「ご理解ください」をビジネスシーン(手紙・メール・目上)で使うと失礼?
と心配されているあなたへ。
「ご理解ください」の代わりにビジネスシーン(手紙・メール・目上)で使える敬語を紹介。
まずは要点のまとめから。
それなら丁寧な敬語のほうを使うべき。
また「理解」という言葉にも違和感あり
(くわしくは本文にて)
そこで
「ご理解ください」を丁寧に言い換えた類語をつかうと、好印象になる。
ということなので
ビジネスシーン(手紙・メール・目上)に使うときにはもっと丁寧な敬語に言い換えしましょう。
敬語・類語での言い換えにはたとえば…
- 言い換え「ご了承くださいますようお願い申し上げます」
- 言い換え「ご理解とご了承いただければ幸いです」
- 言い換え「ご容赦くださいますようお願い申し上げます」
- 言い換え「お力添えのほどよろしくお願い申し上げます」
こんな感じのフレーズあり。
例文のような文章にすると目上の人(上司)はもちろんのこと、社外の取引先にたいするビジネスメール・手紙にも使えるすばらしい敬語になります。
ざっくりとした解説はこれにて終了ですが、
それぞれの言い換え表現について、意味と敬語の解説、注意点を詳しくみていきましょう。
※長文になりますので、時間の無い方は「パッと読むための見出し」より目的部分へお願いします。
この記事の目次
ご理解ください の意味はそもそも?
「ご理解ください」の意味について簡単に。
理解 の意味
① 意味・内容をのみこむこと
② 他人の気持ちや立場を察すること
「理解」の意味を考えると
「ご理解ください」は「わかってください」「察してください」
みたいな意味になります。
尊敬語「ご」を使って「ご理解」とし、
尊敬語「くださる」の命令形「ください」をつかって敬語にしています。
使い方としては…
- あした会社休みます。ご理解ください
- 明日システムメンテします。ご理解ください
- あした営業時間を変更します。ご理解ください
こんな感じで、
すでに何か決まっていることに対して「わかってください」「察してください」とするときに使われる言葉ですね。
ご理解ください が失礼だと思われる理由
でもでも。
「ご理解ください」と言われた方の立場で考えてみると…
「あしたメンテあるの?仕事できないじゃん、困ったなぁ〜」
というときもある訳で…
そんなときに「ご理解ください」を使われると、
カチンときてしまうビジネスパーソンもいることでしょう。
なぜなら
ご理解ください は相手の状況を考えることなく強制的に、
「もちろん、わかってくれるよね?」
と言われているような気持ちになるためです。
これでは相手への配慮が足りません。
敬語としてはOK
繰り返しますが「ご理解ください」は敬語としては成り立ちます。
ただし、
敬語であれば何でも使えるのか?
というと決してそうではありません。
言葉の意味がふさわしくなかったり、受け手の気持ちの問題でつかうと失礼に感じられてしまう敬語もあるのです。
先ほど解説したとおり
「ご理解ください」もビジネスシーン(手紙・メール・目上)にふさわしくない表現のひとつかと。
そこでやっぱり、
もっと適切な敬語に言い換えすべき言葉だと思われます。
ご理解ください の代わりに使える敬語
1. ご理解くださいますようお願い申し上げます
「ご理解ください」の代わりにビジネスシーン(手紙・メール・目上)で使える、言い換え敬語・類語。
まずはフツーに
「ご理解くださいますようお願い申し上げます」
「ご理解ください」との違いは、あくまで「お願い」としているところ。
キツイ言葉には何でも「お願い」をつければ、それだけでやわらかい印象のフレーズになります。「お願いいたします」も同じように使える表現。
こうすることで
- ご理解ください = もちろん、わかってくれるよね!
というニュアンスから
- ご理解くださいますようお願い申し上げます = わかってくれるよう、お願いね!
