敬語「ご希望」のビジネスに最適な使い方すべて

「ご希望」の意味と敬語の種類、ビジネスに最適な使い方のすべてについて。

① 依頼「希望してください」は敬語でなんて言う?

② お礼「希望してくれてありがとう」を丁寧な敬語にすると?

③ 断り「希望できません」と言いたいのだけど…

④ 禁止「希望してはダメ!」と言いたいときは?

⑤ 催促「希望してくれた?」を丁寧な敬語にすると?

⑥ 自分の行為「希望します!」の敬語は?

⑦ 希望・意思「希望したい!」ときの丁寧な敬語は?

メール・手紙・文書・社内上司・社外・目上・就活・転職にはどんな敬語が好ましい?

…などなど。

ここでは敬語「ご希望」にまつわる疑問のすべてに答えを示していきます。

※長文になりますので「見出し」より目的部分へどうぞ。

“ご希望”の意味と敬語の種類

まずは「ご希望」のそもそもの意味と敬語の種類について。

“希望”の意味は「願い・期待」

「希望」のそもそもの意味は…

  1. あることの実現をのぞみ願うこと。また、その願い
  2. 将来に対する期待。また、明るい見通し

たとえば、

【例文】13時からの面会を希望します。

【例文】年収1億円の転職先を希望しています。

のようにして使います。

ちなみに敬語は「希望」に尊敬語or謙譲語「お(ご)」で「ご希望」となります。

「自分がご希望する」あるいは相手に「ご希望いただく」のであれば謙譲語としての使い方。

上司・目上・取引先などの「相手がご希望くださる」のであれば尊敬語としての使い方。

というように2パターンあります。

敬語”お(ご)”の使い方

ややこしいので基本的な敬語の使い方についてくわしく解説を。

じつは尊敬語と謙譲語にはどちらも「お(ご)」の使い方があります。

謙譲語としての「お(ご)」の使い方はたとえば、

  • 会議日程のご連絡
  • 忘年会開催のお知らせ
  • 販売状況のご報告
  • 転勤のご挨拶
  • 貴社ご訪問のお願い

こんな感じのフレーズがあります。よくビジネスメールの件名で目にする表現ですね。

ところが例文は自分が「ご連絡・お知らせ・ご報告・ご挨拶」するため「お(ご)」をつかうのはおかしいと感じるかたもいらっしゃることでしょう。

これは、

謙譲語「お(ご)」の使い方を知らないためにくる勘違いです。

尊敬語の「お(ご)」だと勘違いしているために間違い敬語と感じるのですが、実際にはどれも正しい敬語をつかっています。

いっぽうで尊敬語の「お(ご)」は「部長がお戻りになりました」などのようにして、相手の行為をうやまって使う敬語です。

“希望”の敬語①謙譲語

謙譲語の「お(ご)」は尊敬語の「お(ご)」と勘違いしやすい敬語です。

そこで「希望」とのセットで謙譲語となる形をまとめておきます。

①そもそも謙譲語とは…

敬語の一種であり、

謙譲語Ⅰ:自分側から相手側又は第三者に向かう行為・ものごとなどについて、その向かう先の人物を立てて述べるもの。

謙譲語Ⅱ:自分側の行為・ものごとなどを、話や文章の相手に対して丁重に述べるもの。

の2種類あり。

  1. ご希望する
    ご希望します
    ※意味は(自分が)希望する
  2. 希望いたす
    希望いたします
    ※意味は(自分が)希望する
  3. ご希望いたす
    ご希望いたします
    ※意味は(自分が)希望する
  4. ご希望申し上げる
    ご希望申し上げます
    ※意味は(自分が)希望する
  5. ご希望いただく
    ご希望いただきます
    ※意味は(自分が相手に)希望してもらう
  6. 希望していただく
    希望していただきます
    ※意味は(自分が相手に)希望してもらう
  7. 希望させていただく
    希望させていただきます
    ※意味は(自分が)希望させてもらう
  8. ご希望させていただく
    ご希望させていただきます
    ※意味は(自分が)希望させてもらう

