ところで「ご理解」の使い方というか続くフレーズには、
「ご理解くださいますようお願い致します」
「ご理解のほどお願い致します」
「ご理解頂きますようお願い致します」
「ご理解頂ければ幸いです」
というように主に4つあります。これって何が違うのでしょうか?
「ご理解くださいますようお願い致します」
の意味は「理解してくれるようお願い」
※「くれる」の尊敬語が「くださる」
「ご理解のほどお願い致します」
の意味は「理解してくれるようお願い」「理解してもらうようお願い」
のどちらの意味にも取れる。
「ご理解いただきますようお願い」「ご理解賜りますようお願い」
の意味は「理解してもらうようお願い」
※「もらう」の謙譲語が「賜る・いただく」
「ご理解いただければ幸いです」
の意味は「理解してもらえたら嬉しいなぁ・幸せだなぁ」
となり「ご理解くださる」なのか「ご理解いただく」なのか「ご理解のほど」なのか「ご理解いただければ〜」なのかでニュアンスが違います。
どれを使っても丁寧ではありますが使い分けについても考えてみます。
もっとも丁寧なのは「ご理解いただければ幸いです」
いろいろと考えてはみましたがこれまで示した例文はどれも丁寧であり、使い分けする必要性はありません。
強いて言うのであれば「ご理解いただければ幸いです」がもっとも丁寧なお願い・依頼のフレーズ。
これまでと同じようにビジネスメール結び締めとして使います。以下の例文をご参考にどうぞ。
- 例文「ご理解いただければ幸いです。何卒よろしくお願い致します」
- 例文「ご理解いただければ幸いです。何卒よろしくお願い申し上げます」
- 例文「お忙しいところ大変恐れ入りますが、ご理解いただければ幸いです。何卒よろしくお願い致します」
「ご理解のほど~」がもっともよく使われる
もっとも使い勝手がよく、ビジネスメールでとくによく使われるのが「ご理解のほど宜しくお願い致します」「ご理解のほど宜しくお願い申し上げます」です。
「ご理解のほど~」は上司など社内の相手に限らず、社外取引先につかったとしても丁寧な敬語フレーズです。
ここで「ご理解のほど」の「のほど」は限定を避ける言い方で、意味としては「〜してもらうよう」「〜してくれるよう」と考えることができます。
断定をさけて表現をやわらげるのに用いる語です。
ビジネスでは下手(したて)に出ることが基本ですので、強い口調を避けるためにこのような使い方をするようになったのだと推測します。
「いただく」vs「くださる」の使い分けは難しい
せっかくですので「ご理解いただきますようお願い」「ご理解くださいますようお願い」の違いを考えてみます。
たとえば結び・締めに使う「お願い」するときのシーンを考えましょう
すると…
「ご理解くださいますようお願い致します」
「ご理解いただきますようお願い致します」
「ご理解くださいますようお願い致します」
「ご理解いただきますようお願い致します」
「ご理解くださいますようお願い致します」
「ご理解いただきますようお願い致します」
こんな敬語フレーズをよく使います。
実はこれらは「くださる」を使うのが一般的です…
「いただく」としても丁寧ではありますが…
ところが、たとえば何かをもらった時のお礼のシーンを考えます。
「たいそうなお品をくださりありがとうございました」
「たいそうなお品をいただきありがとうございました」
もうひとつ、
「いつもご利用くださりありがとうございます」
「いつもご利用いただきありがとうございます」
上記の例文はどれも敬語としては正しい使い方。
ただ圧倒的に「いただき〜」とするほうが多いですね。
ビジネスメール結び締めでは「くださいますよう」が一般的
で結論としては使う語によって「くださる」がよいのか「いただく」がよいのか、相性がありなんとも言えません。
結び・締めに使うフレーズとしては「くださいますよう」のほうが一般的で、お礼に使うフレーズとしては「〜いただきありがとう」を使うのが一般的です。
ただし本来であればどれも丁寧
ただ上記はあくまでも一般的な話。
実際にはどの例文を使っても、目上・上司にかぎらず社外取引先にもつかえる丁寧な敬語フレーズです。
ほかにも色々ある「ご理解」の例文
敬語の種類というのは本当にいろいろあります。
ほんの一例ですが例文にまとめておきます。
- 例文「ご理解いただければ幸いです」
※意味は「理解してもらえれば嬉しいです」 - 例文「ご理解いただけましたら幸いです」
※意味は「理解してもらえれば嬉しいです」 - 例文「ご理解いただければ幸甚に存じます」
※意味は「理解してもらえれば嬉しいです」 - 例文「ご理解のうえ、お力添えのほどお願い申し上げます」
※意味は「理解してもらい、手助けしてくれるようお願い」
・「いただきたく」は謙譲語「いただく」+願望「~たい」
・「いただければ」は謙譲語「いただく」+可能形+仮定「たら・れば」
【例文】ご理解願います のビジネスメール全文
さいごに「ご理解願います」を使ったビジネスメールの例文を紹介します。
目上・上司にかぎらず社外取引先にもつかえる丁寧な敬語フレーズにしています。ご参考にどうぞ。
※実際には言い換え「ご了承」「ご容赦」を使うケースが多いです
例文①営業時間変更のお知らせメール
メール件名: 営業時間変更のお知らせ
◯◯株式会社
△△ 様
お世話になっております。
転職会社の転職太郎です。
さて首記の件、夏季休業にともない営業時間を以下のとおりに変更させていただきます。
ご迷惑をおかけし大変恐れ入りますが、
ご理解くださいますよう何卒よろしくお願い申し上げます。
記
- 期 間 8月10日から15日まで
- 営業時間 9:00-12:00
なお8月16日より通常の営業時間にて対応いたしております。
上記期間中、大変ご迷惑をおかけ致しますが、ご了承いただければ幸いです。
以上
メール署名
例文②お知らせメール
メール件名: システムメンテナンスのお知らせ(8/10 AM1:00-6:00)
◯◯株式会社 御中
貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
平素は格別のご高配を賜り厚くお礼申し上げます。
さて首記の件、
以下日程においてシステムメンテナンスを実施いたします。
- 日程
2017年8月10日(金)AM1:00~6:00 - メンテナンスの影響
人事、配送、販売システムはご利用できません
上記時間帯におきまして
一部システムの利用が制限されますのが、ご理解くださいますようお願い申し上げます。
大変ご迷惑をおかけ致しますが、
何卒よろしくお願い申し上げます。
メール署名
使うときにはできるだけ「ご了承・ご容赦」に言い換えしましょう。
ビジネスシーンではどんなときにも下手(したて)に出ることが相手に好かれるコツです。