表向きは大手企業の現役営業マン。裏の顔はベンチャー企業社長。
2つの対極に位置する仕事を経験する中でわかった、大企業に就職・転職することのメリットを解説します。
残念なことに世の中、大企業へ就職することのデメリットばかり主張する人がいます(名指しは控えます)。あえて批判をさせてもらいますが、そのような人は世界がまるで見えておらず、“鳥カゴの中が世界のすべてだ”と勘違いしているようです。
実際は、大企業へ就職・転職することにデメリットなど存在しません(苦笑)。ということで“大企業へ就職・転職することのメリット”を論理的に語っていきましょう。
メリット1. 大手企業とは何か?を知ることができる
大手企業のメリット・デメリット。
大手企業の強み・弱み。
大手企業ならではのビジネスの進め方。ノウハウ。
これらの情報は大手企業に就職してみないとわかりません。なぜ大企業の情報があなたの役に立つかというと、大企業のやり方はどんなビジネスにも応用できるからです。
たとえば私の勤める大企業では何か新しいテーマをすすめる際、見込み市場が◯◯億円ないと問答無用で却下されます。「そんなチマチマしたマーケットを目指したって、つまらないだろ。我々は中小企業じゃないんだから、もっと高いレベルで仕事をするべきなんだ。」と若手の頃にはよく言われたものです。
一方でベンチャー社長の立場からみると、大手企業で却下されたテーマ、つまりチマチマしたマーケットでの覇者を目指せば良いのです。
大企業を知った上で中小に転職するのと、最初から中小に就職するのでは大きく違う
大手企業を知った上で中小へ転職・起業するのと、新卒で中小・ベンチャーへ就職するのとでは大きく違います。
前者は、大企業を知っているので彼らに抜けているビジネスを探し、盲点をつくことができる。
後者は、大企業に就職しとけばよかったなぁ…といつまでも後悔し続ける。
これとは関係ない話かもしれませんが、ベンチャー企業で引退間近(50歳すぎ)の経営者に、私がする質問があります。
「もう一度やり直すとしたら、今のビジネスをやっていますか?」
これに対する、あるベンチャー企業・社長の答えをまとめておきます。
「やり直すなら、まずはちゃんと勉強して大学に入って、大企業に勤めてから起業を考えるかな。私には選択肢がそれ(=起業)しかなかった。それなりに成功できたから良いものの、ツラい時は本当にツラかった…
自家用ジェットを買うお金を一瞬で手にしたかと思えば、ある時はスーパーの惣菜コーナーで、弁当の値下げを待つ日々だった…
ベンチャー経営は浮き沈みが激しすぎて心臓に悪い、寿命も縮まる。だから、先に言った通りまずは大企業に就職してから、人生について考えていた。」
大企業での経験がないくせに批判するイタい人々…
大手企業への就職・転職を否定する人は「大手企業とは何か?」を実際には知らない。知らないくせに批判ばかりするのだから説得力がまるでない。
そして実際に大企業で働いたことのない人が「大手企業なんて会社の奴隷だろ。俺たち起業家みたいに自由になろうぜ」みたいなことばかり言っている。正直イタすぎる勘違いおっさんたち…
大手企業に就職・転職するだけで人生の選択肢は確実に広がります。中小企業への転職・ベンチャー起業なんていつでも誰でもできるのですから、そんなに生き急ぐ必要はないですよ。
そして高学歴の学生は“血迷った選択=中小企業への就職”をすると、15年後に必ず後悔します。なぜなら、その年代になってくると大学の同期間で格差が生まれてくるから。大企業就職組の話を聞いていると、自分の置かれている立場と比較して“うらやましく思う”ことでしょう。
“大企業の何がうらやましいのか?”、具体的なメリットについては残りの項目を見ていきましょう。
メリット2. 年収の安定感が半端ない!仕事しなくても給料もらえちゃう
多くの大手日系企業の場合、管理職までは年功序列で出世していきます。仕事ができる・できないは影響せず、仕事をしている・していないも全く影響なし。
単に大手企業にぶら下がっているだけで、世間の平均的な年収を大きく上回ります。ところがベンチャーや中小企業の場合、そうもいきません。忙しい上に会社が赤字になったらリストラされる…という企業がほとんど。
確かに大手企業であるソニーや東芝、日立は大々的にリストラをしていますがリストラによる退職金は満額以上にもらえちゃうし、大手企業に勤めていた実績があれば転職もしやすい。
中小企業のリストラと大手企業のリストラは全く意味が違うのです。ご参考までに大手日系企業の標準的な年収例を紹介します(大学新卒入社)。
- 5大総合商社;30歳で年収1,000万円突破(手当込み)
- 金融、証券;30〜40歳で年収1,000万円突破(手当込み)
- 大手専門商社;35〜40歳で年収1,000万円突破(手当込み)
- 大手メーカー;35〜40歳で年収1,000万円突破(手当込み)
メリット3. 給料以外に支給される手当がすごい!
