「お目通しいただきありがとうございます」の意味と使い方・例文

「お目通しいただきありがとうございます」の意味、敬語の種類、ビジネスシーンにふさわしい使い方(メール・手紙・文書・社内上司・社外・目上・就活・転職)、注意点について。

ビジネスメールの例文つきで誰よりも正しく解説する記事。

意味

「お目通しいただきありがとうございます」は「目を通してもらいありがとう」という意味。

なぜこのような意味になるのか?

そもそもの意味と敬語について順をおって解説していきます。

“目を通す”の意味

目を通す(めをとおす)の意味は・・・

  • ひととおり見る。通覧する。
    【例文】資料に目を通す。
    【例文】資料をつくりましたので、一度お目通しいただけますか?
    【例文】講義のまえに、あらかじめお目通しください。

お目通しいただき~の意味は「目を通してもらい~」

「お目通しいただき~」の意味は「目を通してもらい~」

※表記は平仮名ではなく漢字「お目通し頂き」としてもOK。

もとになる語「目を通す」に「~してもらう」の敬語(謙譲語)「お(ご)~いただく」をつかうと「お目通しいただく」という敬語になります。

したがって意味は「目を通してもらい~」と解釈できます。

謙譲語「お(ご)~いただく」は他にもたとえば、

【例文】ご連絡いただく →「連絡してもらう」の意味

【例文】ご指導いただく →「指導してもらう」の意味

などのようにして使われますね。

上司・目上・ビジネスメールに使うフレーズとしてはとても丁寧で好感がもてます。

あわせると意味は「目を通してもらい、ありがとう」

  1. お目通しいただき=「目を通してもらい」の意味の敬語(謙譲語)
  2. ありがとうございます = お礼

これらの単語を合体させて意味を考えます。

すると「お目通しいただきありがとうございます」の意味は…

「目を通してもらい、ありがとう」

のように解釈できます。

敬語の種類

つづいて「お目通しいただきありがとうございます」の敬語の種類について。

この項目はかなりマニアックな敬語の解説になります。敬語について細かく学ぶ必要のないかたは読み飛ばしてください。

“お目通し”の敬語の種類

まずは前半部分「お目通し」の敬語について。

「お目通し」にかぎらず敬語「お(ご)」には①尊敬語もしくは②謙譲語の2パターンあり。

たとえば、

  1. 上司/目上などの相手が「お目通しくださる」「お目通しだ」→①尊敬語“お(ご)”
  2. 「自分がお目通しする」「相手にお目通しいただく」→②謙譲語“お(ご)”

というようになります。

ここでは「お目通しいただきありがとうございます」としているため、パターン②謙譲語の「お(ご)」ですね。

ちなみに謙譲語とか尊敬語ってなに?の解説はすこし後にあります。

敬語”いただく”の使い方

つづいて後半部分「いただく(頂く)」の敬語について。

「お目通しいただく」にかぎらず・・・

「お(ご)〜いただく」は「〜してもらう」の敬語(謙譲語)

使い方はたとえば、

  1. 「お目通しいただく」であれば「(上司なり目上に)目を通してもらう」の意味
  2. 「ご連絡いただく」であれば「(上司なり目上に)連絡してもらう」の意味
  3. 「ご指導いただく」であれば「(上司なり目上に)指導してもらう」の意味

というように使います。

あるいは単に「〜していただく」とし、

  1. 例文「目を通していただく」
  2. 例文「連絡していただく」
  3. 例文「指導していただく」

のように使っても丁寧です。意味はどちらもまったく同じ。

ビジネスメールなど文書では「お(ご)〜いただく」をつかうとよりカチッとした文章になります。

いっぽうで会話や電話対応など堅苦しい敬語がもとめられないシーンでは「〜していただく」でも十分に丁寧ですね。

補足①そもそも謙譲語とは?

①そもそも謙譲語とは…

敬語の一種であり、

謙譲語Ⅰ:自分側から相手側又は第三者に向かう行為・ものごとなどについて、その向かう先の人物を立てて述べるもの。

謙譲語Ⅱ:自分側の行為・ものごとなどを、話や文章の相手に対して丁重に述べるもの。

の2種類あり。

これだけだと何のことだか意味不明なので謙譲語の基本形をまとめておきます。

以下の使い方だけ覚えておけばビジネスシーンで困ることはありません。

  1. お(ご)〜する
    お(ご)〜します
  2. 〜いたす
    〜いたします
  3. お(ご)〜いたす
    お(ご)〜いたします
  4. お(ご)〜申し上げる
    お(ご)〜申し上げます
  5. お(ご)〜差し上げる
    お(ご)〜差し上げます
  6. 〜していただく
    〜していただきます
  7. お(ご)〜いただく
    お(ご)〜いただきます
  8. 〜させていただく
    〜させていただきます
  9. お(ご)〜させていただく
    お(ご)〜させていただきます