※「させていただく」は日本語としておかしい表現になる時もあり、何でもかんでも使える訳ではありません。

※丁寧語「ます」とくみあわせて「〜します」「〜いたします」とするのが丁寧な使い方です。ご留意ください。

ちなみに、これは文化庁の「敬語の指針」においても解説されています。私のような頭の悪い人には難しいのですが、ご興味ありましたら以下のリンクよりどうぞ。

“希望”の敬語②尊敬語

つづいて「希望」とのセットで尊敬語となる形をまとめておきます。

②そもそも尊敬語とは…

敬語の一種であり、相手側又は第三者の行為・ものごと・状態などについて、その人物を立てて述べるもの。

  1. ご希望だ
    ご希望です
    ※意味は(目上なり上司が)希望する
  2. ご希望になる
    ご希望になります
    ※意味は(目上なり上司が)希望する
  3. 希望される
    希望されます
    ※意味は(目上なり上司が)希望する
  4. 希望なさる
    希望なさいます
    ※意味は(目上なり上司が)希望する
  5. ご希望なさる
    ご希望なさいます
    ※意味は(目上なり上司が)希望する
  6. ご希望くださる
    ご希望くださいます
    ※意味は(目上なり上司が)希望してくれる

※丁寧語「ます」とくみあわせて「〜します」「〜いたします」とするのが丁寧な使い方ですのでご留意ください。

以上で基本事項のおさらいは終わり。

あとはビジネスシーンごとに使える敬語フレーズをまとめておきます。

依頼「希望してください」は敬語でなんて言う?

まずは依頼・お願いの敬語フレーズ。

目上や上司・取引先に「希望してください」「希望してほしい」と言いたいときに使える例文をご紹介。

これだけでもかなりのボリュームになるのですが…

『ご希望はございますか?』

依頼・お願い「希望してください」と言いたいときの敬語フレーズ

  • 例文「ご希望はございますか?」

意味は『希望はありますか?』

とくにビジネス会話や電話対応でよくつかう敬語ですね。

「〜はございますか?」の意味は「〜はあるか?」

丁寧語「あります」をより堅苦しい敬語にすると「ございます」

それを質問の形にするだけで「ございますか?」という敬語になります。

「希望はありますか?」としてもまぁOKですが、ビジネスメールにつかうのであれば「ございますか?」とするほうが丁寧です。

目上・上司にはもちろんのこと社外取引先にもつかえる丁寧な敬語フレーズですね。

『ご希望はございますでしょうか?』

依頼・お願い「希望してください」と言いたいときの敬語フレーズ

  • 例文「ご希望はございますでしょうか?」

意味は『希望はあるでしょうか?』

とくにビジネス会話や電話対応でよくつかう敬語ですね。

「〜はございますでしょうか?」の意味は「〜はあるだろうか?」

丁寧語「あります」をより堅苦しい敬語にすると「ございます」

さらに、

推量”〜だろうか?”の丁寧語”〜でしょうか?”をくっつけると「ございますでしょうか?」という敬語になります。

「希望はありますでしょうか?」としても丁寧ですが、ビジネスメールにつかうのであれば「ございますでしょうか?」とするほうが丁寧です。

目上・上司にはもちろんのこと社外取引先にもつかえる丁寧な敬語フレーズですね。

『ご希望等ございましたらお申し付けください』

依頼・お願い「希望してください」と言いたいときの敬語フレーズ

  • 例文「ご希望等ございましたらお申し付けください」
  • 例文「ご希望がございましたらお申し付けください」

あるいは「くださいませ」を使い、

  • 例文「ご希望等ございましたらお申し付けくださいませ」
  • 例文「ご希望がございましたらお申し付けくださいませ」

とするとより丁寧です。

意味はどれも『希望等があったら言いつけてください』

とくにビジネスメール結び・締め・文末につかわれる敬語ですね。

※ なお「ご要望=要求」に言い換えても丁寧です

※ 漢字表記「下さい」vs ひらがな「ください」はどちらもOK

お申し付けください(ませ)の意味は直訳すると「言いつけてくれ」となります。

ただし敬語をつかっているため実際にはもっと丁寧なニュアンス。

ようは「言いつけてほしい」「言いつけてください」ということが言いたいのですね。

【敬語の補足】

※ 申し付ける(もうしつける)は「言い付ける」の謙譲語。意味は「①命令する」「②告げ口する」「③しかる。厳しく言い聞かせる」のどれか。

※「お(ご)〜ください」は「〜してくれる」の尊敬語「お(ご)~くださる」の命令形

※「お(ご)〜くださいませ」は「〜してくれる」の尊敬語「お(ご)~くださる」に丁寧語”ます”の命令形”ませ”をくっつけた敬語

お礼「希望してくれてありがとう」を敬語で言うと?