大企業のいいところは、基本給以外にもさまざまな手当がつくこと。これによって年収が多くなります。残業の多い社員は年収が同期の2倍近くなることも(ただし残業の多い“激務な企業”はおすすめできません)…
ご参考までに大手日系企業の標準的な手当を紹介します。
- 残業代がちゃんと出る
▼中小企業やベンチャーの場合、残業代など支払われないブラック企業が多い傾向。確かに金融や証券、商社の場合にはサービス残業が多いかもしれませんが、それでも中小企業より全然マシ。 - 家族手当
▼相場:3万円/月
結婚していたり子供がいる家庭に支払われる手当。子供一人あたり◯万円という会社もある。 - 出張手当
▼相場:泊まり出張4,000円/日、日帰り出張1,000円/日 - 単身赴任手当
- 転勤手当
- 退職金の額がすごい
▼相場:生涯年収の10%程度 - 住宅購入時の会社補助
▼金額は会社によってマチマチ - 通勤手当
▼相場:交通費全額支給 - 首都圏勤務手当
▼相場:1〜3万円/月
メリット4. 福利厚生もバッチリ充実
年収や手当も大事だけど、それと同じくらい効いてくるのが福利厚生。中小企業は福利厚生のしょぼい会社がほとんど。一方の大手企業はとんでもなく手厚い保護が受けられます。
ご参考のため、大手日系企業の標準的な福利厚生を紹介します。
- 社宅を完備、または家賃の補助
▼3万円〜10万円/月 - 充実した年金制度
▼厚生年金、共済年金、企業年金 - 充実した保険制度
▼健康保険、失業保険、団体保険など - 資格支援
▼英語学習などの費用5-7割会社がだす - ストックオプション
メリット5. 組織がしっかりしている。無駄な雑務が少ない
大手企業は組織がしっかりしています。この人は◯◯の仕事。この人は△△の仕事。というように、自分のテリトリー内で仕事をします。
それでも雑務は発生しますが、多くの大手企業は派遣社員に雑務をやらせておいて、正社員は価値を生み出す仕事に専念できます。
ところが中小企業やベンチャー企業の場合、雑務を専門にこなしてくれる人など存在しません。社員は何でも屋になりがちで、雑務に追われます。
結果、自分が何をすべきか?何をしたいか?が分からなくなってしまうのです。←私もこんな感じになってしまった時期が…
メリット6. スキルが身につく
スキルとは資格のことではなく、ビジネスを立ち上げるスキルのこと。
ベンチャーに就職したい学生は「スキルを身につけて将来、独立するんだ!」と勢いだけはいいものの、ベンチャーで実際に働くと、あまりの忙しさに目先の仕事ばかりになってしまいます。ビジネスのやり方を学ぶ時間がありません。
結果、視野が狭くなってチマチマした所しか見えなくなりがち。このような人に、ちゃんとしたビジネスを立ち上げることは不可能です。
一方の大手企業。社員の雑務が少ないので「いかに効率よくお金を生み出すか?」「いかに需要家にマッチした製品を開発するか?」に集中することができます。
結果、ビジネスのセンスが磨かれていきます。
メリット7. お金が豊富にある。より大きなビジネスが描ける
中小企業やベンチャー企業はとにかくキャッシュがありません。銀行から借り入れたりする訳ですが、銀行もホイホイとお金を出しません。せっかくいいアイディアを持っていてもお金集めばかりする羽目に…
結局、少ない予算の中でなんとかやり繰りしなければならず、製品やサービスの完成度はしょぼいものになりがち。より大きなビジネスを描くことができません。
一方の大手企業。1億円なんてゴミみたいな金額。儲かるネタがあれば、どんどん製品開発や投資案件にお金を注ぎ込みます。たとえば総合商社の場合、数百億円、数千億円のお金を一つの案件で動かす時もあります。
