「お引き受けいただきますようお願い申し上げます」の意味、ビジネスシーンにふさわしい使い方（メール・手紙・文書・社内上司・社外・目上・就活・転職）、注意点について。
ビジネスメールの例文つきで誰よりも正しく解説する記事。
※長文になりますので「見出し」より目的部分へどうぞ
意味
「お引き受けいただきますようお願い申し上げます」は直訳すると「引き受けてもらうようお願いします」という意味。
ようは「引き受けてほしい」と言いたいわけなのですが…
なぜこのような意味になるのか？
そもそもの意味と敬語について順をおって解説していきます。
“お引き受けいただきますよう”の意味は「引き受けてもらうように」
「お引き受けいただきますよう～」の意味は直訳すると「引き受けてもらうように」
「～してもらう」の敬語（謙譲語）「お（ご）～いただく」をつかい、
さらに丁寧語「ます」＋「よう（様）」を組み合わせると「お（ご）～いただきますよう」という敬語になります。
「ますよう」ってどんな意味？
“お引き受けいただきますようお願い申し上げます”の「ますよう」ってどんな意味でしょうか？
先ほども示しましたが、
「ますよう」は「①ます＋②よう（様）」という2つの単語からなります。
まず前半部分の「ます」はシンプルに丁寧語の「ます」
つづいて後半の「よう（様）」の意味はいろいろありますが…
ここでは「婉曲 (えんきょく) な命令・希望の意を表す」言葉として使われます。
希望をあらわす「よう（様）」にはたとえば、
- 【例文】時間に遅れないよう、ご留意ください
- 【例文】部長に怒られないように気をつける
- 【例文】風邪などお召しになりませんように
などあり。
ちなみに「ように」でも「よう」でも正しい日本語ですが、「お引き受けいただきますようにお願い申し上げます」はあまり一般的ではありません。
また表記は漢字「ます様に」でも平仮名「ますように」でも、どちらも正しい日本語です。
お願い申し上げます は「お願いする」よりも丁寧な敬語
「お願い申し上げます」の意味は「お願いする」
ただし、この上なく丁寧な敬語「お（ご）～申し上げます」をつかっているため実際にはもっと丁寧なニュアンス。
もととなる単語は「願う」であり、
謙譲語「お（ご）〜申し上げる」を使い「お願い申し上げる」とし、さらに丁寧語「ます」を使って敬語にしています。
「お願い申し上げます」は「よろしくお願い申し上げます」としてもOKですし、「どうか」という意味の「何卒（なにとぞ）」を使い「何卒よろしくお願い申し上げます」としても丁寧。
あるいは「お願い致します」にも言い換えできます。
あわせると意味は「引き受けてもらうよう、お願いします」
- お引き受け ＝ 引き受けること
- お（ご）～いただく ＝ 「〜してもらう」の意味の敬語（謙譲語）
- ますよう＝丁寧語「ます」＋希望「よう（様）」
- お願い申し上げます = 「お願いする」よりもかしこまった敬語
これらの単語を合体させて意味を考えます。
すると「お引き受けいただきますようお願い申し上げます」の意味は…
「引き受けてもらうように、お願いします」
のように解釈できます。
ようするに「引き受けてほしい！」「引き受けてください！」というあなたの希望をあらわしているのですが、このままではあまりにストレート過ぎて目上や上司に使うにはイマイチです。
そこで遠まわりに「～してもらうようにお願い！」として、とてもやわらか～いお願いの敬語フレーズにしています。
そんなに丁寧にお願いする必要あるの？って思うくらい。
目上・上司にはもちろんのこと社外取引先にもつかえる丁寧な敬語フレーズですね。
敬語の解説
念のため「お引き受けいただきますようお願い申し上げます」の敬語の使い方について整理しておきます。
- もとになる単語「引き受ける」
- 「〜してもらう」の謙譲語”お（ご）〜いただく”で「お引き受けいただく」
- 丁寧語”ます”をくっつけて「お引き受けいただきます」
- 希望を表す”よう（様）”で「お引き受けいただきますよう」