というニュアンスになります。
ご理解 をどうしても使いたいあなたは、
このような表現にすることでビジネスシーン(手紙・メール・目上)にふさわしい敬語となります。
・尊敬語「くださる」の命令形「ください」
・丁寧語「ます」
・よう の意味は「〜するように」
・言う の謙譲語「申す」
・丁寧表現の「上げる」
・丁寧語「です・ます」
2. ご了承のほどお願い申し上げます
「ご理解ください」の代わりにビジネスシーン(手紙・メール・目上)で使える、言い換え敬語・類語。
つづいて
「ご了承のほどお願い申し上げます」
「了承」の読みは「りょうしょう」
「了承」の意味は…
「わかった上で認めること」
「了承」は了(おわる・わかる)+承る(うけたまわる)でなりたちます。
承る(うけたまわる)という、自分をへりくだって相手への尊敬を示す言葉をつかっているので、より丁寧であるのがわかるかと。
「ご了承のほどお願い申し上げます」だと
「わかった上で認めてくださるよう、お願い=お許しください」みたいな意味になります。
許可を求めたり、
「ご理解ください」のより丁寧な敬語として使うことの多いフレーズ。
「ご理解ください」との違いは
- ご理解ください = もちろん、わかってくれるよね!
というニュアンスから
- ご了承のほどお願い申し上げます = お許しください、お願いね!
というニュアンスになります。
したがって
ビジネスシーン(メール・手紙・目上)に使えるすばらしい敬語になります。
ほかにも同じように「ご了承」をつかった丁寧なフレーズを紹介します。
▼「ご了承」の例文
- 例文「ご了承くださいますよう何卒よろしくお願い致します」
・お願いメール文末・締め - 例文「ご了承いただければ幸いです」
- 例文「ご了承いただけますでしょうか?」
・ビジネス会話 - 例文「ご了承願います」
・丁寧レベルは低い、ビジネス会話でならOK - 例文「ご了承ください」
・丁寧レベルは低いが、ビジネス会話でならOK - 例文「ご了承いただき、誠にありがとうございます」
・メール返信の冒頭
・尊敬語「くださる」の命令形「ください」
・丁寧語「ます」
・よう の意味は「〜するように」
・もらう の謙譲語「いただく」
・仮定の「れば」
3. ご容赦くださいますようお願い申し上げます
「ご理解ください」の代わりにビジネスシーン(手紙・メール・目上)で使える、言い換え敬語・類語。
つづいて
「ご容赦くださいますようお願い申し上げます」
- ゆるすこと。大目にみること。
- 手加減すること。控えめにすること。
「ご容赦くださいますようお願い申し上げます」とすると、
「許してくださるよう、お願いします」
みたいな意味になります。
おなじく許可を求めたり、
「ご理解ください」よりも丁寧な敬語として使うことの多いフレーズ。
「ご理解ください」との違いは
- ご理解ください = もちろん、わかってくれるよね!
というニュアンスから
- ご容赦くださいますようお願い申し上げます = お許しください、お願いね!
というニュアンスになります。
「ご理解ください」だと申し訳なく思う気持ちがあらわれないのですがその点、「ご容赦」は謝罪にも使われるフレーズであり好感度UPすることでしょう。
ビジネスでは
自分たちのことをへりくだって言う習慣があり、できるだけ腰を低くすることが基本です。
したがって
ビジネスシーン(メール・手紙・目上)に使えるすばらしい敬語になります。
ほかにも同じように「ご容赦」をつかった丁寧なフレーズを紹介します。
▼「ご容赦」の例文
- 例文「これらについて、弊社としては一切の責任を負いかねますのでご容赦くださいますようお願い申し上げます」
- 例文「お客様には大変ご不便をお掛け致しますが、何卒ご容赦下さいますようお願い申し上げます」
- 例文「8月14~18日の5日間、休みをいただきます。その間、お問い合わせには対応しておりません。休み期間中、皆さまには大変ご迷惑をおかけしますが、どうかご容赦くださいますようお願い申し上げます」
- 例文「今回はご容赦いただけるとのこと、大変恐れ入ります」
- 例文「ご容赦いただき誠に恐れ入ります」
- 例文「ご容赦いただければ幸いです」
- 例文「ご容赦いただきたく存じます」
「ご容赦ください」意味と正しい使い方・メール例文
4. その他のフレーズ
「ご理解ください」の代わりにビジネスシーン(手紙・メール・目上)で使える、言い換え敬語・類語。
あとは「ご理解」とこれまでの例文を組み合わせてつかう表現などあり。
念のため
ビジネスシーンでも使えそうな例文のみまとめておきます。
▼ その他の言い換え例文
- 言い換え「ご理解とご了承いただければ幸いです」
- 言い換え「ご理解の上、ご容赦くださいますようお願い申し上げます」
- 言い換え「ご理解の上、お力添えのほどよろしくお願い申し上げます」
【注意点】ご理解ください はこう使う!