メリット8.大手企業には「しょうもない人間」が少ない
しょうもない人間とは話がつまらないとか、イケてないとか、そういうことではない。
「しょうもない人間=人として最低限のマナーを守ることができない人間」のこと。
たとえば会社のお金を持ち逃げするとか、会社の経費を個人用に使い込むとか、敬語を使えないとか…です。
同僚で大手企業をリタイヤして家業の中小企業を継いだ社員がいました。まさに今、しょうもない人しか採用できない問題に頭を悩ませているそうです。
一方の大手企業。
学歴フィルターによってベースの高い(と思われる)学生を選抜しています。結果、より恵まれた仕事仲間に出会うことができます。
私は営業として数々の大企業社員と仕事をしてきましたが「こいつは人間としてダメだろ…」という人には出会ったことがありません。←ラッキーなだけ!?
メリット9. 結婚相手に選ばれやすい。モテる。
合コンで「大手企業の社員です」と言うとかなりの確率でモテます(そんなお金にタカるような女性は相手にしないほうがいいですけどね…)。
それだけじゃなく、もっと重要な局面“結婚”でも大手企業の看板は効果絶大。これは結婚相手のご両親を説得するときに最も効果を発揮しました。
私:◯◯大学卒業で△△という大手企業に勤めています。娘さんと結婚させてください。
ご両親:わかった。娘を託したぞ。
これだけで終わり。
私は20代前半、大学卒業して間もない頃に結婚しましたが、名もない企業に勤めていたらこうはいきません。「世の中なめるな。そんな馬の骨ともわからない奴に、大切な娘を託せるか!!」と、門前払いされて終わりだったことでしょう。
また私の同期社員も7割は20代で結婚しています。
これが大手企業パワーの何よりの証明ではないでしょうか?
メリット10. 大手企業へ転職がしやすい
人材は大手企業の中だけでグルグルと回っています。それの意味する所は中小企業の勤務経験しかない人に逆転はない、ということ。
そして、たまに才能あふれる人がこの大手企業の人材市場から飛び出して起業します(楽天の三木谷社長など)。
Eランクの中小企業やベンチャー企業から大手企業へ転職するのはほぼ不可能。
ましてや起業なんてもっと不可能。
私みたいな月収100万円程度の“なんちゃってベンチャー企業社長”になら、誰でもなれますけどね…話はそれましたが、だからこそ最初は絶対に大企業に就職するべきなのです。
11. 大企業のデメリットは存在しなかった!?
デメリットは何一つないと思います。でも強いて述べるとしたらメリットの裏返しがデメリット。年収の安定感なんていらないし、結婚もしたくないし、小さいビジネスをやりたい、雑務ばかりで激務でも構わない、というあなたは中小企業を就職先に選んでも大丈夫です。
また一般的には以下のようなデメリットが挙げられているようですが…全ての事項に対して、ちゃんと反論することができます。
あまりに間違った認識が多かったため、次回はそれぞれの項目について反論していきます。
一般論:大企業のデメリット
こちらの記事を参照にしました。
- デメリット1. 専門的な仕事をするため潰しが利かない
- デメリット2. 理不尽な転勤
- デメリット3. 今後はポスト(役職)不足になる
- デメリット4. 個人が有能でも結果に直結しない。スピード感がない
- デメリット5. 大企業にしがみつく人生を楽しめるか?
大企業に就職したい地方大学3年生です。
大企業への就職方法を教えてください。
この記事を読み、ますます大企業への思いを強くしました。就職活動では大企業しか受けていないのですが全然受かりません。どうしたらいいでしょう?