つづいてお礼の敬語フレーズ。

目上や社内上司・社外取引先に「希望してくれてありがとう」「ご希望ありがとう」と言いたいときに使える例文をご紹介。

※ あくまでも目安としてお考えください。

『ご希望いただきありがとうございます』

お礼・感謝のビジネス敬語フレーズ(基礎編)

  • 例文『ご希望いただきありがとうございます』
  • 例文『ご希望いただきまして、ありがとうございます』

あるいはシンプルに、

  • 例文『ご希望ありがとうございます』

としてもまぁOKです。

意味はどれも『希望してもらいありがとう』

お礼・感謝の意をあらあわすフレーズとしてはもっともオーソドックスな敬語です。

会話シーンではもちろんのことビジネスメールにもつかえる丁寧なフレーズであり、社内上司・目上・取引先にも丁寧ですね。

【敬語の補足】

※「お(ご)〜いただく」は「〜してもらう」の敬語(謙譲語)

『ご希望くださいましてありがとうございます』

お礼・感謝のビジネス敬語フレーズ(基礎編)

  • 例文『ご希望くださいましてありがとうございます』

あるいはシンプルに、

  • 例文『ご希望くださり、ありがとうございます』

としても丁寧です。

意味はどれも『希望してくれてありがとう』

こちらもビジネスメールでよく目にする敬語フレーズですね。目上や上司・取引先にふさわしい丁寧な敬語です。

ちなみに「ご希望くださいましてありがとう」よりも先ほどの例文「ご希望いただき〜」をつかう方が、よりやわらかい印象の敬語になります。

丁寧な対応を心がけたいときには「ご希望いただく」をオススメします。

【敬語の補足】

※「お(ご)〜くださる」は「〜してくれる」の敬語(尊敬語)

『ご希望賜りありがとうございます』

お礼・感謝のビジネス敬語フレーズ(基礎編)

  • 例文『ご希望賜りありがとうございます』
  • 例文『ご希望賜りまして、ありがとうございます』

※「賜り」の読みは「たまわり」

意味はどれも『希望してもらいありがとう』

「いただきありがとう」と「賜りありがとう」は意味としては同じ。

よりカチッとした敬語、堅苦しい敬語は「賜りありがとう」のほうです。

普段のビジネスメールであれば「いただきありがとう」で十分に丁寧。

手紙・年賀状・冠婚葬祭やビジネス文書・公式なビジネスメールのときには「賜る」をよく使います。

【敬語の補足】

※「お(ご)~賜る」は「~してもらう」の謙譲語

“ありがとう”だけじゃないお礼の敬語フレーズ

ここまではビジネスシーン(メール・手紙・文書・社内上司・社外・目上・就活・転職)でオーソドックスに使えるお礼・感謝の敬語フレーズを紹介しました。

ただ、

お礼するときにいつも「ありがとうございます」を使っていてはビジネス敬語ビギナー。

ここからは「ありがとう」だけじゃないお礼・感謝の敬語フレーズを紹介します。

『感謝申し上げます』など

「ありがとう」だけじゃないお礼・感謝の敬語フレーズ

「感謝」をつかった例文を。

  • 【例文】ご希望いただき感謝申し上げます
  • 【例文】ご希望いただき感謝いたしております
  • 【例文】ご希望いただき感謝いたします

※「ご希望くださり感謝〜」「ご希望くださいまして感謝〜」に言い換えても丁寧

※「ご希望賜り感謝〜」「ご希望賜りまして感謝〜」だとより丁寧

意味はどれも似たようなもの。

ようは「希望してもらいありがとう!」「希望してくれてありがとう!」と言いたいのですが…

丁寧な敬語をつかうとこんな風にややこしい表現になります。

【敬語の補足】

※「お(ご)~いただく」は「~してもらう」の敬語(謙譲語)

