ご査収いただければ幸いです(読み:ごさしゅう いただければ さいわいです)
の意味、敬語の種類、ビジネスシーンにふさわしい使い方(メール・手紙・文書・社内上司・社外・目上・就活・転職)、注意点について。
ビジネスメールの例文つきで誰よりも正しく解説する記事。
ご査収いただければ幸いです の意味
「ご査収のいただければ幸いです」の意味は「メールなりを、よく調べて受け取ってもらえたら嬉しいです」
なぜこのような意味になるのか?
そもそもの意味と敬語について順をおって解説していきます。
ご査収いただければ〜意味は「よく調べて受け取ってもらえれば〜」
「ご査収くださいますよう〜」の意味は「よく調べて受け取ってもらえれば〜」「よく調べて受け取ってもらえたら〜」
「ご査収」のもとになる単語は「査収」であり意味は「メールなり手紙なり物品をよく調べて受け取ること」「中身をよく確認して受け取ること」
敬語としては以下のとおりに成り立ちます。
▼「ご査収いただければ」敬語の種類
- 「ご査収」の「ご」の部分は向かう先を立てるために使う敬語であり謙譲語の「お(ご)」
- 「いただければ」は「もらう」の謙譲語「いただく」に仮定形「れば」をつかって敬語にしています
余談ですが尊敬語にも「お(ご)」の使い方があり混同しがち。
難しく感じるかたは「お(ご)●●いただく」のセットで謙譲語とおぼえておきましょう。
幸いです は「嬉しいです、幸せです」の意味
「幸いです」の意味は「嬉しいです、幸せです」
もととなる単語は「幸い(さいわい)」であり、丁寧語「です」を使って敬語にしています。
ご査収いただければ幸いです の意味は「よく調べて受け取ってもらえたら嬉しいです」
- ご査収 = よく調べて受け取ること
- ご・お~いただければ = 「〜してもらえれば」の意味の敬語
- 幸いです= 「幸せです、嬉しいです」の意味
これらの単語を合体させて意味を考えます。
すると「ご査収いただければ幸いです」の意味は…
「よく調べて受け取ってもらえたら嬉しいです」
のように解釈できます。
「ご査収いただければ幸いです」敬語の種類
繰り返しにはなりますが「ご査収いただければ幸いです」を敬語としてみると、以下のように成り立ちます。
▼敬語の解釈 ①
- もとになる単語「査収」
- 「〜してもらう」の謙譲語「お(ご)〜いただく」で「ご査収いただく」
- 仮定形「れば」で「ご査収いただければ」
- 「幸い」に丁寧語「です」で「幸いです」
あるいはもっと細かくすると以下のような敬語の解釈もできます。
▼敬語の解釈 ②
- もとになる単語「査収」に謙譲語「お・ご」で「ご査収」
- さらに「〜してもらう」の謙譲語「〜いただく」で「ご査収いただく」
- 仮定形「れば」で「ご査収いただければ」
- 「幸い」に丁寧語「です」で「幸いです」
本来あるべきなのは解釈②なのですが…
ややこしくなるため「お(ご)〜いただく」のセットで謙譲語とし解釈①で考えたほうがシンプルでわかりやすくなります。
とにかく敬語としては全くおかしいところは見当たりません。間違い敬語でもなく二重敬語でもなく、正しい敬語です。
補足①敬語の種類(ざっくり復習)
① 尊敬語とは?
相手をうやまって使う敬語の一種。
相手の行為にたいして使い、自分の行為には使わないことが基本。
敬語の種類はほかに②謙譲語、③丁寧語がある
② 謙譲語とは?
自分をへりくだって下にすることで、相手への敬意をあらわす敬語。
自分の行為に使い、相手の行為には使わないことが基本(例外あり)。
③ 丁寧語とは?
