行動に使う尊敬語です。

相手を立てる・うやまう・高める敬語が尊敬語であるため、決して自分の行為にたいして尊敬語を使ってはいけません。尊敬語を自分の行為に使うと、自分で自分をうやまうことになってしまいます。

そうすると、

  • 正しい例文「弊社の展示ブースはご覧になりましたか?」
  • 正しい例文「製品カタログはご覧になりましたか?」

のような感じで「相手が見る」ときにつかいます。

一方でNGとなる使い方にはたとえば、

  • NG例文「弊社の展示ブースは拝見しましたか?」

のような例文はダメ。

目上のヒトが「見る」としたいときには謙譲語ではなく、相手の行為をうやまって高める敬語(尊敬語)を使います。

ご覧になる・見られる どっち使う?

ここでひとつ注意点というか、まぎらわしいので少し解説を。

「見る」の尊敬語には、

①ご覧になる
②見られる

と2パターンあります。どちらとも正しい敬語なのですが「見られる」は受け身や可能形の「れる・られる」との混同をまねいてしまうため①ご覧になる をつかうのが無難。

たとえば

「弊社の展示ブースは、見られましたか?」

だと敬語なのかなんなのか、難しい表現になってしまいます。

そこで

「弊社の展示ブースは、ご覧になりましたか?」

のように「お・ご〜なる」という尊敬語を使うことをオススメします。

丁寧語「です・ます」を組み合わせると、より丁寧な敬語になる

繰り返しにはなりますが、

「見る」の尊敬語「ご覧になる」「見られる」は、丁寧語「です・ます」を組み合わせるとより素晴らしい敬語になります。

すでに例文にはしていますが…

ビジネスシーンにおいては
「ご覧になります」「ご覧になりました」として使うとより丁寧です。

例文

「見る」の尊敬語「ご覧になる」「見られる」のビジネスシーン(メール・手紙・文書・社内上司・社外・目上・就活・転職)にふさわしい例文。

  1. 例文「新しいオフィスはご覧になりましたか?」
    例文「こちらの新築物件はご覧になりましたか?」

    ・使い方はビジネス会話やメールで「見ましたか?」と質問するときに使えるフレーズ。
  2. 例文「部長が夕日をご覧になり、鑑賞にひたっていらっしゃる」
    例文「部長がオフィスをご覧になった」

他にもよく使う敬語の変換表

「見る」の敬語変換(謙譲語・尊敬語・丁寧語)のほかにもビジネスシーンでよく使う敬語をまとめておきます。これを機にマスターしておきましょう。

謙譲語 尊敬語 丁寧語
受け取る  拝受する
拝受いたす
 お受け取りになる  受け取ります
言う  申す
申し上げる
 おっしゃる
言われる
 言います
会う  お会いする
お目にかかる
 お会いになる
会われる
 会います
する  致す
(いたす)
 なさる  します
伝える  お伝えする
申し伝える
 お伝えになる
伝えられる
 伝えます
思う  存じる  お思いになる
思われる
 思います
行く  伺う
参る
参上する
 いらっしゃる
おいでになる
お越しになる
 行きます
もらう  いただく  くださる  もらいます
「~れる」という尊敬語は受身や可能の「れる・られる」と混同しやすいため「お~なる」を使うほうがベター。

見る の謙譲語・尊敬語はこう使う!

つづいて「見る」の敬語変換(謙譲語・尊敬語・丁寧語)を使うときの注意点を解説します。

敬語を正しく使うことはもちろん、
ふさわしいビジネスシーンを考えて使いましょう。

×部長、ニュースを拝見しましたか?

「見る」の敬語変換(謙譲語・尊敬語・丁寧語)を使うときの注意点。

きわめて初歩的ではありますが…

謙譲語を使うべき対象がおかしいのはダメ。「拝見する」は謙譲語であるため、自分の行為にたいして使います。

したがって、

  • NG例文「部長、ニュースを拝見しましたか?」

は間違い敬語です。

上司や目上のヒトが何かを見るのであれば

  • 正しい例文「部長、ニュースをご覧になりましたか?」

とするのが正解。

×(私が)製品カタログをご覧になりたいのですが?

「見る」の敬語変換(謙譲語・尊敬語・丁寧語)を使うときの注意点。

こちらもきわめて初歩的ではありますが…

尊敬語を使うべき対象がおかしいのはダメ。「ご覧になる」は尊敬語であるため、相手の行為にたいして使います。

したがって、

  • NG例文(私が)製品カタログをご覧になりたいのですが?

は間違い敬語です。

こうすると、あなたが自分で自分のことを高めてしまっています。あなたが見たいのであれば、

  • 正しい例文(私が)製品カタログを拝見したいのですが?

丁寧語「です・ます」を組み合わせると、より丁寧な敬語になる

「見る」の敬語変換(謙譲語・尊敬語・丁寧語)を使うときの注意点。

何度もしつこいですが…

丁寧語「です・ます」を謙譲語や尊敬語と組み合わせると、より丁寧な敬語フレーズになります。むしろビジネスシーンでは必ずといっていいほど組み合わせて使いますね。

たとえば、

  • 見る の謙譲語「拝見する」は「拝見します」「拝見しました」
  • 見る の尊敬語「ご覧になる」は「ご覧になります・ご覧になりました」

のようにするとより丁寧な敬語となります。

見る の謙譲語・尊敬語を使ったビジネスメール全文