※「いたします」は「する」の謙譲語”いたす”+丁寧語”ます”

※「いたしております」は「する」の謙譲語”いたす”+「いる」の謙譲語”おる”+丁寧語”ます”

『深謝いたします』など

「ありがとう」だけじゃないお礼・感謝の敬語フレーズ

「深謝=深く感謝すること」をつかった例文を。

  • 例文「ご希望いただき深謝いたしております」
  • 例文「ご希望いただき深謝いたします」

※「ご希望くださり深謝〜」「ご希望くださいまして深謝〜」に言い換えても丁寧

※「ご希望賜り深謝〜」「ご希望賜りまして深謝〜」だとより丁寧

意味はどれも似たようなも。

ようは「希望してもらい本当にありがとう!」「希望してくれて本当にありがとう!」と言いたいのですが…

丁寧な敬語をつかうとこんな風にややこしい表現になります。

【敬語の補足】

※「いたします」は「する」の謙譲語”いたす”+丁寧語”ます”

※「いたしております」は「する」の謙譲語”いたす”+「いる」の謙譲語”おる”+丁寧語”ます”

『お礼申し上げます』など

「ありがとう」だけじゃないお礼・感謝の敬語フレーズ

「お礼申し上げます」をつかった例文を。

  • 【例文】ご希望いただきお礼申し上げます
  • 【例文】ご希望いただき厚くお礼申し上げます

※「ご希望くださり・ご希望くださいましてお礼〜」に言い換えても丁寧

※「ご希望賜り・ご希望賜りましてお礼〜」だとより丁寧

意味はどれも似たようなもの。

ようは「希望してもらいお礼します!」「希望してくれてお礼します!」と言いたいのですが…丁寧な敬語をつかうとこんな風にややこしい表現になります。

お礼フレーズ参考記事

断り「希望できません」は敬語でなんて言う?

つづいて断りの敬語フレーズ。

目上や社内上司・社外取引先に「希望できません!」「希望は無理です!」と言いたいときに使える例文をご紹介。

『ご希望に添いかねます』

断り「希望できません!」と言いたいときに使える敬語フレーズ

  • 【例文】ご希望に添いかねます

意味は「希望に添うことができません」

ようは「あなたの希望に応えることができません!」ということなのですが、このままだと上司や目上・取引先につかうにはイマイチ。

そこで、

「~しかねます=~することができません」という敬語をつかうことで、より丁寧な断りのフレーズにしています

ここで「〜しかねる(兼ねる)」は「~することができない」という意味。

たとえば、

  • 【例文】お受けいたしかねます
    意味は「引き受けることができません」
  • 【例文】出席いたしかねます
    意味は「出席することができません」
  • 【例文】ご対応いたしかねます
    意味は「対応することができません」

などのようにして使います。ビジネスメールでは例文のように丁寧語「ます」をくっつけて「〜いたしかねます」として使うのが一般的。

【敬語の補足】

※「お(ご)~いたしかねます」は「~する」の謙譲語「お(ご)~いたす」に否定語”~かねる”をくっつけ、さらに丁寧語”ます”をくっつけた敬語

丁寧な断りのフレーズいろいろ

上司や目上・取引先につかえる丁寧な断りの敬語フレーズは他にもいろいろあり。

飲み会の誘いを断るのであれば「~は遠慮させていただきます

仕事の依頼を断るのであれば「~を見送らせていただきます

内定を辞退するのであれば「内定を辞退いたします

・・・などなど

ビジネスシーンごとにふさわしいフレーズがあります。

以下の記事もご参考にどうぞ。

禁止「希望してはダメ!」の丁寧な敬語は?