※1〜5の意味は(自分が)〜する

※6・7の意味は(自分が相手に)〜してもらう

※8・9の意味は(自分が)〜させてもらう

「〜」の部分にイロイロな語がきて謙譲語になります。たとえば「了承」「教示」「承諾」「検討」「容赦」「査収」「取り計らい」など。

【注意事項】

・「させていただく」「申し上げる」「差し上げる」は日本語としておかしい表現になる時もあり、何でもかんでも使える訳ではありません。

・丁寧語「ます」とくみあわせて「〜します」「〜いたします」とするのが丁寧な使い方です。ご留意ください。

ちなみに、これは文化庁の「敬語の指針」においても解説されています。私のような頭の悪い人には難しいのですが、ご興味ありましたら以下のリンクよりどうぞ。

補足②そもそも尊敬語とは?

②そもそも尊敬語とは…

敬語の一種であり、相手側又は第三者の行為・ものごと・状態などについて、その人物を立てて述べるもの。

こちらもより分かりやすくするため、代表的な尊敬語の使い方をまとめておきます。

  1. お(ご)~だ
    お(ご)~です
  2. お(ご)~になる
    お(ご)~になります
  3. ~される
    ~されます
  4. ~なさる
    ~なさいます
  5. お(ご)~なさる
    お(ご)~なさいます
  6. ~してくださる
    ~してくださいます
  7. お(ご)~くださる
    お(ご)~くださいます

※1〜5の意味は(目上なり上司が)〜する

※6・7の意味は(目上なり上司が)〜してくれる

「〜」の部分にイロイロな語がきて尊敬語になります。たとえば「連絡」「指示」「利用」「報告」など。

【注意事項】

・「〜される」は受け身形との混同をまねくことがあるため要注意。

・丁寧語「です・ます」とくみあわせて「お(ご)〜です」「お(ご)〜になります」とするのが丁寧な使い方ですのでご留意ください。

使い方は”お礼”のビジネスシーン(メールetc)

つづいて「お目通しいただきありがとうございます」の使い方について。

文字どおり「目を通してもらいありがとう」というお礼フレーズなので、そのようなビジネスシーン(メールなど)で使います。

上司・目上など社内にかぎらず社外にも使える丁寧な敬語フレーズですね。

お目通しくださいまして~としても丁寧

「お目通しいただきありがとうございます」の使い方

ところで「お目通しいただきありがとうございます」と似たようなフレーズには…

  • 例文「お目通しくださいまして誠にありがとうございます」
  • 例文「お目通しくださり、ありがとうございます」

※「お(ご)~くださる」は「~してくれる」の尊敬語

もあります。

あるいは単に「お目通しありがとうございます」としてもまぁ問題はありません。

結論としてはどれを使っても丁寧な敬語です。

「お目通しくださいまして~」の「ください」は「くれる」の尊敬語「くださる」を使っています。どちらを使っても結局は同じことを述べています。

お目通しいただきまして~だとなお丁寧

「お目通しいただきありがとうございます」の使い方

「お目通しいただきありがとうございます」としても十分に丁寧ではありますが…

丁寧語”ます”の活用形「~まして」をくみあわせて、

  • 例文「お目通しいただきましてありがとうございます」

とするとなお丁寧な敬語になります。

まぁ「お目通しありがとうございます」だけでも十分ではありますが…丁重なメールに仕上げたいときにどうぞ。

相手に著しく負担をかけた時は「恐縮」を使う

上司や目上などの相手にとんでもなく負担をかけてしまったときには…

「ありがとう」だとイマイチしっくりこないですね。

こんなときには申し訳なくおもう気持ちをしめすフレーズをもってくると丁寧です。

とくに上司・目上や取引先にいちじるしく負担をかけたときには以下の例文をつかうと好感度UP。

  • お目通し+恐縮(申し訳なく思うこと)
    「お目通しいただき誠に恐縮です」
    「お目通しいただきまして誠に恐縮でございます」
    「お目通しくださいまして誠に恐縮でございます」
  • お目通し+恐れ入る(申し訳なく思う)
    「お目通しいただき大変恐れ入ります」
    「お目通しいただきまして誠に恐れ入ります」
    「お目通しくださいまして誠に恐れ入ります」