- 「お願いする」よりもかしこまった敬語「お願い申し上げます」
→ あわせると「お引き受けいただきますようお願い申し上げます」という敬語の完成
※ 漢字表記「頂きますよう」vs ひらがな表記「いただきますよう」はどちらも正しい
※ 漢字表記「ます様」vs ひらがな表記「ますよう」はどちらも正しい
上記のようにして元になる語「引き受ける」を敬語にしています。つまり敬語としては何もおかしいところはありません。間違いではなく正しい敬語です。
ちなみに敬語「お（ご）」は…
「自分がお引き受けする」のであれば謙譲語としての使い方。
上司・目上・取引先などの「相手がお引き受けくださる」のであれば尊敬語としての使い方。
というように２パターンあります。
“お引き受け頂きますよう vs 頂けますよう”の違い
“お引き受けいただきますようお願い申し上げます”と似たような敬語には…
“お引き受けいただけますようお願い申し上げます”もあります。
これって何が違うのでしょうか？
念のため「お引き受けいただきますよう vs お引き受けいただけますよう」の違いについて簡単に説明しておきます。
意味と敬語の違い
どちらも結局のところ「引き受けてほしい！」「引き受けてください！」という意味になるのですが…こまかくは以下のとおり意味と敬語の違いあり。
- 「お引き受けいただきますよう」だと意味は「引き受けてもらうよう」
→ 敬語は”お（ご）～いただく”＋丁寧語”ます”＋希望”よう”
いっぽうで、
- 「お引き受けいただけますよう」だと意味は「引き受けてもらえるよう」
→ 敬語は”お（ご）～いただく”＋可能形＋丁寧語”ます”＋希望”よう”
となります。
謙譲語「いただく」に可能表現をつけくわえると「いただける」。
ということなので可能表現をつかうのか、そうでないかという点において違いますね。
可能の表現をつかうと意味としては「〜してもらえるよう」となります。
おなじような可能の表現にはたとえば、
「泳ぐ → 泳げる」
「書く → 書ける」
「聞く → 聞ける」
などあり。どれも「〜できる」という意味になりますね。
“お引き受け頂けますよう~”のほうが丁寧
「お引き受けいただきますよう vs お引き受けいただけますよう」の違い
で結局どちらがより丁寧かというと…
「お引き受けいただけますよう~」のほうがより丁寧な敬語になります。
可能の表現をつけくわえることによって「もしよかったら引き受けてもらえますか？」というようなニュアンスになるからですね。
よりやわらか～いお願い・依頼のフレーズと解釈できます。
本当に些細なことなので誰も気にしないとは思いますが…
ただ結論としては、
とにかくどちらも上司・社内の目上にかぎらず社外取引先にもつかえる丁寧な敬語です。
ご安心ください。
【使い方】ビジネスメールの結びetc…
つづいて「お引き受けいただきますようお願い申し上げます」の使い方について。
意味のとおりで何かしら「引き受けてほしい！」「引き受けてください！」と言いたいビジネスシーンに使います。
ただしビジネス会話や電話対応でつかわれることはほとんどなく、ほとんどの場合ビジネスメールで、とくに結び・締め・文末につかいます。
ビジネスメール結び・締め・文末につかう特有のフレーズとお考えください。
※もちろん結びでなくても使えないことはありませんが…
①例文
「お引き受けいただきますようお願い申し上げます」はたとえば、
- 【例文】どうかお引き受けいただきますようお願い申し上げます
- 【例文】何卒お引き受けいただきますようお願い申し上げます
- 【例文】大変恐れ入りますが、どうかお引き受けいただきますようお願い申し上げます
のようにして使います。
ほとんどの場合ビジネスメールで、とくに結び・締め・文末としてつかいますね。
まぁようするに「引き受けてほしい！」「引き受けてください！」という意味なのですが丁寧な敬語にすると、こんな風にややこしい文章になります。
②”お引き受けいただきますようお願い致します”でも丁寧
ところでビジネスシーンでは、