つづいて禁止の敬語フレーズ。

目上や社内上司・社外取引先に「希望してはダメです!」「希望は止めてください!」と言いたいときに使える例文をご紹介。

『ご希望いただけません』

禁止「希望してはダメ!」と言いたいときに使える敬語フレーズ

  • 【例文】ご希望いただけません

意味は「希望してはいけません」

ようは「希望してはダメだよ!」ということなのですが、このままではあまりにストレートすぎて強い口調に感じられてしまいます。上司や目上・取引先につかうにはイマイチですね。

そこで、

「~いただけません=~してはいけません」という敬語をつかうことで、遠まわしに禁止の意味をあらわしているのです。※「~いただけません」は直訳すると「~してもらってはいけません」ですが… ようは禁止「~してはいけません」という意味に解釈できます。

ビジネスシーンでは回りくどい敬語ほど丁寧にみられる傾向にあり。

そういう意味で丁寧といえます。

(本質的には間違っているのですが事実なので仕方ないです)

ちなみに「〜いただけません」はたとえば、

  • 【例文】この車両はご利用いただけません
    意味は「利用してはいけません」
  • 【例文】このトイレはご使用いただけません
    意味は「使用してはいけません」

などのようにして使います。

【敬語の補足】

※「お(ご)~いただけません」は「~してもらう」の謙譲語「お(ご)~いただく」に丁寧語の否定形”ません”をくっつけた敬語

『ご希望いただくことはできません』

断り「希望できません!」と言いたいときに使える敬語フレーズ

  • 【例文】ご希望いただくことはできません

意味は「希望してもらうことはできません」

使い方は「ご希望いただけません」と似たようなもの。

こちらのほうがよりダイレクトに禁止の意味をあらわすフレーズになります。

ビジネスシーンでは回りくどい敬語ほど丁寧にみられる傾向にあり。

(本質的には間違っているのですが事実なので仕方ないです)

したがって「ご希望いただけません」のほうが丁寧と言えます。

【敬語の補足】

※「お(ご)~いただく」は「~してもらう」の敬語(謙譲語)

催促「希望してくれた?」を丁寧にすると?

つづいて催促・確認の敬語フレーズ。

目上や社内上司・社外取引先に「希望してくれた?」「希望してもらった?」と言いたいときに使える例文をご紹介。

『ご希望いただけましたか?』

催促・確認「希望してくれたの?」と言いたいときに使える敬語フレーズ

  • 【例文】ご希望いただけましたか?

意味は「希望してもらえましたか」

ようするに「すでに希望したのか?」「もう希望したのか?」という催促や確認の意味をあらわしているのですが、このままではあまりにストレート過ぎて目上や上司・取引先に使うにはイマイチです。

そこで遠まわりに「~していただけましたか?=~してもらえましたか?」として、とてもやわらか~いお願いの敬語フレーズにしています。

そんなに丁寧に催促する必要あるの?って思うくらい。

目上・上司にはもちろんのこと社外取引先にもつかえる丁寧な敬語フレーズですね。

敬語について解説していると日がくれるため…

わかりやすく以下の例文をそれぞれ見比べてみましょう。

  • 【例文】すでに返事したのか? vs. お返事いただけましたか?
  • 【例文】すでに対応したのか? vs. ご対応いただけましたか?
  • 【例文】すでに予約したのか? vs. ご予約いただけましたか?

どちらが丁寧に感じられるかは一目瞭然ですね。

【敬語の補足】

※「お(ご)~いただけましたか?」は「~してもらう」の謙譲語「お(ご)~いただく」を可能形にして「いただける」とし、丁寧語の過去疑問形”ましたか?”をくっつけた敬語。

※現在形「お(ご)~いただけますか?」をつかうと「~してもらえますか?」というお願い・依頼の敬語フレーズとなる。

『ご希望いただけましたでしょうか?』

催促・確認「希望してくれたの?」と言いたいときに使える敬語フレーズ

  • 【例文】ご希望いただけましたでしょうか?

意味は「希望してもらえたでしょうか」

※ “でしょうか?”は「だろうか?」の丁寧語(敬語)

意味や使い方は「ご希望いただけましたか?」と似たようなものなので省略。

「ご希望いただけましたか」よりも「ご希望いただけましたでしょうか」のほうが丁寧。

ただし、結局のところどちらも上司・目上・社外取引先につかえる素晴らしい敬語です。

あまり気にせず、あなたのお好みでお使いください。

【敬語の補足】

※現在形「お(ご)~いただけますでしょうか?」をつかうと「~してもらえるだろうか?」というお願い・依頼の敬語フレーズとなる。

その他『ご希望くださいましたか』など

催促・確認「希望してくれたの?」と言いたいときに使える敬語フレーズ

他にはたとえば、

  • 【例文】ご希望くださいましたか?
  • 【例文】ご希望くださいましたでしょうか?
    → 意味は「希望してくれましたか?/希望してくれたでしょうか?」

あるいは、

  • 【例文】ご希望いただましたか?
  • 【例文】ご希望いただましたでしょうか?
    → 意味は「希望してもらいましたか?/希望してもらったでしょうか?」

としてもまぁOKです。

※ “でしょうか?”は「だろうか?」の丁寧語(敬語)

