3分でわかる鉄鋼業界。今後の動向と将来性まとめ2016年①世界情勢

就職活動と転職に必要な業界分析。今回は「鉄鋼業界(高炉メーカー)の動向と将来性」について語っていきます。鉄鋼メーカーはグローバルにビジネスを展開していて国内ばかり見ていても無意味。世界全体の話から入ろうと思います。

鉄鋼業界の現状と今後(世界)

世界の鉄鋼需要見通2016年〜2020年

単位:百万トン2014年実績2016年見通2020年見通成長率(年率)
世界累計1,6631,6571,8231.5%
中国7407097520.3%
アジア(中国以外)3423614273.6%
EU & CIS2652702891.5%
北米1701671811.1%
中東&アフリカ961051234.1%
南米5146510.1%

*出典:World Steel Association
*見掛消費量ベース

世界の鉄鋼需用量は世界で年率約1.5%ずつ伸びると予測されている。

鉄鋼用途の大半は公共事業関連(橋・建築・構造物)、建築、自動車。

そして世界需要の40%以上が中国という構図…でもこれは鉄鋼だけでなく化学品や自動車、その他いろいろな産業においても同じで驚くことではない。

ゴーストタウン(誰も住んでいない高層マンション、不要な公共事業)を作るのに、鉄やらセメントやら塩ビやらを大量に消費している、中国…見せかけの需要を創出しているが、いずれ破綻するだろう。

世界の粗鋼生産量見通2016年〜2020年

単位:百万トン2014年実績2016年見通2020年見通成長率(年率)
世界累計1,6701,6831,8231.5%
中国8238088680.9%
アジア(中国以外)3223373853.6%
EU & CIS3143193361.1%
北米1211351483.4%
中東&アフリカ4548625.5%
南米453643-0.9%

*出典:World Steel Association

もちろん消費国・中国が群を抜いて多く2016年見通しでは生産量8億トン。ちなみに日本の生産量は約1億トン。

アジアは中国・韓国(ポスコ・現代)・日本でほとんどを占める。

鉄鋼メーカーの世界ランキングTOP10(生産量ベース)

【世界No.1】アルセロール・ミッタル(ルクセンブルク)/97百万トン(年間粗鋼生産量)
【世界No.2】宝山鋼鉄+武漢鋼鉄(中国)/60百万トン
【世界No.3】河北鋼鉄(中国)/48百万トン
【世界No.4】新日鐵住金/46百万トン
【世界No.5】ポスコ(韓国)/42百万トン
【世界No.6】江蘇鋼鉄(中国)/34百万トン
【世界No.7】鞍山鋼鉄(中国)/33百万トン
【世界No.8】JFE/30百万トン
【世界No.9】首鋼集団(中国)/29百万トン
【世界No.10】タタスチール(インド)/26百万トン

*出典:新日鐵住金の2016年度/1Q決算資料
*最新動向:世界No.5宝山鋼鉄(中国)と世界No.11武漢鋼鉄(中国)が再編し世界No.2のメーカー誕生。

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世界ランキングトップ10に中国勢が6社。

まるで中国勢が世界をリードしているかのように見えるが実際は違う。宝山鋼鉄(中国)以外のメーカーは赤字垂れ流し状態。国策でなければほとんどのメーカーが潰れている。

さらには世界No.1のアルセロール・ミタル(ルクセンブルク)ですら赤字企業で倒産寸前。

2016年現在、まともに経営してるのは日本勢(新日鐵住金、JFE、神戸製鋼など)・韓国勢(ポスコ、現代製鉄)・米国勢くらいのものである。

が、それもジャブジャブの中国から世界にバラまき輸出されマーケット価格が低迷…

「中国バブル崩壊=中国メーカー倒産」するまで各社の業績は厳しいものとなるだろう。

鉄鋼メーカーのグローバル課題

①供給過剰(約6.4億トンの余剰)

よくニュースになっているので簡単な説明に止める。

世界生産量が約16.6億トンに対して、世界各社の生産能力累計は約23億トン(2015年ベース)。

約6.4億トンもの余剰キャパがある。

そのうち中国メーカーの余剰キャパは約4億トン(生産量8億/能力12億トン)。

稼働率は7割いかない…

普通の企業であれば7割稼働ではコスト上がりすぎてペイしない。中国政府の補助でなんとか成り立っているだけ。

※参考|中国は世界で最も製造コストの高い国である。

②中国メーカーの投げ売り輸出

中国メーカーの誤算は以下2点。

  1. 調子に乗って無計画に生産能力を増やしすぎたこと
  2. 中国内の需要が予想外に冷え込んでいること

でも中国メーカーはなんとかして売らないと本当に倒産する。

そこでどうするか?

安くして輸出するしかない。中国勢は日本・韓国メーカーの6-7割くらいの値段で売っている。こんなことをしては世界中から非難されて当たり前。

遅かれ早かれ各国はアンチダンピングを発動するだろう。←不当に安く輸出する国に法外な関税をかけること。200%の関税率(100円のガムが300円になる)とか普通にある。

それは中国メーカーの終わりを意味する。

まぁ「中国の余剰キャパ問題」は鉄鋼業界に限った話ではなく、すべてのメーカー業界に言えることなのだが(苦笑)。

③素材間競争(鉄→アルミ、鉄→プラスチック)

鉄には安価で高性能という強みあるが「重い」という最大の弱点がある。

軽量化を達成したい分野(車など)では鉄から他素材への置き換えが進む、かもしれない。

鉄鋼メーカーの地位を脅かすようなものではないが、100-200年後には鉄を使わなくなるかも。

続:②日本国内と日系メーカーの将来性

続いて日本国内とそのメーカーの将来性について語ります。

『3分でわかる鉄鋼業界。今後の動向と将来性まとめ2016年①世界情勢』へのコメント

  1. 名前:コメ 投稿日:2016/09/15(木) 17:33:15 ID:6736515d6 返信

    非常にわかりやすい業界分析。
    個人的には就職活動系記事よりこういった業界まとめ記事が好きです。
    (私は樹脂系の業界にいるので、鋼鉄業界の事など新鮮ですね!)

    • 名前:のまどサラリーマン 投稿日:2016/09/16(金) 02:33:35 ID:328318d2e 返信

      貴重なご意見ありがとうございます!

      今後の運営の参考にさせていただきます。
      業界分析の方は、いかんせん知識が足りておらず情報収集に時間を要しておりまして…
      少しずつの更新になるかとは思いますが、ご了承ください。

      管理人