こんな感じでつかうと丁寧なビジネスメールになります。

他にもある丁寧な「お目通し」の例文

お礼のシーンで「ありがとう」ばかりつかっていては敬語ビギナー。

お礼をしめすフレーズは他にもいろいろあります。

中級〜上級者むけですが、代表的な言い換え例文だけを紹介しておきます。

  • 例文「お目通しいただき感謝申し上げます」
  • 例文「お目通し頂きお礼申し上げます」
  • 例文「お目通し頂き深謝いたします」
  • 例文「お目通しいただき深謝いたしております」

※「深謝」は「深く感謝すること」の意味

クッション言葉を添えるとなお丁寧

ビジネスメールのお礼をより丁寧にするためのコツ。

「お目通し」の前置きにはそえるクッション言葉や、相手を気づかうフレーズをもってくるとなお丁寧です。

たとえば「ご多忙にも関わらず」などと組み合わせ、以下例文のようにすると好感がもてますね。上司や目上にはもちろんのこと、取引先のメールにも使える丁寧な例文にしています。

  • ご多忙にも関わらず=忙しいにも関わらず
    「ご多忙にも関わらずお目通しいただき誠にありがとうございます」
  • ご多用にも関わらず=忙しいにも関わらず
    「ご多用にも関わらずお目通しいただき誠にありがとうございます」
  • 勝手を申し上げたにも関わらず=自分勝手を言ったにも関わらず
    「勝手を申し上げたにも関わらずお目通し〜」
  • ご無理申し上げたにも関わらず = 無理を言ったにも関わらず
    「ご無理申し上げたにも関わらずお目通し~」

【例文】ビジネスメール全文

つづいて「お目通し頂きありがとうございます」を使ったビジネスメールの例文を紹介します。

目上・上司にかぎらず社外取引先にもつかえる丁寧な敬語フレーズにしています。ご参考にどうぞ。

ビジネスメール例文①お目通しのお礼(社内)

メール件名:返信Re:市場調査資料送付の件

○○部長 (社内上司・目上)

お疲れ様です。

早速資料にお目通しいただき誠にありがとうございます。

さて、ご指摘部分を訂正いたしましたので、再度添付ファイルにて送付いたします。

ご査収のほどよろしくお願いいたします。

**************
メール署名
**************

ビジネスメール例文②お目通しのお礼(社外)

メール件名:返信Re:売買契約(案)送付の件

株式会社ビジネス
営業部 ●● 部長(社外取引先)

いつもお世話になっております。
(株)転職・ノマドです。

メール拝受しました、早速お目通しいただき誠にありがとうございます。

ご依頼事項につき承知いたしました。
対応可能かどうか弊社法務担当とすり合わせの上、ご報告申し上げます。

回答に今週末までお時間をいただければ幸いです。

よろしくお願い申し上げます。

************
メール署名
************

“お目通し+お礼”の敬語フレーズまとめ

いろいろ散らかってきたので、一旦まとめ。

これまで紹介した例文もつくめ”お目通し+お礼”の敬語フレーズを表にまとめておきます。

使い方に迷ったときのご参考にどうぞ。

お目通し+ありがとう

① 意 味 ② 例 文 ③ 敬語の種類
いただき
ありがとうございます
してもらい
ありがとう
お目通しいただき
ありがとうございます
“もらう”の
謙譲語”いただく”
いただきまして
ありがとう~
してもらいまして
ありがとう
お目通し頂きまして
ありがとうございます
いただく
+丁寧語”ます”
活用形
いただけるとのこと
ありがとう~
してもらえるとのこと
ありがとう
お目通し頂けるとのこと
ありがとうございます
 いただく
+可能”ける”
くださり
ありがとう~
してくれて
ありがとう
お目通しくださり
ありがとうございます
尊敬語”くださる”
くださいまして
ありがとう~
してくれまして
ありがとう
お目通しくださいまして
ありがとうございます
くださる
+丁寧語”ます”
活用形