意味や使い方は「ご希望いただけましたか?」と似たようなものなので省略。

どれもまぁ上司・目上・社外取引先につかえる敬語です。

が、あまり一般的ではなくおとなしく「ご希望いただけましたか?」「ご希望いただけましたでしょうか?」のいずれかを使うことをオススメします。

【敬語の補足】

※「お(ご)~くださいましたか?」は「~してくれる」の尊敬語「お(ご)~くださる」に丁寧語の過去疑問形”ましたか?”をくっつけた敬語。さらに「だろうか」の丁寧語”でしょうか”をくっつけると「お(ご)~くださいましたでしょうか?」という敬語となる。

※「お(ご)~いただきましたか?」は「~してもらう」の謙譲語「お(ご)~いただく」に丁寧語の過去疑問形”ましたか?”をくっつけた敬語。さらに「だろうか」の丁寧語”でしょうか”をくっつけると「お(ご)~いただきましたでしょうか?」という敬語となる。

自分の行為「希望します!」の敬語は?

つづいて自分の行為につかえる敬語フレーズ。

自分が「希望します!」と言いたいときに使える例文をご紹介。

『ご希望します/希望いたします』

自分の行為「希望します」と言いたいときに使える敬語フレーズ

  • 【例文】ご希望します
  • 【例文】(ご)希望いたします

意味はどちらも「希望します」

※ひらがな表記「いたします」vs.漢字表記「致します」はどちらもOK

謙譲語の基本形「お(ご)~する」「お(ご)~いたす」に丁寧語”ます”をくっつけて敬語にしています。

ようするに「希望するよ!」という自分の行為をしめす敬語ですね。

どちらも目上・社内上司・社外取引先につかえるフレーズですが「ご希望します」よりも「(ご)希望いたします」のほうが丁寧な敬語となります。

また「ご希望いたします」は「お(ご)」をのぞいて「希望いたします」としても正しい敬語です。

【敬語の補足】

※「お(ご)~します」は謙譲語の基本形「お(ご)~する」に丁寧語”ます”をくっつけた敬語

※「お(ご)~いたします」は謙譲語の基本形「お(ご)~いたす」に丁寧語”ます”をくっつけた敬語。

『ご希望がございます』

自分の行為「希望します」と言いたいときの敬語フレーズ

  • 例文「ご希望がございます」
  • 例文「希望がございます」

意味は『希望があります』

「〜がございます」の意味は「〜がある」

丁寧語「あります」をより堅苦しい敬語にすると「ございます」

「希望があります」としてもまぁOKですが、ビジネスメールにつかうのであれば「〜がございます」とするほうが丁寧です。

目上・上司にはもちろんのこと社外取引先にもつかえる丁寧な敬語フレーズですね。

その他『希望させて頂きます』など

自分の行為「希望します!」と言いたいときに使える敬語フレーズ

他にはたとえば、

  • 【例文】(ご)希望させていただきます
    → 意味は「希望させてもらいます」
  • 【例文】(ご)希望させてください
    → 意味は「希望させてくれ」