いわゆる「です・ます」口調のこと。
補足②謙譲語にも「お・ご+名詞」という使い方がある
ややこしいので基本的な敬語の使い方についてくわしく解説を。
じつは尊敬語と謙譲語にはどちらも「お・ご」の使い方があります。
謙譲語としての「お・ご」の使い方はたとえば、
「会議日程のご連絡」
「忘年会開催のお知らせ」
「販売状況のご報告」
「転勤のご挨拶」
「貴社ご訪問のお願い」
こんな感じのフレーズがあります。よくビジネスメールの件名で目にする表現ですね。
ところが例文は自分が「ご連絡・お知らせ・ご報告・ご挨拶」するため「お・ご」をつかうのはおかしいと感じるかたもいらっしゃることでしょう。
これは、
謙譲語「お・ご」の使い方を知らないためにくる勘違いです。尊敬語の「お・ご」だと勘違いしているために間違い敬語と感じるのですが、実際にはどれも正しい敬語をつかっています。
いっぽうで尊敬語の「お・ご」は、「●●部長がお戻りになりました」などのようにして、相手の行為をうやまって使う敬語です。
ややこしければ「お・ご〜いただく」セットで謙譲語と覚える
謙譲語の「お・ご」は尊敬語の「お・ご」と勘違いしやすい敬語です。
ややこしく感じる方は「お(ご)〜いただく」をセットで謙譲語と覚えておくとよいでしょう。
また謙譲語で使われる「お・ご」はパターンが限られます。ざっくりと以下の使い方をマスターしておけばビジネスシーンでは困らないでしょう。
- お・ご●●する
お・ご●●します - (お・ご)●●いたす
(お・ご)●●いたします - お・ご●●いただく
お・ご●●いただきます - (お・ご)●●させていただく
(お・ご)●●させていただきます
※ただし「させていただく」は日本語としておかしい表現になる時もあり何でもかんでも使える訳ではない
●●の部分にイロイロな語がきて謙譲語になります。たとえば「了承」「連絡」「確認」「検討」「容赦」「査収」「取り計らい」など。
ここで(お・ご)と( )書きにしているフレーズは「お・ご」があってもなくても敬語としては丁寧。
また丁寧語「ます」とくみあわせて「〜します」「〜いたします」とするのが丁寧な使い方ですのでご留意ください。
ご査収いただければ幸いです の使い方
つづいて「ご査収いただければ幸いです」の使い方について。
資料送付や報告ビジネスメールに使うフレーズであり決まりきった使い方のみ。
使い方「資料送付・報告ビジネスメールなど」
「ご査収いただければ幸いです」の使い方
何かしらの資料送付メールや報告ビジネスメールに使えます。取引先など社外あてに限らず、上司や目上など社内あてのメールにも使えます。
たとえば、
- 例文「ご査収いただければ幸いです。何卒よろしくお願い申し上げます」
- 例文「ご査収いただければ幸いです。よろしくお願い致します」
のようにして何かの依頼・お願いをともなうビジネス文書やビジネスメールで結び・締めくくりとして使われます。
具体的にはたとえば、取引先に見積書を送付するビジネスメールのとき。
-ビジネスメール例文-
ご依頼の件、添付ファイルにて見積書を送付いたします。ご不明な点がございましたらお申し付けください。
ご査収いただければ幸いです。何卒よろしくお願い申し上げます。
みたいにメール結びとして使えます。まぁ、ようするに「よく調べて受け取ってもらえたら嬉しいな!よろしく」という意味なのです。
うしろに「よろしくお願い致します」などを加えて結びにする
「ご査収いただければ幸いです」はそれだけではビジネスメール結び締めとしてはイマイチです。
うしろに「よろしく!」的なフレーズを組み合わせて、セットで使うようにしましょう。
すでに例文にはしましたが…
- 例文「ご査収いただければ幸いです。何卒よろしくお願い申し上げます」
- 例文「ご査収いただければ幸いです。よろしくお願い致します」
ビジネスメールの結び締めに使うときにはこんな感じにするとよいでしょう。
前置きに気づかいのフレーズを!