※漢字表記「頂く」「下さる」をもちいてもOK

※過去形にしたければ「ありがとうございました」に言い換えする

お目通し+いろいろなお礼フレーズ

① 深謝 ② 感謝 ③ お礼申し上げる
お目通しいただき -深謝いたします

-深謝いたしております

-深謝申し上げます

-感謝いたします

-感謝いたしております

-感謝申し上げます

-お礼申し上げます
お目通し
いただきまして
お目通し
いただけるとのこと
お目通しくださり -深謝いたします

-深謝いたしております

-深謝申し上げます

-感謝いたします

-感謝いたしております

-感謝申し上げます

-お礼申し上げます
お目通し
くださいまして

※漢字表記「頂く」「下さる」をもちいてもOK

※強調するフレーズ「誠に」「大変」などをくわえてもOK

お目通し+申し訳なく思うフレーズ

① 恐縮 ② 恐れ入る
お目通しいただき -恐縮です

-恐縮でございます

-恐縮に存じます

-恐れ入ります
お目通し
いただきまして
お目通し
いただけるとのこと
お目通しくださり -恐縮です

-恐縮でございます

-恐縮に存じます

-恐れ入ります
お目通し
くださいまして

※漢字表記「頂く」「下さる」をもちいてもOK

※強調するフレーズ「誠に」「大変」などをくわえてもOK

クッション言葉+お目通し+お礼

ビジネスメールのお礼をより丁寧にするためのコツ。

「お目通し」の前置きにはそえるクッション言葉や、相手を気づかうフレーズをもってきても丁寧です。

たとえば「ご多忙にも関わらず」などと組み合わせ、以下例文のようにすると好感がもてますね。上司や目上にはもちろんのこと、取引先のメールにも使える丁寧な例文にしています。

  • ご多忙にも関わらず=忙しいにも関わらず
    「ご多忙にも関わらずお目通しいただき誠にありがとうございます」
  • ご多用にも関わらず=忙しいにも関わらず
    「ご多用にも関わらずお目通しいただき誠にありがとうございます」
  • 勝手を申し上げたにも関わらず=自分勝手を言ったにも関わらず
    「勝手を申し上げたにも関わらずお目通し〜」
  • ご無理申し上げたにも関わらず = 無理を言ったにも関わらず
    「ご無理申し上げたにも関わらずお目通し~」
  • 早速/早々に
    「早速お目通しいただきありがとうございます」
    「早々にお目通し〜」

“お目通し頂き vs お目通しくださいまして”の違い

ここで少し横道にそれます。

お目通しいただきありがとうございます」と似たような表現には

お目通しくださいましてありがとうございます」

これって何が違うのでしょうか?

結論としてはどちらも上司や目上・取引先などに使える丁寧な敬語フレーズです。ここではその根拠について順を追って解説していきます。

敬語・意味の違い

まずは敬語と意味の違いについて。とくに色づけした部分についてよくご確認。

  • お目通しいただきありがとうございます
    意味は「目を通してもらいありがとう」
    敬語は「~してもらう」の謙譲語「お(ご)~いただく」を使用。
  • お目通しくださいましてありがとうございます
    意味は「目を通してくれてありがとう」
    敬語は「~してくれる」の尊敬語「お(ご)~くださる」を使用。
    「まして」の部分は丁寧語「ます」の活用形

色づけしたところが主に違います。

どちらも同じように使える

ということで、

「お目通しいただく=目を通していただく」なのか「お目通しくださる=目を通してくださる」なのか、という点において違いますが丁寧さとしてはまったく同じです。

また、

お目通しいただきありがとうございます」「お目通しくださいましてありがとうございます」はどちらも結局のところ、お礼を述べているわけであってどちらも同じように使います。

お礼では「お目通しいただき〜」が一般的

わたしの経験上ではお礼のビジネスシーンにおいては「お(ご)〜いただきありがとう」という敬語フレーズを使うことが多いです。

おっさん営業マンのたわごとですので無視してもらって構いませんけど…

本来はどちらも丁寧な敬語フレーズですので、あまり悩む必要はありません。

「いただく vs. くださる」の使い分け

せっかくですので「いただく」「くださる」の違いを例文で考えてみます。

たとえば結び・締めに使う「お願い」するときのシーンを考えましょう

すると…

「ご容赦くださいますようお願い致します」
「ご容赦いただきますようお願い致します」
「ご了承くださいますようお願い致します」
「ご了承いただきますようお願い致します」
「ご検討くださいますようお願い致します」
「ご検討いただきますようお願い致します」

こんな敬語フレーズをよく使います。

実はこれらは「くださる」を使うのが一般的です…
「いただく」としても丁寧ではありますが…

ところが、たとえば何かをもらった時のお礼のシーンを考えます。

「たいそうなお品をくださりありがとうございました」
「たいそうなお品をいただきありがとうございました」

もうひとつ、

ご利用くださりありがとうございます」
ご利用いただきありがとうございます」

上記の例文はどれも敬語としては正しい使い方。
ただ圧倒的に「いただき〜」とするほうが多いですね。

本来でしたらどれも丁寧な敬語であり同じように使えます。

参考記事