「お引き受けいただきますようお願い申し上げます」としても丁寧ではありますが…
「お願い申し上げます」とおなじ意味の「お願い致します」をつかい、
- 【例文】お引き受けいただきますようお願い致します
としても丁寧です。
あるいは…
「どうか」という意味の「何卒（なにとぞ）」をつかい「お引き受けいただきますよう何卒よろしくお願い申し上げます」
としても丁寧です。
頭の片隅にいれておきましょう。
“お引き受けくださいますよう~”でも丁寧
「お引き受けいただきますようお願い申し上げます」の他にもビジネスメール結び・締め・文末によく使う敬語には、
- 【例文】お引き受けくださいますようお願い申し上げます
- 【例文】お引き受けくださいますようお願い致します
※意味はどちらも「引き受けてくれるようお願いします」
もあります。
「引き受けてください！」とストレートに言うのではなく遠回しに自分の意思や気持ちをつたえる、とても丁寧なフレーズですね。
ニュアンスとしては「引き受けてください、お願いします」みたいなイメージ。
“いただきますよう vs. くださいますよう”の意味と違い
「お引き受けいただきますよう」vs「お引き受けくださいますよう」の意味と違い。
どちらも言いたいことは結局のところ「引き受けてほしい」なのですが…
意味と敬語の使い方に違いあり。以下のような違いがあります。
- 「お引き受けいただきますよう」だと意味は「引き受けてもらうよう」
→ 敬語は謙譲語”お（ご）～いただく”＋丁寧語”ます”＋希望”よう”
いっぽうで、
- 「お引き受けくださいますよう」だと意味は「引き受けてくれるよう」
→ 敬語は尊敬語”お（ご）～くださる”＋丁寧語”ます”＋希望”よう”
※ 尊敬語「お（ご）～くださる」の意味は「～してくれる」
となります。
「ください」単体としての意味は「〜してくれ」「〜して欲しい」の丁寧な言いまわしと考えることができます。
が、
「ください」は敬語ではあるものの、結局のところ命令形であるために強い口調となります。
そこで「ますようにお願い」と続けることで「お願い」とすり替え、やんわ〜りとした表現にしています。とても丁寧な敬語フレーズと言えますね。
どちらも丁寧であり使い分けの必要なし
で、どちらが丁寧かという話。
結論としてはどちらも丁寧であり使い分けする必要はありません。
どちらかというとビジネスメールの結びには「～くださいますよう」をつかうことが多いのですが…
これは年代によって違いますし地域によっても差があるかと。
若い世代は「いただきますよう」を好み、私のようなおっさんは「くださいますよう」を好む傾向にあり。
ということで心底どちらをつかっても差し支えありません。
“お引き受けいただけますと幸いです”だとなお丁寧
“引き受けてほしい！”と言いたいときに使える敬語。
他にもビジネスメール結び・締め・文末によく使う敬語には…
「お引き受けいただけますと幸いです」「お引き受けいただけましたら幸いです」などあり。
ビジネスメール結び・締め・文末につかうときにはたとえば、
- 【例文】お引き受けいただけますと幸いです。宜しくお願い申し上げます。
→意味は「引き受けてもらえると嬉しいです」 - 【例文】お引き受けいただけましたら幸いです。何卒よろしくお願い申し上げます。
→意味は「引き受けてもらえたら嬉しいです」 - 【例文】お引き受けいただけましたら幸いです。お願い致します。
のように、あとに「お願いします！」的な文章をつけくわえて使います。
意味と敬語
どれも言いたいことは結局のところ「引き受けてほしい」なのですが…
敬語の使い方に違いあり。
- 謙譲語「いただく」を可能形にすると「いただける」という敬語になり、
- さらに丁寧語「ます」をくっつけると「いただけます」
- さらにさらに仮定の「たら・れば」をくっつけると「いただけましたら」
というような感じで敬語の使い方が違いますね。
そうすると意味も変わってきます。
「お引き受けいただけますと幸いです」のニュアンスとしては「引き受けてもらえると嬉しいのだけど…」であり、