ビジネスメールの結び締めをより丁寧にするためのコツ。
「ご査収いただければ幸いです」に相手を気づかうフレーズを組み合わせると、より丁寧なメールになります。
たとえば以下のようなフレーズがあります。
- 恐縮=申し訳なく思うこと
「お忙しいところ恐縮ではございますがご査収〜」
「お忙しいところ大変恐縮ではございますがご査収〜」
「たびたび恐縮ではございますがご査収〜」 - 恐れ入る=申し訳なく思う
「お忙しいところ恐れ入りますがご査収〜」
「お忙しいところ大変恐れ入りますがご査収〜」
「たびたび恐れ入りますがご査収〜」 - お手数=お手間
「大変お手数ではございますがご査収〜」
「お忙しいところお手数お掛けしますがご査収〜」
「お忙しいところ大変お手数ではございますがご査収〜」 - 勝手を申し上げる=自分勝手を言う
「誠に勝手を申し上げますがご査収〜」
ご査収のほど・ご査収くださいますよう・ご査収頂きますよう・ご査収いただければ幸いです の違い
ところで「ご査収」の使い方というか続くフレーズには、
「ご査収くださいますようお願い致します」
「ご査収のほどお願い致します」
「ご査収頂きますようお願い致します」
「ご査収いただければ幸いです」
というように主に4つあります。これって何が違うのでしょうか?
「ご査収くださいますようお願い致します」
の意味は「よく調べて受け取ってくれるようお願い」
※「くれる」の尊敬語が「くださる」
「ご査収のほどお願い致します」
の意味は「よく調べて受け取ってくれるようお願い」「よく調べて受け取ってもらうようお願い」
のどちらの意味にも取れる。
「ご査収頂きますようお願い」
の意味は「よく調べて受け取ってもらうようお願い」
※「もらう」の謙譲語が「賜る・いただく」
「ご査収いただければ幸いです」
の意味は「よく調べて受け取ってもらえたら嬉しいなぁ・幸せだなぁ」
となり「ご査収くださる」なのか「ご査収いただく」なのか「ご査収のほど」なのか「ご査収いただければ〜」なのかでニュアンスが違います。
どれを使っても丁寧ではありますが使い分けについても考えてみます。
もっとも丁寧なのは「ご査収いただければ幸いです」
いろいろと考えてはみましたがこれまで示した例文はどれも丁寧であり、使い分けする必要性はありません。
強いて言うのであれば「ご査収いただければ幸いです」がもっとも丁寧なお願い・依頼のフレーズ。
これまでと同じようにビジネスメール結び締めとして使います。以下の例文をご参考にどうぞ。
- 例文「ご査収いただければ幸いです。何卒よろしくお願い致します」
- 例文「ご査収いただければ幸いです。何卒よろしくお願い申し上げます」
- 例文「お忙しいところ大変恐れ入りますが、ご査収いただければ幸いです。何卒よろしくお願い申し上げます」
ビジネスメールによく使うのは「ご査収のほど」
「ご査収いただければ幸いです」がもっとも丁寧なフレーズではありますが…
ビジネスメールでもっともよく使われるのは「ご査収のほどお願い申し上げます」「ご査収のほどお願い致します」です。
親しい取引先や上司・社内の目上などに対する普段のビジネスメールで、無駄にかしこまった敬語フレーズを使う必要はありません。
「いただく」vs「くださる」の使い分けは難しい
せっかくですので「ご査収いただきますようお願い」「ご査収くださいますようお願い」の違いを考えてみます。
たとえば結び・締めに使う「お願い」するときのシーンを考えましょう
すると…
「ご容赦くださいますようお願い申し上げます」
「ご容赦いただきますようお願い申し上げます」
「ご了承くださいますようお願い申し上げます」
「ご了承いただきますようお願い申し上げます」
「ご査収くださいますようお願い申し上げます」
「ご査収いただきますようお願い申し上げます」
こんな敬語フレーズをよく使います。
実はこれらは「くださる」を使うのが一般的です…
「いただく」としても丁寧ではありますが…
ところが、たとえば何かをもらった時のお礼のシーンを考えます。
「たいそうなお品をくださりありがとうございました」
「たいそうなお品をいただきありがとうございました」
もうひとつ、
「いつもご利用くださりありがとうございます」
「いつもご利用いただきありがとうございます」
上記の例文はどれも敬語としては正しい使い方。
ただ圧倒的に「いただき〜」とするほうが多いですね。
で結論としては使う語によって「くださる」がよいのか「いただく」がよいのか、相性がありなんとも言えません。
結び・締めに使うフレーズとしては「くださいますよう」のほうが一般的で、お礼に使うフレーズとしては「いただきありがとう」を使うのが一般的です。
「ご査収ください」でもOKだけど…もう少し丁寧に!