あるいは、

  • 【例文】ご希望申し上げます
    → 意味は「希望します」

なども丁寧です。

※ただし「させて頂く」「させて下さい」はふさわしいシーンを考えて使うこと。なんでもかんでも使えば丁寧という訳ではない。

意味や使い方は「ご希望します/いたします」と似たようなものなので省略。

とくに「お(ご)~申し上げます」はビジネス文書や手紙・丁寧なビジネスメールにしたいときなど、カチッとした敬語がこのまれるシーンでよくつかわれます。

また「ご希望させて頂きます/させて下さい」は「お(ご)」をのぞいて「希望させて頂きます」「希望させて下さい」としても正しい敬語です。

【敬語の補足】

※「お(ご)~申し上げます」は「~する」の謙譲語に丁寧語”ます”をくっつけた敬語。

※「お(ご)~させて頂きます」は「~させてもらう」の謙譲語「お(ご)~させて頂く」に丁寧語”ます”をくっつけた敬語。

※「お(ご)~させてください」は「~させてくれる」の尊敬語「お(ご)~させてくださる」を命令形にした敬語。

まとめ表

①基本 ②+丁寧語”ます”
現 在 ご希望する
ご希望いたす
ご希望させて頂く
ご希望申し上げる
ご希望します
ご希望いたします
ご希望させて頂きます
ご希望申し上げます
過 去 ご希望した
ご希望いたした
ご希望させて頂いた
ご希望しました
ご希望いたしました
ご希望させて頂きました
進行形 ご希望している
ご希望いたしている
ご希望させて頂いている
ご希望しています
ご希望いたしています
ご希望させて頂いています
過去~現在 ご希望していた
ご希望いたしていた
ご希望させて頂いていた
ご希望していました
ご希望いたしていました
ご希望させて頂いていました