「お引き受けいただけましたら幸いです」だと「引き受けてもらえたら嬉しいのだけど…」というような感じになります。
違い
「お引き受けいただきますようお願い申し上げます」でも遠回しにあなたの希望を伝える敬語なのですが…
「お引き受けいただけますと幸いです」だともっと大げさになります。
「お引き受けいただけましたら幸いです」だと、もっともっと大げさになります。
かな〜り遠回しにお願いをしているわけで、目上・上司・取引先への言葉づかいとしてはこの上なく丁寧ですね。
そんなに丁寧にする必要あるの？って思うくらい。
まぁ、ひとつのオプションとしてお好みでお使いください。
メール結びでなければ”お引き受けくださいませ”なども丁寧
ここまではとくにビジネスメール結び・締め・文末によくつかう敬語フレーズを紹介しました。
ところでメール結び・締めではなく、普通に上司や目上に「引き受けてほしい」と言いたいときの敬語としては…
たとえば、
- 【例文】お引き受けくださいませ
→意味は「引き受けてください」
で十分に丁寧です。
あるいは、
- 【例文】お引き受けいただきたく存じます
→意味は「引き受けてもらいたいと思います」 - 【例文】お引き受けいただければと存じます
→意味は「引き受けてもらえたらと思います」 - 【例文】お引き受けいただきたく、お願い致します
→意味は「引き受けてもらいたい、お願いします」
としても丁寧です。
ようはどれも「引き受けてほしい！」と言いたいわけですが、敬語の使い方がびみょ〜に違います。目上・上司・取引先への言葉づかいとしてはどれも丁寧です。
“お引き受けください vs くださいませ”の違い
“お引き受けください vs くださいませ”の違い
もともと”お引き受けくださいませ”は「お引き受けください」という命令形。
ただ、
「お引き受けください」だとシーンによっては強い口調に感じられることがあり、目上・上司などに不快感をあたえる恐れがあります。
（実際には敬語なので決して失礼ということはないのですけど…）
そこで、
丁寧語の命令形「ませ」を添えることで、やんわ〜りとした依頼・お願いの敬語フレーズにしています。
敬語の解説
念のため「お引き受けくださいませ」の敬語の成り立ちを整理しておきます。
- もとになる単語「引き受ける」
- 「〜してくれる」の尊敬語”お（ご）〜くださる”で「お引き受けくださる」
- 丁寧語”ます”の命令形「ませ」をくっつけて「お引き受けくださりませ」
- 楽に発音するため「り→い」にして「お引き受けくださいませ」
※ 漢字表記「下さい」vs ひらがな表記「ください」はどちらもOK
※「くださりませ → くださいませ」への変化を「イ音便」といいます
このようにして元になる語「引き受ける」を敬語にしています。つまり敬語としては何もおかしいところはありません。間違いではなく正しい敬語です。
ビジネスメール例文（全文）
こうして長々と読んでいてもイメージがつかみにくいかと思いますので、より実践的に。
ここでは「お引き受けいただきますようお願い申し上げます」の使い方をビジネスメール例文でご紹介。
どれも目上・上司・取引先にふさわしい丁寧な敬語にしています。ご参考にどうぞ。
なおビジネスメールにおいては以下の敬語もオススメです。
① それなりに丁寧「お引き受けくださいませ」
② 丁寧「お引き受けいただければと存じます」
③ かなり丁寧「お引き受けいただければ幸いです」など
④ ↓とくにビジネスメール結び/文末につかう↓
「お引き受け頂きますようお願い申し上げます」
「お引き受けくださいますようお願い致します」
ビジネスメール例文：仕事を引き受けてほしい
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ご無理申し上げますが上記内容でお引き受けいただきますよう、お願い申し上げます。
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