つづいて
「ご理解ください」を使うときの注意点と正しい使い方について解説。
ご理解ください は目上の人に使わない方が無難
繰り返しになりますが…
「ご理解ください」
という表現は上司など目上の人には使わない方が無難。
なぜなら
ご理解ください は相手の状況を考えることなく強制的に、
「もちろん、わかってくれるよね?」
というニュアンスの言葉だから。
たとえあなたに悪気はなくても、相手に誤解をあたえるようなフレーズは避けるべき。
相手を不快にさせるリスクのある表現はできるだけ使わない、これが敬語マスターになるための近道です。
ご理解・ご了承・ご容赦の違い
「ご理解ください」の言い換え敬語として紹介した「ご了承ください」「ご容赦ください」
これらの違いってなんでしょうか?
- ご理解ください = わかってください、察してください
・気持ちや立場を察する、の意味が強い
というニュアンスとなり
- ご了承ください = わかった上で認めてください
・認める、承認の意味あいが強い
というニュアンスとなり
- ご容赦ください = お許しください
・より申し訳なく思う気持ちのときにつかう
みたいな感じに違いがあります。
で、肝心なのはどれがもっとも丁寧な表現か?
にあると思います。
以下のようにお考えください。
ご容赦 > ご了承 > ご理解
言葉として意味の違いはもちろんありますが、論じても無意味であるため省略します。
ご理解とご協力のほど〜の意味と使い方
ご理解 をつかったフレーズに
「ご理解とご協力のほど〜」というのがあります。
「理解して協力してくれるように~」の意味であり、
- お願い、助けがほしいビジネスシーン(メール・手紙・目上の人など)
- お礼を述べるビジネスシーン
などに使われます。
この表現はホントによく目にするのですが…
私はこれまで紹介してきた言い換え敬語をつかうことをオススメします。
念のため例文だけ紹介しておきます。
▼ ご理解とご協力のほど の例文
(前略)
一部の店舗におきまして、
以下日程でシステムメンテナンスを実施いたします。
2017年8月11日(土)AM1:00~4:00
上記時間帯におきまして
店舗での配送および受取りの手続きができませんのでご注意ください。
ご迷惑をおかけいたしますが、
ご理解とご協力をいただければ幸いです。
何卒よろしくお願いいたします。
メール署名
▼ おなじく使える例文
- 例文「ご理解とご協力のほど何卒よろしくお願い申し上げます」
・お願いのビジネスメール結び - 例文「ご理解とご協力をいただければ幸いです」
・お願いのビジネスメール結び - 例文「ご理解の上、ご協力くださいますようお願い申し上げます」
・お願いのビジネスメール結び - 例文「ご理解とご協力をいただきありがとうございます」
・お礼のビジネスメール冒頭
・お力添えいただきありがとうございます のほうが丁寧 - 例文「ご理解とご協力を賜り心よりお礼申し上げます」
・お礼のビジネスメール冒頭
・お力添えいただき心よりお礼申し上げます のほうが丁寧
【参考】「ご理解とご協力のほど」ビジネスにふさわしい例文5選