「ご査収ください」とする人も中にはいますが…私はオススメしません。
「〜してください」は「〜してくれ」の尊敬語「くださる」の命令形であるため敬語としてはOK。目下のヒトにたいする言葉づかいや、社内あてのメールであれば問題ありません。
ですが「〜してください」は結局のところ命令形であるため、どうしても強い表現です。
もっと丁寧なフレーズがあるのですからそちらを使うのが無難。とくに目上のヒトや取引先に何かをお願いするときには相手への気づかいが必要です。
【参考】「取り急ぎお礼まで」を目上の人に使わない理由・丁寧な言い換え
「ご査収いただければ幸いです」を使ったビジネスメール例文【全文】
最後に「ご査収いただければ幸いです」を使ったビジネスメールの例文を挙げていきます。
上司など目上や取引先に対して使える文章にしていますので、ご参にどうぞ。
※「ご査収のほど~」もよく使われます。
転職メール例文:履歴書を添付する(突然Ver)
メール件名: 履歴書送付の件(転職のまど)
転職株式会社
人事部
転職 様
突然の連絡にて大変失礼いたします。
転職ノマドと申します。貴社の求人広告を拝見し、連絡いたしました。
このたび、貴社求人にてご記載の営業職に応募いたしたく、
添付にて履歴書を送付いたします。
お忙しいところ大変恐れ入りますが、ご査収いただければ幸いです。
何卒よろしくお願いいたします。
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転職のまど
〒xxx-xxxx
●●県●●市●●Δ-Δ-Δ
電話:00-0000-0000
携帯:090-0000-0000
E-mail:nomad@gmail.com
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社内メール例文:会議資料を上司に送付する
メール件名: 【9月度】販売報告送付の件
○○部長
お疲れ様です。
さて標記の件、添付にて資料送付いたします。
ご査収のほど何卒よろしくお願いいたします。
営業部 のまど
就活メールにESを添付して送る例文
メール件名: エントリーシート送付の件(京都大学・就活太郎)
◯◯株式会社
ご採用担当 様
お世話になります。京都大学・経済学部の加藤一郎と申します。
さて首記の件、エントリーシートを添付ファイルにて送付いたします。
お忙しいところ大変恐れ入りますが、
ご査収のほど何卒宜しくお願いいたします。
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京都大学
経済学部・○○学科
就活太郎
住所:〒123-456 大阪府大阪市北区~~~
電話:~~~
Eメール:~~~
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見積もり送付メール(ビジネス・社外)
メール件名:見積送付の件
転職株式会社
転職 様
平素はお世話になっております。
株式会社就活の就活です。
さて、先ほどお問い合わせ頂きました見積もりの件、
添付ファイルにて送付いたします。
ご査収のほど何卒よろしくお願い致します。
メール署名
報告メール(社内メール)
メール件名:開発進捗のご報告
○○ 課長
お疲れ様です。
さて首記の件、開発の進捗状況を下記のとおり報告いたします。
- 三菱化学むけ開発品A:ラボ試作完了。4月中に実験データを採り、先方へ報告予定。
- 三井化学むけ開発品B:先方と打ち合わせの結果、スペックの再調整が必要のため、4月中に改良サンプル試作予定。
- 住友化学むけ開発品C:ラボ試作品の評価良好。実機試作の時期を調整し、サンプリング予定(時期調整中)。
なお実験結果等、仔細に関しましては次月の開発会議に改めて報告いたします。
ご査収くださいますよう何卒よろしくお願い致します。
メール署名