※ ②+丁寧語”ます”をつかうとより丁寧な敬語になります

※ 「致します」「いたします」は漢字でも平仮名でもOK

※「させて頂く」「させて下さい」はふさわしいシーンとそうでないシーンあり。

※「しています」は「しております」としても丁寧

希望「希望したい!」ときの丁寧な敬語

つづいてあなたの希望や意思・願望をあらわしたい時につかえる敬語フレーズ。

自分が「希望したい!」と言いたいときに使える例文をご紹介。

『ご希望がございます』

自分の行為「希望します」と言いたいときの敬語フレーズ

  • 例文「ご希望がございます」
  • 例文「希望がございます」

意味は『希望があります』

「〜がございます」の意味は「〜がある」

丁寧語「あります」をより堅苦しい敬語にすると「ございます」

「希望があります」としてもまぁOKですが、ビジネスメールにつかうのであれば「〜がございます」とするほうが丁寧です。

目上・上司にはもちろんのこと社外取引先にもつかえる丁寧な敬語フレーズですね。

『ご希望したく存じます』

希望・意思・願望「希望したい!」と言いたいときに使える敬語フレーズ

  • 【例文】ご希望したく存じます

あるいは、

  • 【例文】ご希望したく思います

としてもまぁOK。

意味はどれも「希望したいと思います」

謙譲語の基本形「お(ご)~する」に希望の「~したい」をくっつけると「お(ご)~したく」という敬語になります。

また「存じます」は「思います!」という意味の敬語(謙譲語)。

すべてあわせると、

希望したい!」という自分の意思や希望・願望をしめす敬語になりますね。

【敬語の補足】

※「お(ご)~したく」は謙譲語の基本形「お(ご)~する」に希望の”~したい”をくっつけた敬語

※「存じる」は「思う」という意味の敬語(謙譲語)。丁寧語”ます”をくっつけると「存じます」となる。

(ご)希望いたしたく存じます

希望・意思・願望「希望したい!」と言いたいときに使える敬語フレーズ

  • 【例文】(ご)希望いたしたく存じます

あるいは、

  • 【例文】(ご)希望いたしたく思います

としてもまぁOK。

意味はどれも「希望したいと思います」

※ひらがな表記「いたしたく」vs.漢字表記「致したく」はどちらもOK

謙譲語の基本形「お(ご)~いたす」に希望の「~したい」をくっつけると「お(ご)~いたしたく」という敬語になります。

また「存じます」は「思います!」という意味の敬語(謙譲語)。

すべてあわせると、

希望したい!」という自分の意思や希望・願望をしめす敬語になりますね。

どれも目上・社内上司・社外取引先につかえるフレーズですが「ご希望したく存じます」よりも「(ご)希望いたしたく存じます」のほうが丁寧な敬語となります。

また「ご希望いたしたく」は「お(ご)」をのぞいて「希望いたしたく」としても正しい敬語です。

【敬語の補足】

※「お(ご)~いたしたく」は謙譲語の基本形「お(ご)~いたす」に希望の”~したい”をくっつけた敬語。

※「存じる」は「思う」という意味の敬語(謙譲語)。丁寧語”ます”をくっつけると「存じます」となる。

その他「ご希望させて頂きたく存じます」など

希望・意思・願望「希望したい!」と言いたいときに使える敬語フレーズ

  • 【例文】(ご)希望させていただきたく存じます
    → 意味は「希望させてもらいたいと思います」

あるいは、

  • 【例文】(ご)希望させてください
    → 意味は「希望させてくれ」

としてもまぁOK。

※ひらがな表記「いただきたく」vs.漢字表記「頂きたく」はどちらもOK

「ご希望させて頂きたく存じます」の意味は「希望させてもらいたいと思います」

「~させてもらう」の謙譲語「お(ご)~させていただく」に希望の「~したい」をくっつけると「お(ご)~させていただきたく」という敬語になります。

また「存じます」は「思います!」という意味の敬語(謙譲語)。

すべてあわせると、

希望させてもらいたいと思います!」という自分の意思や希望・願望をしめす敬語になりますね。

また「ご希望させて頂く/下さい」は「お(ご)」をのぞいて「希望させて頂く/させて下さい」としても正しい敬語です。

ただし注意点として「させて頂く」「させて下さい」はふさわしいシーンを考えて使うこと。

あまりに使いすぎると目ざわりな表現ですので、

なんでもかんでも使えば丁寧という訳ではありません。

敬語ビギナーのうちは「ご希望したく存じます」「ご希望いたしたく存じます」をオススメします。

“ご希望いただく vs ご希望くださる”の使い方

ややこしいので「ご希望いただく vs ご希望くださる」の使い方について。

代表的なパターンを表にまとめておきます。

こまかく解説していくとそれだけで記事がおわってしまいますので、目的にあわせてお使いください。

“ご希望いただく”の使い方まとめ(すべて敬語)

①基本 ②+丁寧語”ます” ③その他
現 在 ご希望いただく ご希望いただきます -頂くよう
-頂きますよう
過 去 ご希望いただいた ご希望いただきました ×
進行形 ご希望いただいている ご希望いただいています -頂いております
過去~現在 ご希望いただいていた ご希望いただいていました -頂いておりました
希 望
依 頼
ご希望いただきたい
ご希望いただきたく
ご希望いただくよう
ご希望いただけるよう
ご希望いただきたいです
×
ご希望いただきますよう
ご希望いただけますよう
-頂きたく思います
-頂きたくお願いします
-頂きたく存じます
-頂ければと存じます
可 能 ご希望いただける ご希望いただけます -頂けるよう
-頂けますよう
①仮定
②仮定+可能
①ご希望いただいたら
②ご希望いただければ
①ご希望いただきましたら
②ご希望いただけましたら
×
①疑問+過去
②疑問+可能
③疑+
可+過
①ご希望いただいたか?
②ご希望いただけるか?
③ご希望いただけたか?
ご希望いただきましたか?
ご希望いただけますか?
ご希望いただけましたか?
-頂きましたでしょうか
-頂けますでしょうか
-頂けましたでしょうか
禁 止 ご希望いただけない ご希望いただけません ×
命 令 × × ×

※ ②+丁寧語”ます”をつかうとより丁寧な敬語になります。

※ 「頂く」「いただく」は漢字でも平仮名でもOK

※「×」としたのは一般的につかわない

“ご希望くださる”の使い方まとめ(すべて敬語)

①基本 ②+丁寧語”ます” ③その他
現 在 ご希望くださる ご希望くださいます -くださるよう
-くださいますよう
過 去 ご希望くださった ご希望くださいました ×
進行形 ご希望くださっている ご希望くださっています -くださっております
過去~現在 ご希望くださっていた ご希望くださっていました -くださっておりました
希 望
ご希望くださるよう ご希望くださいますよう ×
可 能 × × ×
仮 定 × × ×
疑 問 ご希望くださるか? ご希望くださいますか? ×
否 定 ご希望くださらない ご希望くださいません ×
命 令 ご希望ください ご希望くださいませ ×

※ ②+丁寧語”ます”をつかうとより丁寧な敬語になります

※ 「下さる」「くださる」は漢字でも平仮名でもOK

※「×」としたのは一般的につかわない